魅惑の似非科学

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12/17/2003 平成仮面ライダーの真の野望の似非科学

12/2/2003  HomeStyleの似顔絵機能で心霊写真を創造しよう!の似非科学

11/10/2003 Office2003System速攻レビューの似非科学

10/15/2003 まごころを運ぶんだ!10t箱車のドライビングテクニック(魚編) − 頭文字Tの似非科学

10/6/2003 イビキ防止グッズと家庭崩壊の日々の似非科学(前編)

9/24/2003 Office2003と官房長官の似非科学

8/24/2003 頭文字T 緊急号外〜プロドライバーが飲酒運転をするときの似非科学

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・平成仮面ライダーの真の野望の似非科学

現在テレビで放映されているトレンディードラマの中でもっとも面白いものは、実は「仮面ライダー555(ファイズ)」であろうと言われているのを、読者の方々はご存知だろうか。

仮面ライダーシリーズといえば、筆者の世代には、ウルトラマンと双璧をなす特撮ものの代表格であり、わかりやすい話の構成と派手なアクションが売り物の子供向け番組であった。だが、近年の仮面ライダーシリーズは明らかに異なった方向を模索している。筆者の独断で言わせてもらえば、近年の3作品、「仮面ライダーアギト」「仮面ライダー龍騎」「仮面ライダー555」でその傾向は決定的になったといえるだろう。

ネタ晴らしになるので詳しい内容を述べられないのが残念だが、たとえば、この中のとある仮面ライダーの場合はこうである。登場人物は唐突に変身できるようになるが彼はそれを疑問もなく受け入れる。怪獣は毎回死んだりせず逃げおおせて、その後何回も登場する。仮面ライダーも一人ではなく仲間がいる。中には強くない仮面ライダーもいて、毎回怪獣にやられている。仮面ライダーと怪獣は実は友達で、私生活では悩みを相談しあう仲である。仮面ライダー同士、あるいは怪獣同士で仲間割れして戦うこともしょっちゅうだ。時には、仮面ライダーと怪獣の共通の「敵」に対して怒りをぶつける。そして、これらの複雑な状況をつなげる伏線がいたるところにちりばめられ、また男女の愛憎劇や大人のユーモアも随所に見られ。。。

という具合に、もはや正義と悪の戦いといった単純な構図など、現代の仮面ライダーにはないのである。「仮面ライダーアギト」では正義と悪の構図は残されており、わずかにその世界観だけがあいまいな境界を持っていた。その次の「仮面ライダー龍騎」では、かろうじて残っている正義と悪の戦いは、話の本筋から言えばどうでもいいところに追いやられ、まったく別の世界観がテーマに躍り出る。「仮面ライダー555」は現在放映中だが、もはや明確な正義と悪などといったものは存在しない。むしろ青春群像を描いたトレンディードラマ、あるいはさまざまなしがらみの中で生きていく仮面ライダーと怪獣たちへの共感ドラマに近い。

子供番組の枠の中での実験的脚本・演出が試されるのはなぜかという疑問に答える前に、最近の仮面ライダーシリーズで見られるマーケティング戦略上の工夫を見てみよう。子供向け特撮モノ番組のミッションは昔からひとつで、

とにかくオモチャを売れ

なわけだが、その方法にも微妙な変化が生じている。「仮面ライダー龍騎」では物語の中心となるアイテムはカードデッキ(マジック・ザ・ギャザリングのような)であり、仮面ライダーのキャラクター人形のほかにカードゲームをはやらせようという意図は明らかだ。また、「仮面ライダー555」でのアイテムは携帯電話である。作中でもいたるところで使われる携帯電話は、もちろん協賛企業のV社のものであろう。このように、キャラクターグッズ以外のものを売り込もうという戦略が大々的に使われている。

さらに重要な戦略転換が行われている。それは、

長引く不況の中、所詮子供の小遣いなどたかが知れている(税金でも家庭でも結局は弱いものにしわ寄せが行くのである)。それを嘆くよりは、直接財布(母親)に働きかけよ。

「仮面ライダー555」になってから、脚本を大人(特に若い主婦、OL)向けに大改造してきたのは偶然ではない。実際、主人公の男の子にはため息が出そうな「イケメン」が抜擢されており、うちの奥さんもキャーキャー言いながらテレビを見ている。そして、仮面ライダーグッズ(変身ベルトやDVD)をコンプリート(=大人買い)していくのだ。子供へのプレゼントと称して。

この試みは大成功しているといわざるを得ない。実際、子供がお小遣いで買おうとするなら、せいぜい変身ベルト1つが関の山であり、2つ目を買おうとするころには番組が終わっていたりするのだが、経済力を持つ大人にとっては全種類一度に購入するのはわけもない(ブランド品のカバン等の値段を考えれば、ゴミのような値段である)。また、子供はDVDを欲しがらないので(子供はテレビで一度見れば満足なのであり、画像を自分の手元に独占したいという気持ちは薄い)、DVDを売ろうとするならば独占欲を持つ大人を狙うのはうまい作戦だ。

このように、今の仮面ライダーのプロデューサー(?)は非常に良い仕事をしていて、筆者はとても感心している。そして、相当頭がいいんだろうなと推定する。となると、筆者の想像になるが、おそらくそのプロデューサーは仮面ライダーに「ある団体」を倒させようとしているのだろうなと感じている。その団体とは、

PTA。

不況の中、結局はオモチャを買わせることが至上命令の現代の仮面ライダーは、そのままではPTAにはウケが悪かろう。だが、PTAの中でももっとも多数派を占める層(若い主婦層)を、甘いマスクミステリアスな脚本でメロメロにしていくのだ。つまり、平成仮面ライダーとは、文字通り甘い「仮面」を使って主婦とOLを倒していく、実に平和的な悪の手先だったのである。

(MA)

P.S  仮面ライダー555(http://www.tv-asahi.co.jp/555/)は日曜の朝8時からテレビ朝日系列で放映されています。前知識なしでいきなり見てみましょう。筆者の言いたかったことがよくわかるはずです。

P.S.2  関連する話題としては魅惑戦隊エセレンジャー2100の似非科学鉄郎、999に乗りなさい〜蒸気機関車の唯一の自由度をめぐる似非科学も未読の方はこの機会にどうぞ。

 

 

・HomeStyleの似顔絵機能で心霊写真を創造しよう!の似非科学

さて、Microsoft Office 2003には、WordやExcelといったおなじみのラインアップと並んでHomeStyleという製品が追加されている。HomeStyleはUSA版Office2003には含まれておらず、日本独自の機能である。そのため、日本のPC雑誌のレビュー記事にはあまり載らないだろう。なぜなら、日本のPC誌のレビュー記事は、外国雑誌のレビュー記事のレビューが多かったりするからだ(試用しなくても記事が書ける)。

だがこのHomeStyle、おまけと呼ぶにはなかなか遊べる機能があるので、このサイトで徹底的に紹介してみよう。(なお、今回用いたのはOffice2003 Professional Editionに添付されていたものである。)

まず一言でいうと、HomeStyleは「似顔絵作成プログラム」と言ってよい(注:かなり偏っています)。なぜこんなジャンルのソフトがOffice2003のラインアップに入っているのかはちょっと不思議だが、遊べるから許す。では順を追ってご紹介しよう。

HomeStyleでインストールされる容量はだいたい90MBであり、最近のOfficeシリーズに比べると小さく感じる。なんと再起動すらもいらない。インストールが終わると、下記のようなメニューウィンドウが現れる。このパステルカラーの配色自体、MSらしからぬカラフルさである。

そしてアウトルックの概観が変更される。

そう、HomeStyleとは、本来Outlookを拡張する製品なのだ。ケータイ連携、ビデオチャットメール、などの付加機能がOutlookに追加される。

だがなんといっても、HomeStyleの真髄は似顔絵製作ツールだ。今回は、この一点に絞って徹底的にレビューを展開したい。

★ 似顔絵ファイル

HomeStyleによる似顔絵の詳しい手法はhttp://www.microsoft.com/japan/users/2003/002/001.aspxで説明されている。要は、JPEGなどのデジカメ画像をこのツールに読み込ませ、輪郭を補正すれば、漫画調の似顔絵が自動生成されるというものだ。

このWebでの説明もまた、MSにしては珍しく親切で、わかりやすい。手順どおりに作成するとほぼ間違いなく似顔絵ができる。筆者の顔で実験した限りではかなり正確にイラスト化できる。過去のすべてのMS製品のなかでもっとも正確で確実な日本人向け機能ではないだろうか。

さらに余談だが、HomeStyleのヘルプは妙に日本語がこなれている。MS製品にしてはかなりの違和感がある。

ということで、似顔絵機能を本来の目的に使うのであれば、何も迷うことはないし、ほぼ目的の似顔絵を手に入れられるであろう。詳しくはhttp://www.microsoft.com/japan/users/2003/002/001.aspxをごらんあれ。

しかしまあ、普通に使うだけでは面白くないわけで、ここではいろいろなものの「似顔絵」を作成してみた。

実験1 無機物に表情を

本来HomeStyleには人間の写真を読み込ませるものなのだが、まずはなんてことのない景色を食わせてみる。

HomeStyleは、この風景画から一生懸命「人間の顔」を探し出そうとする(自動)。

HomeStyleによると、どうもこの風景画の図のところに「人間の顔」があるらしい。何を見つけてきたのか不明だが、「次へ」ボタンを押してみると、

ああ、なんか怖い。心霊写真探しソフトに使えそうだ。得られる似顔絵は、

何の変哲もない風景画にこんな心霊写真が含まれていたとは。。

実験2 食パンとギョーザ

あえて何も言うまい。

HomeStyleは人間の顔(らしきもの)を見つけると、目鼻・口を自動的に探そうとするが、上図のようにあまりに人間と食い違うとずれている。マウスを使って目と口の位置を調整する。

このように調整した後で「次へ」ボタンを押すと似顔絵が出来上がる。

「食パンとギョーザ君」

実験3 人面猫

知り合いの飼い猫の写真をメールで送ってもらい、HomeStyleにかませてみた。この猫の顔を無理やり人間にすると次のようになった。

「人面猫」

ああ、なかなかモデルの猫に似ている。特に目鼻の調整をしなかったので、オリジナルに近いような気がする。

手持ちのいろいろな写真でいろいろな動物の似顔絵を作ってみたが、ポイントはやはり前向きの写真を使うことである。でないと、背中を似顔絵化(背後霊?)するときがある。この手のペットイラスト化ソフトは今後増えていくことだろう。

実験4 集合写真を食わせるとどうなるか

複数人で一列に並んだ写真をHomeStyleに食わせてみる。当然ながら、そのうちの一人の顔にフォーカスがセットされるわけだが、どの人間の顔に自動フォーカスするかは謎である。筆者の顔などでいろいろ実験した限りでは、フォーカスのアルゴリズムは、一番顔がでかいか、もしくは顔がテカっている人間を最優先にフォーカスするらしい。女性の集合写真でこれをやると顰蹙を買うので注意が必要だ。

★ 最後に

HomeStyleのOutlook 似顔絵と絵文字のツールを使用するためには、Microsoft .NET Framework 1.1 をインストールする必要がある。

ところで、作成された似顔絵を見る限り、どうもアジア人、特に日本人だけに特化したデータが中心と思われるのが残念である。アメリカ人の写真を雑誌から持ってきてみても当然ながらアメコミのような表現はできず、いまひとつ雰囲気が出ない。また、Officeのことなど忘れて、もう一歩踏み込んで「萌え系」似顔絵や「劇画調」似顔絵の追加データもほしいところだ。多彩な漫画表現に慣れ親しんだ日本人には非常にウケル機能になると思うのだが、いかがだろうか。

(K)

 

 

 

・Office2003System速攻レビューの似非科学

さて唐突だが、筆者もいろいろ迷った末、Office2003にアップグレードしてみた。

フルインストールに必要なHDD容量は882MBであり、昔のMicrosoft Officeがフロッピーディスクで配布されていたころを思い出すと隔世の感がある。Typicalインストールなら必要なHDDはもっと少ないが、新しいHDDも増設したことだし、とりあえず「全部入り」を選択してみる。インストールにかかった時間はだいたい30分くらいだった。

ただし。Office2003ではProfessional Editionですら、ホームページ作成ソフトFrontPageが含まれていない。その代わりにマーケティング資料作りソフトのPublisher2003が入るという、うれしいんだかうれしくないんだか、よくわからない構成になってしまっている。個人ユースで考えれば、ホームページ作成ソフトがおまけでも入っていればうれしい人も多いと思うのだが(事実、IBMホームページビルダーの好調なセールスを考えると、国内でもかなりのマーケットが存在しているはずだ)、Microsoftはそれをかたくなに拒否している。昔はOSに添付されていたFrontPage Express(FrontPageのサブセット)も、今ではサポート外である。なぜか。

やはりそれは、MS的にHTMLではなくXMLを推進するためということになるのだろう。WordやExcelがXML対応を声高に叫ぶ中、HTMLベースのFrontPageはMicrosoft社内でも方向性を見失っているのかもしれない。「勝てなかったらルールを変える」ためにHTMLを駆逐し、MS方言のXMLを広めたいということなのだろうか。たとえホームページ作成ソフトの市場を短期的に捨てても、だ。

※ そしておそらく、MS-XMLが市場を制するまでの場つなぎとして、「WordがHTML形式で出力できるからいいでしょ?」と強弁するつもりなのだろう。あのむちゃくちゃなタグを挿入してくる、地球に優しくないWord風HTMLであっても。

XMLによるデータ交換・システム全体の統合が前面に来ている今回のアップグレードにおいて、過去のバージョンアップとの違いを端的に述べれば、、

となるのだろう。

一方で個人ユース面ではどうか?パソコン雑誌等のレビュー記事では「MSは個人ユーザーを捨て、大規模アカウント重視に移った」と書いてあるが、少し違うように思う。この点に関して2つの点が目に付く。ひとつは個人ユースの機能 が分離したことだ。

今回のOfficeの一連のラインアップには、HomeStyle+という製品が加わっている。この製品はOffice2003のアドオンとして機能し、デジカメ写真から似顔絵を自動生成するソフトや、Outlookにビデオメール機能を持たせるソフト、IMEの最新語辞書などが含まれており、完全に個人向けだ。このうちで似顔絵自動生成ソフトはなかなかの出来栄えで、似非科学でもいろいろな実験に使えそう である。

このように、個人向け機能がわざわざWordやOutlookから分離したのは、ひょっとしたらプレインストールPCのためかもしれない。大口アカウントのお堅い会社におろすPCに「似顔絵ソフト」はまずい。一方で、家庭向けPCには欲しい機能でもあろう。いずれにせよ、日本独自の機能のようで、外国のレビュー記事の翻訳ばかり載せているパソコン雑誌では説明されることはない。

もうひとつの個人向け機能。。。というか正確には機能ではないのだが。。。に、ユーザーフィードバック機能がある。具体例を見てみよう。Office2003でヘルプ表示を使うと、その情報が役に立ったかどうかを聞いてくる。

これで「いいえ」を選択する。すると理由を選択する必要に迫られる。

さらにどの理由を選んでも750文字以内で意見を強要される。

この機能、最初はおもしろかったので情報をまめに送っていたが、さすがに2時間ほどで疲れてきた。。。「いいえ」を選ぶとどう「いいえ」なのか、さらに750字以内で理由を書けとか。。。いつからMicrosoftは高校の国語の先生になったのだろうか。これではヘルプをヘルプしているだけ、筆者はちっともヘルプされていない。なんというヘルプ機能だ。

おそらくほとんどのユーザーはめんどくさがって「はい」を選ぶだろう(理由や作文をしなくてすむ)。そうすると「はい」ばかりのアンケート結果が集まるわけだが、これだけ人に無理やり意見を求めるのは役に立たないと思うんだけど、ビル。

もうひとつ不思議なのは、なぜ750字なのかということである。日本語なのだから800字(原稿用紙2枚)にするのがいいと思うのだが。ああ、こんなことを考えていると余計ヘルプに時間を取られてしまう。きっと「ビルゲイツは馬鹿」の類のコメントが、Microsoftのサーバーにあふれかえることになるのだろう。

HomeStyle+の似顔絵機能にせよ、ヘルプのフィードバック機能にせよ、Microsoftは過去のお堅いイメージを払拭して、われわれユーザーに対話を求めてきているような気がする。しかも750文字で。そのぎこちなさは、火星人が初めてわれわれにコンタクトを求めてきたような印象すらあるのだが。。。ここは生暖かく見守ってあげることにしよう。

(K)

 

 

 

・まごころを運ぶんだ!10t箱車のドライビングテクニック(魚編) − 頭文字Tの似非科学

★はじめに

頭文字Tシリーズでは、いままでバストレーラーなどの運転技術を発表してきた(たまにラリーの話もあったが)。今回より、10t車に乗っていたころの話を書き綴っていこうと思う。思えば、10t箱車に乗っていたとき筆者は非常に若く、またいろいろな経験をした。今、まさにその当時のいろんなことが頭の中に浮かんでは消え、筆者もこの連載を書き進めるのは大変楽しみである。

筆者のポリシーとして、いわゆる暴露話系の連載にしようとは思っていない。よく仕事の裏事情を暴露しているHPがあるが、そのようなことは他のサイトにお任せしよう。筆者は、そのときに得た経験を面白おかしく紹介できればそれでいいと思っている。過去の苦い経験が後に笑い話になったからこそ、このような形で紹介できるのだと思う(しみじみ)。

※ 実際、暴露話系の読み物は後味が悪くて、エンターテイメントには適さない。筆者も過去に書いた原稿の中に、暴露話中心になったためお蔵入りさせた原稿がある。

それでは、大型連載(トラックも大型なだけに)「まごころを運ぶんだ!10t箱車のドライビングテクニック − 頭文字Tの似非科学」の始まりである。

★初めての10t車

トラックの車軸と積載の似非科学でも紹介しているが、トラックにはさまざまな種類がある。初めて乗った10t車は引きずりタイプの箱車で、冷凍車だった。4t車を運転していたときはスーパーの配送を主に行っていたが、今回10t車に乗るということでもっと大きなものを運ぶんだろうと思ったら大間違いだった。引きずりの10t車で冷凍仕様、何を運ぶのかわかる人ならわかる。

★魚、魚、魚!

そう、魚それも鮮魚である。4tから10tにステップアップ(いろは坂を観光バスで攻めるドライビングテクニック − 頭文字Tの似非科学参照)するとき、ちゃんと仕事の内容を選んで10t車に乗ろうと心に決めていたのであるが、4t上がりで10tに乗ったことがないような者はなかなかおいしい仕事にありつけない。やっとの思いで見つけた10tの仕事は、やはり厳しいものであった。

筆者が10t車に乗っていた当時、鮮魚を運ぶ仕事は4tの仕事のほうが儲かるというのが定説で、10t車を転がしているような人はあまり周りにいなかった。これには理由がある。4t車だと高速道路では普通車扱いなので最高速度100km/hまで出すことができる。しかし10t車は最高速度が80km/hと定められているため、輸送に時間がかかる。(しかしこれはあくまでも法定速度の話であり、実際の運行速度となると当然それを上回るようなスピードで走っている人が多かった。)

なぜ4tのほうが良いかというと・・・荷物は発泡スチロールに入った氷漬けの鮮魚を手で積み込む、いわゆる手積みだからである。4tだと荷台のカサ(箱の大きさのことね)が決まっているため、おのずと詰め込める量が決まってくる(注意:これは最大積載量のことを言っているのではない)。すると車があまり重くならないため高速をかなりスピードを出して走ることができ、1日に2回くらい仕事をこなして稼げる。しかし10t車だと、箱の長さは幅10m・高さ2.8mもあり、相当の量を手積みすることになる。つまり、10t車だと積み込みに時間がかかり、1回あたりの仕事量は4t車より多いかもしれないが、10t車で1日2回同じ仕事を行うのは難しいのだ。

氷漬けになった魚が入った発泡スチロールの箱を10tの箱いっぱいに詰め込む(手積みで約7,000箱!)と、もう手があかぎれになって地獄である。また積み込みを行うとき現場の漁師さんたちが手伝ってくれるのだが、気性が荒い人が多く、積み込みをアオるのである。このアオるというのは「さっさと積み込め!」という意味である。

やっとの思いで魚を箱いっぱい(トラックの荷台のことね)に積み込むと、いよいよ出発である。

★出発!でもその前に・・・

積み込んで後ろの観音(=トラックの荷台の後扉を指す。由来は扉が観音開きだから)を閉めていると、漁業関係の人と思われる人から「おい、兄ちゃん、これもってけや!」と新鮮なふぐ一匹をいただいた。だが、いただいたところで料理するというかサバくことができないので非常に困ったが、むげに断るわけにもいかないので、

「ありがとう!(元気)」

と返事をして、いただいたふぐ一匹をトラックの荷台に乗せた。

別の時には、ほやを1箱(12個いり)をくれた。あのオレンジ色の物体である。わたしはほやがあまり好きではないので、これも処理に困った。

とはいえ、無理難題のいただき物ばかりではない。時々イカとか筆者の好物をくれたりしたので、持ち帰ってご馳走になった。それ以外のものは近所の猫にあげた(ふぐを食べた猫がどうなったかは知りません。翌朝ふぐはえさ置き場からなくなっていました。きっと誰かが食べたのでしょう)。

このように魚を運ぶ仕事をしていると、ご当地の新鮮な魚介類が食べられる。すると舌が肥えてしまい、適当な居酒屋やちょっとした高級料亭でも刺身系の料理を食べると、筆者自身心の中で「大しておいしくないな」とつぶやいてしまうのである。おかげさまでスーパーで売っている刺身は絶対に買わなくなってしまった(鮮度がダントツに違うため)。

ちなみに、魚は、漁港で水揚げされたものがセリで落とされて、その後市場へ運ばれ、その市場で改めてセリに出されて、最後に小売店に並び、消費者に届く、という感じになっている。筆者は地方で水揚げされたものを都会の市場まで運ぶという仕事をした。漁港や市場は、普通の人達にとって非常に行きづらいところだと思うが、朝のセリが終わったときにでも足を運べば、誰でも余った魚を買うことができる。ただし、まんま魚一匹くれるので、魚をさばく自信がない人にはお勧めできないが。

漁港で魚を買うのにお勧めな人は釣り人だ。釣りに出かけたはいいが釣果は「0」、坊主だったら、まず漁港に足を運ぼう。すると残った魚が数匹くらい生簀で泳いでいる。その余った魚を漁港で買って、家では「今日は釣れたぞ!」と家族に自慢するのがよろしかろう。漁港に残っている魚の商品価値自体は低いが、普通に釣ろうとして釣れる代物ではないので、家族がびっくりするくらいな代物が手に入ることがある。

※ ここでの注意事項:魚が余っているからといって間違っても「あんこう」とか「ひらめ」とかを買わないようにしましょう。「あんこう」なんか持ち帰っても誰もさばくことができないと思います。また本当に釣ったのか怪しまれます。「ひらめ」も同様。家族に怪しまれないような魚を漁港で買いましょう。また、漁港はその道のプロの戦場です。決してマナー違反をしないように。

おっと、話がだいぶそれてしまった。本題に戻そう。

★出発

当時、最大積載量の規制はあったものの取り締まりはそれほど厳しくなく、10t車にものすごい量を詰め込んで運転していた。経験者ならわかっていただけるであろう。もう車が重くて重くて動かないのである。よく乗用車のクラウンに大人5人が乗って、リヤサスが沈みきっているのを見たことがあるだろう。まさにトラックでも同じ状態になるのである。

しかし、筆者が乗っていた10t車はリヤサスにスペシャルチューニング施されており、ものすごい量の魚を積んでも「見た目は」サスが沈んでいるとは見えないようになっていた。その代わりフロントサスのチューニングが甘く、前のめりな状態になる。

なんともまぁ、変な格好である。なにかそこら辺の小僧車のようにリアがカチアガってかっこ悪い。これでリアウィングでもつけたら本当にトラック版小僧車になるかな。

さて、観音も閉めたことだし、出発するとしよう。エンジンをかけると冷凍装置も同時に動き出す。「グゥォーン」という唸りが冷凍装置から聞こえる。いよいよ出発である。

(T)

 

 

 

・イビキ防止グッズと家庭崩壊の日々の似非科学(前編)

さて。人間の眠りがなぜ必要なのかということは、いまだ科学の謎とされている。一般には、体がメンテナンスモードへの切り替えを行っているというのが有力だ。実際、睡眠時には自律神経が交感神経から副交感神経へ切り替わり、また脳の中では短期記憶長期記憶へ転写する作業が行われている。これをPCの世界でたとえれば、睡眠中にはウィルスチェッカが作動してファイルシステムをスキャンし、またRAM上に蓄えられたディスクキャッシュがHDDに書き込まれるフラッシュ動作をしていることになる。

人間の体が起きている時間にメンテナンスモードに移行できないのは、PCの例で考えれば明白だ。WORDで文章を書いているときにいきなりウィルスチェッカがディスクのフルチェックを行い始めたら仕事は滞る。またディスクキャッシュが常にフラッシュ動作を行えば、PCの速度は何世代も前のスピードに逆戻りする。いわゆる、ハードディスクガリガリ状態になるわけだ。思えばSmartDrive(MSDOSにバンドルされたディスクキャッシュツール)が最初にMSDOSに搭載されたときの感動は忘れられない。筆者は仕事上今なお、MSDOSをたまに使うのだが、その際に真っ先に行うのはSmartDriveの登録である。これがないと、たとえ最新のPCであってもMSDOSは使い物にならない。

ということで、睡眠の大切さを知っている筆者は、実はかなり長時間の睡眠を必要とする。筆者自身のベスト睡眠時間は9時間である。8時間以下だと日中も眠いし動悸がする。10時間以上寝ると、今度は脳が酸欠になって頭が痛い。だが忙しい実社会に適合するには9時間も眠れるわけもなく、だましだまし体を使っているという状態だ。

そんなわけだが、ここ最近の体調不良で筆者の体には少し変化があったようだ。以前は

「死んだように寝ていた(妻談)」

のに、最近はイビキがうるさいらしい。同じ部屋では眠れないほどだそうだ。本人にはまったく自覚症状がないのだが、妻は別居(!)を真剣に考え始めたようだ。まずい。これは研究室存続の最大のピンチといえよう。ということで、筆者は似非科学の総力を結集してイビキに挑むことにした。

イビキというのは、睡眠時に筋肉の緊張が解け、肉が垂れて咽喉の部分が狭くなり、呼吸する際に震えて出る音のことである。イビキを図解で説明しているWebサイトは多いので、詳しくはそちらを参照していただきたい。軽度のイビキはそれほど問題がないものの、重度のイビキは無呼吸症候群を引き起こし、一部の脳の細胞を死滅させるという大病の原因になる。筆者も昔からこのことを直感的に知っていたのだが(睡眠が脳に与える影響というのは高校生のころから興味があった)、高校当時は

「死んだように寝ていた(母談)」

ということなので特に気にしていなかったのであった。

さて。イビキを治療するには、耳鼻咽喉科に併設されている「イビキ外来」を訪ねるのが正しいが、実は世の中にはいろいろな「イビキ治療グッズ」が販売されている。これがまた、どれも怪しいものばかりで、筆者の興味をそそったため、まずはいろいろ試してみることにした。


[イビキ治療グッズあれこれ]

まず代表的なグッズには鼻穴を広げて鼻呼吸を楽にするタイプがある。


[鼻呼吸支援タイプ]

このタイプには2つの種類がある。ひとつは鼻柱を締め付けて鼻孔を広げるもの、もうひとつは小鼻の外側を押し広げるものである。鼻が詰まり気味の人は自然と口呼吸を行うようになるため、イビキを重度化しやすいと言われている。それを防ぐためのグッズである。

さて、気になる装着感だが。。。思っていたほど違和感はない。ただ、本当に鼻呼吸を楽にしているのか?(ただ単に鼻の穴をふさいでないか?)という疑問は残るし、小鼻を広げるタイプを使ったら鼻が大きくなるのでは?という美容上の問題もある。だがとりあえず試してみることにする。

また別系統のグッズとしてはマウスピースタイプのものがある。

これは形状記憶プラスチックを使って歯形をマウスピースに写し取り、歯の噛みあわせを就寝時にもキープさせるものである。そうすると寝ているときに下あごが布団側に倒れこむのが防げるので、気道を確保できるというものだ。

マウスピース型のうち、口呼吸ができないものは使用に注意が必要かもしれない。というのも、たとえば鼻づまりのときにこれを使用してしまうと、口も鼻もふさがってしまうので、わざわざ無呼吸状態を作り出すことになる。イビキの治療には鼻と顎が重要ポイントになるのだ。

一方、まったく別の方式のグッズもある。

サポータタイプのもの(写真下)は、就寝時に咽喉にはめると丁度下あごが下がらないように支えてくれる。これで口が開くのを防ぎ、鼻呼吸をさせてイビキを防ごうというものらしい。またシール型(写真上)はごく単純に、口をシールでふさいで口呼吸を強制的にやらせないというものである。

一般に日本で売られているイビキグッズというと大体これらのどれかの範疇に入ると思う。実際に病院に行くとこれらとは別の酸素鼻マスクタイプの治療器が処方され、これだとほぼ100%治療できるのだそうだ。またマウスピースが処方されることもある。どちらになるかはイビキの原因(鼻か咽喉か)によるらしい。

とはいえ、イビキはまだ一般的な病気としては捉えられておらず、巷に売られているイビキ防止グッズは医療品として扱われてはいない。そこが、乱立気味の怪しいグッズを助長しているようにも見えるが、ダイエット食品と違ってそれほど危険なものは現れていないので規制もないのだろう。

さて実験器具はそろった。あとは一つ一つ効果を試すだけなのだが、イビキ治療の効果は本人に自覚症状がないため検証が難しい。医者はどうやっているかというと、「イビキ測定器」なるものが世の中には存在し、それを夜通し走らせておいて効果測定をするのだそうだ。

。。。ここでむくむくと(似非)科学的好奇心がわいてくる。「イビキ測定器」。。。なんと甘美な響きだろう。一般に騒音のような破裂音の測定は周波数レンジが広くて特殊な装置が必要となる場合も多いが、イビキは幸いなことに継続音だ。中心周波数も低い。これは、一般のPCサウンドカードでのデータ収集が可能なことを示している。また、イビキの特徴として就寝中断続的に発生するため、音の収集・解析が困難(何時間も連続収集・解析しなければならない)だということもあるが、それもPCのソフトウェアで解決できるだろう。というということで当研究室では、似非式イビキ測定ソフトウェアなるものを鋭意開発中である。次号を待たれよ。

妻のありがたいお言葉: 「男って愛情を示せといわれると車を洗車したり電球を換えたりするっていうけど、本当なのね。」

(I)

※ 上記のグッズは、雑貨屋で無作為に購入してきたものなので、筆者がイビキ防止効果を保障するものでは決してありません。

 

 

 

・Office2003と官房長官の似非科学

最近の首相や官房長官のコメントにはうらやましいものがある。「当然でしょ」という言葉を最後につけて終わらせるという方式だ。NHKのニュースでもコメントの映像をそこで切ってしまうので、やたらに連呼しているかのように耳に入ってくる。

しかし、本人が当然だと思っていても、周りがそう考えていないときも多い。説明時に使われる「当然」という言葉は不適切な場合が多いものだが、その辺のことを「雰囲気だけで納得するようになったマスコミ」は気づいているのだろうか。

さて、Office2003の発売日がついに決定した。Office2003ではWin9x系のOSがサポート外になった事実は筆者にとっては結構衝撃的だったが、どういうわけか、この点についてはどの情報ソースをみてもさらっと触れているのみである。まあ、Win9x系OSのサポートがもうすぐ終わることからすると、Office2003がWin9xに対応していないのは「当然でしょ」というところなのかもしれない。

本当にそうなのか?

★懸念材料その1 無視できないWin9x系OSユーザー

Win9xからWinXPへの移行が開始されたのが2001年10月。その時期以後のパソコンにはWinXPがプレインストールされている。一方、Win9x系のユーザーにはWinXPへのアップグレードが盛んに宣伝されたが、はたしてどれくらいのユーザーが乗り換えたのだろう。さらに悪いことに、この2001年から2002年にかけては非常にパソコンの売れ行きが悪かった。以上のことから判断すると、実はWin9x系ユーザーは無視できない数存在している可能性が大きい。果たして、Office2003をインストールするために1万円近くのOSアップグレードをするユーザーがどれほどいるだろうか。

少なくとも個人ベースのWinXPユーザーは、実はそれほど多くはないと思う。これは明確な証拠があり、奇しくもMSブラストが教えてくれる。MSブラストの報告件数は2003年8月の1位をとっており、セキュリティホールが見つかってからウィルス発生までの時間も早かった。しかし、初発発生件数自体は過去最大というものではなかったという事実がある(各ウィルスベンダーのレポートを参照して頂きたい。)筆者は、その理由のひとつに、MSブラストはWin9x系のOSには伝染せずWinXP系のOSだけで発症するという特殊事情があるのではないかと思っている。つまりMSブラストの初発発生件数が過去最大ではなかったのは、OS全体にしめるWinXPの割合はそれほど多くないか、ちゃんとセキュリティ対策をしている企業向けがほとんどで個人で使っている人が多くなかったということになる。

OSをアップグレードするのも最近は楽ではない。セキュリティホールがすぐに狙われる昨今、OSをWinXPにアップグレードしたあとにすぐ修正バージョンを入れなければならない。実はこれが大きな時間的負担になる。うっかりWinXP製品の古いものを買えば、さあ大変、インターネットが強制され、たくさんの「重要な更新」を再起動しながら行わなければならない。ADSLユーザーでない限り、アップグレードは不可能である。そうなるとWin9x系ユーザーは、OSをアップグレードしてまでOffice2003を購入するとは考えられない。当然でしょ。

★懸念材料その2 価格

すべてのオフィス2003パッケージに対してFrontPageが分離している。だから、従来のFrontPage環境をそろえるためにはさらに1万前後追加した金額をアップグレード料金と考えなければならない。こうなると、特定ユーザに対してはものすごい値上げになっている。もう一つ、今回のアップグレードで不思議なのは、FrontPageのほかにOneNoteが完全に別売になっている点である。Office2003シリーズの目玉機能の一つなのに別売りなのは、Worksの進化したものというマーケティング的位置づけなのかバインダーの進化したものと考えればいいのか、現時点では不明である。売れるのだろうか?疑問に思うのも当然でしょ。

★懸念材料その3 機能

毎度繰り返される議論ではあるが、Office2003の新しい機能はほとんどの個人ユーザーには関係がない。マイクロソフトの情報を整理すると、今回の新しい点は、

  1. 著作権、セキュリティ情報の強化 (あんまり個人ではいらない)
  2. XMLのサポート強化 (これもワードで文書を作って印刷する程度の仕事には関係ない)
  3. スマートタグの対応強化 (あんまり個人ではいらない)
  4. グループウェア機能の強化 (全然個人ではいらない)
  5. Outlookの強化 (ニュース系サイトでOutlook2003のヴィジュアルが公開されているが、実はこれ、筆者は期待していたりするが。。。)

処理速度は、サポートOSをWinXP以上に限ったことで相当速くなるだろう(Win9x系のメモリやスレッドのメモリ処理には遅いものがあり、プログラム上わざわざ変なトリックを使わなければならないものも多い。そしてそういったトリックは得てしてWinXP上でのスピードの足を引っ張る。)まあメモリさえ積んでいればの話ではあろうが。値段が高い上に機能が個人向けでなければ果たして売れるかどうかは疑問である。通常のファイルを作成する機能についてはOfficeXPで問題がないからだ。(あぁ、おんなじことをOfficeXP発売のときにもいったような気がする。)

★結論

今回のOffice2003をどうしても導入したい、という個人ユーザーはほとんどいないのではないだろうか。OfficeXPまでとは違いアップグレードに希望が持てるような展開ではなく、Win9x系ユーザーは蚊帳の外だ。

企業向けに売り込むとしても、今までより高額になったOffice2003を、このコスト縮減にうるさい時代にメリットを全面に押し立てて顧客に営業できるのだろうか。少なくとも筆者が営業マンだったらきつい。昔、「君は人工衛星の営業マンに向いている」と言われた筆者の営業センスからしても売りづらい空気がありありなのだ。この点がOfficeXPとは大違いである。

Microsoft Officeの歴史は、実はゲームのファイナルファンタジーシリーズとなぞらえることが可能だ。爆発的なヒット、次々に(複雑な)機能追加、価格の高騰、ゲーム機(OS)の移行。。。閉塞感が漂う中でのスクウェア社の次の一手はオンライン化だった。Office2003もまったく同じようにオンライン手法を取り入れつつある。ではその次にMicrosoft Officeに来るのはなんだろうか?スクウェアの例を考えてみれば一目瞭然である。それは、

マイクロソフトOffice一太郎2004

製品名がどんどん長くなっていくなかで、中身もどんどんわけがわからなくなっていく。そしていつしか人々の関心も、ワープロ・表計算といった分野から、何か別のものに移行していくのだろう。ドラクエ・ファイナルファンタジーでひとつの空間を共有した世代が、すでに散り散りの世界に分かれていったように。

(K)

 

 

 

・頭文字T 緊急号外〜プロドライバーが飲酒運転をするときの似非科学

近頃、某バス会社の運転手がいわゆる飲酒運転をおこなって逮捕、というニュースを耳にした。この事件には憤りを禁じえないが、過去の私の経験からなぜバスの運転手(=人の命を預かって安全に目的地まで輸送するのが仕事)が酩酊状態で、それもお客様を乗せたまま運転するのか?ということについて似非科学してみることにした。

★事業用旅客輸送車を運転するには?

いわゆる緑ナンバーのバスを運転するには大型二種の免許が必要である。二種免許の取得方法の細かな説明は省くが、基本的に以下の手順で行われる。ちなみに筆者は免許すべてを試験場で取得した(普通免許も)。

1.学科試験を受ける

2.試験場内で運転する

3.路上試験

普通免許取得と同じような流れである。が、普通免許と違い、昔の大型二種は試験場内での実技試験だけであった。だが最近では事業用大型乗用車(すなわちバス)の事故が増加傾向のため、大型二種だけは試験制度が変わり、路上で試験を受けて合格しないと免許が取得できないようになった。これはどういうことかというと、要は普通免許しか持っていない人はまずは大型仮免許や大型一種を取得していなければ、大型二種の(路上)試験を受けることすら出来なくなったということである。

筆者は、この大型二種の路上試験が実施される前(平成14年以前)に免許を取ったため特段苦労していないと思うが、最近は大型二種の取得は特に難しくなっているようである。大型二種を取得する場合、試験場内で使用するバスは結構小型でとても一般道でお目にかかれるようなバスではないが、それなりに試験場内のコースも狭いのでなかなか難しい。一方の路上教習では12mのフルスケールのバスが使用されるため、大型車に乗ったことがない人はまず運転できないであろう。大型一種を先に取得するなどしないと合格は難しくなる。

4.就職試験

免許を取得したからと行って、誰でもバスの運転手になれるわけではない。たぶんこの中で一番難しいと思われるバス会社の就職試験いろは坂を観光バスで攻めるドライビングテクニック − 頭文字Tの似非科学参照)が残っている。これに受からないと(=就職しないと)緑ナンバーのバスを運転することはできない。(白ナンバーのバス(=モグリ・送迎用バス)で良ければ大型二種の免許は必要ない。)

★大切な免許

そんなに苦労して取得した大型二種免許と職をドブに捨て去るような行為(=飲酒運転)をなぜ行うのだろうか?私自身とても信じられない話だが、いろいろと複合要因が考えられる。

− 高速道路はつまらない

高速道路で飲酒運転なんてとても信じられないと思うが、実は長いこと運転手をやっていると高速道路ほど単調でつまらない道はないのである(このことについては近日再開予定の「頭文字T 大型トラック運転手時代編」で詳しく述べる予定だ)。キャリアを積むと○○高速のどこどこは路面にギャップがあるので少し減速する、とか、高速道路の路面の継ぎ目の状態まで記憶できる。すなわち高速道路を走るということは単調でつまらない仕事なのである。毎日毎日見慣れた風景ばっかり見ていると、ハンドルを握ること以外することがないのである。また最近は喫煙の規制も厳しくなり、バスを運転しているときは運転手も喫煙できなくなった。これは喫煙者にとっては非常につらいところである。

− 高速道路を長距離移動する

長距離トラックでお金に余裕のある運送会社(=高速道路を使ってもよい会社)の運転手や、高速道路を使用する長距離路線バスの運転手がこれに該当する。長距離路線バスは普通の路線バスと違い、観光バスと同等の仕様で車両が設計されている。すなわち非常に乗り心地がいいのである。また、高速道路を短時間だけ使用するのであれば飲酒する暇もないのだが、長時間運転しているとおのずと暇もできる。

長距離トラックの場合はサービスエリアで飲酒する。バスの運転手となるとお客様がいる手前サービスエリアでは飲酒できないが、長距離路線バスはお客様と運転席が仕切られているため飲酒していても気づかれにくい構造になっているのである。

− すなわち手持ち無沙汰

すなわち、運転する以外は何もすることがないのである。特にバスの運転手は自分の好きなラジオも音楽も聞くこともできない。トラックは一人の世界なので大音量で音楽を聞いたり、仲間と無線で話したりして結構運転中にいろいろなことができる(続10・危険物を確実に運ぶドライビングテクニック−頭文字Tの似非科学参照)。しかしバスはそれが許されない。筆者は長距離観光バスを運転する際には、携帯ラジオを持参してイヤホンで聞いていた。それでも飽きるときは飽きる。

− 酒好き

筆者も酒が好きなほうであるが、慢性的なアルコール中毒予備軍(すなわちアル中手前)だと、何もすることがないと無性に酒が飲みたくなる(この辺はアルコール中毒について勉強すれば理解できるはずである)。酒好きは必ず「自分は酒が強いから、ちょっとのアルコールなら大丈夫」と頭の中で思っている。タバコを吸う人やお酒が好きな人であれば心情は理解できるであろう。

ちなみに筆者が観光バス会社に就職したころは、面接ではかならず「お酒は飲みますか?」「タバコは吸いますか?」「ギャンブルはしますか?」という質問がくる。これは酒好きだと業務に支障をきたす恐れがあるし、ヘビースモーカーだとお客様の前でタバコを吸ってしまう恐れがあるし、ギャンブル好きだと業務中(待機中)にパチンコ屋に行ってしまって業務に支障をきたす恐れがあるからである。

★そして飲む

観光バスの運転手の場合はガイドと同伴が多いので、暇なときはガイドとおしゃべりしたりしてとても飲酒運転できるような状態ではないが、交代運転手もいないような長距離路線バス運転手だと、ほんとうに何もすることがないのでお酒に手を出してしまうのである。また観光バスだと結構細かく観光地をめぐらなければならない。すなわちどんな狭い道路であっても観光地であれば行くしかない、神経をすり減らしてでもバスをぶつけないで無事故で運転しなければならないから、飲酒運転は絶対に行わない。というか飲酒しながらの運転は実質不可能である。観光バスの場合はちょっとでもぶつけたりこすったりしただけでお客様の旅行を不愉快なものにしてしまう(いろは坂を観光バスで攻めるドライビングテクニック − 頭文字Tの似非科学参照)。

しかし長距離路線バスの場合は、観光バスと違い多少ミスっても許される、というかお客様にバレない。というかお客様はそもそも移動することを目的に長距離路線バスに乗っているのであり、観光のためではない。これも運転手にとっては大きな心情変化をもたらす。観光バスの運転手はきちんと決められた時間に目的地について、そのあと何箇所か目的地を回り、翌日もあちこちを観光する。長距離路線バスの場合はとにかく交代先まで、目的地まで、という意識しかない。トラックの運転手と違って荷物の積み込みも何にもないから本当に運転するだけで、気分転換ができないのである。だからアルコール中毒予備軍の運転手はお酒に手を出してしまう。最近の報道でもバスの運転手が飲酒運転をしていたのはすべて長距離高速路線バスの運転手である(筆者が知る限り)。

★知っておいて欲しいこと

バス運転手の飲酒運転はマスコミでは大きく報道され、バスの運転手、はたまたそのバスの運行会社まで責任を問われているが、すべてのバスの運転手が酒を飲んでいるということではない。ここは誤解なきよう願いたい。

この問題は、運行会社にも責任はあると思うが、そもそも一番問題なのは、

バス運転手個人のモラル

であると思う。はっきりいって、酒を飲んで乗務するような運転手はプロではない。お金をもらう資格がない。もしこれを読んでいるプロドライバーの方がいたら、筆者の意見にぜひ賛同していただきたい。

このような問題に対しての完璧な対応策はないと思う。極端にやるとすれば、車にアルコール検知器をつけてアルコールを検知したらエンジンがかからないとか、自動的にブレーキがかかるとか、そんな装置をつけてみるしかない。大型トラック90Km/h規制もできたが、プロからすると余計事故が増えそうな気がする(このことについては大型トラック編で詳しく触れる予定だ)。

★最後に

筆者は絶対飲酒運転はしなかった。プロだからである。この「プロ」と言う言葉に誇りを持っていた。これから「プロ」を目指す人にはぜひ気をつけていて欲しい。お金をもらうということはどういうことか、ということを。

 

(T)

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