魅惑の似非科学

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2/9/2001  王様の飲み屋さん4−厨房の裏技あれこれの似非科学 (おすすめ)

2/2/2001  ゲームセンターのスナイパー――インカムアッププレイヤーの似非科学 (おすすめ)

1/26/2001 続8・雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニック−イニシャルTの似非科学

1/19/2001 流体力学は迷える子羊を救えるか?故障中の自動改札機の似非科学

1/12/2001 王様の飲み屋さん3−最大ゲイン経営術の似非科学

1/5/2001   パソコン購入5年周期の法則の似非科学

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・王様の飲み屋さん4−厨房の裏技あれこれの似非科学

人生にアクシデントは付きものだ。量子力学的見地から言えば、「なんで今日はこんなについてないの?」というのに原因があるとすれば、それはあなたとはまったく無関係な出来事の波動によるものだろう。ひょっとしたら、朝御飯で食べた米粒の数が3の倍数かどうかで、あなたの今日の運勢は決まっているのかもしれない。もしそうなら不運の原因など考えるだけ無駄だったりする。

厨房でもさまざまなアクシデントが発生するが、プロとしてはお客様に悟られることなく「王様の飲み屋さん」を演出しなければならない。今回は、そこで駆使される裏技をご紹介しよう。

第一回「王様の飲み屋さん−外食産業の似非科学」で述べたとおり、このシリーズはある飲み屋さんの一日(年末の金曜日)を時間の経過とともに追っている。これまでの回を先に読んだ方がより楽しめるだろう。

☆ 業者がまだこない・・・

仕込みをやっていると、たまに厨房から「ぎゃー」という声が聞こえることがある。パッと振り返ると落胆した表情で途方にくれているので「どうしたの?」と声をかけると、「やってしまいました・・・」との声が。なんと右手には焦げた焼き鳥が数本。オーブン皿に並べられなかった何本かを焼きすぎて焦がしてしまったのだ。

これは明らかにロスだ。焼き鳥は安いもので仕入れ価格が30円、地鶏などになると50円から80円になるのだが、数百円でもロスはロス。しかも、完全に焼き上がってしまい、カピカピになっている。でもやってしまったのはしょうがないので「仕方ないよ」と声をかけ、またもくもくと作業を続ける。実はこのミスはリカバー可能だ。

というのは、パーティーの料理はレシピより少ない量で盛ってしまう傾向がある。一人前の量ならば目分量でだいたい正確なのだが、量が多くなると心理的に少なめに盛ってしまうものらしい。なので、パーティーが多ければ多いほど、実は儲けが計算より多くなってしまうのだ。なので、焼き鳥数本ぐらいでは驚かない。

そんなこんなでもう3時。本来ならば4時から夕飯(「賄い=まかない」)の時間で、法律的な45分の休憩タイムである。賄いは多くの場合、お店が格安で食べさせてくれる。なかには福利厚生で会社からお金をもらえるところもあり、うらやましい限りだ。一食あたり200円程度の徴収だが、材料費で200円というと、そうとういい物が食べられる。それだけ仕入れ価格が一般より安いのだ。しかし、このペースでは食べる時間などないかもしれない・・・。

それより心配なのは、未だにこない業者だ(前回参照)。特にパーティーの揚げ物の仕込みは、絶対にやっておかないと。最悪、揚げ物は全部オーダーストップという可能性もあるのだ。と思ったら「すいませ〜ん」と頭をかきながらやってきた。こちらは少し頭にきているが、業者も今日が忙しいことをわかっていたはずだし、忙しいのはお互い様だ。言うべき事は言うが、まぁ、それも当たり障りのない程度にしておこう。しかしそこは商売人、申し訳なさそうにしている業者の非に責め入るように、「この材料なんだけどもっと安くならない?」なんて言ってみたりする。頭の上がらない業者は、「検討してみます」というのが精一杯だ(笑)。それより、いかに遅れを取り戻すかである。まだやるべきことはたくさんあるのだ。

いよいよ油を入れて揚げ物に取りかかる番だ。油が温まるまでの短い時間も、刺身のツマとネギのみじん切りでも切っておくことにする・・・。刺身のツマは本来なら「かつらむき」した大根を千切りにしていくのだが、面倒なので専用の機械を使う。この機械、大根すべてをツマにできず、どうしても端っこが残ってしまうのだが、これは大根おろし賄いの味噌汁の具になるので、冷蔵庫で保存しておく。ちなみに大根の葉っぱもぬか漬けになるのでちゃんととっておく。

一般に飲食店では、食材は端の端まで使い切る。賄いになることもあるし、野菜の異なる部位を別々の料理に使用したりする。例えば、お刺身のちょっと色の変わったものは煮付けにすればおいしく食べられるし、形を整えるために切り取った刺身の切れっ端は大量にでるため、これをワサビ醤油に1時間ほど漬け込み、あつあつのご飯にのせて食べたりする。形は悪くても食べられる部分なので、お刺身サラダカルパッチョに使えば材料をすべて使い切ることができる。キャベツの切りやすい部分は千切りにするが、切りにくいところはぶつ切りにして野菜炒めなんかに利用するのだ。このほうが効率がいい。太ネギは、一般のお客様に提供する焼き物盛り合わせのネギ串焼きにするが、青い部分はチャーハンに使ったりする。こうして材料のすべてを使い切ることで、材料費を少しでも下げることができるのだ。

余談だが、牛丼の松屋では野菜サラダを100円で追加注文できる。だが7〜8年くらい前の冬に野菜の値段が急騰した年があった(ほら、白菜の値段が10倍くらいになったときがあったでしょ)。筆者は松屋の野菜サラダがいつ値上げするのかハラハラしていたのだが、結局値上げはなかった。だが、あのときの野菜サラダ自体の変化に気がついた人はいるだろうか?緑のはずのキャベツの色が見事に真っ白になっていたのだ(芯の部分をスライスして使っていた)。これも厨房の裏技の一つである。(しかもキャベツの芯は栄養価も高い。)

☆ 割り箸がない!

ホールは相変わらずの電話攻勢を受けている。厨房の一人が抜け出してタバコをふかしているので、「どう?」と声をかけると、「やばいっす」の一言。コック帽をむしりとったのか、髪の毛がぼさぼさになっている。そうとう大変なんだろうなと思いつつ、こちらも電話の対応におわれている。

が、こんなときにトラブル発生だ。割り箸が足りない・・・。これは明らかにホール主任の発注ミスだ。なぜなら一昨日、発注をお願いしておいたからだ。ある程度のお店になると、店のロゴ入りの割り箸やコースター、おしぼりを使用しているため、そう簡単にコンビニで買ってくるというわけにはいかない。

もしこれがチェーン店であれば、近くの店までいって借りてくればいいだけなのかもしれないが、ここは単独店舗だ。う〜ん、と悩んでいると店長が「仕方ないよ、買ってこよう」というので買出しにいく。ついでに銀行に寄って両替しておこう。

エントロピーの法則というものがあるが、お店のレジに残るお金にはこの法則は逆の方向に働く。つまり、小銭がどんどん大きな金額になっていくのだ。ほおっておくと、1円や10円がなくなってしまうので、定期的に銀行へ赴き、両替してこなければならない。コレを忘れるとひどい目に会う。ボーナス後などは、みんな1万円札ばかり持っているので特に困る。買出しの途中でゲームセンターにでも行き、両替をしてこなければならないのだ。もちろんゲームセンターでは利用客以外の両替を禁止しているのだが、ここは行かねばならない。私服に着替えて、いざ出動! (良い子は真似してはいけません)

銀行へ向かっていると、途中、遅れてきた業者に出会った。他店の配達をしているところらしい。「よう!」と声をかけると、第一声は「すいません」だった。まだ何もいってないのに(笑)。「どうしたの?」と聞くと「配達があまりにも多くて、2回にわけてたんですよ。早めに出勤したんだけど渋滞にはまってしまって」とのことだ。「厨房の人、かなりあわててたよ」と言うと、申し訳なさそうに「本当にごめんなさい」と頭を下げた。

お店というのは、本当に多くの業者の力によって支えられている。食材を仕入れてくれる業者や、おしぼりや制服を洗濯してくれるクリーニング屋さん、清掃業者やビルのメンテナンス会社など様々だ。当然、彼らも、飲食店相手だけに年末が最も忙しく、こういうこともよくあることだ。

☆ 人数変更?

さて、いよいよ唐揚げができるぞ!と思っていると、とんでもないビッグニュースが。「34名様のパーティーが38名様に変更なんですが・・・」と若い女の子が。すかさず「だめだよ変更は3時までって言ってあったろ?」と建前を言い返す。人数の変更は前日までと、予約を受けた際にお客様に伝えているが、平気でこの時間にかけてこられる方もいる。そのため、3時までならなんとか・・・ということになっているのだが、まぁ、これは建前で、実際は引き受けている。だが少しはこういう緊張関係がないと馴れ合いになってしまうので、たとえ演技でも言うべきことは言わなければならない。

すると女の子は「え、あ、はい」といって引き下がっていったが、私たちにはもちろんわかっている。女の子がすでにお客様の電話を切ってしまった後に違いないことを。

人数変更ほど大変なことはない。すべての材料を引っ張りだして、もう一度最初から、その人数分だけのパーティーの仕込みをしなくてはならないのだ。焼き鳥が4本だけ焼かれている姿や、4切れだけ切られるマグロをみるのは寂しい限りだ。これによって大幅なペースダウンを強いられることになる。みんな天を仰いでいるのがみえるが、仕方がない、やるしかないのだ。

すると店長がやってきた。「チーフ!」と声が聞こえる。チーフというのは厨房内を取りまとめている親分だ。ようは偉い人なのだが、みんなチーフの言うことには従わなければならない。これが組織なのだ。店長は「すいません、パーティーの人数が変更になったんですが」と申し訳なさそうにやってくる。

多くの個人店は経営者がコックさんであることが多く、店で一番偉かったりするのだが、このお店では店長が経営者で立場が強い。なので、チーフも仕方なく了承する。たぶん困った女の子が店長に相談にいったのだろう。何か厨房に関して文句のあるときは店長に言ってもらうと効果があったため、ある人などは店長に口をきいてもらって、コックさんたちに何かやらせたりしていることもあった。こんな狭い社会でも政治があるのだ。

こんなことがあるので、一般的に料理人は料理人同士、とても仲がいい。もちろんウマがあわず冷戦状態な人たちもいるが、おおよそ仲間と思っているのではないかと思う。

いよいよ時間が危うくなってきた。賄いを食べる時間などとてもなさそうである。しかし、店長やアルバイトのご飯がないと困るので、早急に調理しなくてはならない。とりあえず、ご飯、みそ汁、先ほどの刺身の切れ端、冷凍コロッケに決めた。大根の切れ端がみそ汁に使えるし、コロッケは揚げるだけだ。しかし、まっさらの新鮮な油で一番最初に揚げるのが従業員のコロッケとは。。。(笑)

とりあえず腹が減ってはなんとやらということで、賄いを食べることに。ある従業員は「俺はいいです」と仕事を続けていた。素晴らしい仕事意識だ・・と誉めたいところだが、自分の担当する場所の仕込みをやりたいのだろう。仕込みがあるかないかで調理の速度は断然違う。あらかじめ必要だと思われる卵を割っておいたりするのはもちろん、ひどいお店だとあらかじめ作っておいてレンジアップするだけのところもある。業務用のレンジは超強力なので、30秒もあればあつあつの料理が出来上がる寸法なのだ。これで料理が提供できるなら、食事の時間を惜しむ気持ちもわかる気がする。彼も彼なりに、とにかく気の済むところまで仕込みをしておきたいのだろう。

10分で食べ終わり、お茶を飲んで一服するが、すぐさま仕込みに戻る。やらなければやられるのだ(笑)。揚げ物を揚げ終わり、なんとかパーティーのコース料理の仕込みは終わった。あとは一般のお客様の料理の仕込みである。いま、もう4時30分をまわっている。オープンは5時だ、あと30分しかない・・・・。 (つづく)

(OG)

 

 

 

・ゲームセンターのスナイパー――インカムアッププレイヤーの似非科学

インカムアッププレイヤー、それは百円玉という銃弾でスナイパーのように人の心を打ち抜くがごとく魅了するゲームプレイヤーのことである。しかし、そのプレイヤーがプレイしている本当のゲームとは「日本の景気浮揚」なのだ。今回、当研究室では、偶然遭遇したインカムアッププレイヤーAAA(仮名)の理論に迫る

似非科学研究室(以下EK): インカムアッププレイヤーの定義について教えてください。

AAA: 狭義のインカムアッププレイヤーとは、ゲームをプレイすることによりそのゲームの収入(インカム)を上昇させるプレイヤーのことをいいます。

 

EK: ゲームで遊ぶだけでそのゲームのインカムをアップさせるとしたら、あなたがコインをつぎ込んでいるだけなのでは?

AAA: そうではありません。私がプレイしたゲームには私のプレイスタイルを見るためにギャラリー(観客)が集まります。そうした人たちが今度はそのゲームをプレイするのです。そのため、そのゲームの筐体の収益は上昇するのです。

EK: どんなゲームでもインカムをアップできるのですか。

AAA: いいえ。音楽ゲーム関係だけです。というより、音楽ゲームそのものがインカムをアップさせる要素をもっています。

音楽ゲームの特徴はルールの単純さです。指定された動作を、指定されたタイミングで行う、というのが根本的なルールであり、それを間違わなければクリア出来ます。ということは、あとはゲームレベルが簡単で楽しそうに見えれば、絶対に人はプレイするものです。

インカムアッププレイヤーのプレイスタイルは、傍から見ると簡単そうに楽しそうにプレイしていますし、しなければならないのです。もちろん、私自身も楽しんでいますけどね。

 

EK: いわゆるダンスダンスレボリューション以降に発生したパフォーマーはインカムアッププレイヤーなのですか。

AAA: 似ているようですが、ぜんぜん違います。パフォーマーとはただ単に自分の技巧を顕示するだけですが、インカムアッププレイヤーは自分のプレイにギャラリーを付かせるだけではなく、ギャラリーにゲームをプレイさせなければ失格なのです。このため、そのゲームセンターの曜日、時間帯ごとの客層、数及びゲームの筐体の状態、音場、ゲームセンター内での筐体の間取りを分析し、プレイの効果が最大値になるタイミングにプレイします。パフォーマーはそこまで考えません。たとえばダンレボでは矢印を全く消すというモード(編注:裏技の一種)がありますが、インカムアッププレイヤーは絶対に使いません。なぜなら、ギャラリーは矢印が見えなければ何がそのゲームのルールなのか理解できないからです。これではギャラリーは自分もプレイしようという気にはならないでしょう。

 

EK: スコアについてはどう考えるのでしょう

AAA: スコアは別に考えません。1位になるに越したことはありませんが、それはギャラリーをひきつけるというプレイスタイルが前提です。インカムアッププレイヤーのスコアはあくまでインカムなのです。直接の点数は問題ではないのです。

 

EK: どんなゲームがよいのでしょうか。

AAA: 今確実に集客できるのはシャカットタンバリン(SEGA)でしょう。コナミでいえばパラパラパラダイスです。「シャカットタンバリン」は2人でプレイするとノーマルでも簡単になるのでお勧めです。しかし、店によっては1プレイ2曲くらいしか出来ない場合があり、問題です。確実に集客するなら3曲必要です。パラパラパラダイスは判定が甘く、プレイが単純なため非常に集客力の高いゲームです。もっともコナミの開発チームは判定を厳しくする方向に動いていますが、理解の出来ない行動です。おかげでダンスマニアックス2ndミックスはポップンステージと並ぶ駄ゲーと化しました。もし私がコナミの株主だったら開発陣を全員クビにして損害賠償請求をしたいところです。おかげで全てのオペレーター(編注:ゲームセンターのオーナー)はインカムダウンを余儀なくされたのですから。なぜ駄ゲーかって?それは私がやって面白くないものは駄ゲーだからです。それ以上の理由はインカムアッププレイヤーに必要ないでしょう。インカムアッププレイヤーにそっぽを向かれたゲームはインカムが上がらず、駄ゲーとなり消える運命にあるのです。

話は戻りますがシャカットタンバリンと、パラパラパラダイスは短期間で曲数を増やしていくと面白いと思います。ジュークボックスみたいな感じに仕上がるのではないか、そういう予感がするのです。そうすると音楽ゲームというよりは、自分でプレイすることを楽しむジュークボックスのようになっていくかもしれません。オペレーターは音場に気をつけるとさらにインカムをあげられるでしょう。

[ パラパラパラダイス ]

EK: ところで先ほどお伺いしたインカムアッププレイヤーの定義に「狭義の」という修飾が着いていました。広義のインカムアッププレイヤーというのもあるのですか。

AAA: 広義のインカムアッププレイヤーになるのはもっと難しいことです。広義のインカムアッププレイヤーには、そのゲームそのもののインカムアップだけを目指してもなれないのです。広義のインカムアッププレイヤーとは、そのプレイするゲーセン周辺のロケーション全体の収入をアップさせるプレイヤーのことです。

 

EK: そんなことがゲームをプレイするだけで可能なのですか。

AAA: 可能です。これはシャワー効果という概念を応用したものです。シャワー効果とはデパートの最上階もしくは屋上にレストランなどの目玉を作り、上下する客が各階を回遊するときに商品に触れるので購買意欲があがる、という効果です。これを応用するのです。単にプレイするだけでは難しいです。ロケーションについて大変な調査が必要です。

 

EK: どういった項目を調査するのですか。

AAA: まずその商店街の人の流れを調査します。人がどこからやってきて、どこに集まり、どこを通過して帰るのか。これを曜日、時間帯ごとに調査します。もちろん、祭りなどの行事の調査もかかせません。最もいいロケーションは、人の流れが混合し帰りの交通手段(駅、バス停など)の位置まで50から100メーターの位置です。このポイントにゲームセンターが位置することです。たとえばアーケード街の角で、バス停まで80mといった位置です。広義のインカムアッププレイヤーがそのようなゲームセンターでプレイすると、ギャラリーがつくだけではありません。ギャラリーの人々はリラックスすると同時に、音楽ゲームの音で軽いトランス状態に陥ります。このとき、人々の瞳孔はやや開き気味になり瞬きの回数が減少します。この状態で交通手段までの徒歩が起きることにより、シャワー効果が生まれるのです。

次にゲームセンターの経営者の経営方針が問題です。現在ゲームセンターの経営は大きく分けて、従来型のマニア向けのゲームセンターを作る方向と、家族連れで楽しむことの出来るアミューズメントパークの形と2通りあります。角に位置するゲームセンターはもちろん後者のほうが望ましいことは言うまでもありません。トランス状態に陥って購買意欲が生まれるのは家族連れ、友達同士ですから。

 

EK: ゲームセンターには危険が伴うのではありませんか。

AAA: 愛知の殺人事件を起こした若い2人もゲームセンターで知り合ったそうですが、それがゲームセンターが危険だから、という理由にはなりません。むしろ男女の出会う場所になっていたというくらい安全になったといえます。昔は女性がゲームセンターに入るなんて考えられないことでしたからね。いつも思うのですが、危険ではない男女の出会いの場というのはこの世に存在するのでしょうか。教えてほしいものです。

同様にゲームセンターのイメージをダウンさせる結果が公表されたことがあります。暴力を振るう若者はゲームセンターで格闘ゲームをやっている時間が長い、という研究結果が公表されたことがありました。それはただ単に、ひまなヤンキーは流行っている格ゲーしかやらない(というかできない)というだけの話です。どうしてこんな結果で格闘ゲームは暴力衝動を引き起こすという結論になるのでしょうか。似非科学もいいところです。それにきちんとしたゲーム経営者なら、トラブルをきちんと解決しますし、防止します。でなければインカムアッププレイヤーをはじめ、家族連れを呼び込むことなど出来ませんからね。

私も安全ではないゲームセンターには足を踏み入れませんが、それくらいは肌で理解できるようにならないといけないと思います。のこのこと入っていってトラブルにあって「ゲームセンターは危険だ」というイメージを振りまくのはやめてもらいたいですね。もちろん万が一の用心も怠っていません。安全だと判断するのと危機管理を放棄することはぜんぜん違うのです。

 

EK: 今回の取材においてはあなたの正体を明かすことにつながる情報は一切掲載しないという約束でしたが、何かヒントをいただくわけには行かないでしょうか。

AAA: ゲームセンター間の公正な競争を確保するために、インカムアッププレイヤーは決してその正体を明かしません。もし自分のことをインカムアッププレイヤーだと名乗ったならそれは偽者です。ただ、そのプレイスタイルだけがその正体を語るのです。そして地域経済の発展に貢献し、ひいては日本の景気を左右する、それが面白いのです。しかも100円玉だけで。そう、インカムアッププレイヤーのプレイしている真のゲームは「日本の景気浮揚」なのです。

 

EK: 本日はありがとうございました。

(M) 

 

 

 

・続8・雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニック−イニシャルTの似非科学

★ 到着

なんだかんだと道中いろいろな出来事があったりした(いろいろな出来事については前回続7・雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニックを参照)が、やっとスキー場に到着した。お客様は一泊が多いが、バスの運転手はたいてい日帰りである。ごくまれにお客様と一緒に一泊するケースもある。

★ 日帰り

バスが日帰りするケースは、個人でスキーツアーに申し込んでいるお客様が多い。そのため一ヶ所のスキー場で全員を降ろすのではなく、到着したスキーエリアの各スキー場を巡ってあちこちでお客様を降ろす。で、到着する時間もやたら早いときが多々あり、その場合は時間なんか関係なしにお客様をバスから強制排出する。たとえば、午前6時くらいに最初のスキー場に到着すると、そこを目的地にしているお客様を「有無を言わさず」降ろすのである。具体的な例を示すと、

となっていると、Aスキー場に6時に着いたとすると、Aスキー場でX人排出、Bスキー場に6時15分に到着してY人排出、Cスキー場に6時30分に到着してZ人排出、という具合である。で、Aスキー場に6時に排出されるお客様はたまったものではない。早朝営業といって朝早くからリフトが運転している場合もあるが、そんな早くから寒いスキー場でスキーするのはよほどの物好きだけであろう。見ていると、たいてい困った顔をしてその辺を徘徊しているのが関の山だ。しかし、こちらも仕事、かまわずにどんどんお客様を降ろしてバスの駐車場に回送する。そうすると早いときは7時にはすべてのお客様がいなくなり、仕事も一段落するのである。

★ 休憩

お客様を全員降ろし終わったら、駐車場にバスを止めて車中で一眠りする。このとき酒でも一飲みすればすぐに眠れるのであるが、乗務規定で乗務中は一切のアルコール類を飲んではいけないことになっている。だから、飲まずに寝ようとするが、これがなかなか眠れない。出勤するときに持ってきた雑誌や新聞を読み、眠くなるまでボーっとする。新聞なんかは前日のことが書いてあるので、眠くなるには最適なアイテムだ。そうこうしているうちに眠くなり、運転席の後ろの椅子をフルリクライニングして寝る。もう一人の運転手は一番後ろの座席で寝る。

晴れているときは車内に日差しが入って暖かく、これがすごく気持ちがいいものだが、吹雪いているときはもう最悪である。ゴーゴーとうるさいし、帰りの道が心配で眠れなくなる。まあ、お客様もこんな吹雪の中スキーして大変だなとも思うわけだが。。。

★ 帰り

昼の11時くらいに出発の準備をして運行前点検を行い、バスに異常がないことを確かめる。異常がないことを確認したらお客様を迎えに駐車場を出発する。迎えに行くお客様は、行きに乗せてきたお客様とはまったく別人である。乗車予定のお客様もみやげ物店などで時間をつぶしてバスが来るのを待って、バスが着いたらせっせと乗り込む。ここでも同じように荷物を積み込み、順次スキー場を巡回してお客様を一通り乗せて帰路につく。

で、出発のときと同じようにたいてい遅れてくるお客様がいる。遅れてくる理由としては「直前までスキーをしていた」というのが一番多いが、宿に忘れ物をした、トイレに行っていたなど、行きのときと比較すると理由が多様化する。なにはともあれ、お客様が全員無事にそろったら出発するのであるが、そろわないときもある。このような時はなるべく待つが、ひどいときは置いていくこともある。

私のときはそこまでひどいお客様はいなかったが、別の運転手のケースでは「2時間待っても来なかった」という猛者がいた。当然、車内で待っているお客様がブーブー文句を言い出し、挙句の果てに怒り出して「バスを出発させろ!」と運転手に迫った。運転手も、ここまで待ってこないのなら仕方がない、ということでバスを出発させ、お客様を一通り送り車庫に戻ったところ、営業所から苦情の電話が入ったといって、ものすごく怒られていた。しかし、私と他の運転手たちは「そんなに遅れてくるやつが悪い!」ということになり、今度からも2時間遅れてくる客は置いていけ、ということになったのである。どこかの会社の重役出勤とは違うわけだから、社会的ルールは守っていただきたい。

★ 泊り

泊りのケースは、お客様がバスを完全にチャーター(貸切)した場合に多い。スキーツアーの乗りあわせではなく、すべのお客様が同一のスキー場に行き、そこでスキーをした後、温泉宿に行って一泊して帰る、というケースである。このような運行はかなり楽だが、宿がボロいと悲惨である。

★ スキー場に到着

朝方スキー場に到着して、お客様を下ろした後、スキー場の駐車場で時間になるまでお客様を待つ。このような場合、私はあまりにも暇なので着替えてスキーをしていた。他の運転手の場合はたいていタクシーかなんか呼んで町に出てパチンコなどをする。

で、時間が来るとお客様を乗せて宿に向かう。

★ 宿

いやー、温泉宿は最高である。とりあえずバスを玄関前につけてお客様を降ろした後、宿の駐車場に回送し、点検して日報を書き、バスを降りる。このとき、吹雪いているときや、あまりにも寒いときはエンジンを切らないでバスのドアだけ閉めて降りる。これは、エンジンを止めると中の軽油が凍って翌日にはエンジンが使い物にならなくなることがあるからだ。たとえ凍結防止用の軽油を使用していたとしても凍ることがある。

ある別の会社のバスなどは、凍結防止用の軽油だからといってエンジンを停止しておいたら、翌日、エンジンの燃料噴射ポンプが見事に割れており、エンジンがオシャカになってレッカーで運ばれていったことがある。これ以来私は、寒いときは夜中エンジンを切らずにバスを止めておくことにした。

で、バスを駐車場に止めて、宿に入り、女将さんと挨拶して部屋に案内してもらう。このとき、初めての宿の場合は女将さんと名刺交換し、初めてでないときは「毎度どうも」というとりとめもない会話をする。で、いい宿であると(注:お客にとっていい宿といっているのではない)ちゃんとした部屋に案内されるのであるが、ひどい宿だと階段の下とかに作った部屋に案内されるのである。

階段の下にある部屋とは、

こんな部屋である。こんなところで乗務員は寝泊りするのである。最悪である。ドタドタ階段の音はうるさいし、部屋の中は汚いし、である。

それでも、仕方がないのでこの部屋で着替えて風呂に行く。その風呂はというと・・・推して知るべし。

★ 文句を言っても仕方がない

文句を言っても始まらないので、我慢して部屋で過ごす。これがまたかなりの拷問を味合わせてくれる。テレビもない、茶もない、何もない、なのである。あるのは裸電球に傘がついている明かりだけで、明治時代の暮らしを味合わせてくれる。そうこうしているうちに食事の時間が来たので、これも食堂の隅っこのほうで小さくなって食べるのである。当然、勤務中なのでアルコール類は禁止だ。だが、たいていの運転手はかまわず飲む。あっ、予断ではあるが、観光バスの運転手になるときに面接で「酒は飲みますか?」「ギャンブルはしますか?」という質問がある。これは一泊したときに羽目を外す可能性があるかどうかを問うているのである。私の場合はギャンブルはしないが、酒のほうはというと・・・今となっては面接のときうそをついたかもしれない。

★ お化け

まあ、これもつきものであるが、運行計画書を見た瞬間に「げっ、この宿か・・・」と絶句する宿がある。お客様にとっては結構いい宿で、サービスもよく、宿の従業員も愛想がすばらしくいい、何も非のつけどころがないような宿であるが、ひとつだけ問題がある。そう、出るのである。お化けが。運転のテクニックとはまったく関係ないのであるが、このお化けはなんと「乗務員が宿泊する部屋」のみに出没するのである。

昔、その乗務員室に宿泊した運転手が、借金を苦にその部屋で自殺したというエピソードがある。それ以来、乗務員室にその運転手の霊が出るといううわさが流れた。ある運転手はそこに宿泊すると金縛りにあうとか、風もないのに電灯が勝手にゆれるとか、まあ、とかくありきたりなB級のうわさが絶えないのである。

それでも業務命令であれば仕方がないのでそこに泊るが、やっぱりいやなものである。(似非)科学サイトを運営する筆者としては、あんまりお化けとかは信じないほうではあるが、やっぱり気分がいいものではない。ここで昔自殺した人がいると思うと。。。

★ 帰路

なんだかんだで翌朝を向かえ、帰路につく。帰りは時間を気にしなくていいのでゆっくり余裕を持って運転できる。途中、乗用車がスリップ事故を起こしているが、そんなことお構いなしにズンズン帰る。不思議なもので、行きと帰りを比較すると、行きの方が事故をおこしやすい。やっぱり行くときは気持ちがはやるのであろう。

★ 長かった・・・

今回で長編「雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニックシリーズ」はお終りだ。長い間読んでくれた読者の方に心より感謝したい。

そう、いよいよイヤな季節が始まるのである。「冬」という名のスキーの季節が・・・

(T)

※「観光バスで攻める」シリーズ バックナンバー
続7・雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニック−イニシャルTの似非科学 シリアススリップ編
続6・雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニック−イニシャルTの似非科学
コミカルスリップ編
続5・雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニック−イニシャルTの似非科学
横転事故編
続4・観光バスで雪道を攻めるドライビングテクニック−頭文字Tの似非科学
ミックスタイヤ編
続(3)・観光バスで雪道を攻めるドライビングテクニック−頭文字Tの似非科学
防衛運転編
続続・雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニック−イニシャルTの似非科学 SA編
続・雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニック−イニシャルTの似非科学 運転席編
雪道を観光バスで攻めるドライビングテクニック−イニシャルTの似非科学
集合編
いろは坂を観光バスで攻めるドライビングテクニック − 頭文字Tの似非科学
いろは坂編

 

 

 

・流体力学は迷える子羊を救えるのか?故障中の自動改札機の似非科学

さて。高速道路の料金所を思い出してほしい。料金所周辺の広くなっている場所は、道路に対して非対称に大きく膨らんでいるところが多いはずだ。

料金所が混雑しているとき、プロのドライバーは一番外側(道路から最も離れた料金所)に並ぶ。それは、そこが一番速く抜けられる料金所だということを経験的に知っているからだ。もちろん、料金所がすいているとき(一台も並んでないとき)は、道路に一番近い料金所がもっとも速く抜けられるに決まっている。この、混んでいるときと混んでいないときの違いは、なぜ生じるのだろう?

混雑している料金所での車の動きは、流体力学で扱う必要がある。今回は、この種の問題を解くための流体シミュレータソフト(フリーウェア)を開発したので、発表しよう。真面目な目的にも使えるソフトだが、もちろんこのサイトでは不真面目極まりない問題にこのシミュレータを使おう。(ここからダウンロードできます。Windows用)

こういう外観だ。シナリオを選択し、「スタート/リスタート」ボタンを押すとシミュレーションが開始される。青い部分は流体(この例でいえば車)をあらわしており、時間につれて下から上へ流れていく。このシミュレータで実験してみたところ、僅差ながら右から2番目の料金所に一番最初に車(青)が到達するのがわかった。まぁ、ダウンロードして自分で実験してみてほしい。

このソフトの特徴は、流路の形を決めるシナリオファイルはただのテキスト形式であり、メモ帳やエディタなどで誰でも自由に設定できるので、自分でいろいろなケースを試せることだ。あなたも即席流体力学研究者になれる。

高速の料金所に似たものに、自動改札機がある。あれも、ラッシュ時の人の流れは流体力学に沿うだろう。だが、自動改札機はよく何台かが壊れていたり、あるいは誰かが期限切れの定期をつまらせて「ピーポーピーポー」と鳴っていることも多い。この状態をシミュレートしてみよう。

初期状態はこんな感じだ。一番下の青い部分が人をあらわしていて、上の方にある自動改札を通過しようとする。だが、困ったことに、一番右の改札は故障していて閉鎖されている。この時の人々の行動は流体力学ではどうなるのか?

うーむ、動画でないとなかなか表現しずらいのだが、閉鎖されている改札口を勢いよく目指していた集団は、改札の直前で右往左往。で、後ろ髪ひかれつつ、隣の改札に移るという状況が見事に再現された。なかなか感動ものである。

いろいろ意地悪もしてみたいところだ。例えば自動改札の問題で、一箇所以外すべて機械が故障しているとしたらどうなるか?

非常に綺麗な砂時計のように、人が改札から流れ出て行くのが観察できる。

一応、計算原理を述べよう。久しぶりに、このサイトの名物(?)の数式が並ぶが、無論内容を理解する必要などない。このサイトでは数式はイラスト(カット)の一種として用いられており、その美しい形や記号を鑑賞していただければよい。

まず、流体力学の基礎方程式はナヴィエ・ストークス方程式と呼ばれる。

これに連続の方程式とエネルギー方程式を連立してすべてが決まる。というと簡単そうだが、非線形偏微分方程式のため、解析解を求めるのは無理である。また頼みの数値計算も、ほぼ絶望的である。スーパーコンピュータとその専属技官の方々の存在理由は、この方程式を解くため(と、3DのCG美少女をリアルタイムで動かすため)だけにあるといえるほど難しい(笑)。

そのため、非粘性非圧縮流体の渦なし流れを仮定する。渦というのは、例えばお風呂の中で手を動かしたときにできる、あの「渦」のことで流体では一般的な現象だ。だが、料金所や自動改札でクルクル同じところを回っている車や人を見たことがないのを考えると、渦なし流れの仮定はリーズナブルであろう。(むちゃくちゃ車や人が密集した状態では、料金所や自動改札付近でも渦が見られるに違いない。人々が行き場を失ってうろうろしている状況すら、流体力学は予想するのだ。)

渦が無い場合は なので、

というただのポテンシャル(等高線)問題に退化する。これでようやく数値計算することができる。難しい話、終わり。

例えば最初に出てきた料金所の問題(左図)では、ポテンシャルは下のようになる(右図)。地図で見る等高線と同じと考えてよい。等高線の間隔が広いところでは速度が遅く、間隔が狭いところでは速度が速い。また等高線と直行する方向に流体は流れる。あとはこの等高線上に沿って流体を滑らせればいいだけだ。

 

(また、一つしか自動改札機が動いていない場合の人の動きのポテンシャル(等高線図)はもっと綺麗だ。これは別冊の方に載せておくので、興味がある方はご覧下さい。)

なんか今回は、とっても真面目な話になってしまった。実は、もともとこのシミュレータは、ある世界遺産を流体力学の原理で復旧させるのは可能なんだろうか?という大風呂敷を検証するためのものであった。今回はそこまで行き着かなかったが、まあ、このことを聞いてピンときた人は、シミュレータでいろいろ実験してみてほしい。そこから科学は始まるのだ。

※ 高速料金所・自動改札シミュレータVer1.0はここからダウンロードできます。LHAで圧縮されています。Windows用。

(R)

 

 

 

・王様の飲み屋さん3−最大ゲイン経営術の似非科学

今年はハッピーマンデーのおかげで正月休暇を長く取った人もいるだろう。その余波でまだまだ仕事にエンジンがかかっていないという方も多いかもしれない。新年会もたけなわ、まったりとした空気が流れるこの時期に、エンジン全開で突っ走らなければならない人たちがいる。

ということで、今回は「王様の飲み屋さん」の連載第3回だ。第一回「王様の飲み屋さん−外食産業の似非科学」で述べたとおり、このシリーズはある飲み屋さんの一日(年末の金曜日)を時間の経過とともに追っている。これまでの回を先に読んだ方がより楽しめるだろう。今回は、修羅場と化した厨房の様子をドキュメンタリータッチでお送りしよう。新年会の席では今回の話を思い出していただいて、厨房の様子に思いをはせていただければ、大変うれしい。

☆ 発注ミス?!

開店前、厨房は仕込みの真っ最中である。やっと5.07kgの鶏肉のカットが終了(前回「王様の飲み屋さん−厨房数学の似非科学」参照)。もちろん、その間にオーブンの焼き鳥を入れ替えたり、茹でているジャガイモを見たり、仕入れ業者の対応をしたりと大慌てである。同時に複数のことができないと、仕事にならないのだ。

さて、切り終わった肉を油で揚げる作業に入る。と思ったら、油がない!昨日、油を取り替えたんだった。業務用のフライヤーと呼ばれる揚げ物を揚げる機械は一斗缶2つ分の油が入るため、温まるまで時間がかかるのだ。

しまった!と思い油を取りに行くが、ない!油が来ていない・・・。うお、発注するのを忘れたか〜と疑ったが、前日にFAXで送った発注表を確認すると、ちゃんと発注してある。まさかと思って調べてみると、その仕入れ業者からの材料がまったくない。むお、忘れてやがる!

これは業者にとって致命的だが、こちらも痛い。1分が惜しい仕込みの最中に、油が来るまで何もできないのだ。早速、電話を入れると「もう出てます」との返事。本当にもう配達に向かっているのか不安だが、恐らく渋滞に巻き込まれているのだろうなと思いつつ、他の作業に入る。

気を取り直してミックスレタスを作ることにした。サニーレタス6個と普通のレタス6個をカットし、水に浸しておくのだが、サニーレタスなどは根本の部分に砂がたまっていることがあるので、ちゃんと洗ってあげなければならない。虫がついていることもあるので注意が必要だ。洗ってザルにあげると、その多さに驚く(レタス12個分!)。これがその日のうちになくなってしまうのは、とても信じられないが、人数が人数だけに、それでも足りなくなることがある。こうなると、その場でミックスレタスを作らなくてはならない。これは辛い。

また、やたらサラダのでる日は、だんだんとその量が減っていくことがある。あまりの忙しさに盛り付けの量がばらつくためだ。だが、これはレシピ通りに作っていないためで、もちろんルール違反である。これをやると、前回述べたように計算どおりの利益にならなくなってしまう。ミックスレタスが足りなくなった場合は、忙しさのピークがすぎるまでオーダーストップにしておく。

さて魚をさばく。イカはすでに切られているので盛りつけるだけだが、マグロ、タコ、ハマチはカットしなくてはならない。

魚は、まずハマチをさばく。骨が太いので大変だが、慣れているとあっさりできてしまう。この日は2尾から3尾が必要だった。マグロはブロックで届くので、これをサク(長方形の消しゴムのような形)にカットし、1人前ずつ切る。タコはそぎ切りする。タコは包丁の根本で切ってはいけない。包丁の先っぽが丸まっているタコを傷つけてしまうためだ(ご存知の通り、タコの足は茹でるとクルッと丸くなる)。そのため、包丁の先の方で丁寧に切っていく。

意外だと思うかもしれないが、エビはたいてい輸入の冷凍物で流水で解凍するのだが、殻をむくのがとにかく面倒だ。これが初心者には難しい。頭と尻尾を残しつつ、胴体の殻だけをむかなければならないのだ。力を入れすぎると頭がとれてしまうし、丁寧にやろうとすると恐ろしく時間がかかってしまうのだ。しかし慣れてくれば簡単にできるので、淡々とむいていく・・・。このとき、エビが卵を持っていたりする。これを集めて塩辛なんかにできるのだが、当然やらない(笑)。

サラダや刺身は、盛りつけた状態でラップしてストッカーに入れておけばすぐに提供できるのだが、これだけパーティーが多いとそのストッカーも満杯になってしまう。なので、ある程度はその都度盛り付けなければならない。これが辛いのだが、そのあたりは後々話していこう。

☆ 店長ご来店

そうこうしているうちに店長のご来店である。この店では店長が絶対の存在だ。一般的に普通のお店やホテルのレストランなどは調理長が神であり、絶対の存在なのだが、このお店は店長が経営者であり、調理サイドよりも力を持っていた。

経営上は、私もこちらのほうがいいのではないかと思う。このお店の場合、オーダーがピークになってしまうと厨房の人々は調理に夢中になってしまい、自分たちの都合でオーダーストップやお客様の入店を断ってしまう可能性がある。しかし、このあたりはホール側の腕の見せ所なのだ。どんなに料理の提供が遅くともいいというお客様もいらっしゃるし、お客様を見ていて料理が出てないなと感じたら、テーブルに向かい「ただいま大変混雑しておりまして」の一言で納得してくれる場合もある。実際にお客様をもてなしているのはホールで働く人々であるし、お客様やそのときの店の状態・流れなどを見ているだけに、状況判断が的確であることが多い。

なので、いつお客様の入店を断るのか、いつまでお客様をお待たせするのか、お客様からのクレームがないように店全体を監視している人が必要なのである。オブザーバーが作業をしていると視野が狭くなってしまい、結果的に店全体の機能が下がる。調理している人が調理に夢中になってしまう状況下では、ホール側が主導権を握って営業していくのがベストではないかと思う。もちろん、これは、この店の状況がそうなのであって、他店ではまた異なることを念のため記述しておく。

すると厨房の従業員がやってきて、なにやら電話している。聞くと、まだ材料を配達していない業者がいるらしい。あ〜これは問題だなぁと思っていると、店長とホール主任は顔を見合わせて、ちょっと含み笑いしている。二人とも冗談好きないい人たちなのだ(笑)。

再び電話が鳴っている。5名様のご予約の電話だ。前回説明した通り、今日は「8名席1つ、4名席が2つ、2名席が2つ」空いている状態だ。もちろん、ここでは断らない。おやっ?と思った方もおられるだろう。なぜなら、前回こう書いたからだ。

(6名様の予約の電話がきた)この時、実は8名席が一つと4名席が2つ、2名席が2つまだ空いている。4名席と2名席に6名は無理だが、8名席には6名入れられるはずだ。しかしこれはキッパリと断る

そう。つまりこの状況では6名様の予約はキッパリ断るが、5名様の予約はOKなのだ。これこそが飲み屋さん経営学の本質である。

なぜなら、4名席に5名様入っていただける可能性があるからだ。仕込みとの兼ね合いもあるが、何しろ前回述べた入店率との兼ね合いである。8名席に6名を入れるのは2名分のロス。だが4名席に5名を入れるのは1名分の場所を得することになるのだ。

お客様には満席であることを説明し、4名様の席が空いていてお誕生日席になるが(笑)、とりあえず座っていただけることと、もし他の席が空いたら席を移動していただける可能性があることを説明する。あくまで「可能性」だ。

すると、よほど困っておられたのか「それでもいいです」と即答された。そこで厨房の仕込み具合を考えて、コース料理ではなく一般のお客様としてご予約させて頂いた。

コース料理か一般メニューかについても計算式がある。一般的にコース料理をご予約頂く方が一人当たりの売上(平均客単価)が高くなる傾向がある。例えば3000円のコース料理+飲み物ということであれば、お支払いは4000円以上にはなるだろう。このお店の平均客単価は3500円程度なので、材料費との兼ね合いもあるが、一般的にはコース料理をご予約いただいたほうがお店にとっては効率がいいのである。

今回の場合は仕込みの都合から、コース料理ではなくて一般メニューにしていただいた。だがこれで問題はない。コース料理のご予約での支払いが4000円として4名様で16000円余り。ところが、一般メニューの平均客単価3500円で5名様でも17500円の計算になる。しかも、これが4名席なのだから効率がいい。依然として、お店にとっては「おいしい」お客様なのだ。

6名様はお断りし、5名様は喜んでお迎えするのだから、このあたりは非常に微妙である。これを読んでいる皆様も、お店のレイアウトを把握した上で予約するところを決めるのをお勧めする。忘年会・新年会シーズンは、席数20の部屋がいくつか空いていても、仮に22名なら予約してもらえるが、15名だとNGかもしれない。入店率の関係である。逆に、16名の部屋であれば、22名はきついが、15名ならぎりぎりOKなこともある。繁忙期は需要が大きいだけに、供給する側もお客様を選んでしまっているのが実状だ。(BGM: 尾崎豊 「卒業」

そんなこんなで、やっとセッティングが終わりそうだ・・。店長は新聞を読んでいるが気にしない気にしない・・・・。

つづく

(OG)

 

 

 

・パソコン購入5年周期の法則の似非科学

さて、ボーナス商戦たけなわの今日この頃、IT革命の言葉に踊らされてパソコンを購入した人はどれくらいいるのだろうか。購入した人は

絶対見ないでください胃が出血します

そう、今年の冬はパソコンを買う時期ではない。太陽の黒点周期と同じように、パソコンを買うべき周期というものが世界には確実に存在する。長年の周期分析からその根拠を明かしてみよう。

さて、まず普通の場合、パソコンの購入は広く浅めの動機である。浅めの動機とは、ビジネスソフトが動いてデジカメのデータが扱え、”午後3時”フォーマットの音楽データを拾ってくるときに苦労しない、などである。あるいは

といった間違っても専門的な領域での使用が動機ではない、ということである。

さて、このような前提のもとにどのようにしてパソコンを選ぶか?昔であれば、パソコンのカタログを集めて性能をあれこれ比較して、値段を比較して選ぶことになろう、だが

そんな20世紀の遺物は終わった

ではどうやって選ぶのか。まず金を用意しよう。ノートを買いたいという人は25万、デスクトップを買いたいという人は20万程度である。この金が工面できない場合はパソコンを買わなくていい。あせらなくていい。次の購入最適周期が来るのは、来年の夏以降の話だからである。

では、いったいなにを比較して買うというのだろうか。それはずばり、価格帯縛りである。

でもっとも安定したパソコン+外部記憶装置を買うことが目標である。

余談だが、この価格帯については賛否両論あろう。今の市場には10万円程度で買えるパソコンもある。だが、そういう激安パソコンを買いたいと思っている諸兄は、問答無用で「がんばれSOTEC」(メーカーとは関係ない個人サイト)を一読すべきだろう。これらの激安パソコンが安定して動き出すには、おそらくトータル8日間(一ヶ月分の休日)を消費することになる。つまり、一日10時間として80時間だ。これをあなたの時給に換算して損得計算する必要がある。サラリーマンであれば−10万円というところか。つまり価格で10万円得した分を、購入後の労働で返さなければならないわけだ。(もちろん、学生諸君であれば時給700円というところだろうから、ねらう価値はある。) ただし、いかにメンテしたとしても、もつのは三年程度である。(コアな人を除く)

本論に戻ろう。では前述の動機を元にするとどういったパソコンが安定しているというのか、これは3つのポイントがある。

そして、基本OSとビジネスソフトは某悪の帝国は1年交代で出してくるので1世代は2年だ。だから2世代=4年経つと大体いい感じに更新されてバグも取られたものがプリインストールで現れるわけである。さらに、安定したCPUが目標価格帯に下りてくるのに1年。これがパソコン5年周期購入説の根拠でもある。パソコンに記録される情報がますます重要になる昨今、買い換えながら使うよりは陳腐化しにくいモデルを買ったほうがよいのである。(載せ換えが非常にたいへんなため)

この法則を現在の市況にあてはめると、まず、ウィンドウズMeが発売されて1年経っていないというのが問題である。もっともWin2000を使うということであれば現在でも買う時期にあたるのかもしれないが、家庭用の主流はMeの方なので(画像の対応、対応ソフトの多さ)まだ待ちと判断する。そして、オフィス2000はサービスリリースが入ってくるのを目安とする。

次にハードであるが、ノートとデスクトップでは若干ずれている。ノートは、現在はまだ高い価格帯のペンティアムIII-600Mが、2002年くらいに25万代に落ちてくるだろうし、待てないひとはセレロンでもよい。ただしDVD-R実装で外付けCD-R/RWというパターンになろう。デスクトップは2001年の秋モデルからが期待できそうだ。現在この価格帯でもっとも売れているモデルに合わせてCD-R/W+DVD-Rが出揃ってくるので、その型落ちあたりをねらいたい。そうなると、2001年の秋か2002年の冬・春モデルに食指が動きそうである。できればオフィス2002(発売されなかったらすまない)がプリインストールされる直前がいい。

結局ソフトとハードが安定していると自分なりのカスタマイズや周辺機器の購入で大体3年くらいかかり、最後の2年が化石とよばれながらも結構自分なりに使いやすいパソコンになる。そしてまた新たなマシンの購入、という形である。どんな高額のマシンもどうしても5年の周期は逃れないところである。それなら、一定の価格帯のお金を用意して定期的に買い換えたほうがよいのである。

カタログを使わずに周期だけで購入選択できる理由として、カタログ上のスペックの差異がパソコンの使い勝手にほとんど影響しなくなったことが上げられる。8ビット時代のようにマシンが違えばOSも違い、友達とファイル交換もできない、というほどの差がなくなってしまったためである。

HDDディスクも15Gとか20Gになると、こんなのにデータを集中させたらどうなるんだろうという危険な領域の容量である。家庭ではバックアップが出来ない。もともとHDDディスクには使用時間の限界が存在するのだから、当研究室ではいまだに外部メディア(仕事用ならMO、遊びならCD-R)に保存することを薦めているくらいである。いくらオフィスが超肥満体であろうと、現在のHDDには十分搭載できるので、アプリとOSだけパソコンに乗せる場合にはHDDの容量はほぼ完成のいきに達したというべきだ。それ以外に必要なのはデータ領域であり、CDをCD−Rに私的に録音するときにHDDの容量を使うのでそこを確保するくらいであろう。

注意しなければいけないのはこの価格帯にいて実は割高なバイオノートである。バイオはかならず、その価格にCD-Rドライブを追加して計算するようにされたい(非搭載モデルがあるため)。それ以外のメーカー品は搭載される必須周辺機器(CD-R/RW、DVD、モデム、USB、PCカード、メモリー)にさほどの差はないので、普通に使う分には問題がない。もしもカタログで見るならそれは重さくらいのものであろう。特にデスクトップで17インチ以上のブラウン管式モニターの商品を見たときは、必ずディスプレイの重さをチェックするように。自分が5年後もそれを楽に取りまわせると思ったとき以外は購入しないほうがよい。

このようにカタログで比較するポイントというのはほとんどない、という理由がおわかりいただけたかと思う。

★ 最後に

ではパソコンは5年後にどうなっているだろう。それを考える前に家庭向けパソコンがどうなっていくべきか、ということを考える。

情報整理学的にはすべての情報を単一のメディアで扱えるに越したことはない。文字、画像、映像、すべてをHDDの上で扱える…そう、パソコンはホームサーバーへと進化していくのは間違いがない。すべての人の記憶は嗅覚、味覚を除いて外部化され、共有可能性を持つだろう。家庭にホームサーバーを置いて、必要な情報だけを携帯またはPDAまたはノートパソコンに持ってきてブラウズする、という使い方になろう。そこでブルートゥールスやADSLの普及も願いたいところだ。現在でているDVDレコーダーとパソコンの融合、ここも5年後には期待したいところである。ここがどうなるのかが、5年後のパソコンで回答が出ていることを祈りたい。当研究室では2002年にはその回答が出ているだろうと予想していたが、いまだに現在のパソコンでも満足のいくスペックとはいえなかった。が、この問題も5年後には解決するだろう。

ただ、そのころにはパソコンの廃棄の問題が今以上に出てくるので、廃棄の対応のしっかりした店を選んでおかなければならない。容器リサイクル法が施行される昨今、スペックより廃棄可能性を考えることも重要である。回収業者も現れているが、ここも普及してほしいところである。

ああ、まだまだパソコンに詰められた夢、期待される課題はたくさんあるのである。

(M)

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