西はりま幻妖記(4) 七種の化け猫(福崎)  
2016/08/18 神戸新聞 

 播磨国風土記に登場する福崎町北部の七種山(なぐさやま)。関西百名山にもなっているその中腹に、金剛城寺の旧山門が残っている。

 山頂に向かう登山道の途中にあるが、周囲は木々がうっそうと生い茂り、昼間でも薄暗い。その昔、人を襲う猫がすむ、と恐れられた。

 寺には豪勇な侍がいた。近くの村に、化け猫が夜な夜な出没すると聞き、3本の弓矢を携え、姿を現すのを待ち構えた。

 真夜中、森の奥から不意につむじ風が湧き起こり、襲いかかってきた。矢を放っても、いとも簡単にはね返され、命からがら逃げ帰った。

 再起を図るために矢を準備していると、寺で飼っている老猫が、こちらをうかがってきた。不審に思った侍は、3本の矢とは別にもう1本を隠し持った。

 またしても3本は防がれたが、隠していたもう1本の矢を射る。すると、油断した的に命中した。正体はあの老猫だった。

 全国各地で化け猫にまつわる伝承は少なくない。自然への畏怖の表れだろうか。

 寺の住職、寺河俊禎さん(87)が教えてくれた。「七種山で猫の話しをすると災難がある。そんな言い伝えが今でも残っている」

 鳥の鳴き声が不気味に響く夕暮れ時、通り掛かった地元の男性に、何をしているのか聞かれた。

 「猫が…」。言いかけて、住職の言葉を思い出す。

 とっさに、言葉を飲み込んだ。

(三宅晃貴)



【とんび岩のコメント】


 化け猫を退治した武士の、その後の運命はどうだったのだろう。

 撮影名は書いてないから、写真も記者さんだろう。たとえ中腹まででも、夏場に七種山に登るのは大変だ。

 



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