塩漬け君の考古学



4.現生人の誕生
何十億年にわたる環境の変化が、すべての生物の進化を促してきました。
サルやヒトにとっては、氷河期と間氷期という大きな気候変化が
あったために進化を遂げることができたのです。
これまでと異なる環境に置かれた場合、あるいは自ら新しい環境に
進出した場合、そこに適応せざるを得ません。
そうでないと、その種は、滅びることを意味します。
生き延びた種族は、形態的変化を遂げ、新たな機能を獲得していくのです。
約20万年前、アフリカの旧人の中から、これまでになく高等な新人
現生人が誕生してゆきました。
この頃、その他のサル族も種分化が進みました。
その原動力となったのは地球の寒冷化だったのです。
身体的に、寒冷地に適した形態的変化を遂げた現生人は
相当な少数まで、人口を減らしたのかも知れません。
でも、かつての原人がそうであったように、アフリカから出てゆきました。
 約10万年前、われわれの祖先、現生人は中東に進出して行きました。
中東、ヨーロッパ、ユーラシアには、すでに原人の子孫である
旧人たちが暮らしていたのです。
旧人の代表は、ドイツのネアンデルタール谷で発見された
ネアンデルタール人です。
約170万年前にアフリカを出た原人が、ヨーロッパ大陸において
約50〜60万年前ころに寒冷適応したヒトたちです。
当時のヨーロッパは寒冷地だったのです。
氷河期の寒い時代には、寒くなった中東にまで生活圏を広げていて
約4万年前まで、イスラエルの洞窟で生活していた跡が残っています。
ですから、中東では、5〜6万年間、現生人とネアンデルタール人が
共存していたことになります。
一方、現代人に繋がるクロマニオン人が、ヨーロッパに到達したのは
約4万3千年前のことでした。それから3千年という比較的短かい間に
彼らはイベリア半島にまで広がりました。
ところが、ヨーロッパの地は、ネアンデルタール人の本拠地でしたから
クロマニオン人は、少なくとも1万年は旧人と共存していました。
最後のネアンデルタール人は、南スペインに暮らしていたようで
化石が残っています。約3万年前のことでした。
この当時のヨーロッパは、地球規模でのことですが、現在よりはるかに
寒冷な気候であったために、トナカイ、バイソン、鹿、その他の動物が
生息していました。
ラスコーの洞窟絵に見られるとうりの動物が、沢山いたのです。
クロマニオン人たちは、それらを狩猟して、生活していたのですが
日本の縄文時代の始まりとされる1万2千年前ころには
ヨーロッパも温暖化してゆきました。
そのため、主たる狩猟動物であったトナカイが北方、あるいは高地の
寒冷地へ移動し始め、彼らも北部、即ち陸続きであったスカンジナビア半島
あるいはピレネー山脈の高冷地へと、移住していったようです。
ノルウェー人、バスク人たちは、その子孫に当たるのかも知れません。
他方、アジアへ移動していった現生人は、またもやスンダランドへ
移動してきました。
この当時も、陸続きだったのです(参考図)。そして、5万5千年前には
サフールランド(オーストラリアなど)に、船かいかだで渡り
石器を残しています。
この頃、ジャワには、ソロ人と呼ばれているヒトたちが生活していました。
100万年前のジャワ原人が進化したと考えられる旧人たちです。
アジアにおいても、旧人と新人が共存していました。
このスンダランドは、現生人にとっても、生活しやすかったのです。
複雑で多様な現代アジア人の揺籃の地となりました。
日本へ最も早く来た縄文人たちは、この地を5〜3万年くらい前に
旅立ったのかも知れません。

補足:アフリカに起源を持つ現生人類が、アジアの旧人類に完全に
取って代わったのか
米ペンシルベニア州立大のマーク・シュライバー人類学博士を
始めとする米、中、英の学者らは、日本人を含むアジア各地の男性
1万2千人あまりのY染色体を調べた結果、いずれもアフリカに起源を持つ
突然変異の特徴を有することを確認できたので現生人類の
「アフリカ起源説」を裏付ける調査結果が得られたと、結論している。



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ほ〜む