<公明新聞>

主張――ドクターヘリの全国配備を

現状は7県で実施

 1分1秒を争う救急医療の分野で、これまでの救命実績を大きく塗り替える「ドクターヘリ」が、各地で活躍している。現在までに岡山、静岡、干葉、愛知、福岡、神奈川、和歌山の7県で導入され、多くの患者の蘇生のドラマが生まれている。

 ドクターヘリは、救急専用の医療機器を装備したヘリコプターを救命救急センターに常駐させ、消防機関や医療機関からの出動要請に応じて医師・看護師が同乗して救急現場に急行し、搬送段階から患者に対する救命医療を行うことができる専用ヘリコプター。人工呼吸器や患者の状況監視装置など救急専用の各種医療機器を装備する「空飛ぶ救命治療室」とも言うべきものだ。

 半径50キロの範囲であれば、現場まで15分以内に急行。大規模災害や重大なな事故の発生時のほか、初期治療が回復のカギを握る突発性の心筋梗塞や脳卒中などの患者に大きな効果を発揮する。

 欧米諸国ではすでに広く普及しており、ドイツではドクターヘリの導入によりアウトバーン(高速自動車道)での事故による犠牲者を劇的に減少させた。山岳地が多いスイスでは、全国17か所にヘリコプターを配備し、国内全域にわたって医師が15分以内に到着できる体制を整えている。

 日本では、厚生労働省が1999年度および2000年度に、東海大学救命救急センター(神奈川県)と川崎医科大学高度救命救急センター(岡山県)の2か所で、ドクターヘリを試験的に導入し、効果を検証した。

 その結果、東海大学救命救急センターでは、ヘリコプターで搬送した482例を分析したところ、ヘリを使用しなかった場合(推計)に比べ、死亡例が約30%から約19%に、障害が残る例が約15%から約9%にそれぞれ微少。逆に、障害が残らず完全に社会復帰する例が、約31%から約49%へと大幅に増え、顕著な効果が明らかになった。

 これを踏まえて厚労省は、ドクターヘリを全国に展開するため、2001年度からドクターヘリ導入促進事業を創設。都道府県がドクターヘリを導入する場合、事業費の2分のIを国が補助している。

 ドクターヘリが導入された7県では、救命率が大幅に向上し、感動的な救命のドラマがマスコミ等で紹介されている。

たとえば千葉県のドクターヘリは、2001年10月から1年間で計299人を搬送。推定ではドクターヘリの活用で死者が半分程度に減少したと見られている。

 自治体によっては救命率の向上に向け、消防防災ヘリに医師を同乗させて救急現場に向かうなどの工夫をしているところもある。

救急医療の「切り札」

 公明党は、ドクターヘリを救急医療の「切り札」と位置づけ、早期導入に取り組んできた。01年度の予算編成に当たっては、ドクターヘリの全国的普及を要望。先の衆院選マニフェスト(政策綱領)では、「ドクターヘリの拠点地域を4年以内に3倍に拡大し、10年後には各都道府県に1か所、全国で50か所の整備をめざす」と明記した。

 厚生労働省は2004年度予算案で実施個所を現在の7か所から9か所へと拡大する予定だが、実施主体はあくまでも都道府県だ。国の努力はもとより、都道府県の早期導入に向けた決断を期待したい。

(『公明新聞』2004年1月7日付より転載) 

(HEM-Net、2004.1.22)

【関連サイト】

 ドクターヘリの16年度予算 

 ドクターヘリの全国配備

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