6.ネイタイ門

Thiva06

  広い通路のネイタイ門  
 

 アクロポリス・テーバイは、カドモス王宮を中心に丘の上に築かれた為に、その城門は丘の斜面の途中か斜面の直下に建てられていた。次のネイタイ門も西側の崖下にあるだろうと想像できた。そこで私は、旧市街の西側の崖下の国道(旧ディルケー川河床)を北上する事にした。崖の斜面や崖下には雑木が生えており、遠くからではその下に遺跡があっても見分けがつかない。この辺かなと思われるあたりから、一々国道を外れて斜面の雑木の下へ分け入っては、ネイタイ門を探して国道を北上して行った。
 3回目に崖下の雑木林に潜り込んだ時に、その門は見つかった。

 見ると、門の後ろに高い崖があり、崖上から道が斜めに下りてきている。その道は門の手前で向きを変え、今度は幅広い階段となって門の内側の通路に下りてきている。(写真左)
 門の内側の通路の広さや直線的な構造は、直前に見た5.クレナイアイ門に構造は似ていると思った。通路幅は広く、直線的であった。市の東側で見た 2.ホモロイダイ門 3.エレクトライ門のように、迷路のような通路や回廊は持っていなかったようである。もっとも、この通路の壁は石組みが露出してなく、白い漆喰のようなもので表面が平らに塗られていたので、現在残っているこの遺跡は後世のものかも知れない。場所はともかく、残っている遺跡は古代のネイタイ門そのものではないだろうと思った。
 

 
 
ネイタイ門内側、広い通路と階段 ネイタイ門の腰壁は後世のシックイか
奥左手に崖上から道が下りてきている 向こう側の白い壁は石のようでもあった
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誰か住んでいたのだろうか? 「ネイテス」との看板の傍で
小さい小屋があった 「この遺跡はネイタイ門ですか?」
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  案内板の前で尋ねる  
 

 さて初めて私一人で門を見付出した訳だが、悲しい事にこれがネイタイ門であるという保証がない。やはり近くを通る人を待って、確認してみなければならない。
 待つ程もなく、手に束ねたノートのようなものを持った、高校生と思しき青年が一人通りかかったので尋ねてみた。
 彼は地図と周囲を見比べていたが、言った。
「知らないな・・・」
そして私が歩いて来た国道へと出て、南の方、私が歩いてきた方角を手で示して、
「もっと向こうだと思う」
と言ったちょうどその手の先に、一本の古びた木製の看板(写真上右)が立っていた。
私は読んでなかったが、彼はその看板を読み、苦笑いしながら今度は看板を手のひらで示して言った。
「ネイテスと書いてある。ここがそうだよ」
言われてみればそう書いてある看板があった。私は「ネイテス門」と書かれた案内板の前に立って、「ネイタイ門はどこですか?」と尋ねていた訳である。
 
 アイスキュロスの「テーバイに向う七将」ではこの門は3番の籤で、この門を攻めたのは、テーバイ側の王エテオクレスと同名のエテオクレス。彼は、
「アレスといえども、保塁より我を落とさじ」
と叫びつつ、この門から高い崖をよじ登ろうとしたと言うので、今でも門の後ろにある高い崖の上が、古代では保塁になっていたのだろうと気が付いた。約2500年前に書かれた3000年以上昔の神話の台詞と、現代のテーバイの地形が色々と一致している事に、一つ一つ言い知れぬ感動を覚える。
 
 このエテオクレスに対して、テーバイ王のエテオクレスは、メガレウスを守備につかせる。