<HEM-Netシンポジウム(1)>

HEM-Netの活動計画について

 NPO法人、救急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)は10月31日、「ヘリコプター救急システムの構築をめざして」の主題でシンポジウムを開催した。活動計画、調査報告の後、厚生労働省、消防庁、警察庁、国土交通省など関係各省庁の課長級担当者を初め、全航連ドクターヘリ分科会委員長や医療関係者などが出席してパネル討論会を行った。

 HEM-Netでは今後、シンポジウムでの討議を踏まえ、およそ1年をかけて、大きく遅れているわが国ヘリコプター救急システムの実用化に向けて提言をまとめることにしている。

 シンポジウムはプログラムに沿って國松孝次理事長のHEM-Netの活動計画に関する説明と抱負からはじまった。その要旨は次の通り。

シンポジウムの目的

 このシンポジウムは、ヘリコプターを活用した救急医療活動が一つのシステムとして広く構築されることを願い、そのための方策を探るために開催した。

HEM-Netについて

 HEM-Netは、救急医療専用の装備を備えたヘリコプターを活用することにより、早期治療の開始と救急患者の搬送システムを作ることが必要と考え、そのために民間で出来ることをしていこうと、平成11年12月に設立されたNPO法人である。これまで医療関係者や関連企業の間のネットワークを構築するとともに、諸外国のヘリコプター救急システムの調査研究、国際シンポジウムの開催、わが国における救急ヘリ活用事例の調査研究などを行い、所要の提言をしてきた。

諸外国の調査活動

 諸外国の具体的事例については、スイス、ドイツ、フランス、アメリカの状況を調査した。そのうちスイス、ドイツ、フランスについては「欧州のヘリコプター救急の現状と日本のあり方」として調査報告書にまとめた。アメリカについては、本シンポジウムで西川理事が報告する。いずれの国も医療スタッフが同乗する救急専用ヘリコプターが日常的に活動し、おおむね1機年間1,000回以上の飛行と15分以内の現場到着の実績を有し、救命率の向上に大きく貢献している。

遅れる日本のヘリコプター救急

 平成13年から厚生省の主宰する本格的な「ドクターヘリ」運航事業が開始され、かねてより消防・防災ヘリも随時、救急救命のため出動し、警察ヘリも急患搬送の実績があるが、率直に言って、総体としての救急ヘリの活動実績は、欧米諸国に比べて、まだまだ不十分である。

ヘリコプター救急システムの整備

 救急専用ヘリコプターの有効性に関する実証的研究は今後も必要だが、少なくとも救急車の活動が制限的である山間・農村地帯においては疑いがない。都市部においても、特定の高度の医療を施す必要のある救急患者に対しては、最適の病院まで搬送できる足の速いヘリコプターが有効である。いずれにしても、医療の現場が必要と判断した時、所要の装備を備えたヘリコプターがいつでも使える状態でそこにあるというシステムを全国に作り上げておくことが重要であり、先進国にはどこでも整備されているシステムが日本にだけないのは問題である。

官民一体で取り組むべき課題

 ヘリコプター救急システムの構築とその円滑な運用は、官民一体となって取り組むべき課題である。その課題解決に向けて、HEM-Netは積極的に参画していきたい。

(「日刊航空通信」2003年11月5日付より要約)


「HEM-Netの活動計画について」(國松理事長)


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