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自衛隊の災害派遣について知ることのできるページ

目次

消防などとの比較(自衛隊が有利)編

 自衛隊の災害派遣は消防などの機関が行う災害救助活動とどのように異なるか、簡単に記しておきたいと思います。まずは自衛隊のほうが優れている点から

飛行機・ヘリコプターをたくさん持っている

回転翼機固定翼機
自衛隊(H16)660573
消防(H16)66(防災ヘリ含む)0
警察(H15)約800
海上保安庁(H15)あわせて75

 上記のように自衛隊は他の防災関係機関をあわせたよりはるかに多くの航空機を保有しています。

 自衛隊のヘリコプターは複数機での任務を前提に訓練されており、少数のヘリしか保有していない警察・消防ヘリより災害時の航空機が輻輳する空域での活動に適しているといえるでしょう。

編隊飛行を行う自衛隊機

 自治体保有のヘリは、予算等の制約により年間300時間までしか飛行しない(メーカー指示による300時間毎の点検と航空法による年1回の点検をあわせて実施 島根県「県民の声」2005年5月 http://www2.pref.shimane.jp/kouhou/h17/bousai/goiken/g0505_17.html)運用をしているところが大半だということですが、自衛隊の場合はたとえ同様の運用であっても、多くの機体を保有しているため活動の制約条件にはならないでしょう。

 自衛隊では移動式の航空管制システムを保有しており、被災地近傍の場外着陸場での航空管制業務を行うことができます。法律上の強制力はありませんが、妨害や危険な飛行があった場合は国土交通省より適切な措置がとられます。

 自衛隊は他の機関が保有していない大型ヘリ(CH-47 V-107)を70機以上保有しています。これらの機体が保有する強大な物資輸送能力は物資や人員の輸送、空中消火などで大きな成果をもたらします。近年では2004年の新潟県中越地震で道路の寸断により孤立した山古志村民約約1,600名を避難させています。

車両を輸送するCH-47J

インフラが無くても活動できる

 特に大規模な災害においては、電気・ガス・水道・各種交通機関などがいっせいに停止し、被災地は一時的に混乱かつ物資欠乏・配分不能の状態に追い込まれます。

 消防や警察は社会基盤が整っている状態で活動するのが前提ですので、もしこの基盤が破壊され混乱してしまえば普段自衛隊より高い能力を示していたとしても、災害時において能力低下は避けられません。たとえば普段病院まですみやかにで輸送してくれる救急車も道路が寸断されてしまえば要救助者の下へ駆けつけることすらできません。また、阪神・淡路大震災において発生した火災では延焼速度が過去の大火の例に比べ極めて遅かったにもかかわらず消防活動により延焼が阻止できたのは1割であったという報告もあります。(国土交通省http://www.mlit.go.jp/crd/city/sigaiti/tobou/hansin.htm)

 自衛隊の場合は社会基盤がないことを前提に活動する組織なので、たとえば道路がなくても徒歩やヘリボン作戦でまでたどり着くでしょう。あるいは道路を仮設し、他の機関の要員が被災地にたどり着けるようにすることもできます。ガスや電気がない環境で暖かい食事や仮設浴場を提供する能力は自衛隊特有のものです。

大量の訓練された人員を1ヶ所に集中できる

 現在の自衛隊は訓練・研究をして高度な装備品とこれを有効活用する人材を育成するのが基本的な任務です。一定の能力を持つ防衛組織がそこに存在するだけで、冷静に損得計算ができる相手は日本への侵攻をやめて外交による解決を目指すことが期待できるからです。(勿論、必要とされる事態が起きればそれに対処するのは当然なことですが)

 一方消防機関などは通常、その地域地域において通常必要とされる程度の人員・器材のみ保有しています。消防庁が告示していた『消防力の基準』(平成12年改正)によれば「当該市町村の区域において消防の責任を十分に果たすために必要な施設及び人員について定める」として同基準により全国で約205,000人の消防職員が必要としていますが、現員数は約150,000人(ともに平成15年4月)に過ぎません。また、緊急消防援助隊(約31,000人登録)の整備も進んでいますが、このような現状では集中的に被災地に投入することは困難です。

 自衛隊の場合平和であれば全国からの増援により訓練された隊員を最大約50,000人一地域に集中させることが可能です。また、基本的には指揮系統が1本なので、受け入れ側は派遣された各部隊に細かく任務を指示する必要がありません。

 災害救助には人力に頼らざる得ない場合も多く、また、一般的なボランティアは状況により自衛隊並みの人員が集まりますが平素の訓練が不十分であるので自衛隊の持つ大量の訓練された人員は災害時に心強いものとなります。

参考文献

作者と連絡先