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意外に多い!ピアスのトラブル

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諸外国ではイアリングといえばピアスのことを指します。日本でも最近はピアスをする方がとても増えています。でもそれに伴ってピアス特有のトラブルも増えています。ピアス自体は決して悪いものではありませんが、トラブルを避ける知識と、万一トラブルに見舞われた場合の対処の仕方を知っておくことは大切です。


正しいファースト・ピアスとは?

最初につけるピアス (ファーストピアス) は必ず医療機関で医療用のものにしてもらいましょう。ピアスをつけること自体は簡単なことなので、町の宝飾店などで開けてもらった方もいると思います。でもこれはりっぱな医療法違反行為なのです。人体に穴を開けるわけですから、そこには様々な危険 (以下で述べます) が潜んでおり、それに対処できる医療機関でなければピアスホールを開けてはならないこともよく考えてみれば当然のことです。
医療用のファーストピアスは医療用のステンレスに24金メッキされたものが一般的です。金属皮膚炎を起こしやすいニッケルなどが含まれていないので、かぶれづらく安全性が高いピアスです。


ファースト・ピアスのアフターケア

初めてピアスをつけた後は1週間から2週間は刺激の少ない消毒液などで消毒します。その後は特に何もしなくてもよいのですが、一定期間決してピアスを外さないことが重要です。ピアスを開けると耳たぶの表と裏から皮膚が伸びてきて皮膚のトンネルを作ります。これをピアスホールと呼びますが、これができるのに耳たぶの薄い人で1ヶ月、厚い耳たぶの方ですと2ヶ月以上の時間がかかります。ピアスホールが完成する前にピアスを取り外すと細菌感染が起きやすくなります。一旦ピアスホールが完成するとその穴はピアスをしなくてもずっと残っています。ただしピアスを入れておかないと穴が小さくなってしまうので、再びピアスを差し込むのが難しくなります。やはりいつもピアスをいれておいた方がトラブルは少なくなります。
はじめの1年間は引っかけるタイプのピアスや重いピアスも感染を招きやすいので避けるべきです。この時期にはピアスの軸を受け止める小さな金具 (キャッチと呼ばれている) のついたオーソドックスなものがお勧めできます。
ピアスを交換するときはピアスホールを傷つけないように慎重にやさしく行いましょう。乱暴に差し込んでピアスホールから出血させると細菌感染が起こりやすくなります。
最近耳たぶではなく耳の上方の軟骨部分にピアスを開けている方を見かけますが、軟骨は感染に対して非常に弱く、万一感染したときに耳が変形することもあります。ですからピアスは軟骨にかかる部分は避けて、耳たぶの部分に開けた方が無難です。小鼻やくちびる、おへそなどでは感染する可能性が更に高いので、私はこのようなボディピアスは行うべきではないと考えています。


代表的なトラブル

細菌感染

最初にピアスをつけたときに起きやすいトラブルは感染です。つまり細菌がピアスによって生じた傷口について炎症を起こすのです。ピアスをつけた当初は意外と大丈夫です。感染が生じ易いのは2、3ヶ月経ってピアスに慣れ、最初の医療用ピアスから普通に売っているおしゃれなピアスに交換する頃、ピアスの差し替えで出血させたりした場合が多いようです。これは慎重に行えば防ぐことができます。しかし一旦感染してしまったらピアスを外さないと治まらないことがほとんどです。ピアスを外せば抗生物質を飲んだりしなくても治ってしまいますが、ピアスホールはただれてふさがってしまいます。感染が治まってから3ヶ月くらい経てば、再びピアスを開けなおすことも可能です。


金属アレルギー

すでにブレスレットやネックレスで金属アレルギーを起こしたことのある方はピアスを開けない方がよいでしょう。それでも開けたいという場合はアレルギーをほとんど起こさないといわれている、チタン製の特殊なピアスがお勧めです。
最も金属アレルギーの原因として多いのはニッケルです。安物のピアスの中には金メッキの下地にニッケルを含む合金を使っていることがあり、それが汗で溶け出して皮膚に吸収されると皮膚の弱い人ではアレルギー反応が起き、かぶれを生じさせます。まれに純金でもかぶれる人がいるようです。このような方はチタンやプラスチック製の特殊なピアスが必要です。


ピアスの頭やキャッチの皮下埋入

ピアスのキャッチ (留め金) をきつく締めすぎると、耳たぶの皮膚が圧迫されて血行が悪くなります。すると皮膚の表面がただれて、くずれてきます。更にそのままほっておくと、ピアスはどんどん皮膚の中にめり込んでいきます。最後にはピアスの頭やキャッチが完全に皮下に埋没して、切開しないと取り出せなくなってしまうこともあります。
こうならないようにするためには、キャッチをゆるく装着しておく必要があります。特に厚い耳たぶをお持ちの方が短い軸を持ったピアスをつけると、落としてしまわないようにどうしてもきつくキャッチを締めがちですので、そのような状態を何日も続けないように注意が必要です。
ピアスの頭が埋まってしまうケースとキャッチのほうが埋まってしまうケースがあります。いずれの場合も局所麻酔をしてメスで皮膚を切開し、ピアスを取り出すことになります。この時やはりピアスホールは残せないことが多いようです。


ピアスホールが裂ける

ピアスホールが裂けてしまうことがあります。2つのパターンがあります。ひとつは強い力がピアスにかかって一気に裂けてしまうパターンです。ピアスが何かに引っかかったりして起こります。もちろん皮膚が裂けるわけですから出血しますし、処置が必要です。
もうひとつはゆっくり少しずつ裂けていくパターンです。いつも重いピアスをつけていると重みでピアスホールが徐々に下方に伸びていきます。そして最後には耳たぶの端まで完全に裂けてしまいます。この場合は出血することもありませんので、放置している方もいるようですが、耳たぶの変形が残りますので、手術でもとに戻した方がよいでしょう。そうすれば再びピアスをつけられます。


ピアスで生じたケロイド

もっとも治療に手間取るピアストラブルです。ケロイドとは傷の一種です。普通の傷は治る過程で一時的に赤くなったり硬くなったりします。ところがケロイドは普通の傷と異なり赤みや硬さが治ることがありません。それだけではなくどんどん大きくなってしまうことが多いのです。しかも単純に手術で取るとほとんど再発してしまいます。
これも予防が一番です。肩や胸や下腹部に赤く盛り上がって何年も治らない傷があればそれはケロイドですので、その様なケロイドがある方は決してピアスを開けてはいけません。ケロイド体質のある方にピアスを開けると 100% ケロイドが発生すると思って間違いありません。私にも苦い経験があります。私がピアスを開けた方で耳たぶにしこりを生じた方がいました。確認してみると胸にケロイドがあったのです。やはり耳たぶはケロイドになりました。それ以来ピアスを開ける前にかならずケロイドの有無を確認するようになりました。
治療はケロイドが小さいうちは圧迫療法が有効です。耳たぶのケロイド治療専用のクリップタイプのイアリングがありますので、これを1日中装着することで驚くほど早く硬さも取れて平坦になります。でも1年以上装着してきれいになっても、止めると再発することが多いので、夜間だけでも装着を続ける必要があるようです。
ある程度大きなケロイドになると治療用イアリングの装着がうまくできないので、やはり手術が必要です。手術はケロイドの中身だけをくり貫いて減量し、治療用イアリングが装着できるようにするために行います。このイアリングは1年から2年は1日中装着し続けます。その後も夜間のみの装着を何年か続けないと再発することがあります。完全によくなってもケロイド体質のある方にピアスホールを再び開けることはできません。


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