<英エア・アンビュランス>

新しい支援体制の動き

 

 

 英国のヘリコプター救急は現在18か所でおこなわれている。そのうちスコットランドの2か所だけは、例外的にスコットランド政府が直接費用を負担している。すなわち公的費用でまかなわれているが、あとのイングランドとウェールズのヘリコプター救急は未だに住民の寄付である。したがって、うまく行っているところはいいが、寄付の少ないところは毎月の費用捻出に苦しんでいる。

 そうした苦境を支援するため、この5年間、英国エア・アンビュランス・サービス協会(NAAAS)が活動してきた。英自動車協会(AA)の寄付から1,050万ポンド(約20億円)の寄付を受けて、各地のエア・アンビュランスに資金を供与してきたが、元々期限つきの支援だったため、最近その活動を終了した。

 

 そこで、NAAASに代わって、新しいエア・アンビュランス財団が発足した。エア・アンビュランス財団は、各地のヘリコプター救急プログラムの財務的な基盤を強化し、その活動が確実におこなわれることをめざしている。

 同財団は、英国内のヘリコプター救急充実のためには、今後なお少なくとも10機の機体購入が必要と考えている。理由の一つは、これから欧州の新しい航空規則JAR-Ops3が発効すると、BO105などの旧式化したヘリコプターが使えなくなるため。これで新旧機材の取り替えに拍車がかかると見られ、BO105の運航者の多くは新しいEC135の購入を希望している。

 もうひとつの問題は救急ヘリコプターの追加配備が必要なことで、今の18か所のエア・アンビュランスに加えて、北アイルランドなど少なくとも3か所の新規配備が必要と考えられること。またロンドンやマンチェスターでは各1機だけでは不充分で、追加配備が望まれていることである。

 第3の問題はJAR-Ops3が施行された場合、病院ヘリポートの基準もきびしくなるため、一部では拡張や改修が必要になり、その資金が必要になる。

 第4は運航経費。BO105の運航費が年間70万ポンドくらいだったものが、EC135になると120万ポンド(約2.4億円)になる。エセックス・エア・アンビュランスは、JAR-Ops3による業務の中断を避けるため、早くも1998年にEC135を発注していた。これが今年5月いよいよ入ってくる予定である。

 こうした動きを見て、英厚生省もようやくヘリコプター救急のすぐれた効果を認める気になったかに見える。というのは去る2月、厚生省がシェフィールド医科大学に対し、「英国のエア・アンビュランスの運用」に関する調査研究を依頼したからである。

 調査の目的は次の2点。一つは全国民にとってエア・アンビュランスが必要かどうか。もうひとつは、必要であるとすれば、全国的なエア・アンビュランス体制を構築する場合、国としてどの程度の費用負担をすべきかという問題である。今のように、ほとんど個人の寄付に頼る英国のエア・アンビュランスの状況から、ここはやはり国が関与すべきではないかという問題が再び持ち上がってきたのである。

 シェフィールド医科大学は1995年にも「ヘリコプター救急サービスの費用と効果」について調査をしたことがある。しかし、地域のエア・アンビュランスに国の資金投入が適切であることを立証することはできなかった。

 今回はどんな結論になるだろうか。調査の結果は、今年末までに中間報告が出る予定である。

(HEM-Net、2003.3.18)

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