タイトルドクター


本当の脂肪のかたまり、脂肪腫

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俗にいう脂肪のかたまりとは、前のページで解説しましたように粉瘤のことを指していることが多いのですが、ここでは本当に脂肪組織ができものとして大きくなる脂肪腫について書いてみます。

脂肪腫とは

脂肪腫は、皮下脂肪や筋肉の間にある脂肪組織が、できものとして変化して生じるものです。粉瘤ほど頻度が高くはありませんが、それほど珍しい病気でもありません。顔ではおでこにできることがあります。腕や肩、背中などにもできやすいようです。
粉瘤に比べて大きくなってから気がつくことが多いようです。細菌感染することはありません。普通は痛みなども生じません。
ほとんどの脂肪腫は良性ですが、ごくまれに悪性の脂肪肉腫が発生することもありますので、必ず病理検査をします。

脂肪腫の治療

背中の脂肪腫 脂肪腫はほとんどが良性ですので、経過観察だけで手術しないことも可能です。しかし放置しても少しずつ大きくなることが多いようですので、あまり目立つようになってしまったら、やはり手術が必要でしょう。
この方は最近、背中のしこりに気づいて当院を受診されました。触ってみると軟らかく、可動性で、容易に脂肪腫と診断できました。若い女性で、ぴったりした服を着ると外から分かるくらいの大きさでしたので、切除することになりました。
外来手術ですので局所麻酔で手術を行いました。脂肪腫の上に切開線を描き、その部分の皮膚だけに浅く麻酔を注射します。その後に切開線の直下にも麻酔を注射します。脂肪腫の周辺には、最初は麻酔をうたないようにしています。手術しながら、手術野から麻酔の注射をうっていった方が注射の痛みが少なく、麻酔の量も節約できるからです。
最近は内視鏡下で小さな切開から脂肪腫をとることも試みられていますが、この程度の脂肪腫でしたらあまりメリットはないとおもいます。もっと大きな脂肪腫ですと、確かに内視鏡の方が傷が目立たないとは思いますが。

脂肪腫摘出の図 このあたりの脂肪腫は皮下あるいは筋肉の下に存在します。この例では広背筋の下にありました。脂肪腫が皮下にある場合でも、脂肪腫と皮下脂肪とは一目で区別できます。色も濃いことが多いですし、脂肪の粒も大きめです。この例では被膜で周囲と分けられていて、容易に周囲からはがして摘出できました。
脂肪腫をとった後にはすきまが生じます。術後出血があるとそこにたまって血腫を作りやすくなります。そこで吸引式のドレーンを挿入してみました。直径3mmのシリコン製のチューブで、その先端には100ccの吸引バッグが接続されています。これで傷の中の出血を吸い取るようになっています。通常は2日から3日で出血も収まり、ドレーンを抜くことができます。

フィルムで傷を密閉 傷から空気が漏れるとうまく吸引できませんので、傷を薄いフィルムで密閉します。こうすると傷は完全に外界と遮断されますので、外から傷への汚染が予防できます。この患者さんの場合は、手術翌日の朝から普通にシャワーを浴びることを許可できました。
傷から離れたところにドレーンを通す穴を開けるのが一般的ですが、この症例ではドレーンの管は傷の一部から外に出ています。こうするとドレーン穴の傷あとも残さずにすみます。
24時間後に計ったところ、出血量は20mlでした。術後2日目にドレーンをぬき、再びプラスチックフィルムで傷をふさいでいます。もちろん自由にシャワーを浴びれます。ただ湯船につかってしまいますと、フィルムの内側に汗がたまって傷がむれますので、抜糸までお風呂は我慢してもらっています。



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