ガミラス戦争考

遊星爆弾の日本初爆撃は2192年の事であり(第13話「急げヤマト!!地球は病んでいる!!」)、ガミラス戦争は少なくてもそれ以前から始まっていることが分かる。
冥王星会戦で地球防衛軍艦隊が事実上全滅したのが2199年なので、実は地球防衛軍は最低でも7年間はガミラス宇宙艦隊を相手に戦い続けていたことになる。
また、第3話「ヤマト発進!!29万6千光年への挑戦!!」の古代進のセリフによると沖田十三は「いろいろな戦闘で功績をあげてきた人だ」そうだ…つまり、沖田十三は太陽系におけるガミラスとの戦いの幾つかで勝利を収めたことがあるのだ。
自らも「この船では奴らには勝てない」と言わしめた…あの艦の性能差でどうやって?
とにもかくにも、ガミラスは地球人を滅亡寸前に追い込むまでに7年かかったのだ。
決定的なことは、ガミラスは地球に直接侵攻して占領することはできなかったのである。
なお、暗黒星団帝国は地球に侵攻してこれを占領している。
つまり、冥王星会戦で如実に表された両軍の艦の性能差を考えると、地球防衛軍は意外と善戦していたことになる。
これはなぜだろうか?

 

―物量で戦った地球防衛軍―

考えられる地球防衛軍が最低7年間にわたって抵抗し得た理由は、太陽系に侵攻したガミラス軍の戦力そのものは地球防衛軍のそれに比してさして多くはなかったであろうということだろう。
冥王星会戦時におけるガミラス太陽系方面艦隊は超ド級戦艦6、巡洋艦8、護衛艦多数である。
一見、強力な艦隊に思われるが、後に再建され白色彗星帝国艦隊と戦った地球防衛軍艦隊は戦艦36、巡洋艦81、護衛艦多数である。実に2199年時のガミラス太陽系方面艦隊の5〜10倍以上の戦力だったのだ。地球人は、わずか1年でこれだけの艦隊を建造し得たのである。
ここから考えられることは、ガミラス戦争時、科学力に劣る地球防衛軍はガミラスに対して物量で戦ったのである。地球防衛軍艦隊は艦の性能差を数で補ってきたのだ。
ガミラス太陽系方面艦隊は、冥王星会戦以前は常に5〜10倍の数の地球防衛軍艦隊との戦いを余儀なくされ、物量の差を艦の性能で補い、7年間にわたって艦隊戦における勝利を着実に積み重ねて地球防衛軍艦隊の戦力を消耗させ、遊星爆弾による戦略爆撃によって地球の生産能力を奪い、そうして遂に2199年の冥王星会戦において地球防衛軍艦隊をようやくに殲滅し得たのである。

 

地球とガミラスの技術格差

イスカンダルの技術による波動エンジンを入手する以前の地球防衛軍艦隊はとても弱くガミラス艦隊の前に手も足も出なかったという印象が一般に持たれている。確かに艦の性能差は歴然としていたが、それは主に艦艇の出力機関部の問題によるものである。地球艦の動力が従来型の熱核融合炉(たぶん)であるのに対して、ガミラス艦は波動エンジンに準じる出力機関(デスラー・エンジン?)を装備しており、それにより艦の出力が桁違いに違っていたのだ。出力の違いは艦の速力・運動性のみならず、動力部のエネルギーを使用する砲の威力に決定的に影響する。また、高出力によって船体に余裕ができ、より強固な装甲を施すこともできるようになるのである。
いずれにせよ、「波動エンジンの内部をひとつの内宇宙であると想定し、その内部宇宙のタキオン粒子を一定方向に導き出し、その出力によってエネルギーを得る」なぞということが地球人には想像も及ばなかったのであるから無理もない(タキオン粒子の存在そのものが20世紀以降否定されていた)。

だが、それ以外の点では地球とガミラスの技術力の差はさして大きくはなかった、少なくとも決定的ではない。特にミサイルは冥王星会戦時には突撃駆逐艦「ゆきかぜ」がミサイルによってガミラス艦を撃沈しているし、宇宙戦艦ヤマトが装備していた艦首・艦尾魚雷および煙突ミサイルは従来型のもの(核分裂弾または核融合弾か?)であり、対ガミラス戦時そして対白色彗星帝国戦、対暗黒星団帝国戦時においても極めて有効な装備であった。
宇宙戦闘機の分野では、宇宙戦艦ヤマトにも搭載していたブラックタイガー型戦闘機と最新鋭の零式52型宇宙艦上戦闘機コスモゼロはガミラス戦闘機隊との戦いで多大の戦果を上げていた。これらは、イスカンダルの技術によるものではなく地球が独自に開発したものであり、このことから波動エンジンの様な大出力エンジンを使用しない(増槽があることから化学燃料と考えられる)宇宙戦闘機の性能に関しては地球とガミラスは互角または地球の方が上回っていたといえよう。
冥王星会戦以前の戦いでは、地球防衛軍艦隊は非力な主力艦に対して宇宙戦闘機が活躍したであろう事は間違いない。それ故にこそ、ガミラス艦隊も地球防衛軍艦隊の空母を最優先の攻撃目標としたであろう。その為、地球防衛軍艦隊の空母は全艦喪失し、冥王星会戦には宇宙戦闘機は参戦し得なかったのであろう。冥王星会戦に地球防衛軍艦隊に空母があれば、戦闘の様相はまた違っていたはずである。

別にガミラスも楽な戦いを続けていたわけではないのだ。

 

 

―ガミラス軍事力の致命的な弱点―

一方、ガミラス帝国であるが軍事強国と言われる割には何故地球防衛軍艦隊を圧倒しうる数の艦艇を投入できなかったのか?
何ゆえ、ガミラス軍か地球に直接侵攻してこれを占領し得なかったのか?

当時ガミラス帝国は対地球戦以外にダイヤ戦線、ルビー戦線、サファイア戦線、オメガ戦線などを抱えており、手を広げすぎた多正面作戦というド壷にはまっていたという事情もあろうが、この原因は、やはり戦闘力の源であるガミラス人の人口が極めて少なかったであろう事であろう。
当時、ガミラス星とその双子星イスカンダル星は星としての寿命が尽きかけており死に向かっていたが、そこに住んでいたガミラス人もまた生命体としての活力が衰えていたのである。
ガミラス星は惑星環境の悪化によって地底物質は硫化し、火山は亜硫酸ガスの煙を吐き、硫酸性の溶岩を流しているというというなかなか渋い状態にあった。当然、これら激烈なまでの外因性内分泌攪乱化学物質、いわゆる環境ホルモンの壮絶な悪影響が体機能に及ぼされたであろう事は間違いない。いかに放射能の中で生き、真空中でも宇宙服なしで平気で会話できるガミラス人とはいえそうそう耐えられるものではない。環境ホルモンの蓄積によってガミラス人の生殖能力は減退し、ガミラス人の人口は著しく減少したものと思われる。
西暦2200年に敢行された宇宙戦艦ヤマトによるガミラス星攻撃において、ヤマトは総統府の存在するガミラスの首都を完全に破壊したが、その戦いでガミラス人は事実上絶滅してしまったのである(デスラー艦で脱出した少数を除く)。つまり、ガミラス星には限られた範囲しかない首都にしか人は住んでいなかったようなのだ。アレしかいなかったのだ。
このことから22世紀末の開戦時には推定100億人以上であった地球人の人口(遊星爆弾によって相当減ったとは思われる)と比して、ガミラス人のそれは多く見積もっても1千万人、おそらくは数百万人程度、一説では百万人以下ではなかったとさえ言われている。
ガミラス人は決定的にマンパワーが不足していたのである。この事が圧倒的な技術的優位を持ちながらも地球防衛軍艦隊を殲滅するのに7年を要し、かつついに地球へ直接侵攻してこれを占領し得なかった理由である。

ドメル艦隊の謎
第15話「必死の逃亡!!異次元のヤマト!!」

マゼラニック・ストームの戦いでヤマトのレーダーが捕捉したドメル艦隊は実に3000隻である。3000隻…これでは「宇宙戦艦ヤマト」ではなく「銀河英雄伝説」になってしまう。
古代もヤン・ウェンリーも声は同じ富山敬(故人)なのだから構わないのではないかとも思われるが、やはり筆者としてはこだわりたい。というわけで、この3000隻とは大半がヤマトを攪乱するために作り出されたダミーなのだと推測される。ドメルのモデルとなったドイツのロンメル将軍は少ない自軍の戦車を多く見せるために多数のダミー(木製の戦車など)をつくって、連合軍の情報を攪乱したという。同然、ドメルも同じ事をするハズだ。兵法では、これを「偽兵の計」という。
マゼラニック・ストームでは艦隊運動の演習をしていたのだから、当然このダミー戦術の訓練はプログラムに入っていたのだろう。