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深爪にご用心、陥入爪とは

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陥入爪(かんにゅうそう)とは

巻き爪陥入爪とは主に足の爪の角や側面が皮膚に食い込んで痛くなる病気です。そのままでも痛くて歩くのがつらくなりますが、細菌感染を起こすと更に痛みが強くなります。爪の湾曲が強い場合は巻き爪と呼ばれることもありますが、基本的には同じ病気と考えてよいでしょう。
巻き爪の例

陥入爪の原因

陥入爪の原因は後天的なもので、先天的な要因は少ないと考えます。一卵性双生児の方で、そのうちの一人だけがひどい陥入爪になった方を知っています。そのかたはきついハイヒールを履いてジャズダンスを習ったところ、だんだん爪が変形してダンスどころではなくなったそうです。
深爪によって生じたトゲ原因の一つはこの方のようにきつい靴や激しい運動です。しかしもっとも大きな原因は間違った爪切りだと思います。つまり深爪です。深爪とは爪を短く切りすぎることですが、特に爪の角を斜めに切り込むことが問題です。日常の診療で、実に多くの人が誤った爪切りをしていることに驚かされています。爪の角を斜めに切り込んでその上むしったりすると、爪の角にトゲができることが多いのです。それが皮膚に刺さり、更に細菌感染が加わると大変な痛みになります。
この写真は陥入爪手術中、部分抜爪直後のものです。爪の左の角が痛むので、患者さん自身がそこを斜めに切り落としたのですが、かえって痛みが強くなってしまったそうです。抜いた爪をよく観察してみると、斜めに切り落としたつもりの爪の角に実は爪のトゲ、爪棘 (そうきょく)を生じていました。こんなものが皮膚に突き刺さっていたのですから、痛むわけです。しかも食い込んだ爪が皮膚を傷つけ細菌感染を生じていました。こうなってしまったら手術が必要です。
爪の角を落とすと、爪自体の湾曲も強くなる印象を持っています。ですから爪の切り方は角を直角に残して、少し長めくらいがちょうどよいのです。

陥入爪の保存的治療

部分抜爪 陥入爪の方にはハイヒールやきつい靴はもちろん厳禁です。そして可能な状況なら、爪切りを控えて爪を少し長く伸ばしてもらいます。痛む時には消毒して、抗生物質の含有された軟膏を塗ります。この処置をしているうちに爪が順調に伸びて、感染も治まればよいのですが、実際はなかなかうまくいかないことが多いようです。
痛みが強い患者さんからは、爪の角をもっと深く切ってくれと頼まれることがあります。しかしそれは無意味です。そのことで爪の食い込む場所が更に根元に移動するだけだからです。爪の側面に肉芽組織が盛り上がってしまったりして、どうしても爪を切らないと仕方のない場合は、手術と同様に、局所麻酔してから部分抜爪します。
注意しなければいけないことは、決して全抜爪しないことです。全抜爪の方が簡単なので、そちらで治療されている方も見かけますが、爪を全部とってしまうと爪の直下にある骨が無防備になるため、物をぶつけた時にかなり痛い思いをします。それだけでなく、全抜爪後に生えてくる新しい爪の先端が爪床に引っかかり、うまく生えなくなってしまうことがあります。そうなると分厚い爪に変化して、あらゆる治療に抵抗する難しい状態になってしまいます。

陥入爪の外科的治療

私は皮弁を使う方法と、爪床を焼いて外側の爪が生えなくする手術を主に行っています。

皮弁を使う方法

皮弁を使った手術食い込んでいる爪の外側の部分を、縦に数 mm の幅で抜爪します。それから抜爪した後の爪床 (普段は爪に密着している爪の下の皮膚のこと) を平らに伸ばして食い込みを矯正します。この操作で生じる爪床の下の隙間には、爪の外側の皮膚を差し込んで固定します。
この方法の長所は、術後爪の幅が狭くなることがなく、むしろ湾曲がとれる分だけ幅が広くなります。一方欠点は術後の痛みです。この痛みはかなり強いので、術後数日間は生活に制限をもたらします。また爪を部分抜爪するので、爪が生えそろうのに1年近くかかることが多く、その間の爪の外傷に注意が必要です。
爪の湾曲が爪全体に及んでいる巻き爪に、この手術法は適しています。

爪床を焼く方法

爪の角が食い込んで痛くてしょうがない時、爪を縦に数mmの幅で抜爪することがあります。しかしこのまま放置すると一時的には痛みがなくなりますが、いずれ抜爪した部分にも爪が再生し、再び食い込んでしまうことが多いのです。
そこでそうならないようにするために、部分抜爪後、爪母 (そうぼ) と呼ばれる爪の根元の製造元を焼いてしまいます。そうすると爪床を焼いた部分の爪は生えなくなり、爪の幅は永久に狭くなりますが、爪が皮膚に食い込むことはなくなります。
電気メスで爪床を焼く爪母を焼く方法はフェノール等の薬品、電気メス、レーザーがありますが、私は電気メスを好んで使っています。この方法のよいところは手術が簡単で、局所麻酔の時間を含めても15分くらいで完了できることです。治療成績が安定していて効果も十分です。術後の痛みも少なく、翌日から靴を履いて普通の生活に戻れます。
欠点は爪の幅が少し狭くなることです。通常片側で5mm前後の幅で抜爪します。爪の側面は皮膚に埋まっているので、見た目は2、3mmしか狭くならなかったように見えますが。爪の湾曲が強い巻き爪の場合は、抜爪する幅が大きくなります。その結果、残す爪の幅が狭くなりすぎる症例では、この方法はあまり勧められません。この場合は皮弁を使った方法の方がよいでしょう。でも実際は、かなり湾曲の強い症例以外では、爪床を焼く方法を第1選択として問題ありません。



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