設 立 2003年09月26日
移 動 2004年05月13日
更 新 2005年07月23日
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死刑を定める法律

刑法T 国家に対する犯罪
極刑 重刑だか未だ適用例なし
刑法第77条 【内乱罪】
国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
一 首謀者は、死刑又は無期禁錮に処する。
二 謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は三年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は一年以上十年以下の禁錮に処する。
三 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、三年以下の禁錮に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。ただし、同項第三号に規定する者については、この限りでない。
この犯罪は組織的暴力を持って革命・クーデター・地域独立などを成す場合適用される犯罪である。この刑に処せられたものは未だかつていない。また首相等の要人暗殺を持って内乱罪の適用はできないというのは法律概念として存在している。すなわちこの内乱罪は殺人を前提とはしておらず、あくまで国家組織の破壊、国権の侵奪を目的とした犯罪に適用されるものである。革命・内乱等が成立した場合、この犯罪は犯罪ではなくなるという特性がある。革命・クーデターは基本的に「暴力的行為」であるが、地域独立の場合は国民が民主的手続きに基づいている限り適用されないだろう。

この犯罪は首謀者のみ死刑が法定刑として存在し、また参加したものが事前に自首した場合は未遂罪を設けていない点を考慮すると、事前に犯罪を防止するのが目的となっている刑罰である、といえる。つまり、暴力的組織による自壊作用を期待しているのである。

1989年から1995年に渡るオウム真理教事件では多くの幹部・一般信徒らが逮捕され、地下鉄サリン事件等で死刑判決が次々と出されている。1審死刑判決の控訴審では弁護団から「この事件は内乱罪に相当し、首謀者(松本智津夫)以外への死刑判決は不当である」という弁護を展開したことがあるが、林泰男被告に対する控訴審判決では東京高等裁判所は「(事件の)直接の目的は警察の強制捜査阻止で、内乱罪の実質はない」と判断し、殺人罪を適用し死刑判決を出している。

内乱罪は「国家対組織」という対等な立場に被告を置くため、この犯罪を適用するのは避ける傾向にある。またこの結果被告人を「政治犯」と認知させてしまうことも消極的な理由のひとつであろう。オウム真理教事件では検察は一時期内乱罪の適用も検討したとされているが、このようなことはなかったのではないか?
ちなみに、二・二六事件では陸軍による首都占拠がなされ、昭和維新を掲げるなど、内乱罪の適用が適当となっていたが、首謀者が青年将校(軍人)であることからこの適用を避け、特別軍法会議にて死刑を宣告した。 陸軍刑法第25条
党ヲ結ヒ兵器ヲ執リ反乱ヲ為シタル者ハ左ノ区別ニ従テ処断ス
 一 首魁ハ死刑ニ処ス
 二 謀議ニ参与シ又ハ群衆ノ指揮ヲ為シタル者ハ死刑、無期若ハ五年以上ノ懲役又ハ禁錮ニ処シ其ノ他諸般ノ職務ニ従事シタル者ハ三年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
 三 附和随行シタル者ハ五年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス
二・二六事件では青年将校が歩兵第一連隊、歩兵第二連隊、歩兵第三連隊の約1,400名を率いた。陸軍刑法第25条3項によれば、率いられた兵卒も刑罰を受けるはずであったが、戒厳令司令官は鎮圧ではなく帰順を勧告し内乱状態を避けたことから、首謀者以外は全て罪に問わないことが決定された。
刑法第81条 【外患誘致罪】
外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。
日本国と日本国民に対し、外国政府により武力行使をさせたものを処罰するもので、法定刑は死刑しかなく、日本国法令内ではもっとも重罪とされるものである。まさに「売国奴」に対する刑罰であり、この規定も妥当であろう。この条項は未だ適用例はない。

2003年6月に「死刑廃止を推進する議員連盟」が「重無期刑の創設及び死刑制度調査会の設置等に関する法律案」を確定したが(結局上程はされなかった)、この法律案では外患誘致罪に関しては現行どおりとした。外患誘致罪は死刑廃止派からみても極めて赦し難い犯罪である、といえる(ちなみにこの法律案では2008年までの死刑執行を停止するという案もあるのだが)。
刑法第82条 【外患援助罪】
日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する。
外国からの侵攻があった場合、その軍隊の軍務についたり、軍事上の利益を与えたりする犯罪である。すなわち外国軍という民族の敵に協力する「売国奴」「裏切り者」等の利敵行為へ対する処罰規定である。この軍事上の利益とは武器弾薬、糧食、医薬品、兵員輸送、軍事情報の提供等に幅広く解釈されている。

万が一日本が侵略されたとき、外国軍に対し、このような行為をするものがでるのは予見できるが、進んでこれを行ってはならない、ということであり、威嚇により強制されるものは緊急避難的行為として解釈されるだろう。もちろん個人的利益追求のために利敵行為を行ったものについてはこの条文が適用される。この条項は未だ適用例はない。
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