プルトニウムの毒性はアルファ線によるもの。吸いこんだ場合に、大きな影響が出る
プルトニウムが放出するアルファ線は、短い距離しか体内を透過しない。飲みこんだ場合は、ほとんど排泄されてしまう。しかし、吸いこんでしまうと長い間、肺に付着し、徐々に血液中に入る。
■放射線の毒性
  プルトニウムの毒性には、放射線の毒性と化学的な毒性が考えられる。
 放射線の毒性は、プルトニウムが放出するアルファ線によるもので、このアルファ線は人体の中を極めて短い距離しか透過しない(組織の中で約40ミクロン、骨では約10ミクロン)。 この短い距離の間に、アルファ線は細胞や組織、器官に全部のエネルギーを与え、それらの機能を損なわさせる。プルトニウム1g当たりの放射能の強さは、同じようにアルファ線を放出するウランに比べてかなり高くなるので、放射線の毒性も強くなる。
 プルトニウムは、半減期が長いことも毒性に関係している。一番存在量の多いプルトニウム239の半減期は、約2万4000年で、長い間にわたってアルファ線を出し続けている。しかし、人体は異物を排除する排泄機能があるから、プルトニウムを体内に取り込んでも一生体内にとどまっているわけではない。プルトニウムが体内にとどまる時間を表す生物学的半減期は、骨では50年、肝臓で20年と評価されている。
■化学的な毒性
   プルトニウムは、ウランと同様に腎臓に対する化学的な毒性が考えられる。しかし、化学的な毒性は放射線の毒性よりもはるかに小さいと考えられている。
■ほとんど排泄される経口摂取
   プルトニウムは無傷の皮膚からは体内に吸収されない。傷があると、そこから侵入し、比較的長い時間その場所にとどまり、ゆっくりとその部分のリンパ節に集まる。また、血液の中に入ったものは、肝職や骨に付着する。
 プルトニウムが体内に取り込まれるのに、飲食物などを介して口から入る(経口接取)か、呼吸を通して吸入される(吸入摂取)かの二通りが考えられる。
 飲み込んだプルトニウムは、消化管にほとんど吸収されずに排泄されてしまう。消化管から吸収される割合は、年齢や化合物の種類で異なり、大人の場合、酸化プルトニウムで約0.001%、硝酸プルトニウムで約0.01%とごくわずかである。
■肺に付着する吸入摂取
   一番影響が大きいのは吸い込んだ場合だ。吸い込まれたプルトニウムは、長い間、肺に付着する。しかし、人体は、器官に生えている繊毛という毛がチリなどの異物をつかまえ、粘液と一緒に食道に送り排泄するメカニズムを持っている。吸い込まれたプルトニウムもこの働きによって体外へ排泄されるから、肺に付着するのは4分の1程度。肺に付着したプルトニウムは、徐々に血液の中に入り、リンパ節や肝臓、骨などに集まり、排泄されずに長くとどまる。

  ※生物的半減期
体の中に存在する放射性物質が排泄機能によってその半分が排泄されるまでの時間のこと。