「マムシにかまれた!」 正しい処置は?
2005/07/08 神戸新聞



 日本の代表的な毒蛇といえばマムシ。山林や河川敷で手などをかまれる事故は兵庫県内でも毎年起きており、特に最近まで雨が少なかった今年は「マムシに出くわしやすい」と指摘する専門家もいる。かまれた際の応急処置には「冷やす」「冷やさない」など諸説があり、インターネットなどで紹介されている内容もさまざま。中高年世代を中心に登山ブームが広がる中、いざというとき、一体どうしたらいいの? (社会部 宮本万里子)

 6月26日、神戸市北区で登山中の男性(62)がマムシのような蛇に手首をかまれ、神戸市消防局のヘリで病院に運ばれた。同消防局によると、2004年の119番通報で、マムシかマムシと思われる蛇に襲われた被害は5件。農作業中に指などをかまれるケースが目立つ。

 マムシは北海道から九州まで幅広く生息し、特に西日本に多い。ほかの蛇に比べ体長は45〜60aと短く、胴回りは太め。銭形模様が並ぶ背面は全体的に茶色っぽく、三角形に近い頭が特徴だ。

 活動期は4〜10月で、遭遇しやすいのは7、8月。全国で年間1000〜2000人がかまれ、死亡率は1%前後とされるが、被害を届ける義務はなく、国や県も正確な件数は把握していない。

 兵庫県内では、マムシの毒を中和する血清を、県内の351の病院のうち102の病院に常備。これらの病院が、年間約100本の血清を購入しているため、県は「県内の被害も、血清購入量に近い数では」と推測する。

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 一方で、かまれたときの応急処置をめぐっては、意見がばらつく。豊岡市消防本部は「傷口から心臓に近い部分をゆるくしばる」「冷やさない」「安静に」と市民にアドバイス。神戸市消防局は「傷口から毒を吸い出して水で流した後、冷やしながら病院へ」と通報者らに助言している。

 さらに、インターネット上では、全国の医師会や病院、自治体、保健所などが多様なアドバイスを展開。傷口をぬれタオルや氷で「冷やす」とする意見もあれば、「絶対に冷やさない」「熱い湿布をする」と反対の注意をするところもある。患部から心臓に近い部分を「縛る」ことについても、「静脈が浮き出る程度に軽く」から「しっかり」までばらつきがある。

 登山用品などを専門に販売する「ICI石井スポーツ」(神戸市中央区)の店長代理兼主任、大石恭平さん(37)は「長ズボン長そでを着用し、むやみにやぶに入らない。かまれたら急いで病院へ」と話す。応急処置では毒を吸い出す吸引器の携帯を薦める。注射器のようなもの(税込み2352円)で、ハチに刺された時などにも使えるという。

 財団法人「日本蛇族学術研究所」(群馬県)の堺淳主任研究員は「冷やしてもいいが、痛みを緩和する程度。治療効果はない」と説明。縛る際は「傷を含む範囲を、幅のある布などで軽く圧迫するように巻くと、毒の吸収が遅くなる」と助言する。

 また「どんな方法で応急処置しても、病院での処置の方が大切」と堺研究員。死亡率は低いが、患部を切断したり、入院するような重傷者はその数十倍いるといい、「病院によって方針は違うが、指をかまれてひじまではれてくるような時は、絶対に血清を使った方がいい」と指摘している。

     ━━━━━━━━━━  主なマムシ対策   ━━━━━━━━━━

○長靴や登山靴をはく。

○軍手はダメ。ゴム手袋を。

○遭遇しても50a以上離れていれば大丈夫(飛んでこない)。

○かまれたら市販の吸引器で毒を吸い出す。

○すみやかに病院へ。

○冷やしても治療効果はないが、痛みは和らぐ。

○血清はなるべく打ってもらった方がよい。

 *日本蛇族学術研究所から聞き書き

 


 【とんび岩のコメント】

 「とんび岩の掲示板」(スレッドNo.928)でBチャンとマムシの話をした2日後に、この記事。相生のローカルニュースとは言えないけれども、何かの役に立ちそうなので残す。

 マムシは本来は夜行性で、昼間はジメジメした窪地や草の陰に身を潜めていて人目につきにくい。ただ子持ちのメスは、体内の子供を育てるのに体温を上げる必要があるので、危険を冒して昼間も日当たりの良いところに出て日向ぼっこをする。人間と遭遇するマムシにメスが多いのはそのためだといわれている。

 普通のヘビは卵を産むけれども、マムシは「卵胎生」といって、卵を体内で孵し、子供を産み落とす。祖父からは「マムシは子供を口から産む。そのとき子どもが自分のキバにひっかかると毒で死んでしまうので、子持ちのメスはキバを抜くためにむやみに噛みつこうとする」と教えられたが、これは間違いのようだ。マムシの子供はお尻から出てくる。子持ちのメスが危険だとされたのは、上述の「日向ぼっこ」で、人目につきやすかったためだと思われる。

 私の場合、夏場は低山の踏み分け道にはなるべく入らないように心がけている。その理由の一つが「マムシ」。先方から襲ってくることはないが、草の茂みなどに潜んでいるところを知らずに踏みつけたりする危険がある。農作業などであえて危険な場所へ立ち入るときは、長靴を着用し、探り棒で足元を確認しながら進む。このあたり(相生市東部)では、温水プール南側の土井ヶ谷(青池周辺)が、昔からマムシが多いことで有名。 

 


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