(2003/1/27 朝日新聞社説) ■社説批判――安倍さん、よく読んで  安倍晋三官房副長官が講演で朝日新聞の社説を取り上げ、そのような論調が北朝鮮の拉致 問題をめぐる交渉の障害になっている、と批判した。  批判は大いに歓迎だが、誤解や曲解によるものなら迷惑である。まして官房副長官の重職 にある人が公衆の面前で語ったのだ。安倍氏に真意をただす一方、私たちの考え方を改めて 述べておきたい。  安倍氏は「朝日新聞の元日の社説には『原則論を言うだけじゃなくて、落としどころを考 えろ』との論調があった」と発言した。さらに、朝日新聞は北朝鮮が亡くなったとしている 8人を「忘れてしまえと同じことを言っている」と断じたのだ。  安倍氏にはまず、社説をきちんとお読みになったのか、と問いたい。  「『千と千尋』の精神で」と題したその社説は、「9・11」後の米国が危うい高ぶりに 包まれたように、拉致事件の悲惨な展開によって噴き出した北朝鮮への憎悪をひたすらあお る風潮を危険だと書いた。  アニメ映画「千と千尋の神隠し」を題材にしつつ、地球上にはびこる化け物のような国々 も、憎悪と力だけでは退治できないとし、厳しい国際環境をしっかりと見据えつつ、複眼的 な冷静さと柔軟さを忘れまいと主張したのだ。  もとより、8人のことを忘れろなどとは書いていないし、私たちにはそんなつもりは全く ない。「落としどころを考えろ」という短絡的な主張もしていない。  訴えたかったのは、イラクにせよ北朝鮮にせよ、憎悪と力で押すだけでは解決にならない ということだ。  この社説には多くの読者から共感の声をいただいたが、同時に、北朝鮮に情けは無用とい った反論も一部から届いた。  では、力で押しまくりさえすれば、問題は前進し、解決は早まるだろうか。  そもそも北朝鮮がやっと拉致の事実を認め、金正日総書記が謝罪するに至ったことは前進 だった。小泉首相もそう考えたからこそ首脳会談で植民地支配を謝罪し、国交正常化交渉に 応じたのではなかったか。  北朝鮮が拉致を認めたのは日本が強い姿勢をとったことに加え、正常化に伴う多大な経済 援助というアメが用意されていたからに違いない。  いま拉致問題が暗礁に乗り上げ、北朝鮮の核問題が世界を緊張させている。日朝関係の方 程式はいっそう複雑になった。  もちろん、非は北朝鮮にある。だが、居丈高に追い込むだけでは危険は高まる一方だ。だ からこそ韓国は太陽政策を続け、米国も一本調子の強硬姿勢を修正した。  北朝鮮には原則を譲らぬ構えとともに、アメとムチの使い分けが必要だ。日本の安全を願 い、拉致問題の解決を望めばこそ、柔軟な思考の大切さを重ねて訴えたい。  さて、安倍氏はこの社説もまた「交渉の障害」になるというのだろうか。 アサヒコム http://www.asahi.com/paper/editorial.html(時間経つと消える) 拉致板#1102 http://www.startingweb.com/bbs.cgi?job=view&bbsid=3842&mid=1102 感謝感激雨霰 さん、ありあとー(・∀・)