幼児期および学童期の言葉の問題(Q&A)


Q  まだ幼さを感じさせる言葉で話しています。

A   言語環境に問題がある場合がほとんどです。「ブーブで遊ぼうか?」などと、いつも年齢の低い子供の遊び相手をしていたり、家族が本人に同じように「オイチイ?」などと幼さを感じさせる言葉で話しかけているような場合に見られます。まずは、こうした言語環境を見なおし、「大人の言葉」を聞く機会を増やします。弟や妹が下にいるなら、その面倒を見させたり、積極的に家の手伝いをさせるなど、兄や姉の自覚をもたせるのも良い方法です。


Q  ある音が正しく発音できません。

A   発音の誤りでは、特定の音が別の音で代用されていたり(例:サカナ→タカナ)、抜けてしまったり(例:ポスト→ポット)、文字で表せないような音になったりします。いつもそうならば、これは発音のポイントを身につけていないためですから、音の出し方のトレーニングをします。まず、正しい音と誤った音とを聞き分け、舌の動かし方や息の出し方を覚えていきます。無理に五十音の発音練習をさせたりするのは逆効果になります(真似をしようにもやり方がわからないのですから)。言い直しをする場合も、強制はせず、正しい言い方を聞かせるだけにします。


Q  こちらの言っていることは分かるのに、自分で話せる言葉がほんのわずかです。

A  こどもは、理解している言葉をすべて口に出して言えるとは限りません。発音や音のつながり方をマスターするのには技術が必要だからです。また、過保護や過干渉の結果、本人が話す必要を感じなければ、言葉は音声になって出てきません。
 このような状態が3歳まで続き、ある日突然おしゃべりになったという例もあります。大脳の運動性言語野や、発語期間(舌・歯ぐき・のど等)に問題がなければ、自発的な言葉は増えていきます。
 個人差が大きいわけですが、ひとつの目安としては、1歳前後に「マンマ」などの片言の言葉、1歳半から2歳台で2語文(「ワンワン キタ」「ブーブ ノル」など)がでてきます。


Q  遅れていた言葉が出始めました。早く上手に話をさせたいのですが。

A  言葉を覚えることは学習活動にほかなりませんが、机の上での勉強と違い、主に生活や遊びの中で自然に身につくものです。絵本や図鑑などで動物の絵を見て名前を覚えさせるよりは、動物園に行って実物を見て、「これが○○だよ」と言われるほうが良いわけです。
 言葉の発達で、話し始めは、発音の簡単な繰り返しを含む言葉をよく使います。「目」や「手」といった一つの音だけの語でも、「メメ」「テテ」と繰り返すことで聞き取りやすくなります。これらの言葉は、大人が用意してもいいし(育児語)、子供が自発的に言ったもの(幼児語)を採用してもいいのです。このとき、身振りや手振りを加え、視覚的な情報を多く与えるとより効果的です。
 周りの大人は、欲しがっているものを何も聞かないうちに手渡したり、困っている場面ですぐ手を出したりせず、子供にとって言葉による意思の伝達が必要になる状況を多く設定します。ただし、あまりあせって課題が難しくならないように注意します。


Q  名前を呼んでも振り向かず、話しているときに視線が合いません。

A  それが毎回のことならば、話が聞こえない(聴力の損失)か、人とのコミュニケーションが難しい状態にある(自閉症や学習障害・ADHDなど)と考えられます。乳幼児の段階から早めに相談機関で検査を受け、必要な教育的配慮を受けることで事態は改善に向かいます。
 自分の名前は、常に呼ばれていれば1歳前には理解するものです。これは、母親と自分が同じものであると考えている(同一視)状態から脱して、自立心を形成する第一歩でもあります。


Q  話し始めがつかえたような言い方になります。

A 
 吃音(どもり)の場合に共通しているのは、普通に言おうとして余計に緊張してしまうことです。周囲から注目されたり、言い直しを要求したりされればなおさらです。吃音は、本人が気にすることでますますひどくなっていきます。しかし、教室などで発表するような場面でよくできてほめられたりする経験があると、それが自信につながり、吃音の改善に貢献する場合もあります。
 話し言葉では、発音のほかにも、アクセントやイントネーションを標準的なものに合わせる必要があります。これができないと、音程がはずれてしまう「音痴」と同じような恥ずかしさを感じるわけです。逆に、調子をはずして本の棒読みのように話すと、吃音は見られません。
 また、じっくりあせらず、「軽くどもる」という考え方もあります。「吃音があってもいい、その程度が少しになるように話してみれば気が楽になるでしょう?まずはそこから」というわけです。


Q  ふだんから声が小さいのが気になります。

A 
 自分の声は、自分の耳で聞いて、正しく言えたかどうか確かめています。したがって、声が小さく聞きにくいと、発音の誤りを自分でも見つけにくくなります。話し方も上達していかないので、相手にも自分の意思が十分に伝わらなくなり、話をするのがだんだん面倒になっていきます。ふだんの話す声が小さいと、物静かな印象を与えますが、こうした悪循環を生み出しやすいという不利な面もあるのです。まずは、大切なことや自信のある内容について、少しずつ大きな声で言えるように習慣づけたいものです。


Q  言葉の発達と知能は、どのような関係にあるのでしょう。

A  言葉が、ものを考えたり記憶したりする有力な手段である以上、言葉の発達が遅れると知能の発達にも影響を及ぼします。反対に、知能の発達の遅れやアンバランスが言葉の発達を妨げることもあります。
 話し言葉では音声の時間的なつながりの順序で、また、書き言葉では文字の自覚的なまとまりによって、単語や文を構成しています。したがって、それらを記憶したり並べ替えたりする能力が高いほど有利なのはまりがいありません。
 しかし、話し言葉の文法的な骨組みは、4,5歳までにはほぼ出来上がってしまいますので、時間がかかっても最低限このレベルに達していれば、他者との基本的なコミュニケーションにおいて、まず支障はないといっていいでしょう。
 知能が遅れている場合でも、文法は正しくないが知っている物の名前を示す言葉の数が同年代の子供よりずっと多い、という例も珍しくありません。反対に、知能が高くても、生活に必要な道具などの名称を知らないために困る場合があります。読書などで知識の蓄積が十分にあっても、日常の経験が不足しているのです。
 この問題のポイントは、そうした子供一人一人の特性に合わせて、最大限に能力を発揮させるための指導をどのように進めるか、ということです。
 また、知能は、運動能力や社会生活の能力など、子供の全体的な発達にも深く関係しています。ただ言葉が上手に話せるから知能が高い、あるいはさらに向上する、というものでもありません。



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