淫行条例改正試案(2001.7.18版)

淫行条例改正運動として、現行条例への代案として改正案を作成しています。
この問題は青少年条例の一条項で簡単に定めるべきではなく、
独立した条例によって出切る限り性の権利を侵害しない木目細かな規制にする事を
提案し、このような形にしています。

ご意見、ご感想は淫行条例改正運動HPの各BBSにお寄せ下さい。


全体的説明
本試案は青少年に関して問題とされうる性行為を細分化して捉え、それぞれ条項に分けた。これは性行為に関わる規制が青少年を保護する反面その権利を束縛する可能性があるため、なるべく細かく分けた中でそれぞれについて保護利益と束縛の危険性のバランスを考慮しなければならないからである。バランスを考慮した上で特に規制の要ありと考えられる条項には最低刑規定を設けて現行よりも実質上重罰化した(地方自治法への抵触を検証する必要あり)。現行の条例では青少年に対する淫行を一概に述べており、青少年の権利を不当に束縛する恐れが強い。また、学校の成績評価等は児童買春法における「対償」とされない(優越的立場そのものを利用した淫行等は適用されない)問題を補助する為に少なからぬ条項を設けた。 それらは現行法では児童福祉法の適用を受けるが、この条例(又は法令)の設置と共に児童福祉法の淫行規定が削除される事を望む。


淫行条例改正案

第一条(趣旨)
第一項 本状例は、青少年のその心身の発達成長に伴う性に関する決定能力を尊重し、その権利を損なう事を可能な限り回避しつつ、青少年を不当な性行為の被害から保護する事をその目的とする。 本状例の運用にあたっては、不当に市民の権利を侵害してはならない。
第二項 本状例には、青少年の恋愛活動を不当に妨げるような条項を設置してはならない。

[条例の趣旨を「健全育成」の押し付けではなく、あくまで青少年の人権保護に限るべきである]
[ここにおいて「不当に市民の権利を侵害してはならない」をいま少し具体的に記述できないか、検討を要する]

第二条(定義)
本条例において、
1)年少青少年とは、13歳以上で16歳に満たないものをいう。
2)青少年とは、13歳以上で18歳に満たないものをいう。
3)淫行とは、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は 自己の性的好奇心を満たす目的で、青少年の性器等(性器、 肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは青少年に 自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。

[16と18に線引きをしたが、このラインについては一層の議論を要する。]

第三条(年少青少年への淫行)
第一項 年少青少年を威迫する、欺く、又は拒否困難な立場に陥れる等の不当な手段をもって当該青少年に淫行をし、またはさせてはならない。
第二項 年少青少年に対し、特定の第三者に淫行をし、または淫行を受けるように指導、命令、誘導をしてはならない。
第三項 青少年に、前項に違反する行為をさせてはならない。

[第二項規定による年少青少年の行為の相手方も規制するかどうかの議論を要する]


第四条(青少年への淫行)
第一項 次の各号にあたるものは、 その立場を不当に利用して当該青少年に淫行をし、またはさせてはならない。
1、 青少年に強い支配力をもつ立場である学校等の関係者
2、 青少年を収容する施設の職員
3、 三親等以内の尊属
4、青少年の保護にあたる公務員又はそれに準じる者
5、 青少年を雇用または監督する立場にあるもの又は雇用の判断を行う者
第二項 前項の規定にある者は、当該青少年に対し、特定の第三者に淫行をし、または淫行を受けるように 指導、命令をしてはならない。
第三項 青少年の関係者に対する経済的利益、又は社会的利益を対償として与え、又は約束して当該青少年に淫行し、又はさせてはならない。
第四項 前項に規定する対償を与え、又は約束して当該青少年を特定の第三者と淫行させてはならない。

[性の問題に関し特定の職種に特に規制をかける事は異論があるであろうが、 これらの特別な関係において性虐待の発生率が高いと考え、この規定を設けた ]

[第二、四項規定による青少年の行為の相手方も規制するかどうかの議論を要する]
[第三、四項規定は児童売春法に関する参院法務委員会の議論を参考にして付け加えた]

第五条(先行証明義務)
第三条第一項、第四条第一項に違反した嫌疑で容疑者を公訴する当局は、性行為または性類似行為自体に関する証拠及び証言以外に 各条にあたるとする証明を先行して行わなければならない。

[純粋な恋愛であったなどとする証明が困難であるため、この規定を設けた]
[刑事訴訟法、刑事訴訟規則に抵触しないかの検証を行う必要がある]

第六条(親告罪)
第1項 第三条第一項、第四条第一項に違反する行為はこれを親告罪とする。
第2項 前項の規定によリ被害者の法定代理人が告訴を行い、それに基づいて公訴を提起するには、公訴について被害者青少年の意見を聞かなければならない。又、被害者青少年が公訴に明白に反対の意思を表明した場合は、公訴できない。
第3項 前項の規定は、被害者青少年に告知されなければならない。又その方法に付いては、当該青少年に理解できるような配慮がなされなければならない。

[法定代理人の告訴権は固有の権利とされる事に抵触する危険を検証する必要がある]
[第七条で充分な告訴期間を設けて青少年に判断の時間(3年)を与え、その上でも当該青少年が公訴に同意しないような人間関係であれば、公訴はむしろ当該青少年にとって苦痛が大きいのみならず、当該青少年の自主的決定権を高度に侵害することになると考え、この規定を設けた]

第七条(告訴期間)  
第六条に定める告訴の期間は、犯人を知った日から各罪の公訴時効満了の日までとする。

[各性犯罪の親告罪における現在の告訴可能期間が短すぎるとの意見が社会的に強く、ここでは告訴期間を公訴時効までとした]

第八条(発表及び報道)
第三条、第四条に違反した嫌疑で逮捕された者に関して、逮捕当局は当該事件の公訴が提起されるまで、被逮捕者の同意なくその身元を特定されうる情報を公開してはならない。 また、被害者の身元を特定されうる情報は、公開又は報道してはならない。

[当条例違反の嫌疑がかけられた事を公開すると、それ自体強い社会的制裁になるので設けた]
[公開を禁止する期間を公訴までとするか、判決確定までとするか、逮捕時点での公開を認めるか議論が必要であるが、 特に本条例違反においては公開自体が罰金刑以上の制裁として成り立つ可能性が強く、刑法に明記されていなくとも 刑として働きうる事を鑑みると、逮捕時点の実名公開は罪刑法定主義の精神に反すると考えられる ]

第九条(教育努力)
第1項 青少年の保護又は教育に責任をもつものは、第三条、第四条のような事態に青少年が まきこまれない為の適切な教育に務めなければならない。
第2項 前項にあたるものは、青少年が本状例に定める各規準年齢に達するまでに、その基準で与えられる自由と責任の意味について充分かつ適切な教育に務めなければならない。

[本条例は青少年の性行為を規制する趣旨ではなく、青少年が性的搾取被害に遭う事を防止する事がその目的であるが、規制による保護の外れる年齢までにそれに見合った教育を施す事はそれまで保護されていた者を保護の外に放つ側の責任であると考え、特に第2項を設けた。]

第十条(罰則)

第1項 以下の条項に違反したものは、三月以上二年以下の懲役に処す。
1、第三条第二項
2、第四条第二項
3、第四条第四項
第2項 以下の条項に違反したものは、二年以下の懲役に処す。
1、第三条第一項
2、第三条第三項
第3項 以下の条項に違反したものは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処す。
1、第四条第一項
2、第四条第三項


[地方自治法の範囲で最も重い最高刑を設定したが、議論を要する]
[条例でなく法令として同様のものを制定する場合はより重い罰則も考慮する]

第十一条(除外)
第三条第一項、第四条第一項及び第三項に違反した者が青少年である場合、又は当時青少年で あった場合は罰則を適用しない。

[青少年同士の間にも特別な権力関係は存在しうる事を考え、そのような場合においての性搾取を防止する為、特に各条第2項、第3項を外した]

補足:
1)児童買春については、児童買春・児童ポルノ処罰法で対処する。
2)児童福祉法は別途改正を要する。
3)刑法の性同意無効年齢の14歳未満への引き上げを同時に提案する。




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