<米国調査報告書>

第3章 リーチ・エア・アンビュランス

  

 リーチ社はサンフランシスコの北方、サンタローザのソノマ・カウンティ空港に本拠を置く。われわれは空港ホテルからマイクロバスでサンフランシスコ市街地の外周を走るフリーウェイを抜け、ゴールデンゲート・ブリッジを渡り、2時間ほどかかって同社に到着した。

 空港の一角にこぢんまりした2階建ての社屋があり、その直ぐ横の木立の下に2機の固定翼機が置いてある。やや離れてヘリコプターの着陸帯があり、アグスタ109がいつでも飛び立てる状態で待機していた。

 運航責任者のパイロットとフライト・ナースが相手をしてくれたが、どちらも女性である。アメリカの航空医療は昨日のスタンフォード病院もそうであったが、今や女性が主体なのかもしれない。 

1 スタッフの陣容

 リーチ・エア・アンビュランス・サービス社は15年前の1987年に発足、ヘリコプター7機と飛行機2機を保有し、下表のようなスタッフ100人以上をもって救急医療を中心に事業を展開している。

 

表3−1 社員数

職   種

人  数

備   考

パイロット

25人

ヘリコプター

パイロット

4人

固定翼機

整備士

20人

   

フライトナース

25人

   

パラメディック

25人

   

医  師

1人

メディカル・ディレクター

 運航機数の割に人数が多いのは、1日24時間、昼夜を問わず救急出動のための待機をしているためで、普通の小型航空事業の3倍近いパイロットや運航スタッフが必要であろう。それに24時間待機の医療スタッフが加わる。

 そのうえ航空医療は困難な条件の中で飛ぶことが多いので、質的にも高い水準でなければならない。したがってパイロットは平均5,000時間の飛行経験を有し、全員が計器飛行の資格を持つ。

 パイロットの雇用条件は機長としての飛行時間が3,000時間以上。うち夜間飛行500時間以上、計器飛行200時間以上の経験が要求される。さらに定期事業用操縦士の資格、A109ヘリコプターの飛行経験、単独の計器飛行経験、救急飛行経験を有するのが望ましいという。

 またフライト・ナースやパラメディックの医療スタッフは、全員が医療搬送システム認定委員会(CAMTS)の認定資格を持つ。 フライト・ナースの雇用条件は、カリフォルニア州のレジスタード・ナース(正看護師)の資格と、3年以上の救急または集中治療の経験を持ち、英語の会話と作文ができて、コンピューターの操作が可能であること。ここで英語力を問われるのは、アメリカ人といっても誰もが英語ができるわけではないし、外国から職を求めてくる移民も多いためであろう。

 入社後は1年以内に新生児蘇生研修(NRP:Neonatal Resuscitation Program)を修了し、フライト・ナース上級トラウマ過程(FNATC)の研修を受け、正規フライト・ナースの認定資格(CFRN)を取得することとなっている。


空港の一角にあるリーチ社の前で待機するA109救急機 

(HEM-Net、2003.11.29)

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