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皮膚のできもの、”脂肪のかたまり”って何?

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皮膚のできものを皮膚腫瘍といいます。皮膚に細菌感染を起こして生じるしこりもできものと呼ぶことがありますが、これは感染が終われば自然に治ります。腫瘍とは体の組織の一部が病的に変化して正常とは違う形に増殖したものです。これはほっておいても普通は治りません。原因は不明のことがほとんどです。
腫瘍は良性と悪性に大きく分けられます。悪性とは癌のことです。ここでは最もありふれた良性の皮膚腫瘍、俗に脂肪のかたまりとよばれている粉瘤について書いてみます。

ありふれた皮膚腫瘍、粉瘤とは

粉瘤症例、切開デザイン ありふれた皮膚腫瘍の代表がこれです。俗に”脂肪のかたまり”などと呼ばれて、全身の皮膚どこにでも生じます。正式には粉瘤(ふんりゅう)といいます。誰でも一生の間に1個くらいはできるのではと思えるほど発生頻度の高い腫瘍です。もちろん悪性ではありませんので、どうしても切除しなければいけないものではありません。しかし顔にできて大きくなると目立ちます。また困ったことに細菌感染を起こしやすい腫瘍ですので、そうなると急に大きく腫れて痛みを生じます。ですからやはり粉瘤を見つけたら、なるべく早く小さなうちに切除した方がよいと考えます。

左の症例は左鎖骨の近くに生じた粉瘤です。できてから数ヶ月で直径3cmまで大きくなりました。かなり目立っているので手術しました。
腫瘍の直径と同じか、あるいは少し小さめの切開線をデザインします。このかたは若い女性でしたが、直径よりかなり小さめの切開線をデザインしました。


粉瘤の摘出の実際

粉瘤摘出の図 粉瘤は薄い被膜でできています。被膜の一部は皮膚に癒着しています。その部分の皮膚は一緒に切除しないと再発します。細菌感染がなければ被膜は周囲の組織から簡単にはがれてきれいに摘出できます。ただし被膜が非常に薄い場合には慎重にメスを進めないと、被膜が破れて内容物が漏れ出てしまいます。
切開線が短かったので粉瘤の被膜をはがして取り出すのに少し窮屈な思いをしましたが、被膜を傷つけることなく無事に摘出できました。この方のように細菌感染をおこす前の粉瘤は周囲との癒着がないので比較的小さな切開から腫瘍を摘出することが可能です。しかし一旦細菌感染すると周囲の組織と癒着を起こすため、少し大きめに切開して、周囲の組織も一緒に摘出しないと完全には取りきれません。
粉瘤ができると中身を一生懸命絞り出している方を見かけることがあります。確かに粉瘤を強く絞ると中身が排出され、一時的に小さくなることがあります。しかしこれはあくまで一時的な効果にすぎません。被膜が残っている限りすぐにもとの大きさに戻ってしまいます。しかも絞っているうちに細菌感染をおこして大きく腫れあがってしまうことも決して珍しいことではないのです。ですから粉瘤ができても決して絞らないように心がけてください。

粉瘤の中身 俗に脂肪のかたまりと呼ばれる粉瘤ですが、その中身は決して脂肪ではなく、右の写真のように少しどろどろした粘土のようなものです。細菌感染を起こすとこの内容物に膿が混じって大変汚い状態になってしまいます。

感染してしまったら

感染した粉瘤から膿を出す感染して腫れあがるまで粉瘤をほっておく方が意外に多いようです。本当は感染する前に摘出するのが正解です。しかしそうなってしまったら、とりあえず感染を抑える必要があります。
炎症がわずかな場合には抗生物質の内服だけで落ち着くこともあります。しかしほとんどの場合、粉瘤の中に膿が溜まってきますので、切開して膿を排出する必要が生じます。
左の写真は背中の粉瘤が3日前より痛くなり、我慢できなくなってから来院された患者さんです。直径5cmの粉瘤には、膿がたくさん詰っているのが分かりました。局所麻酔後、パンチと呼ばれる丸い刃で穴を開け、粉瘤の内容と膿を絞り出しました。その結果、その日のうちに痛みがひいて楽になったそうです。
一旦感染が完全に治まると、粉瘤は小さくしぼんだ状態になります。でも被膜が残っていますので、そのままにしておくと必ず再発し、また大きくなってしまいます。ですから小さくなっても安心しないで、再発しないように完全に切除しておきましょう。感染後の粉瘤は被膜の周囲に瘢痕と呼ばれる線維組織がたくさんできています。手術の際にはそれも含めて十分切除します。





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