フロリダ沖にあるバミューダトライアングルでは、船舶や飛行機が忽然と
姿を消してしまうという。
飛鳥説によれば、飛行機や船舶が姿を消すのは、この海域は地球磁場の異
常地帯であるために発生するプラズマトンネルに飲み込まれるからだという。
重要なのは個々の事件が本当に「消滅」と言えるものかどうかである。
全ての事件を調べる余裕もないので、一部の主なものだけみていこう。
〜船舶は消えたのか?!〜
一般大衆にバミューダトライアングルで起きる事件を広く知らしめたのが、
チャールズ・ベルリッツの「バミューダ・トライアングルの謎」である。
事件の概要については以下の通りである。
1963年2月2日に一万五千トンの溶融硫黄を積んだ「マリン・サルファ
ー・クィーン号」はテキサス州ボーモント港から出港した。
ベルリッツによれば「天気は上々」であったが、この大型貨物船は、この
好天気の中、突如失踪したという。
沿岸警備隊の捜査もむなしくこの遭難事故の真相について何もわからなか
った。
事故現場で発見されたものは同船舶の残骸とみられる二着の救命胴衣だけ
であった。
以上の内容だけ読むとたしかに不思議な事件であるように思われる。
ところが、ベルリッツのこうした記述内容はまったくでたらめであったのだ。
たしかに1963年2月2日時点では天気は良かったのかもしれない。
2月4日午前1時30分の貨物船からの定期無線連絡が最後の連絡であ
った。
当時の沿岸警備隊の事故調査記録によれば、連絡の入った12時間前に
同海域にいる別の船から「海が大荒れで甲板が冠水している」という報告
が届いていた。
突風がハリケーン並に吹き荒れ、波高は10メートルを超えていたのだ。
とても、おだやかな天気とは言い難い。
遺留品の少なさについても痕跡なく船が消滅したという話に彩りを添えて
いるけれど、実際には、事故にあった貨物船の霧笛や船体の破片も確認
されているのである。
事故の原因についても考えられる様々な原因を事故調査委員会は指摘し
ている。
海が荒れていたために起きた「貨物船の転覆」や積んでいた硫黄による
「爆発説」等。
亜空間に消えたとは考えられない。
この海域で起きる多くの不思議な海難事故は、「でっち上げ」であったり、
別の海域ので起きた事故をあたかもバミューダ海域でおきたように見せ
かけたり、またすでに原因解明済みの海難事故である場合が多いのだ。
〜船舶は消えたのか?! Part2〜
他の船舶失踪事件についても少しふれてみよう。
@軍艦サンドラ号失踪事件の真相
「バミューダ・トライアングル」の本を書いた人物ガディスは
「1950年6月の長さ100メートルの軍艦サンドラ号の失踪事件」
をこう紹介している。
この軍艦は跡形もなく消えてしまった。
おだやかな熱帯の黄昏時に、フロリダ沖で忽然といなくなったのだ。
いくつかのダウトが、すでに存在している。
まず、ガディスは軍艦の全長を約2倍の長さで書いているのである。
また出港したのは1950年4月であった。
さらに案の定フロリダではハリケーン規模の暴風が吹き荒れていたのだ。
ヴァージニア沖の最大瞬間風速は毎秒33mにも達していたのである。
どこが、「穏やかな・・・」なのか・・・。
Aフレヤ号遭難事件の真相
ベルリッツによれば、フレヤ号はキューバのマンザニロ港を後にしてチリ
のどこかの港にいく途中、バミューダ・トライアングルで放棄され漂流して
いたという。
ところが、実際にはフレヤ号はマストの一部が横倒しになった状態で、太
平洋のメキシコ西海岸沖を漂流中発見されたのだ。
この遭難事件の真相は、この船がメキシコ西部の港を出港して、2、3日し
て強い地震がメキシコ西部を襲っており、この地震が引き起こした津波に
フレヤ号は巻き込まれたというのが真相である。
ベルリッツはフレヤ号を強引にバミューダ・トライアングルに引きこんでしま
ったのだ。
Bエレン・オースティン号事件の真相
最後に一番、飛鳥説を擁護してくれそうな事件についての真相をあばこう。
以下はグールドが紹介したエレン・オースティン号事件である。
航海日和の中、1881年に大西洋中部の海域でイギリスの汽船エレン・
オースティン号が遭遇した遺棄船に関する事件である。
エレン・オースティン号から幾人かの船員が、拿捕のため見知らぬ遺棄船
に乗り込んだ。
船員達はニューファンランド州のセントジョーンズ港を目指すように指示を
受けた。
エレン・オースティン号の目的港と同じである。
二隻は濃い霧の中で離れ離れになったが、数日後再び出会った。
ところが、その時遺棄船には、誰一人乗っていなかった。
この船に乗っていた船員ともども、拿捕担当の船員達は消えてしまったの
である。
霧(=プラズマ)とか、すでに人が消えていたとかいうあたりは、
飛鳥版フィラデルフィア事件やエスキモーの村で起きた村人消滅を連想し
てしまう・・・
ところが、実際にはこの事件は存在していなかった。
「ニューヨークタイムズ」、ロンドンの「タイムズ」、「ボストン・グロ
ーブ」「ボストン・ヘラルズ・アメリカン」「ボストン・イブニング・ト
ランスクリプト」地元セントジョーンズで発行されていた新聞「イブニン
グ・テレグラム」や「ザ・ニューファンドランダー」にもこの事件に関する
記事はなかった。
また、現地の公文書図書館にもそうした記録は存在
しなかったのだ。
これだけ不可思議な事件にも関わらず記録がないということは捏造された事
件であったのだ。
さらに、まだトンデモは続く・・・
当初のグールドの報告は全文で86語であった。
ところがブィンセント・ガディスがこれを孫引きした後は文字数188語!!
サンダーソン(トンデモ作家)の場合は、429語!!
ベルリッツはサンダーソン版にさらに172語追加している。
元ネタの7倍水増しされた事になる!!
飛鳥氏が似た事を行っている事は、古関智也氏が指摘済みである。
はっきり言ってしまえば、バミューダ・トライアングルで起きた船舶事件の
多くは単なる事故が殆どであり、場合によってはトンデモ本の著者達がで
っち上げたものもあるのだ。
〜 結論 〜
「バミューダ・トライアングル」における少なくとも船舶事故の多くは
飛鳥氏の言うプラズマ仮説を持ち出すまでもなく解明可能なものが殆どである。
他の事件についても「解明されたバミューダ・トライアングルの謎」(クッシェ
著)において論じられているので、詳しい内容が書かれているはずである。
邦題『魔の三角海域』(角川文庫/絶版)
まだ飛行機の方が残っているけれど、今回はこれまでということで・・・(汗
少なくとも現時点で、プラズマ亜空間を証明するものはないと言うことである。
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