タイトルナース


手足のできもの、”ガングリオン”

前へ前へ次へ次へ 最初のページへ最初のページ

手足にできるしこり (腫瘍) の代表がこのガングリオンです。これができると、手や足が普通はドーム状に盛り上がり、硬いしこりを触れるようになります。悪性ではないので放置してもかまわないのですが、手首などにできると人目について目立つことがあります。近くの神経を圧迫して痛みを生じることもあります。そのような場合は手術が必要です。

ガングリオンとは

ガングリオンは関節や腱にくっついて発生します。できる場所は多くの場合、手首や足首、あるいは手背や手掌、足背や足底です。粉瘤と同じように被膜によっておおわれた、袋状のできもの (腫瘍) です。ただし袋の中身はかなりねっとりした、透明できれいなゼリー状の液体です。
皮膚を通してガングリオンに触れると、ゼリーの詰まった袋とは思えないほどカチカチに硬いことが多いようです。診断のために注射器でゼリーを吸い出すと、一時的にガングリオンは消失します。でも数日でもとに戻ってしまいます。自然に小さくなってしまうこともありますが、かなりまれなことですので、治療にはやはり手術しかないようです。ただしガングリオンは非常に再発が多いことでも有名です。私の場合でも、およそ4回の手術で1例くらいの再発を経験しています。粉瘤の場合は 99% 再発しないのですが、ガングリオンは根っこが長かったり、小さなガングリオンがたくさん付属していることがあり、それを取り残すことが再発につながるようです。

ガングリオンはなぜできる?

手首をよく使う人に手首のガングリオンが多い傾向はあるようです。使いすぎによる慢性の炎症がガングリオンの誘因になるのかもしれません。でもそうでないこともあり、本当の発生のメカニズムはまだわかっていません。

手術の実際

ガングリオン手術 これは左足の親指の根元にできたガングリオンの症例です。靴をはくとガングリオンがあたって痛みがありました。
術前によく調べてみると、ガングリオンの根にあたる部分 (矢印の部分) がかかとの方向に伸びているのが分かりました。そこでしわにそった切開ではなく、ガングリオンの根を完全に切除できるように、くの字型の切開を行いました。
実際に切開してみると、根は後方に伸びて、親指の根元の関節に付着していました。その部分まで十分切除して、完全に切除した感触を持って手術を終わることができました。
ガングリオンの被膜は、ぎりぎりまで薄くした方がきれいに抵抗なく周囲からはがすことができます。でも薄くしすぎると、破れて中のゼリーが飛び出し、ガングリオンの正体がよく分からなくなります。そのあたりは経験が物を言う世界になりますが、再発率からみて、まだまだ努力が必要だと感じています。ガングリオンの中身
(矢印の部分がガングリオンの根です。)







粘液のう腫について

粘液のう腫術前術直後 名前は違いますが、袋の中身は同じゼリーなので、これもガングリオンの一種と考えています。これは指先にできる小さなしこりです。やはり関節や腱に付着していることが多いようです。ただしこりの部分の皮膚が非常に薄くなっているため、のう腫を切除する際に一緒に取らざるを得ないことがほとんどです。

これは左手中指の粘液のう腫の症例です。爪の根元を圧迫しているため爪が変形してきています。この例ものう腫の上の皮膚が薄すぎたため、皮膚も含めて切除しています。このように小さなのう腫でも、指先には皮膚の余裕が少ないため、単純に縫いつめることは困難です。この場合はこのように大きく切開を伸ばし、局所皮弁と呼ばれる方法で、無理なく皮膚の欠損部分をおおうことができました。



戻る ホーム 進む