(この節は、固有値・固有ベクトルの節から続けて読んで下さい。)

 

先ほどは、固有ベクトルというのは、変換によって方向を変えずに固有値倍になるベクトルだと言いました。

変換によって方向を変えないので、固有ベクトルを基底として任意のベクトルを表して変換を考えれば面白いことになりそうです。

(意味がわからない人、今しばらく辛抱を。基底についてはすぐに解説します。)

 

-------------------基底の説明------------------------------------------------------------------------------------

2次元平面内の任意のベクトルは、2つの1次独立なベクトル(つまり、互いに平行ではない2つのベクトル)の1次結合(定数倍と足し算)によって表すことが出来ます。このときの、1次独立な2つのベクトルを基底と呼びます。

たとえば、

ベクトルは、我々が暗黙に使っている基底を使って、

と表すことも出来ますし、

別の1次独立な2つのベクトルを基底として、

と表すことも出来ます。

(基底の前の数字を「成分」と呼びます。)

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ここで、任意のベクトルを先ほどの固有ベクトルを使って表してみましょう。

我々が暗黙に使っている規定をつかうと、

固有ベクトルを基底にすると、あるを用いて、

とも書けます。

先ほどの行列をつかって、と変換すると、

 

  ←固有ベクトルの性質を使っていますよ。

 

つまり、行列Aによる変換によって、成分は、になっています。(あたかも正比例の式のように。)単にx,yそれぞれ固有値倍しただけです。最初の、x,y入り混じった関係式 

に比べて何と簡単なことでしょう!

ちなみに、行列を使って表すと、

です。

(新基底での、例えばの成分をとしています。)

 

基底を変えても、ベクトルは、ベクトルであることには変わりがありません。

鉛筆の長さを1センチ刻みの物差しで測っても、1インチ刻みの物差しで測っても、鉛筆自体の長さが変わるはずがないのと同じことです。

そこで、の関係を求めると、

になります。

 としました。)

同じ要領で、

です。

これを、に代入します。

両辺にを左から掛けて、

これを、さきほどの

と比べると、

になっていますね。

 

つまり、対角化とは、固有ベクトルを基底として考えると、変換によってx,yは単に固有値倍になる、シンプルな変換になるということです。

 

 

図を使って見てみましょう。

例えば、)は、変換によって、)になります。

を使っていますよ。)

これを、固有ベクトルを基底とした新基底で見てみましょう。

すると、

が、になっています。x,yそれぞれ、固有値倍しただけの簡単な変換になっています。

もう1つの例で、)は、変換によって、)になります。

新基底で見ると、です。やはり、単なる固有値倍の変換になっています。

 

 

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