初めての来園者用ガイドブック

ようこそ,当「平行植物園」へ。
 人の知覚を退ける奇妙な植物を楽しむにあたり,是非ともあなたに必要な基礎知識や心構えについてまとめよう。当園では「触れていいもの」から「触れられざるもの」,又は希少な資料が閲覧できる。
自我境界の曖昧な人,夢の鍵を所持している人には危険な種もあるので注意していただきたい。

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最初に知るべき事象
 「平行植物」が一般に知られるようになったのは,イタリアで出版された「La botanica parallela (1976/Leo Lionni)」という学術書が大きなきっかけである。 日本では1980年代より翻訳版「平行植物(宮本淳・訳 工作舎)」で一躍有名になった。 1982年には東京で第五回国際平行植物会議が開かれ,大阪大学の上高地教授らを中心に日本でも研究が盛んになった。
2004年の第十一回国際平行植物会議は,1963年に内垣博士によって「森の角砂糖バサミ」が発見された地,愛知県にて開催の予定である。

記録を拒否する存在
 長い間,表立ったアカデミズムから異端視されてきたのには訳がある。
「平行植物」を記録する事が極めて困難であるからだ。通常,我々が自然物を命名し分類するには個体のサンプルが必要だが,平行植物の多くは人が「触れる」とたちまち崩壊しただのチリとなる。写真撮影でもマトモに写らないか,まったく写らない。もっとも・・・ ツキノヒカリバナ科のように人の肉眼でも不可視なものもあるが・・・。 発見後ほんの一瞬,また数日から数年で掻き消えるように消失する例もあるし,その逆に突如として出現する事もある(ただし,それは人という観察者の主観でしか無い)。 まるで時空のくびきから開放されたかのような奔放な非実体性は東洋的宗教観でいう所の解脱のようである。
よって,平行化前後の化石のような痕跡かスケッチによる伝聞しか手段が無かったのだ。

現代も続く挑戦
 しかしながら,月光に含まれるo因子の発見,ポリエフェメロール・レンズの発明,特殊な樹脂(ステオフィティシロール)による封入法の開発,カンポーラ研究所による新たな環境隔離装置の研究は,いままで「言葉」でしかなかったこの平行植物の研究を可能にした。 また,近年はデジタル映像解析やCG・ホログラムなどといった新たな手法が模索されており,さらなる平行植物学の可能性が期待されている。日本のカメラメーカー「ダゴン」では生体素子による記録媒体の研究も進んでいて,これが実現すれば民間のアマチュア平行植物研究家にも大きな力となるだろう。
我々が絶対と信じている「科学的知覚」を彼らは頑なに拒否する,故に我々は新たな知覚と方法を模索するしかないのである。

便宜上の分類
 実の所,分類というのは人類の悲しい習性である。
平行植物にあっては分類という作業は便宜上のものでしかない。その本質が分からぬ以上,我々の理解が正しいかどうかも怪しいからだ。 研究者が増えるにあたり,この分類法については途方もない議論が続いている。 だが 大筋において「第一グループ」と「第二グループ」という見解は一致していた。
 1970年のアントワープ会議ではこのグループ名称について一つの解決を得ている。
すなわち「アルファ・グループ」「ベータ・グループ」で,オーストラリアの植物学者ジョナサン・ハムストンの「特定の物を思い起こさせる名称は避けたい・・」っとの提唱により暫定的措置として「アルファ」と「ベータ」が採用された。
しかしながら,それ以後もこの名称が使われ今にいたっている。

「アルファ」と「ベータ」
 さて,そのグループの特徴をまとめよう。
「アルファ・グループ」には通常の知覚で実在を認知でき,手で触れられたり,肉眼で確認できたりする比較的我々の知覚が通用するもの。 むしろ今まで平行植物であると知らずに傍らにあったようなもの。
「ベータ・グループ」にはそれ以外の非現実性や非実体性をそなえ,いわば我々の知覚を拒否するものがあてられている。コレについては一括りにできるものでもないので「便宜上」のさらに「便宜上」とも言える。
また,植物以外にも「平行化現象」は確認されており,平行(垂直)動物・平行菌類といったフロンティアもこれから重要な意味を持つだろう。

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