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階級の解説をします。

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★★ 兵卒等級(陸軍省令「軍人給与令」付表)★★ rankoy por privat, table of ranks for privates

凡例: 階級名には原語表記を付す。次に英語訳(なるべく原語の意味を伝える語)を加えた。

雑卒 subprivat

  輜重輸卒 portul, driver
  砲兵輸卒 artileri portul, caisson driver
  砲兵助卒 helpul artileria, caisson private
  擔架卒 brankard portul, strecher bearer
  補助輸卒 asistant portul, assistant driver
  鼓手 tamburul, drummer
  聖歌手・笛手 kantul, quire boy & pfeifer
  從卒 servul, orderly
  馬卒 chevalul, batman
  懲治卒 pundoman, prisoner

二等卒 privat aprentica, recruit
一等卒 privat, private
上等兵 unua privat, private 1st class
伍長勤務上等兵 lanc kaporal, lance corporal


○陸軍は徴兵制です。(18歳志願兵、少年兵、陸軍學校生徒を除く。)19歳の男子は徴兵檢査を受けます。合格したら希望する兵科や勤務地を徴兵官に云うことができますが、必ずしも希望どおりになるとは限りません。しかし誰も入隊したがらない砂漠獵兵や密林獵兵、酷寒地の鉄道守備隊など不人気な兵種への希望は必ず叶えられます。
○20歳で入営すると、二等卒になります。(17歳で志願して入営することもできます。)
内務班に入り、初年兵と呼ばれます。1年先に入っている一等卒や上等兵は二年兵と呼びます。1年生や2年生と同じ発想です。
陣営具(寝台、手箱、携帯天幕)、兵器(銃と銃剣、鉄帽、手入具など)、被服(軍衣、軍袴、軍帽、略帽、編上靴、脚絆、革帶、背嚢、雜嚢、防毒面、襦袢、袴下、靴下、手拭、裁縫具、寝具(枕と毛布、敷布、掛布)、応急手当具、など)を支給され、戰友(二年兵)を割り当てられます。隣の寝台にいる、この戰友の面倒(雑用をしてやる)をみなければなりません。戰友の方でも、なにかとかばってくれます。
初年兵掛(あるいは教育掛)上等兵が班に1人いて、初年兵の生活に目を光らせます。間違ったことをすると、容赦なく叱りとばします。二年兵は初年兵に体罰を加えます。頬を平手で張り飛ばしたり(ビンタ)、スネを蹴るのは日常茶飯事です。他にもいろいろ凝った虐め方が発明されて、代々受け継がれています。(兵科や部隊によって多少違う)
第1期(最初の4ヶ月)は新兵訓練を受け、まがりなりに行進や戰闘ができるようになります。衛兵にも立ちます。これは優秀な新兵でないと勤まらないので、最初に衛兵に出る初年兵は上等兵候補者です。第2期(次の2ヶ月)は、さらに詳しい戰闘実技の訓練を受けます。特に機関銃、擲弾筒などの重火器訓練に重点が置かれます。人事掛特務曹長が誰を上等兵にするか決めるのもこの頃です。炊事や喇叭、信号、衛生、經理、銃工、縫工、靴工など特業(特技兵)に廻される者もいます。変ったところでは、乗馬斥候、傳鳩、軍犬、オートバイ傳令、土工なんていうのもあります。残りの期間は、大隊・聯隊・旅團ごとの教練が続き、締めくくりの秋期演習があって、部隊対抗で野外模擬戰をします。長距離行軍で落伍すると上等兵になれません。
○1年たつと一等卒に進級します。
二年兵ないし古兵と呼びます。それぞれ仕事を割り振られて、忙しく働きます。
○成績の良い者は、一等卒になった途端に、すぐ上等兵に選抜されます。5人に1人しか上等兵になれません。腕にV字の等級章を付けた上等兵は、もてます。除隊すると、よい勤め口が見つかったり、もう勤めている人は給料があがったり、昇進したりします。身体も頭もそこそこ動いて、なにより真面目でないと上等兵はつとまらないから、陸軍が人物保証をしてくれたようなものです。
優秀な上等兵が班の初年兵掛となって、新兵どもの生活の面倒を見ます。班長(軍曹)や班付(伍長)は、兵卒の居室とは別の下士室で寝起きしていて、細かい事に目が届かないから、こういう係をおいてあるのです。ほかの上等兵は、中隊事務室、大隊事務室、部隊本部などに置かれている各係の助手をします。專ら教練の教官助手をする者もいます。
○さらに成績の良い上等兵は、伍長勤務上等兵を命ぜられ、下士が足りない時、その代理をします。
○2年たつと、めでたく兵役満期終了となって、一等卒も上等兵も伍長勤務も、みんな仲良く退営します。伍長勤務は「下士適任証書」を貰い、召集時には志願にあらざる下士として伍長に任官します。  → top
雑卒は、本物の兵隊とは見なされず、戰闘訓練も必要最低限しかしません。給料は同じですが、二等卒の方が上官です。いつまでたっても雑卒で、二等卒以上への進級はできません。
輸卒、助卒、擔架卒は入営期間が1ヶ月から半年と短く、兵科兵種により、それぞれ駄馬(荷物を積んだ馬)、挽馬(荷車をひく馬)、自働貨車(トラック)、患者輸送車(擔架卒)、彈藥車(砲兵輸卒)、電動トロッコ(要塞砲兵助卒)の運転を習います。
補助輸卒は、大型の馬車(4〜8頭立て)や自働貨車(トラック、戰車運搬トレーラー)の運転助手や、荷物運搬の人足です。昔は「軍夫」と云って、出征や機動演習のたびに、民間の沖仲仕や人足を軍属扱いで雇ったのですが、厳格な軍紀に馴染めない自由人が多く、軍人との喧嘩沙汰が頻発したので、最初から軍人として訓練した雑卒をあてることになったのです。
少年兵と廢兵
少年兵と廢兵
矢印は外出中の少年兵:大道藝人「怪力男」を見物している

○少年兵も雑卒の一種です。
鼓手は13〜17歳で、普段は営庭(兵営の真ん中にあるグラウンド、これを囲んで兵舎が建っている)で大人の喇叭手と共に「起床」「食事」「消燈」などの軍鼓を打ち鳴らします。戰闘では「撃ち方始め」「各個に撃て」「着け剣(銃剣を付けよ)」「縦列を組め」などの命令譜を打ちます。滅多にありませんが、軍葬の行進曲「悲しみに耐えず」や、処刑の「身を以て罪を贖うべし」、投降者を迎える「名誉ある者を讃えよ」、賓客を迎える「閣下(陛下、殿下)に敬礼」などには、軍鼓が欠かせません。18歳になると下士官志願をして職業軍人になる子が殆どです。鼓手出身の將校は勇敢で沈着冷静、いざ戰闘になると大いに頼りになるといいます。勤務の合間に従軍司祭が高等小学校程度の勉強を教えてくれます。なかには子供の無い軍人の養子になる子もいます。

歴史上の鼓手(風紀衛兵勤務)
歴史上の鼓手
歴史上の鼓手(禮拝)
歴史上の鼓手
現代の鼓手(列外定位置)
現代の鼓手


聖歌手は9〜12歳で、従軍司祭に属し、駐屯地の教會で聖歌を歌う傍ら小学校の勉強をします。14歳の変声期に歌をやめて鼓手になります。孤児院から志願してきた子が殆どです。隊の行進には、喇叭手、鼓手と共に笛手として横笛を吹き、兵隊の志気を鼓舞します。戰闘にも隊本部要員として出ますから、戰死するかもしれません。心配してくれる親の無い子を優先して採用するらしく、中隊幹部の奥さん連中が親身になって面倒を見ます。日曜日に將校曹長の家で御飯を食べている姿が、画家のよく取り上げる題材になっています。
從卒は、將校・準士官が自分のお金で雇い、身の回りの世話をさせる従軍召使です。外国の軍隊では本物の兵隊を当番として召使に使うところもあるようですが、掃除洗濯ご飯の支度をするために入隊したのではないから、やはり將校が自費で雇うのが良いようです。貴族出身の予備將校が出征する時は、自分の屋敷の執事や下僕を從卒として連れていきます。戦場でも気心の知れた從卒が一緒だと食事や寝具、嗜好品、衣類などに、ちょっとした贅沢が味わえるからです。貧乏な將校從卒を雇わないこともあります。戰闘になると、從卒は後方に退いて主人の荷物番をします。かわりに正規の兵隊である傳令がつき従います。
馬卒は、乗馬本分(馬に乗って出陣する。歩兵では少佐以上と副官。)の將校、準士官の馬丁です。輜重輸卒から選抜されますが、將校が自分の屋敷の馬丁を馬卒にしたてることもあります。從卒と異なって、必ず置かなければ成りません。私費で雇うことは認められず、給料は軍からでます。これは乗馬が戰闘と密に結びついているからです。機械化された隊は、(現在では殆どがそうですが)乗馬のかわりに乗用車やサイドカーを使用しますから、馬卒も專ら運転と車輌整備をします。
懲治卒は、軍法会議にかけられて有罪判決を受け、陸軍監獄の囚人となった軍人がなります。將校といえども服役中はこのように最下等の雑卒に降等となります。出獄したら二等卒一等卒に戻りますが、それ以上の等級には進めません。

★★ 下士の階級 ★★

rankoy por nekomisiit oficir, ranks for NCO(Non Commisioned Officers)

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伍長 kaporal, corporal
  陣営具掛伍長 kampadil kaporal
軍曹 serghent, sergeant
  内務班長  chef de provizumistar, drill sergeant
  被服掛軍曹 vestar serghent
  兵器掛軍曹 ordnanc serghent, technical sergeant
  本部付軍曹 stab serghent, staff sergeant
曹長 chef serghent, master sergeant
  聯隊書記  regiment skribist,regiment secretary
  大隊書記  batalion skribist,battalion secretary
  軍旗曹長  standard serghent, colour sergeant
  給養掛曹長 furier, quarter master sergeant

○歩兵下士になるためには、嚮導團(きょうどうだん)という下士養成所を受験して、そこの生徒になります。16歳から受験できます。学歴は問いません。身体が丈夫で、小學校高等科修了程度の読み書き算盤がちゃんとできれば合格です。最初の1年間は部隊に上等兵の下士候補生として入營します。次の1年間を嚮導團で勉強し、最年少者は17歳で部隊に配属され伍長となります。すでに入隊している兵役中の兵卒も受験出来ます。あるいは2年間の兵役終了時に下士志願をすると、無試験で嚮導團に入ります。それから1年勉強して、23歳で伍長になります。成績優秀者は推薦で士官學校に進学します。惜しくも選に洩れた優秀者は「少尉候補者適任証書」をもらい、入隊後、曹長に進級した時に無試驗で少尉候補者として士官學校に派遣され少尉となります。
他兵科の下士は、特別の技能が必要なので、2年間の兵役終了時に下士志願をして、所属兵科の実施學校に入学します。例えば騎兵は、騎兵學校の嚮導隊に1年間入ってから、騎兵伍長となります。歩兵の教導團のような民間から受験できる便利な學校はありません。必ず最初は兵営に入って2年間の兵隊暮らしをしなければなりません。騎兵は戰闘訓練の他に乗馬訓練(機械化部隊では戰車操縦)にも時間をかけるので、歩兵科の教導團のように1年間では下士としての十分な技能を身につけることができないからです。


伍長になると、内務班付として班長の手助けをします。成績の良い伍長は、陣營具掛(かかり)をします。中隊の机、寝台、椅子、天幕(野営テント)などの備付調度品を管理しますが、壊れた時に交換修理に出すくらいで、あまり仕事はありません。戰闘では、分隊長として11人の部下(歩兵の場合)を預かります。
○成績がよいと軍曹に進級します。内務班長として30人ていどの兵卒の生活の面倒を見ます。朝晩、班の点呼をとって、將校に報告します。いつも新兵を見ていて、よく働く、働かない、の成績をつけ、人事掛特務曹長に報告します。
訓練では助教として教官を助け、敬礼、行進の仕方から、銃剣術、射撃術など戰闘実技までを新兵に教えます。聯隊の射撃大会や銃剣術大会で自分の班から優勝者がでると、班の成績があがります。優勝者は上等兵になります。班長自身も勤務成績が上がって、曹長への進級が早くなります。そのためもあって、班長はビシビシ兵卒どもを鍛え上げます。「鬼軍曹」の呼び名がぴったりです。あまりやりすぎると、脱走者や自殺者が出て、とたんに成績は低下です。そのへんの呼吸が難しい。ひとえに班長の統率力にかかっています。
戰闘では小隊付軍曹として小隊長を補佐し、小隊長が倒れたら代理をします。小隊長が新米で軍曹が実力十分の古強者(ふるつわもの)だと、兵隊は小隊軍曹の命令だけを聞くようになると云う困ったことになります。

○優秀な内務班長は、次に中隊事務室勤務となります。最初は被服掛(かかり)をやります。給養掛曹長の部下です。中隊の被服庫で兵隊どもの軍服、外套、鉄帽、下着、毛布・枕、靴、靴下、背嚢、ガスマスクなどを管理します。入営した時に新兵に被服を配給してくれるのが、被服掛軍曹です。古くなったり破れたりした服を部隊の縫工場に修理にだしたりもします。助手に上等兵が1人つきます。兵卒を集めて、服の虫干しをしたり、被服庫の整理整頓をします。
○被服掛の次は、兵器掛になります。「先任軍曹」の臂章を着け、中隊軍曹の最古参者です。中隊の兵器庫を管理します。射撃訓練の空包や実弾を揃えて、内務班長に支給します。故障した兵器は、部隊の工場に修理に出します。兵隊の射撃手帳に訓練の記録を書き込みます。
時々、内務班に出向いて、銃がチャンと手入れされているか、泥が付いていないか、引き金はおろしてあるか、細かい点検をします。手入れが悪い兵卒は、ひどく叱られます。兵器掛に叱られると、内務班の教育係上等兵が出てきて、「よくも俺に恥をかかせたな」と云って、また叱られます。内務班長より怖いのが兵器掛軍曹です。
戰闘の時には、彈藥車から実弾を支給します。故障兵器の修繕や代わりの兵器の配給はもちろん、敵の残していった遺棄兵器を鹵穫します。

○兵器掛の次は、「先任軍曹」の臂章を着けたまま部隊本部で事務助手として、書類を書いたり、計算したりします。係がいろいろあって、聯隊事務室、旗手室、経理室、兵器委員室、糧秣委員室、被服委員室、酒保、將校集会所、下士官集会所、大隊事務室、動員室などのうち、どれかに所属します。この時に命令書、戰闘詳報など難しい云い廻しを使う文章の書き方を覚えたり、軍隊經理の仕組みを勉強します。
○優秀な軍曹は、下士官になって7年目くらいに、曹長に進級します。
最初は聯隊書記です。聯隊事務室で、書類の整理や清書、計算をします。来客の受付、電話の取次、郵便の発受など、仕事はたくさんあります。上官は聯隊副官です。書記のうち先任者は軍旗曹長と呼ばれ、旗手の護衛、旗手が倒れた時の代理をします。
次は大隊書記です。大隊事務室で同じような事をします。伝統ある部隊では大隊旗があるので、その護衛と旗手代理をします。(旗手は見習士官から選ばれる)上官は大隊副官です。
そして中隊給養掛になります。
中隊給養掛は一番忙しい役目です。部隊本部からの命令受領伝達、郵便の受付・配布はおろか、中隊の衣食住と家計簿の面倒を一手に引受けるからです。上等兵の助手がつき、伝票や帳簿つけの手助けをしてくれます。被服掛軍曹陣營具掛伍長も曹長の部下です。
曹長は中隊事務室で毎週、兵隊の給料を計算して、支給日に渡します。計算を間違えると、お金が足りなくなって、自分の財布から埋め合わせをしなければならなくなります。兵隊の給与手帳(日本軍の軍隊手牒に相当)に、支給記録を書き込みます。
毎朝、喇叭と太鼓の合図(「會報」)で、部隊本部に命令を受領に行きます。
面倒なのは、食費の計算です。翌日の食事数を伝票に書いて炊事場に廻さなくてはなりません。外出者や病気入院者、野外演習に行く班など、誰がお昼を食べて、誰が夕食を食べないか、を掴まないと、麺麭の数が足りなくなったり、林檎がゴロゴロ余ったりします。中隊の食費は伝票で出した分だけ、中隊の予算から差し引かれますから、年末には、お金が足りなくなって困ったことになります。みんな曹長さんの責任です。ここで、うまく頭が回らないと、次の特務曹長には進級できません。やりくりが巧いと成績があがります。
兵卒どもの目には、いつも難しい顔で机にしがみついて算盤をはじいてばかりいて、教練にも演習にも出てこない曹長さんとは、給料日に給与手帳が汚いと云って叱られる以外には、ろくに口も利いたこともない、不思議な存在です。
曹長は2年目くらいから、営外居住の申請をすると、兵営の外で暮らせるようになります。下宿して、すぐに奥さんをもらいます。伍長、軍曹時代に奥さんのいる人もいますが、外出日の日曜祝日だけしか、ゆっくり会えませんでした。曹長は、やっと自分の家庭を持てます。毎日、奥さんに送られて、腰には支給の曹長剣を吊って、長靴はいて、部隊に通勤します。この時は30歳くらいです。  → top
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