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大桟橋「設計ミス」事件

 大桟橋は港横浜の象徴です。明治29年に完成後昭和39年に東京オリンピックに合わせて拡張され、1993年に新旅客ターミナルが完成しました。この桟橋からは多くの旅客が旅立ち、また多くの人が日本への第一歩をこの桟橋から踏み出しました。
現在、この桟橋の再整備事業が進められています。しかし、この事業には大きな問題がいくつも起きてしまいました。
新旅客ターミナルってそんないい加減に作ったのか?
 1993年に新旅客ターミナルは営業を開始しました。しかし、営業開始とほぼ同時にターミナルをまるきり作り直す国際競争コンペが行われることになりました。現在の再整備事業の完成予定は当初2002年4月でしたから10年持たないような建築だったのでしょうか?は客船の規格なども変わってきていますので多少の手直し必要だったと思われます。しかし、根本的に全て建て直しが必要だったとなると相当ひどい安普請だったことになります。

再整備事業のいきさつ
 このようにいい加減な(!?)造作だった旅客ターミナルを建て直すために国際競争コンペが行われ設計の公募が行われました。’95年に入選が発表され、英国のFOAという設計事務所を経営する建築家アレファンダロ・ザエラ・ポロ氏と ファルシド・ムサビ夫人の共同作が選ばれました。
 しかし、非常にユニークなデザインであり、まだ誰も作ったことがない特殊な構造を必要としていました。そこで「実現性の検証」を2段階に分けて行う異例の経緯をたどりました。まず、1億6千万円かけて「基本設計・その1」で構造や強度等について検証しました。次いで「基本設計・その2」が5億円かけて行われました。内容は同様の検証と実施設計です。つまり、コンペ入選作のデザインは実現可能であり、その設計はこうなる、という図面までが6億6千万円かけて作られました。
 
 この段階でも13項目の問題点があげられています。特に私達から見て興味深いのは「総事業費も230億円以内と設定されているにもかかわらず、基本設計その1の段階での試算では371億円余にもふくらんでいた」のです。総額230億円以内、がコンペの条件だったはずが160億円も膨らんでいるのに何故入選するのでしょうか?

 こんな無茶な状況でありながら2001年3月議会では2002年4月完成予定で工事の発注が可決されました。

 しかし、その6月にいきなり「計画通りには建設できない」として修正予算が議会に出てきました。たった2ヶ月の間になにが起こったのか?

 設計図面を提示されての入札だったにも関わらず、落札したゼネコンが「構造材のひずみが予想以上」であるとし設計通りに建設できない、と白旗をあげてしまったのです。設計を変更し、予定を大幅に上回る鉄骨を使わないと建設できない、として予算の増額を求めました。
その金額33億円
しかも工期は遅れ、4月に完成(ワールドカップに間に合う)から11月完成にずれ込みました。(どっかの地下鉄そっくり)
市長の答弁
 「建築のコンペは意匠コンペだから,施工条件は付けにくいということが一つと,国際コンペは,発注者の意向で設計の変更ができないのが,国際慣行になっている。日本の場合は,そういうことがない。
  これからは,国際コンペを行うときは,慎重にそういうことも考えていく必要があると思う。」

 これが記者会見での発言です。また、設計ミスを市の職員が見抜けなかった技術力の低さが原因、と言い逃れています。だから、市の都合での設計変更なのでゼネコンには言われたとおり建設費を増額する、という修正予算案でした。
何が悪いのか
1,コンペ要項では、「応募作品に不備のあるもの」や「応募要項に違反するもの」は「失格」としておきながら、なぜこうしたコンペの条件設定を超えたものを当選としたのか

2,建設可能である、とした検証結果は何だったのか?誤った結論を出した検証委託に対して支出した1億6千万円はどうするのか?

3,5億円もかけて作った図面は実現不可能なものであった。この欠陥設計費用の支出は正当とは思えない。

4,図面を提示されての入札である以上、図面通りに建設できる、という条件でゼネコンは応札したはずです。日本語でこういうのは「施行不良」と呼ぶのではないでしょうか。

 と、言うことで市長は「設計ミス」を連発しています。ならば、なぜ6億6千万円もかかった検証作業と設計に対して損害賠償を要求しないのか?大変不思議です。また、「設計ミス」を見抜けないほど技術力が低い、のならなぜ施行不良でないのか判定できるのでしょうか?

 ユニークなデザインなら何でも良い、のなら建築家でなくてイラストレーターに発注すべきです。実現の可能性がないお絵かきなら小学生にだってかけます。
 結果に責任を持たない「検証作業」なら実作業などせずサイコロを転がして答えたらいかがでしょう?それらしい嘘を書いて書類を出すだけで責任を負わないで1億6千万円ももらえるなら私がそのサイコロ振ります。
 実現不可能な「それらしい」図面描いただけで5億円ももらえるなら、、、。建築の専門学校の学生さん達とお絵かきしますから。
 この図面通り作ります、という条件でゼネコンは契約したはずです。図面がインチキだったーと一言言うだけで33億円ももらえるなら、、、。職場で苦労してるサラリーマンのどれだけ救われるか。いーかげんな積算で応募して、契約しちゃえばこっちのもの。幾らでも増額できるなら契約って何でしょう?
議会では
 各党とも流石に質問に立ちました。その結果、実は前年の11月にすでに33億円増額が判明していた、という事です。4ヶ月も前に判明していながら3月議会では隠し通して予算を可決させてしまって居たのです。予算って一体何なんでしょうか?
 その質問を踏まえ、各委員会でも党議が行われました。「総務企画財政委員会」では否決され、なんと23年ぶりに議会が市長にノーと言いました。しかし、他の委員会では可決。本会議での採決では民主党議員22人が「退席」のうえ可決、となりました。
 可決されることを承知の上で投票を放棄したのですから「賛成」と同等、というのが市民としての感情ですね。
問題は更に更に
 この新ターミナルは定期クルーズ船が横浜港を母港とすることを想定して最終設計がされました。確かに当初計画ではシンガポールのスタークルーズ社が10万トン級の大型客船2隻を配船する、とされていました。遅くとも2002年6月から運行開始、のはずだったのですが、、、
 計画当初この会社は神戸を母港とし、韓国クルーズを行っていました。しかし、乗客が少なく、下関寄港を廃止。母港を沖縄に移動して台湾クルーズ、と路線はどんどん縮小されました。ついにはリースで傭船していたこの客船(スーパースタートーラス)を契約期間に1年残したまま元の所有者に返却してしまいました。
 喜劇的なのは横浜への配船予定だった2隻は新造船だったんです。豪華客船ともなると発注から就役まで2年以上掛かります。2002年6月配船を実現するには1999年の年中には発注されていなければなりません。
 だから、大桟橋の設計を行っている段階で既に定期クルーズ船が就役する可能性は無いことは判明していました。

 横浜市港湾局のHPに麗々しく「スタークルーズが横浜港を母港に」とした発表が
寒いです
http://www.city.yokohama.jp/me/port/news/pn36star.html
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