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深めのヤケドは、よく洗え

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ヤケドもありふれた疾患です。ヤケドは重傷度により浅いほうから1度、2度、3度と分類されています。赤くなるだけの1度のヤケドや2週間以内に皮膚が再生する浅めの2度熱傷については、治った後の色素沈着以外はあまり問題になることがないので、ここでは省略します。

深めの2度のヤケドの治療

洗っているところ この症例は2度のヤケドです。原因は熱湯でした。この場合同じ2度でもやや深めに傷害を受けているため、ヤケドが治って皮膚が再生するのに1ヶ月かかりました。
ヤケドの深さ (1度、2度、3度) は医療機関を受診するまでにもう決まってしまっていることがほとんどです。私たち医師に求められるのは、決まってしまったヤケドの深さをそれ以上悪化させないことです。2度のヤケドを1度にすることは不可能ですので、2度のヤケドを3度に進行させないことが目標になります。そのために最も大切なことは細菌感染を防ぐことです。次に大切なことは皮膚が再生しやすい条件を整えることだと考えています。なるべく短期間で皮膚の再生を終了した方が細菌感染も防げますし、治った後の傷のヒキツレもより少なく、外観もよりよくなると考えられています。

ヤケドの表面をきれいにする

ヤケドの潰瘍面 (焼けただれた部分) には必ず細菌がいます。しかしそれによって全身的に発熱したり、局所の炎症が強くなったりしなければ、治療の上で問題にはなりません。ある程度まで細菌の数を減らしてコントロールしてやれば十分なのです。そのために最も有効なのが毎日の入浴です。上の症例のように足だけの場合は洗面器で十分ですが、全身のヤケドの場合は熱傷治療用の入浴槽が必要になります。
初めのうちは細菌感染の影響で炎症が強かったため、わずかに消毒液を混ぜていましたが、落ち着いてからは単なるお湯だけで洗っています。痛みが強い場合は塩を混ぜて生理食塩水に近い濃度にすると痛みが減ります。ガーゼでヤケドの表面をこすって、浸出液が固まってできた汚れや、古い軟膏を完全に洗い落とします。汚れが取れずらい時には石鹸を使います。汚れを取って潰瘍面をきれいにすると皮膚の再生が速くなります。石鹸はきれいなお湯で洗い流してから清潔なタオルでしずくを拭き取り、ワセリン系の軟膏をたっぷりつけたガーゼで覆います。細菌感染が明らかなときは抗生剤の入ったクリームを使うこともあります。

消毒、抗生物質はなるべく使わない

ヤケドの傷を洗う場合、消毒液は原則として使いません。表面を消毒しても、細菌はヤケド表面だけでなく少し深いところにも存在するので、軟膏をつけて覆ってしまうと短時間でもとの状態になってしまいます。むしろ石鹸を使って入念に洗ってやった方が、汚い壊死組織も取れて清潔になります。消毒液には皮膚の再生を妨げる副作用があるため、傷の治りを考えるとマイナス面の方が大きくなります。飲み薬も細菌感染が明らかな場合、一時的に抗生物質を使うことはありますが、長期間使うと耐性菌を生じるだけですので、だらだら使い続けないのが原則です。どうしても細菌感染がコントロールできない時、1ヶ月以上たってもなかなか潰瘍が小さくなくならない場合は保存的な軟膏治療にこだわることは得策ではありません。そのような時は、手術 (植皮術) が必要になります。

深めの2度のヤケドの治りかた

受傷後17日 水ぶくれを生じるヤケドを第2度熱傷といいます。第2度熱傷には2週間以内で皮膚が再生して傷あとを残さず治る浅めの2度熱傷と、治癒に2週間以上かかり (通常1ヶ月前後) 治った後もヒキツレた傷が残ることの多い、深めの第2度熱傷があります。
この症例は上の症例と同じ患者さんですが、受傷後数日して当院を受診されました。その時はアロエの葉を傷に貼り付けて包帯を巻いていましたが、明らかな細菌感染を起こして、右足は赤く腫れていました。潰瘍面には破れた水泡と浸出液が固まったものがくっついて、細菌の巣のようになっていました。そこで破れた水泡を切除し、洗面器で毎日洗ってみました。受傷後10日くらいまではなかなか皮膚の再生が見られませんでしたが、2週間をすぎた頃から急速に皮膚の再生が始まりました。ヤケドに限らずこのような皮膚潰瘍は、できてしばらくはなかなか治る気配がみられません。しかし一旦皮膚の再生のスイッチが入ると、このようにどんどん皮膚が伸びてきてみるみる傷が治っていきます。

受傷後25日 ヤケドの潰瘍面では、周囲部から皮膚が伸びてきて潰瘍の面積がどんどん小さくなります。この時期には壊死組織 (死んでしまった皮膚の残骸など) を見つけて、それをガーゼでこすって取ったり、はさみで切除し、皮膚の再生の障害物とならないようにヤケドの傷の掃除をすることがとても大切です。






受傷後34日 ヤケドを受傷してから34日目で、ほとんど潰瘍がなくなりました。ここまでくれば軟膏も必要ありません。細菌感染の心配もなくなりました。





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