<米国調査報告書>

第3章 リーチ・エア・アンビュランス

(つづき)

  

2 飛行機

 リーチ社の保有する2機の固定翼機はセスナ421C双発ターボプロップ機とセスナ206単発機である。206は通常のチャーター飛行や社内連絡に使用しているが、421C双発機は救急専用機である。機内には救急装備がほどこされ、ストレッチャーにのせた患者は頭を機首の方に向けて搭載する。ストレッチャーの代わりに未熟児を入れた保育器を搭載することもある。

 飛行機は1日24時間いつでも出動できる態勢にあり、要請から45分以内に離陸する。搭乗する医療スタッフはフライト・ナースとパラメディックだが、患者の病状に応じて医師や呼吸療法士(respiratory therapist)が乗ることもある。


(手前セスナ206、奥セスナ421C双発機) 

 当然のことながら、飛行機は空港から空港へ、病院間の長距離搬送に使われる。また北米各地に提携先があって、出動要請の内容によっては全米および国外の救急搬送も引き受ける。

 余談ながら米国では近年、未熟児出産率の上昇が問題になっている。米保険当局の2001年の統計では、妊娠37週未満の早産比率が全出産の11.9%に上り、40年ほど前から見て5ポイント近く上昇したらしい。未熟児は、32週未満で生まれると、その4分の1が心身に何らかの障害を生じる可能性があり、32〜37週でも確率は高いという。また未熟児出産の医療費は平均6万ドルで、通常出産の14倍に上る。

 未熟児が増えたのは、出産の高齢化も一因といわれる。また不妊症治療などで使われる排卵誘発剤の影響や、人工受精で双子や三つ子になることも要因になっているもよう。

 昨年リーチ社の扱った未熟児の搬送は50件以上であった。


(未熟児の航空搬送に使う保育器)

3 ヘリコプター

 ヘリコプターは救急用としてイタリア製アグスタA109を5機とドイツ製のMBB BO105を1機保有する。いずれも双発機である。待機の拠点は3か所。

 ほかにベル407単発ヘリコプターを持つが、これはソノマ・カウンティ警察の専用機として固定契約によってチャーターされている。年間飛行時間は500時間。警察が民間機をチャーターするのも珍しいが、いかにもアメリカらしい先進的なあり方といえよう。日本でも現内閣は「民間でできることは民間で」を標榜しているが、民間機を借り上げる方が経費も安くすむのではないか。

 救急ヘリコプター待機の拠点は、ここソノマ・カウンティ空港のほか、サクラメント空港、およびコンコードのブキャナン飛行場の合わせて3か所。昨日のスタンフォード大学病院と異なり、病院ではなく、すべて正規の飛行場である。そのうえで、各カウンティの救急本部からの出動要請、および病院からの病院間搬送の要請を待っている。

 年間飛行時間は合わせて3,000時間という。これには固定翼機や警察機の分も含むと思われる。


(ドアをあけて待機するA109救急機) 

(HEM-Net、2003.12.6)

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