
|
|
の3条件です。この他に
4.業績予想の上方修正がされた
も参考にします。
(1)ステップ1;割安性を調べる
割安性のマーカーは、PER、PCFR、PBR、PSR、EV/EBITDAなどがあります。
(A)PER<12
PER=株価/1株当たり純利益
前期確定EPS(1株当たり純利益)の基づいて計算したものが確定PER。今期予想EPSに基づいて計算したものが今期予想PER。年度後半では次期予想EPSに基づいて来期予想PERを使うこともあります。確定PERよりも今期または来期PERを使ったほうが、リターンが高くなります。
(B)PCFR<8
PCFR=株価/1株当たり営業キャッシュフロー
営業キャッシュフローを計算するには、純利益に減価償却費や貸倒引当金など損益計算書の中の現金支出を伴わない項目(非キャッシュ項目)を加え、さらに貸借対照表の中から売掛金・受取手形、棚卸資産(在庫)が増えていれば差し引き、減っていれば足します。逆に買掛金・支払手形などが増えていれば足し、減っていれば引きます(企業が公表するキャッシュフロー計算書や「会社四季報」を見れば、計算しなくてもわかります)。
(C)EV/EBITDA<5
EV/EBITDA=(株価×発行株数+有利子負債-現金同等物)/(営業利益+減価償却費)または(税引き前利益+支払利息+減価償却費)
低EV/EBITDA銘柄は平均を上回るリターンをあげることが実証されています。前記の式は簡便法ですが、どちらによる検証でもEV/EBITDAの有効性は実証されています。
その他にも、PBR(=株価/1株当たりの純資産)、PSR(=株価/1株当たりの売上高)などのマーカーもよく使われますが、私は「収益に対するバリュー」を重視しているので、これらのマーカーはあまり使っていません。
PSRは日本株においては有効性がそれほど高くないことが多くの研究で実証されています。
(2)ステップ2;財務を調べる
負債比率(有利子負債/株主資本)<15%
株主資本比率(株主資本/(株主資本+負債))>60%
有利子負債キャッシュフロー比率(有利子負債/営業キャッシュフロー)<2
ROD(経常利益/負債)>0.5
低PER銘柄のリターンが高いことは実証されていますが、安全性を担保するために、財務をチェックする作業は必須です。財務内容のいい企業の株価は、平均よりもリターンがいいことも実証されています。
負債比率が高目の企業は、過去数年の有利子負債の増減を調べます。減っていれば、多少高くても可です。増えている場合は、その理由を調べましょう。
総資産は資本と負債からなります。負債の中には、未払費用や未払税金なども含まれています。これらは負債ではありますが、実質的には金利コストのかからない借入に等しく、資金の効率的活用になります。従って、未払費用や未払税金が多い(つまり株主資本率が低い)という理由だけで、財務が悪いとは言えません。
また、負債の返済に株主資本が使われることは、実際にはほとんどないので、株主資本との比率である負債比率より、有利子負債キャッシュフロー比率やROD(経常利益/負債)のほうが、より有用です。とくに、有利子負債キャッシュフロー比率を重視します。
(3)ステップ3;収益性を調べる
ROE>12%、 ROA>7%、ROI>20%、ROIC>10%、CFROE>20%
ネット・マージン(純利益/売上高)>7%
売上高キャッシュフロー比率(営業CF/売上高)>12%
キャッシュ・キング・マージン((営業CF−設備投資)/売上高)>10%
ROEは最も汎用されていますが、分子が会計操作の影響を受けやすい純利益である点、財務レバレッジが高くなる(負債比率が上がる)と上昇する点など、いくつかの問題点が指摘されています。
ROE=(ネット・マージン)×(総資本回転率)×(財務レバレッジ)
但し、総資本回転率=売上高/総資本、財務レバレッジ=総資本/自己資本O'Shaughnessyの"What Works on Wall Street"によると、ROEは、それ単独ではその後の株価の上昇とは相関関係がないというEvidence があるので、ROE単独で銘柄を選択すべきでありません。
会計操作の影響を受けやすい純利益を分子に使っているROEやROAより、ROI(=(営業利益+減価償却費)/(株主資本+有利子負債) )、ROIC(=営業利益*(1−税率)/(株主資本+有利子負債))、CFROE(=(営業キャッシュフロー-設備投資)/株主資本)を私は重視しています。
ROI、ROICについては、いくつかの定義がありますが、簡便法として上記の定義で、実用上十分です。
ネット・マージン、売上高キャッシュフロー比率、キャッシュ・キング・マージンも重要なマーカーです。
(4)ステップ4;アナリストによる格付けを調べる
アナリストにより高い格付けの与えられている銘柄のリターンは低いので、なるべく格付けが高位の銘柄は避けます。格付けが中位の銘柄、またはアナリストによる格付けがされていない銘柄を選びます。
(註)新興市場では、アナリストの格付けはリターンと相関するというレポートもあります。
(5)ステップ5;業績予想の修正があったかどうかを調べる
上記の4条件を満たす(全部を満たす必要はありません)銘柄をマークしておき、業績予想の上方修正があった場合は、「買い」のサインです。また、下方修正があった場合は、十分株価に織り込まれてから(数ヶ月以上)、買うのも一つの方法です。
(6)ステップ6;総合的に判断する
上記の5項目を見て、総合的に判断します。
PERやPCFR、PVRなどの割安性のマーカーが低ければ低いほどよいというわけではありません。成長性が高いとかなりの蓋然性で推定される場合は、多少PERなどの指標が高くても、買う場合はあります。
PER/PCFRは、セクター(業種)間でかなり異なります。私は、PER/PCFRが低いセクター(業種)を好みます。これらのセクター(業種)内では、銘柄ごとの僅かなPER/PCFRの高低にはあまりとらわれませんが、やはり低PER/PCFR銘柄のほうがリターンがいいので、なるべく低位銘柄を選択します。
セクター(業種)の悪い印象や将来性に対する危惧、あるいは不振にあえぐ同業他社の類推から、実態以上に警戒され、低い株価(低PER/PCFR)に放置されている銘柄の中から、財務や収益力などの客観的指標が実際にはそれほど悪くない(むしろ抜群に優れた)銘柄を選択すべきです。
(7)分散投資について
上記の基準で銘柄を選択すれば、インデックスを上回るリターンを上げる可能性が高いですが、「EBIの基礎(3)」で説明したように、特に小型株の場合、これらの高い平均リターン(期待値)は極めて少数の「大穴株」によるところが大です。
確かに、集中投資のほうが、「当たった」時のリターンは大きくなります。また、バフェットも集中投資を実践しています。集中投資で「大穴株」を当てたほうがスマートに見えるかもしれませんが、私は上記の理由で分散投資を薦めます。
(8)低PER/PCFR戦略の注意点
低PER/PCFR銘柄の平均リターンは市場の平均を上回りますが、この低PER/PCFR戦略に弱点があるとすれば、それは次の2点です。
まず、第一に、低PER/PCFR銘柄のリターンは、平均値>中央値の関係があります。つまり、少数の低PER/PCFR銘柄を選ぶだけでは、優れた低PER/PCFR銘柄の平均リターンに近づく確率は低くなります
(註)よほどファンダメンタル分析に自信がある人は、少数銘柄だけでもいいかもしれません。しかし、ファンダメンタル分析は口で言うほど簡単ではありません。
第二に、「相場」が悪い(市場の平均がマイナス)時は、低PER/PCFR銘柄のリターンも、市場の平均よりはよくても、絶対値ではマイナスになることが多いということです。
これに対する対策としては、第一の点に対しては、銘柄選択の際、他のファクター(有利子負債率やROE)を付け加えることで、ある程度解決できます。また、選択する銘柄を増やせば増やすほど、低PER銘柄ポートフォリオのリターンは低PER銘柄全体の平均リターンに近づき、市場の平均を上回る確率が高くなります。
第二の点に対しては、有効な対策はありません。還元価値以下にディスカウントされた銘柄を買えば、いずれ上がるだろうということは言えても、分散投資で複数銘柄(10ないし20)に投資する場合、どうしても、「相場」の影響を受けます。短期的には下がることもありますが、それはやむを得ません。
(9)株式購入時のタイミングの分散について
いくつかの本では「買値を下げるために、2回か3回に分けて株を買うべき」と書かれています。しかし、近い将来株価が上がることを予想して買うわけですから、速やかに予定した株数を買ったほうが期待するリターンは高くなるはずです。そう考えられないような銘柄は最初から買うべきではありません。分散して買ったほうが高値をつかまないですむと考えるのは、単なる気休めでしかありません。
ただし、流動性が低い銘柄で、自分自身のマーケット・インパクトで買値が上がってしまう場合は、何日かにわけて購入することはあります。
(註)人間は感情の動物です。気休めが絶対に悪いといっているのではありません。
また、5年か10年に一度の大暴落(全面安)時には、「買い」に向かうべきですが、いつが底かがわからないため、少しずつ買ってみることは常套手段です。
(10)損切り(ロスカット)・ナンピン買いについて
ほとんどすべての株の本には、「損切りを徹底しろ、マイナス8%とか10%に損切りラインをあらかじめ設定してそれに達した時は速やかに売却しろ」と書かれています。しかし、たまたま買えた買値を基準に株式の売買を考えることには、何の合理性もありません。
「相場」が悪く、それに連動して(おそらく投資家の心理状況に起因する需給関係により)保有銘柄の株価が下がったとしても、その企業の本源的価値が低下していなければ(あるいは「業績予想のコンセンサス」が変化していなければ)、売る必要はまったくありません。むしろ、ポートフォリオに対する比率が、あらかじめ決めた上限(私の場合は6%)に達していなければ、ナンピン買いのチャンスです。
ただし、単に「平均買値」を下げるために無分別なナンピン買いをすること、つまり自分が取れるリスク以上のナンピン買いをすることは絶対に避けるべきです。
(註)短期売買では、ロスカットをしたほうがいいかもしれません。
(11)売却について
これも株の本には、「買値の20%とか50%上昇したら、利益を確定しろ」と書かれています。繰り返しますが、自分の買値を基準に売買を考えることには、何の合理性もありません。
株価を売却するのは、@株価の上昇などにより「割高」になったと判断した時(収益が悪化して、一見「割高」に見えても、それが一時的であると考えられる時はHoldです) A他にさらに割安な銘柄が現れた時です。
EBIの実践