西はりま幻妖記(5) 姫の井戸(相生)  
2016/08/19 神戸新聞 

 森深い山道を登る。ヒグラシがざわめき、湿気がまとわりついてきた。

 相生市北部にある感状山城址。堅固さを誇り、播磨を代表する山城だった。山肌に点在する石垣の残骸が、その面影をわずかにとどめる。

 無数の命が散った。非業の死をとげた霊がさまよい、今も眠っているといわれている。

 時は戦国時代。羽柴秀吉の播州攻略で攻め落とされた

 落城の日、城内には二人の姫がいた。敵に追い詰められ、覚悟を決めた姫の一人は死を選ぶ。かわいがっていた鶏を抱き、井戸深く身を投げた。

 姫の無念がそうさせたのだろうか。以来、毎年元旦の朝になると、井戸の中から鶏の鳴き声が聞こえる、という。

 混乱の中、城内の抜け道を使い、逃げようとした武者もいた。細い穴に体がはまり込み、抜け出せずに命を落とした。亡霊となり、人々を呪うようになった。

 幼いころ、祖母から言い伝えを聞かされた男性(71)は「城跡は遊び場だった。でも夕暮れ時は、何かが出そうな気味悪さを感じて、恐ろしかった」

 大手門跡の近く、石で囲われた井戸が残る。深みは長年の土砂で埋まって。

 「兵(つわもの)どもが夢の跡」

 そんな言葉が浮かんだ。

 水のない井戸をのぞき込む。なぜか少し湿っていた。

 姫が流した涙に思えた。

(文・杉山雅崇、写真・山崎竜)



【とんび岩のコメント】


 相生で生まれ育ったが、感状山城で「いくさ」があったという話しは知らない。羽柴秀吉の播州攻略で攻め落とされたというが、そのとき城を守っていた側の大将は誰だったのだろう。

 井戸の底が湿っているのは当然だし、この記事、全体として、思いつきの作り話のような印象。

 相生の話だが、西播磨関係の連載記事なので、「西播磨」のメニューに入れる。
 



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