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いづれの御時にか、女御更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。

(源氏物語)

LEAPSの行方        (2005/12/20)
 

 最近、Pfizerの株(PFE)とLEAPSのコールを買い、Japan Index(EWJ)のプットを買ったのですが、12/2付けのMarket Watchこんな記事を見つけました。

 筆者はHulbert Financial Digestというニュースレター(会員に株の推奨などを行う会報)を調査する会社を運営しています。この会社の調査範囲である189のニュースレターのうち、PFEは絶頂期には22のニュースレターで推奨されていたのだそうですが、現在は推奨は15のニュースレターに減少したそうです。一方、過去30日(つまり、だいたい11月中ということになります)に5本の指を下回らないニュースレターがEWJをモデルポートフォリオに加え、12/2時点で16のニュースレターが推奨している状態になっているそうです。最近EWJをモデルポートフォリオに加えたニュースレターはトレンド追随型の 情報を提供しているところで、日本株が上がっているから推奨リストに挙げたということのようです。

 一方、私は、EWJのプットを11/16-22と12/7に買い、12/12にPFEの株とLEAPSのコールを買っています。

 ニュースレターの推奨は一般には逆指標になっていると言われている(と私は少なくとも思っていた)ので期待したいところですが、なんと、この会社の1980-2005年の25年間の調査ではニュースレターの推奨は逆指標になっていないようです。

 ニュースレターで人気の高かった上から5社について、1ヶ月後、1年後の株価の変化を調べてみると、市場平均(DJ Wilshire)をそれぞれ0.12%、1.01%上回っているそうです。(DJ Wilshireと記事にあるのはたぶんDJ Wilshire 5000 Total Market Index(^DWC)のことで、アメリカの市場全体を表しているとされるものだと思います。5000とありますが、実際には5,000社 を超える株を含んでいます。)

 それで、PFEは過去5年のうちに半額になっているそうですが、これは例外とのことです。

 私はEWJのプットの行使価格が$12で来年の3月限と6月限のものを買っていますが、現在、原株であるEWJが$13を超えていますので、プットはほとんど価値を失って ししまっています。

 EWJのプットの極端な値下がりを見るに、「日本株は近いうちに下げる」に賭けた私は負けのようです。現在のところまでの教訓としては 、やはり、わかりもしない短期の値動きを予想してはいけないということでしょう 。

 一方、なぜMSFT, CSCO, PFEのLEAPSのコールを買ったかですが、アメリカの大型株が割安になっているということです。Tilsonがかなり前に言っていて、自分のファンドに大型株を多く組み込んでいたのは知っていたのですが、Wal-Martなどは日本からはわかりにくくて手を出しませんでした。(Tilsonの見方については、ここのTilson Fund 3Qの持ち株と見解を見ていただければと思います。私とはMSFTしかかぶっていませんが。)

 調べてみると、MSFTやCSCOも割安のように考え、会社の内容もある程度わかるので組み込んでみました。日経ビジネスでMicrosoftやCiscoの特集があったのも参考になりました。

 Greenblattも大型株が割安になっていると見ています(この記事を参照してください)。

 現在、MSFT、CSCO、PFEとも低成長株になったことが低PERの原因と思います。「市場くん」(Mr. Market)が低成長の大型株には低PERがふさわしいという見解を維持すれば株価は上がりません。

 一方、MSFTとCSCOの市場の圧倒的な占有率(どちらもネットワーク効果(Network Effect)の賜物と言ってよいでしょう)、PFEの世界一の製薬会社としての開発力がそれなりに評価されれば株価は上昇すると思われます。 (PFEはコレステロールを下げる薬Lipitorに関する特許の訴訟で勝訴したということで少し上がっています。訴えていたインドのニューデリーの会社Ranbaxyは早速上告しています。 )

 ここで、問題なのは、いつ市場が見直してくれるかということです。LEAPSがあがるためには株価の上昇が2年以内に起こらないといけません。もちろん、LEAPSの有効期間である2年間の間に、Microsoft(MSFT), Cisco Systems(CSCO), PFEの株が結構上がるのではないかと私は踏んでいるのですが 、もっと時間がかかるかもしれません。そのときはLEAPSのコールを買うという賭けは負けとなります。なんとか市場の見直しを期待したいところです。

 *****

  日本株は上がっていますが、警戒水域に入っているように思えるので、かなり前から現物だけにしています。しかし、EWJのプットを買ったのは失敗か、よくても早すぎでした(涙)。

 

グリーンブラットの新刊とマンデルブローの本        (2005/11/23)
 

 取り急ぎ、本の紹介を2点します。

 *****

 「グリーンブラット投資法」(原題"You can be a stock market genius"(あなたは株式市場の天才になれる))のグリーンブラット(Joel Greenblatt)が新しい本を出すようです(まだ出てい ないようです)。"The Little Book That Beats the Market"(日本のAmazonアメリカのAmazon)です。Wall Street Journalに紹介記事が出ています。 (すみません、読むためには有料のオンラインのWall Street Journalを購読する必要があります。)また、Amazonの書評も参考になります(たとえば、のレビューを見てください)。

 紹介記事によると、新刊は「手に入る中では最も明晰かつ最良のバリュー投資のガイドの一つ」と褒められていました。

 前著の"You can be a stock market genius"はハードカバー、ソフトカバー併せて38,000部売れたそうです 。ちなみに、ハードカバー本には、"Even If You're Not Too Smart"(あなたがそれほど賢くなくても) と括弧書きがあるようですね。

 グリーンブラットの目標は、レベルは高い一方で、自分の6歳から15歳までの5人の子供にもわかってもらえ、使ってもらえるようなアドバイスをすることだそうです。(子沢山ですね(^^;)

 具体的には、以下で見るように、グレアム(Benjamin Graham)型のスクリーニングと分散投資の本のようです。

 投資で成功するには、良い会社に安いときに投資せよ、ということになるわけですが、本では、「安くて良い」会社をどう見つけるかのスクリーニング法を提供し、「魔法の公式」を提唱しています。基本は、株式益回り(PERの逆数)で「安さ」を測り、資本収益率で「良さ」を測っているようです。さらに、自分の無料サイトwww.magicformulainvesting.comでスクリーニングができるようにしているそうです。

 本によると、

  1. 魔法の公式で選んだ、大きい方から1,000社のリターンは、1988-2004の期間で年率22.9%で、S&P500の同期間での年率12.9%をはるかに上回っている
  2. 2,500社を魔法の公式に従って10分割すると、最上層の250社のリターンは第二層の250社を上回り、第二層の250社のリターンは第三層を上回る..という結果となった

 一方、公式の欠点として、成長とリターンが過去のものとなっている株がスクリーニングでひっかかりやすいことが挙げられており、初心者には20-30社に分散して投資することを本では勧めています。

 ということで、グレアム型の投資の本かなという印象です。そういえば、「グリーンブラット投資法」にこういう一節があります。

「グレアムは、自分の知恵を投資家に伝えたいとの思いが強かった。彼は計量的に割安な銘柄で分散されたポートフォリオを積み重ねていくことがほとんどの人にとって、もっと投資に近づきやすい方法と考えた。」(p.44)

 前著で見られるように、グリーンブラット自身は特殊状況への集中投資を行ってきました。

 先ほど見たように、「グリーンブラット投資法」を最初にアメリカで出版したときに、グリーンブラット自身は簡単だと思って、「あなたは株式市場の天才になれる(あなたがあまり賢くなくても)」という(怪しい)タイトルをつけたのでしょう。しかし、前著の読者の反応をみたり、 コロンビア大学で客員で教えたりするうちに、特殊状況への集中投資はかなり高度で万人向けではないということがわかってきたのかもしれません。そこで、万人向けの方法論として、 グレアム流のアプローチを用い、自分なりのスクリーニング法を提唱し、バックテストを行い、有効性を確認して、本を書いた、さらに、自分でスクリーニングできないという人に対しては、そのためのサイトまで用意した、というところでしょうか。

 −まあ、読んでみてまた感想を書きたいと思います。

 私は師匠の(一人の)本なので早速予約注文しました。(ですが、読む時間があるのか疑問です...(汗))

 *****

 フラクタル理論のマンデルブロー(Mandelbrot)が共著で"The (Mis)behavior of Markets: A Fractal View of Risk, Ruin, and Reward"という本を出している ようです。2004年なので、昨年ですね。Mandelbrotによると、現代投資論の基本的な二つの仮定が成り立っていないということらしいです。その二つの仮定とは、

  1. 価格変化は連続的で滑らかである
  2. 価格変化は以前の変化と無関係である

で、この2つから、価格変動がランダムで正規分布することが示唆されます。

 実際には、この仮定が成り立たないために、以前9/4に調べたように、極端なこと(暴騰、暴落)が現代投資論が予測するよりはるかに起こりやすいということになります。

 この本も読んでみたいことはみたいのですが、直接投資には役立たなさそうですね。結論は知っていることですし。  

 *****

 今月はまともでないサイトの調査をしたりしているうちに、仕事が忙しくなってしまい、このような怠慢な書き込みになってしまいました。

 ただ、それでも勉強になったのは、

  1. 他人のレポートの盗用をするような悪質なサイトがある(私の知っていたサイトはすでに閉鎖されました)
  2. 故意か過失かわかりませんが、事実に基づかない考察をしているサイトがある
  3. そして、以上2つのサイトがそれなりに人気を集めている(集めていた)

ということのほかに、

  1. 少し調べてみれば、すぐ人の盗用であるのがわかるのに調べない人がいる(らしい)
  2. 少し調べてみれば、事実と異なることを書いていることがわかるのに調べない人がいる
  3. 分析が盗用でもいいと考える人がいる(らしい)
  4. 事実から導かれていない結論でもあまり気にしない人がいる

ということを(頭の中ではわかっていましたが)再確認できたことです。もう株式市場全体はだいぶ上がってしまっていますが、非効率性の種は今でもありそうです。

 一方、3.の事実や、4-7のような人の登場(あるいは割合の増加)は、市場が浮かれていることを示しているように思え、当面は買いは慎重にしたいところです。

 *****

 ポートフォリオの更新はまたいずれします。ルータ市場とスイッチ市場での巨人であるCisco Systems(CSCO)も安かったので、LEAPSを買ってみました。こちらは、セットトップボックスなどを扱うScientific Atlantaを買って(たとえば、ここ)下げています。Ciscoは小さい会社をたくさん買収して大きくなってきたところがあるのですが、今回は結構大型買収なので、失敗するかもしれず、市場の「売り」の判断は正しいのかもしれません。

 
オプション価格の計算        (2005/10/3)
 

※日本での個別株オプションについて加筆しました(10/4)。

 だいぶ前(2005/9/9)ですが、指し値をしておいたMicrosoft(MSFT)のLEAPS(Long-term Equity AnticiPation Securities)のコールが買えました。

 LEAPSとは、長期のオプションです。他のオプション同様、株を買う権利(コール)と売る権利(プット)があります。今回買ったMSFTのコールは$25でMSFTの株を買う権利です。1枚につき100株を買う権利に対応しています。ちなみにオプションは買うだけでなく、売ることもできます。売りは勝率は高い のですが、オプションの売りは株の空売りと同様、損失の可能性は無限大です。 一方、プットを買うのは、空売り同様株が下がることに賭けるわけですが、空売りと違って損失が限定されている点はいい点だと思います。

オプションの種類 権利 買い 売り
損失は限定 損失の可能性無限大
コール(call) 株を買う権利 株の上昇で利益 株の下落で利益
プット(put) 株を売る権利 株の下落で利益 株の上昇で利益

 単純に、上のようにまとめましたが、話はそう単純ではありません。株価の変動の大きさ(それも市場の織り込んでいる「未来の」株価の変動の大きさ、インプライドボラティリティ)もオプション価格に関わってくるからです。 実際、実戦重視の増田丞美さんの「オプション売買入門」では、インプライドボラティリティの重要性が説かれています(現在、勉強中です...)。

 また、オプション売買の問題点としてあげておかないといけないと思うことの一つは、手数料が高いということです。株は昨今かなり安く売買できますが、オプションの売買手数料は割高に思えます。もちろん利益を上げるには売買手数料に勝つ だけのリターンがなくてはいけません。

 LEAPSのコールを買うのはかなり雑にいうと、リバレッジをかけて株を買うのと同じことになります 。そのことを理解しておけば、LEAPSのコールを買うのには十分だとも思われますが、これをいい機会にある程度オプションのことを勉強しておくのがよいと思って勉強してみることにしました。今回購入したオプションの価格が割高か割安かも考えてみたいと思います。(最後まで読んでがっかりする方が多いと思うので、あらかじめ言っておきますが、結論は 貧弱です(汗)。)また、オプションは勉強中なので、間違いがあるかもしれません。間違いがあれば、ゲストブックでご指摘いただけると幸いです。

 ***** 

 オプションの入門的な解説が、オプション道場さんにあります。LEAPSについてもここで取り上げられています。何度か書いていますが、LEAPSは 「グリーンブラット投資法」にも取り上げられています。売買できるLEAPSのリストはシカゴオプション取引所(Chicago Board Option Exchange)のこのページにありますし、ダウンロードもできます。

 日本株でも個別株のオプションが大阪証券取引所を中心に売買され、流動性が低いながらも個人投資家も市場に参加しているようです(オプション道場さんのここ参照。大証での取引銘柄 のリストはここ、東証での取引銘柄のリストはここにあります)。また、身近なのは、カバードワラントではないでしょうか。(カバードワラントの達人さんのこちら参照)ただ、カバードワラントは市場の値付けでなく、マーケットメーカーの値付けなので不利だと思われます。

 オプションの満期までの期間を調べてみると、大証の「株券オプション取引制度要綱」でも東証の株券オプションQ&Aでも、個別株オプションは期間は2ヶ月または8ヶ月です。 一方、今回購入したMSFTのLEAPSは満期までの期間が2年以上あり、そのような長期間のオプションは、日本ではないようです。

 オプションの価格計算については、ワラント資料館さんのブラックショールズの公式の解説のページを参考にさせていただきました。ありがとうございました。計算例が載っていたので、計算が正しいのかの検算をしながらできてよかったです。 なお、こちらのオプション研究所さんでオプション価格が計算できます。また、英語ですが、こちらにヨーロピアンオプション価格を計算するExcelファイルがおいてあります( ほとんど書き終わってから見つけた(泣)のですが、自分の計算と同じ結果になることを確認できました)。

 ということで、オプション価格の計算にここではBlack-Scholes式(とその拡張)を使っています。

 まず、Black-Scholes式を使っていいのかについて考えてみます。

 Black-Scholes式は満期日にしか権利が行使できないヨーロピアンオプションに対応するものです。一方、今回のMSFTのオプションは満期日以前の存続期間にはいつでも行使可能なアメリカンオプションです。アメリカンオプションのほうがヨーロピアンオプションよりも行使条件が緩いので、直感的には、高いプレミアムが支払われるべきであるように思われますが、どうなのでしょうか。

 アメリカンオプションに関する解説がFinancial Numerical Recipes日本語版こちらにあります。(翻訳なので、少し変なところがあります がだいたい意味がわかると思います 。なお、原文はFinancial Numerical Recipesこちらです。) アメリカンオプションの理論価格は一般的には解析的な式で与えられないとありますが、ある場合には、解析的な形で書けるそうです。「例えば、配当なしのアメリカンコールオプションはヨーロピアンオプションと同等になる」とありますが、残念ながら、今やMicrosoft株は配当が払われるようになっていますから、この条件は満たしていませんが、ここではそれには目をつぶることにします。  

オプションの種類 権利行使 Black-Scholes式の適用性
ヨーロピアン 満期日のみ
アメリカン 満期日以前いつでも 配当なしのコール

 さらに、Black-Scholes式の問題点としては、ブラックショールズの公式の解説には

  1. 原資産(この場合Microsoft株)の市場価格の変動の確率分布に、正規分布を用いていること(変動とは、「リターンの対数をとったもの」です。ここ参照.。2005/9/4の日記には日経平均の月次リターンの分布が赤と橙の2つ出てきますが、注で取り上げている橙の分布に対応します。)
  2. ボラティリティが常に一定であると仮定していること

が挙げられています。

 1.についてはBlack-Scholes式をそのまま使ったときの問題点です。株価がランダムに変化するという仮定をおいているからです。しかし、正規分布でない ファットテイルな分布を用いたオプション価格評価も当然されています。私はまだ使っていませんが、"Fat tail option calculator"なるものもダウンロードして使用可能です。安定分布(stable distributions)を利用しているそうです(注1)。

 2.についてですが、 当然ボラティリティは変動します。あるときは値動きが激しく、あるときは値動きがあまりないということは何年間か投資をしたり していれば実感することですし、また、チャートなどの過去のデータをみれば了解できることです。

 実は、アメリカではMicrosoftを初めとした大型株は最近株価変動が小さくなったのを嫌われて安値になっているようです。すると、本源的価値よりもオプションが安く 値付けされていている可能性があることです。バリュー投資家のつけいることのできる点がここにあると思います。 さらに、このボラティリティの減少による割安さに加え、その見直しの可能性もあります。オプション道場のボラティリティの活用「ボラティリティが低い位置にあるとき、その後原資産価格が大きな動きをみせる可能性が高い」ことが統計的に示されているという記述があり、ボラティリティの増大による価格の上昇が期待できます。もちろん、「大きな動き」が賭けた方向でないと困りますが。

 Black-Scholes式によると、オプション価格は5つの要素で決まります。 (株価の変動がランダムでないとすると、正規分布以外の分布を使うことになりますが、下の5条件がかかわるのには変わりがないと思われます。)

  1. 原資産の価格(今の場合、株価)
  2. オプションの権利行使価格
  3. 満期日までの時間
  4. 安全利子率(risk-free rate, 通常、国債の利率から連続複利の利率に変換)
  5. 原資産の変動率(ボラティリティ、volatility)
  6. 年配当率

 1-3, 6は、決まっている値です。4の安全利子率も(リスクのない?)国債の利率をとることにあまり異論はないと思われます。一方、5.の変動率 はどうすればいいかわかりにくいものです。本来なら、(たぶん)オプションの残存期間の変動率をとるのがいいのでしょうが、それは未来のことなのでわかりません。そこで、過去のデータをとるのが ヒストリカルボラティリティ (historical volatility、過去変動率?)です。一方、計算するのを諦めて(!)、市場で売買されているオプションの価格からボラティリティを逆算したものがインプライドボラティリティ(implied volatility、予想変動率)です。市場が織り込んでいる将来のボラティリティくらいの意味でしょう。

 ヒストリカルボラティリティは、過去の原資産価格の値動きから求めるのですが、ある過去の期間のリターンの標準偏差を用います。したがって、期間の取り方によって変わってきたりします。期間をいろいろ変えて求めてみました。求めたボラティリティ の年次換算値を青字で示しています。また、このボラティリティの値とBlack-Scholes式 を用いて、理論価格を求めました。理論価格を赤字で示しました(注2)。

 一方、インプライドボラティリティは、前述のように、オプション価格から逆算されるものです。通常は、多数のオプションについて求めて、平均をとるようですが、ここでは、私の買ったオプションだけを使って求めてみました。インプライドボラティリティはBlack-Scholes式を用いて逆算して求めました。市場価格は4.50ドルだったので、それから、ボラティリティを計算しました。

 直近期間のヒストリカルボラティリティの方が実勢価格から求まるインプライドボラティリティに近いはずだと思われるので、最初にインプライドボラティリティを持ってきています。

Black-Scholes式(配当なし) ボラティリティ(年次換算) 理論価格 市場価格との違い
インプライドボラティリティ (逆算) 14.25% (4.50) (0.0%)
ヒストリカルボラティリティ 直近1ヶ月間日次データより 11.6% 4.20 -6.6%
直近2ヶ月間日次データより 18.2% 4.99 10.9%
直近3ヶ月間日次データより 16.4% 4.76 5.8%
直近6ヶ月間日次データより 16.5% 4.78 6.1%
直近1年間日次データより 16.8% 4.81 7.0%
直近2年間日次データより 19.1% 5.11 13.5%

 と計算されましたが、ある意味では、上の結果は計算練習です。なぜかといえば、実際にはMicrosoftは配当を支払っているからです。

 さて、Black-Scholes式を配当を支払う場合に拡張した式(こちらの"The Model (dividend Paying)")で同様な計算をしてみます。なお、この式は、Mertonが導いたものだそうです。

Black-Scholes式(配当あり) ボラティリティ(年次換算) 理論価格 市場価格との違い
インプライドボラティリティ (逆算) 18.61% (4.50) (0.0%)
ヒストリカルボラティリティ 直近1ヶ月間日次データより 11.6% 3.66 -19.9%
直近2ヶ月間日次データより 18.2% 4.45 -1.2%
直近3ヶ月間日次データより 16.4% 4.21 -6.5%
直近6ヶ月間日次データより 16.5% 4.22 -6.2%
直近1年間日次データより 16.8% 4.26 -5.4%
直近2年間日次データより 19.1% 4.57 1.5%

 以降では、配当ありの場合のみを議論します。

 まず、少なくとも今回のオプションについては、一部の例外(直近1ヶ月間のデータ)を除き、私の印象ではBlack-Sholes式で決まる理論価格と市場価格が 大きく違っているわけではないということがわかりました。直近6ヶ月までのデータで約6%の違いです。ファットテイルのことを考慮すると、バブルやパニックのときは 大きく乖離すると思われますが。そのときにはチャンスが訪れるように思えます。

 インプライドボラティリティは直近一ヶ月から直近1年間からのヒストリカルボラティリティ値よりも小さくなってしまっています。ボラティリティが大きいいほどオプション価格は 高くなります。実際、理論価格は実際の価格($4.50)を下回っています。少し高めの値段で買ってしまったということかもしれません。(結論があいまいで貧弱だ(泣))

 *****

 まあ、Black-Scholes式(と配当ありの場合への拡張)を実際に使ってみて身近になったのは一つの成果だと思いたいです。

 今後の課題は、

  1. 正規分布でない分布(一般には安定分布らしい)を使った見積もり
  2. インプライドボラティリティの変動データを使った議論
  3. アメリカンオプションの取り扱いをして値を求める

でしょうか。1.は計算のExcelシートがあるので、いずれやりたいと思います。2.はいまのところデータが見あたりません (たぶん、お金を払えば、データが見られるのでしょう...)。 見つかったか計算できたらまた議論したいと思います。3.は二項近似や偏微分方程式などを解かないといけないそうなのですぐにやる気にはなれませんが...。(そこまでやってもそれほど値が変わってこないような気がしますし、Black-Scholes式でまあまあ合っているので、欠点を認識しつつ使っていればいいような気がします。もちろん、取り扱いによって全然違う値になるのでは困るので、アメリカンとヨーロピアン の取り扱いで違いが大きいことをご存じの方はゲストブックでご教授くださると幸いです。)

 *****

 さて、今回のMSFTのLEAPSのコールを買うという賭けは、基本的にはMSFTの株価が上がれば勝ちということになります。それは、これから販売されるXbox360と来年リリースされるとされているWindowsの次期バージョンWindows VistaOfficeの 次期バージョンの売れ行きに主にかかっていると思われます。Yahoo! Financeによると、MSFTの予想PERは17.7ですので、だいぶ安くなっていると思われますが、どうでしょうか。(もちろん、うまくいくことを祈っております。) おまけとしては、検索エンジンに対するGoogleへの挑戦でしょうか。

 今月は日本株はTOPIXに引っ張られ、まあ好調でした。しかし、アメリカ株は、買ったMSFTのコールとALOYが下がって、年初に比べて32%下落という情けない結果となりました。長期でS&P500などのインデックスを上回っていけるように努力しようと思います。

 *****

 注1

 安定分布についてはここに書いてあります。この間でてきたPareto分布も基本的に同じもの を指しているようです(2005/9/4の日記に出てきたものは、平均がゼロの特殊な場合と思われます)。Levy分布という言葉も耳にしますが、これも安定分布と同じ意味のようです。安定分布の分布関数そのものでなく、特性関数が定義されていますが、ここによると、特性関数は分布関数のフーリエ変換です。したがって、特性関数がわかれば、逆フーリエ変換を行ってもとの関数がわかることになります。(といってもこんな複雑な関数の逆フーリエ変換をしたことはないので、一体どうなるのか、正直に言ってわかりません...。)

 注2

  全般的にブラックショールズの公式の解説に基づいて行いました。式を使う前に下準備が必要です。

  1. 原資産の価格(今の場合、株価)
  2. オプションの権利行使価格
  3. 満期日までの時間
  4. 安全利子率(risk-free rate, 通常、国債の利率から連続複利の利率に変換)
  5. 原資産の変動率(ボラティリティ、volatility)
  6. 年配当率

のうち、1.と2.はもうわかっています。現在の株価が$26.58、権利行使価格が$25です。

 3.の満期までの期間は営業日数を使わずカレンダー日数をそのまま使っています。(ここはちょっと自信がありません。営業日を使うべきなのかもしれません)。 Investopediaによると、満期日(expiration date)は各月の第三金曜日です。調べると、2008年1月では18日です。購入できた2005年9月9日との差は861日、約2.36年となります。

 4.安全利子率を用いるには、国債利率を連続複利の利率に変換します。満期日まで約2.4年なので、参照したのは、米2年国債利率(Rとする)です(3.86%でした)。これを連続複利の利率にすると、ln(1+R)となりますので、この値を 安全利子率とします。

 5.まず、日次のヒストリカルボラティリティを求めます。これは、MSFTの日次データを使って、リターンの(不偏)標準偏差で見積もっています。年次のヒストリカルボラティリティは営業日(この1年間で253日でした)の平方根を日次の値にかけて求めています。(日次のボラティリティから年次のボラティリティの推算にはランダムウォークを仮定しています。ここ参照)。 上の表の青字の値が得られました。当然ですが、期間の取り方によってさまざまな値が得られました。

 6.年配当額を原資産価格(株価)で割り、年配当率を出しておきます。

 以上で緑で示した欄の数字がもとめられますので、これをBlack-Scholes式に代入します。得られた数字が、 上の表で赤字で示してある理論価格です。

原資産価格(株価) 26.58
権利行使価格 25
現在時点 2005/9/9
満期日 2008/1/18
満期までの期間(日) 861
満期までの期間(年) 2.3589
2年国債利率 3.86%
安全利子率 3.787%
原資産価格の変動率 (ボラティリティ)
年配当額 0.32
年配当率 1.204%
市場リターンの分布        (2005/9/4)

 

 ※1929/10/28の曜日が違っていたので訂正しました。また暴落について少し加筆しました(9/11)。

 ときどき市場は急落、あるいは、暴落に見舞われます。有名なのは、1987年10月19日のブラックマンデーの暴落でしょう。このとき、ダウ平均(ダウ工業株平均)はたった一日で22.61%の暴落に見舞われています。これは、 大恐慌時の魔の月曜日(1929/10/28)(訂正しました。9/11)の下げ(-12.82%)をはるかに上回っています。

ダウ平均 前日終値 当日終値 下落幅
1987/10/19 2,246.73 1,738.74 -22.61%
1929/10/28     -12.82%

日本株はそのころ快調で、翌20日は、アメリカほどひどい下げになりませんでした。

日経平均 前日終値 当日終値 下落幅
1987/10/20 25,746.56 21,910.08 -14.90%

 私の記憶によると、プログラム売買・ポートフォリオインシュランスがいけないと言われていたと思います。ある程度下落するとリスクを下げるためプログラムが売りを指令するのですが、その閾値がみな同じ程度の値を採用していたため、一斉に売ることになったと説明さえていたと思います。

 「ジーゲル博士の株式投資入門」によると、株価暴落の理由として、株式市場が事前に不安定な動きを強めていたこと、長期金利の急上昇、ドルの下落、プログラム・トレーディング、ポートフォリオインシュランスが挙げられています。

 ちなみに、市場の暴騰・暴落に関してはニュースにはあまり関係がないことが知られています。やはり「ジーゲル博士の株式投資入門」によると、1885年にダウジョーンズ株価指数ができて以来、1日に5%以上値動きした123日のうち、政治経済の変化によるものが28回で他は明確なニュースがなかったそうです。変化率上位10回のうち、関連する出来事があったのがわずか2で、暴落の1番、2番である「ブラックマンデー」も「魔の月曜日」も(英語では、どちらもBlack Monday)関連する事件がなく起こったとされています。

 ブラックマンデーのとき、Peter Lynchは旅行中で、暴落のおかげで旅行どころでなくなったと書いている(「株で勝つ」p.26)一方、Jim Rogersはアメリカ市場が下がるのを見越して先に市場があけるアジア市場で空売りを仕掛けていた(「マーケットの魔術師」?)と思います。このあたりはボトムアップとトップダウンのアプローチの違いが反映していると思います。

 *****

 さて、このような暴落に見舞われても、現物のみの投資の場合は、市場の一時的なパニックと見れば、心を強く持って耐えていれば一時的に資金を減らすことはあっても パニックがされば元に戻ってくると考えられ、市場から退場させられることはまずありません。しかし、信用取引をしている場合、たとえ一時的な下げであっても、追証がかかって証拠金が差し入れられなければ、強制退場になってしまいます。

 実際には個別株の変動(暴落)が重要でしょうが、まずは、市場のリターンの分布を調べてみました。

 私の調べられた範囲のデータを挙げておきます。

市場 データ 参考pdfファイル 最小のZ値 引用
アメリカ市場(S&P500) 日次リターン(1974-2004) ここ(Exhibit 3) 約-8 文献1
アメリカ市場(S&P500) 5日間のリターン(1928-1989) ここ(Figure 2と3) 約-6 文献2
アメリカ市場(S&P500) 5日間のリターン(1968-2002) ここ(Figure 1と2) 約-8.2 文献3
日本(TOPIX) 日次リターン(1977/1/5-2003/9/1) こ こ(p.3) -8.76 文献4
日本(日経平均) 月次リターン(1949/6-2005/8) このページ -3.85  

 ZはZ=(x-m)/σで平均から標準偏差の何倍離れているかを示す値です。最小のZ値は考えている期間で最悪の下落(暴落)のひどさの程度を表すことになります。日単位 と月単位で比べると、日単位の下落の程度がより大きいらしいことがわかります。なお、アメリカ市場での値はグラフから読み取っているので、目安程度と考えてください。

 さて、自分でどうなっているのかも少し調べようと思って、探してみたのですが、TOPIXについては、東京証券取引所は無償では公開していません。結局、日本経済新聞社のサイトで1949年5月15日開始以来のデータがとれるとわかったので、使わせていただくことにしました。(データをとるのが大変でした(涙)。)日本経済新聞社に感謝いたします。

 各月末での日経平均の値がここからとれますので、これから1949年6月から2005年8月までの675ヶ月の各月次リターンを計算して、リターン1%刻みでヒストグラムをつくり、平均と標準偏差から求められる正規分布と比較しました。 (リターンが大きくなるときは、対数リターンをつかうべきですが、それについては、注1に述べました。)

 以下は、平均、標準偏差、歪度、尖度(注2)のほか、最大値・最小値に関するデータです。

  原リターン
データ数 675
平均 0.803%
標準偏差 5.851%
歪度 -0.11061
尖度 1.33634
最大値 25.863%
最大値のZ 4.283
最大値確率 9.22E-06
最大値出現に要する月数 108,485
最大値出現に要する年数 9,040
最小値 -21.691%
最小値のZ -3.845
最小値確率 6.04E-05
最小値出現に要する月数 16,563
最小値出現に要する年数 1,380

 株式市場のリターンは平均リターン値を中心としておおむね正規分布することが知られています。これは、株式市場のリターンがランダムに近いことを示しています。

 しかし、暴落などのような特異なことは、平均リターンとその(不偏)標準偏差から得られる正規分布から予測されるよりはるかに起こりやすいこともまた知られています。これが俗に"fat tail"(太い裾)と言われる現象です。これは、正規分布よりも裾を引いた(それに伴い、真ん中はより尖った)分布になることです。 分布をみればわかりますが、尖度がプラスになっていることからもそのような分布になっていることが裏付けられます。

 最初に挙げたアメリカの3つのデータ、日本のデータのどもfat tailになっているのがわかると思います。

 以前、supさんに分布のことを聞かれて、ほぼ正規分布と答えたのですが、実際には(たぶん)fat tailですね(申し訳ありません)。 一応、正規分布かどうかの検定をしてみたら、正規分布ではないという結果がでました(注3)。また、先ほど引用した文献4では、「TOPIX の日次リターンデータについて、尖度や平均超過関数から裾の薄い正規分布よりもファットテールのPareto 分布(注4)で近似することが適切であることを示した」としています。

 分布の歪み(非対称性)に注目すると、真ん中(平均)より少し右に偏った、「平均を超えるリターンを与える月が平均未満のリターンを与える月より多い」分布に見えます。実際、歪度が負になっていて、右に偏った分布になっていることが裏付けられます。日本のTOPIXの日次リターンも歪度がわずかに負であり、同様にわずかに右に偏った分布になっています。

 ここで考えた月次リターンの最大値は25.86%、最小値は-21.69%です。最大のZ値は4.283、最小のZ値は-3.845になります。

 正規分布を仮定して最大値のZ値より大きな値、最小値のZ値より小さな値になる確率を求めると、それぞれ9.22×10-6、6.04×10-5となりますが、これはそれぞれ約9,000年に一度、1,400年に一度起こる現象ということになります。実際には、675/12=56.25年の期間ですから、「正規分布から考えると稀に起こるはずの極端なこと」がいかに「頻繁に」起こっているかがわかると思います。

 さらに怖いことには、日単位のデータではZが-6から-9までのデータがあるのがわかると思います。つまり、短い期間だと長い期間を考えるよりもさらに極端なことが起こりやすいということを示唆しています。Excelで|Z|より 大きい値をとる確率(負のZの場合、Zより小さい値をとる確率)を求めると以下のようになります。

|Z| |Z|より大きな値をとる確率 何年に一度
0 0.5 8.0E-03
1 0.158655254 2.5E-02
2 0.022750132 1.8E-01
3 0.001349898 3.0E+00
4 3.16712E-05 1.3E+02
5 2.86652E-07 1.4E+04
6 9.86588E-10 4.1E+06
7 1.27981E-12 3.1E+09
8 6.22096E-16 6.4E+12
9 1.12859E-19 3.5E+16
10 7.61985E-24 5.2E+20

 「何年に一度」は、日次リターンの場合、営業日を250日として何年に一度起こるかを見積もった値です。Z=6でも410万年に一度しか起こらないはずのできごとになります。 日本市場TOPIXの最小値(文献4)からZの最小値を求めると、Z=-8.76となります。この値より小さい値をとる確率は9.8×10-19となり、この確率は4.1×1015年に一度に起こることになります。ここによると、宇宙の年齢が約137億年(1.37×1010年)ですからそれを超えてしまっているので、いかに不自然なことかがわかります。(もちろん、これは正規分布を仮定したのが誤っているからです。)

 結論的には、

  1.  市場では正規分布から予想されるよりもはるかに高い確率で暴落が起こる
  2.  期間が短い方が、稀に起こるはずのこと(暴落など)がより起こりやすくなるらしい

ということになります。したがって、すでに知られていることでしょうが、正規分布を使った予測は、暴落についてはきわめて危険であるということです。

 さて、対策ですが、「急落」「暴落」の備えにおいても、バリュー投資の基本「安全余裕率」がまずは大切になると思います。 どこまでの「安全余裕率」を定量的にとればいいかはさらなる解析が必要でしょうが、ともかく極端なことが起こることに備えないといけないことは明らかでしょう。アメリカ市場の5日リターンのグラフも載っている文献2(p.8)によると、ブラックマンデーについて、効率市場仮説の父の一人であるEugene Famaは「暴落は間違いだった」と言ったらしいですが、実際の市場参加者はたとえ「間違い」の暴落でも巻き込まれたら、現実に市場から退場ですから、学者のようにはいきません。 (これでは「給料日しかカネとの接点がない学者」(Jim Rogersだと思いますが)と言われてしまうわけですね...。)

 私の場合、仕事で何日も市場動向に注意が払えないことがあります。そのため、現状では、最大でも現物:信用が2:1にまで制限しており、現物も信用も半分になるまで追い証がかからないようにしていますが、いずれにせよ暴落で退場する羽目にならないようにしたいものです。

 とくに、一昨年、昨年と、市場環境も幸いして日本株については100%以上のリターンをあげてこられたわけですが、今年もそのリターンを無理にとろうとして過度のリスクをとらないようにしていきたいと思います。

 *****

 余談ですが、文献2,3では、効率的市場仮説の代わる理論的扱いとして、複雑適応系(complex adaptive system)について取り上げられていて、興味深かったです。機会があれば取り上げたいと思っています。

 *****

注1

 リターンが極端な値になる場合は、対数をとるのが公平でしょう。 たとえば、株価が2倍になることと1/2になることを対等に扱うべきですが、そのためには対数をとるべきということになります。そこで、リターンの対数をとり、同様な解析をします。その場合のデータを以下に示します。

  対数リターン 対数リターンからの値
データ数 675 -
平均 0.00630 0.632%
標準偏差 0.05860 6.035%
歪度 -0.39836  
尖度 1.44967  
最大値 0.23002  
最大値のZ 3.818  
最大値確率 6.7245E-05  
最大値出現に要する月数 14,871  
最大値出現に要する年数 1,239  
最小値 -0.24451  
最小値のZ -4.280  
最小値確率 9.3323E-06  
最小値出現に要する月数 107,155  
最小値出現に要する年数 8,930  

 最小値のZの絶対値が最大値のZの絶対値よりも大きいくらいで、基本的には上での結論は変わらないと思います。なお、この期間のリターンの(幾何)平均値は0.632%でした。年次リターンは(1+0.00632)^12-1=7.853%となります。

 

 注2

 平均、標準偏差、歪度、尖度についてまとめておきます。

 

説明

大・小、+・−による分布の特徴

関係するモーメント 参考
サイト
平均

分布の代表値(の一つ)

一次モーメント Wikipedia
平均
標準偏差

データのバラツキの目安

大きいときバラツキ大 二次モーメント Wikipedia
標準偏差
小さいときバラツキ小
歪度

分布の歪みの目安

+のとき、左に偏り、右に裾を引く 三次モーメント 歪度
−のとき、右に偏り、左に裾を引く
尖度

分布の尖り具合
(裾の引き具合)の目安

+のとき、正規分布より尖り、裾をひく(fat tail) 四次モーメント 尖度
−のとき、正規分布より扁平で裾をひかない

 なお、歪度と尖度はExcelを使っている関係上、参考サイトに ある式と違う式を使っています。式をみると、Excelの式は標本から推定された母集団の歪度と尖度を与える式になっていると思います。

 

 注3

 こちらの正規分布の検定度にしたがって、ヒストグラムの間隔を粗くして検定してみました。正しく検定しているのかが100%自信がないですが、手続きを記しておきます。

 検定は「母分布は正規分布である」という帰無仮説をたてて行います。

 区間の間隔を0.125%と粗くして、頻度を求めます。また、正規分布から累積確率を各区間について求め、差から各区間の理論比を求めます。その理論比に総データ数(675)をかけ、期待値を求めます。あとは、χ2検定をこの実際の頻度と期待値を使って行います(Excelのchitest関数を用いました)。期待値が1程度以上の区間を使えとのことなので、黄色で示した区間で検定をしました。

データ区間上限 級中心 頻度 累積確率 理論比 期待値
-0.3 -0.3125 0 2.15E-08 2.14622E-08 1.45E-05
-0.275 -0.2875 0 2.2E-07 1.98182E-07 0.000134
-0.25 -0.2625 0 1.88E-06 1.66414E-06 0.001123
-0.225 -0.2375 0 1.36E-05 1.16683E-05 0.007876
-0.2 -0.2125 1 8.19E-05 6.83206E-05 0.046116
-0.175 -0.1875 1 0.000416 0.000334079 0.225504
-0.15 -0.1625 5 0.00178 0.001364366 0.920947
-0.125 -0.1375 8 0.006434 0.004653954 3.141419
-0.1 -0.1125 12 0.019694 0.01326011 8.950575
-0.075 -0.0875 26 0.051254 0.031559272 21.30251
-0.05 -0.0625 41 0.113999 0.062745061 42.35292
-0.025 -0.0375 78 0.218211 0.104212387 70.34336
0 -0.0125 114 0.362807 0.144596334 97.60253
0.025 0.0125 128 0.530418 0.167610211 113.1369
0.05 0.0375 115 0.69273 0.16231257 109.561
0.075 0.0625 86 0.824044 0.131314179 88.63707
0.1 0.0875 28 0.912796 0.088751202 59.90706
0.125 0.1125 14 0.962906 0.050110822 33.82481
0.15 0.1375 9 0.986542 0.023635853 15.9542
0.175 0.1625 6 0.995855 0.009312745 6.286103
0.2 0.1875 0 0.99892 0.00306501 2.068881
0.225 0.2125 2 0.999763 0.000842581 0.568742
0.25 0.2375 0 0.999956 0.00019346 0.130586
0.275 0.2625 1 0.999993 3.70976E-05 0.025041
0.3 0.2875 0 0.999999 5.94079E-06 0.00401
         
      χ2検定確率 3.07E-09

 結果は、上に見るように、χ2確率は3×10-9となり、0.05なり、0.01の値よりはるかに小さいので、「母分布は正規分布である」という帰無仮説は棄却されて、正規分布であるとはいえないと結論されます。

 なお、用いる区間数を減らしたり、区間の間隔が少し広いものを用いたりして検定をしてもχ2確率は同様な値(実際にはもっと小さな値)になったので、区間の取り方で結論は変わらないと考えています。

 

 注4

Pareto分布というのは、ここによると、「分布関数が

     F(x)=1−(α/x)β (α>0,β>0,x>=α)

で与えられる分布で、所得分布を記述するためにパレート(V. Pareto)によって導入された分布」だそうです。

 
投資と感情        (2005/9/3全面訂正 8/13原投稿)
 

 ※原論文(こ こ)を読んでみたら、「コイン投げの賭け」について誤りがあることがわかりましたので、それに伴い、全面的に訂正・一部加筆しました 9/3)

  7/21のWall Street Journalに"Lessons From The Brain-Damaged Investor"(「脳に損傷にある投資家からの教訓」)という記事がありました。

 (以下、インデントをしたところは私のコメントです。)

 感情(専門用語では「情動」というようです。こちら参照)を経験する部分に損傷のある人々のほうがよい投資判断を下せる可能性があるというのです。

 恐怖などの情動を感じる部位に損傷のある人は、ある投資に関するゲームで普通の人や、脳の他の部位に損傷を受けた人たちより良い成績を挙げたそうです。Carnegie Mellon大学、Stanfordビジネス大学院、Iowa大学での共同研究で、Psychological Scienceの6月号(この記事のようです。要約は誰でも見られるようです。)に載ったとのことです。

 各人は20ドル与えられて、コイン投げを20回行います。賭けに参加するときには、1ドル出します。勝てば2.5ドルもらえ、負けると1ドルはとられてしまいます。(以前は、勝ったときには、賭け金差し引きでなく、まるまる2.5ドルもらえると誤解していました)20回のコイン投げには毎回参加しなくてもかまわず、そのときには、所持金は変わりません。

 ここで、この賭け1回あたりの期待値を計算しておきましょう。 勝つと2.5-1=1.5ドル得し、負けると1ドル損しますから、

 1.5×1/2-1×1/2=0.25ドル

となります。期待値は(毎回)プラスですから、毎回賭けに参加するのが「合理的」でしょう。20回の賭けにすべて参加したときの損得の期待値は0.25×20=5ドルで、所持金の期待値は20+5=25で25ドルになりますが、20回負けると20-1×20=0で所持金は0になります。

 20回すべての賭けに参加した場合の損得を計算しみると 、20回のうち、8回以上勝てばプラスで、損をする確率は約13%です(注1)。といっても、20回すべて賭けたときにどのくらい損をする確率をするかをわかっていて賭けに臨めた人はほとんどいないのではないでしょうか。(少なくとも、私はExcelでしこしこ計算し てわかりました)

 さて、実験の結果はどうだったでしょうか。

  損傷のある人 正常人 別部位に損傷がある人
賭けに参加した率 83.7% 57.6% 60.7%
終了時の所持金 25.7ドル 22.80ドル 20.07ドル

ということで、情動に関連する部位に損傷のある人の方が、賭けに多く参加し、お金を増やしました。

 さらに論文では、1回前の賭けでの行動がどうであったか(勝ち、負け、賭けに参加しない)別に、賭けに参加したかが示されています。

一回前の賭け 損傷のある人 正常人 別部位に損傷がある人
賭けに不参加 74.2% 64.4% 63.4%
賭けて負け 85.2% 40.5% 37.1%
賭けて勝ち 83.7% 57.6% 60.7%

 黄色で示したように、損傷のある人は、前回の勝ち負けで投資行動をほぼ変えていないのに対し、正常人、別部位に損傷がある人では、一回前の賭けの結果負けていると、賭けを避ける傾向がはっきり見て取れます。 実際、論文の要約では、「普通の人々は、損傷を受けた人々に比べて前の賭けの結果に行動が左右される」とあります。

 また、論文には、20回を5回ずつに分けてそのそれぞれについて賭けをした割合が比較したグラフが載っていますが、それによると、損傷のある人はほとんど賭ける割合が変わらないのに、損傷のない人、別部位に損傷がある人では、後になるほど下がっています。「儲かったから、もうそこそこにしておいて損失を避けようという行動の表れのように思います。

 研究者は、脳に損傷のない被験者が悪い成績だったのは恐怖と大いに関係があると考えているそうです。

 ある新しい情報(この場合、前回の賭けの結果)が提供されたとき、合理的な判断は、一般には、ベイズの定理(たとえば、ここ参照)を用いて計算した結果によらないといけないはずです。ここで考えている賭けの場合、今までの結果とこれからの結果は、独立事象なので、合理的な判断(ベイズの定理による判断)は、簡単 に下せます。前の賭けの結果によっては、現在の賭けに対する行動を変えてはいけないということです。それなのに、普通の人の方が前の賭けの結果で、今回賭けをするかどうか左右されているわけで、情動関連部位に損傷のある人より「不合理な」投資行動をしていることになります。

 ちなみに、記事にはオチがついていて(?)、損傷のある人の4人に3人が破産を経験しているそうです(これについては、論文には載っていなかったようなので、記者の取材に基づくものかもしれません)。実際の生活には(投資にも?)、恐怖を感じることも大切な気がします。

  楽天証券の山崎元さんが、「ホンネの投資教室」の行動ファイナンスの基礎理論を論じた回(ここ)で、 「ファイナンスを含む社会科学の脳の研究による基礎付けが海外ではもの凄い勢いで進んでいるようです」と書いておられますが、この研究もそういう研究の一環でしょう。

 なお、訂正前には、終了時の所持金が期待値と比べた議論がありましたが、それは2に入れました。

 (追記)

 Buffettの投資に関するIQに関することばをより適切なものに差し替えました。(8/13)

 論文の内容の読み違えがあったので、全面的に改定・一部加筆しました。(9/3)

 以前は「勝てば2.5ドルもらえ、負けると1ドル払わなくてはなりません。」と書いて、勝つと2.5ドルの得(実際は、賭け金1ドルを出しているので、1.5ドルの得)で計算していました。

 "Players were given $20 and asked to play a simple gambling game that involved 20 rounds of coin tosses. If they won a coin toss, they earned $2.50. If they lost the toss, they had to give up a dollar."

 これを素直に訳して間違えてしまいました。すみません。

 *****

 成績を更新しました(ここ)。ファースト住建を売って、業績を上方修正したアーバンコーポレーションを買いました。また、ダイエーを買っていたのですが、まだ業績復活に時間がかかりそうと判断したのに、たまたま(景気復活期待?)上がったので売っています。

 *****

 

 1.20回のうち、勝ちがn回(負けは(20-n)回)である確率は、20Cn×(1/2)^20となり、そのときの損得はn×1.5-(20-n)×1=2.5n-20(ドル)となります。 具体的に計算したのが下の表です。

勝ち回数 負け回数 確率 累積確率 得る金額 失う金額 損得 確率×損得
0 20 9.54E-07 9.54E-07 0 -20 -20 -1.9073E-05
1 19 1.91E-05 2E-05 1.5 -19 -17.5 -0.00033379
2 18 0.000181 0.000201 3 -18 -15 -0.00271797
3 17 0.001087 0.001288 4.5 -17 -12.5 -0.01358986
4 16 0.004621 0.005909 6 -16 -10 -0.04620552
5 15 0.014786 0.020695 7.5 -15 -7.5 -0.11089325
6 14 0.036964 0.057659 9 -14 -5 -0.18482208
7 13 0.073929 0.131588 10.5 -13 -2.5 -0.18482208
8 12 0.120134 0.251722 12 -12 0 0
9 11 0.160179 0.411901 13.5 -11 2.5 0.400447845
10 10 0.176197 0.588099 15 -10 5 0.88098526
11 9 0.160179 0.748278 16.5 -9 7.5 1.201343536
12 8 0.120134 0.868412 18 -8 10 1.201343536
13 7 0.073929 0.942341 19.5 -7 12.5 0.924110413
14 6 0.036964 0.979305 21 -6 15 0.554466248
15 5 0.014786 0.994091 22.5 -5 17.5 0.258750916
16 4 0.004621 0.998712 24 -4 20 0.092411041
17 3 0.001087 0.999799 25.5 -3 22.5 0.024461746
18 2 0.000181 0.99998 27 -2 25 0.004529953
19 1 1.91E-05 0.999999 28.5 -1 27.5 0.000524521
20 0 9.54E-07 1 30 0 30 2.86102E-05
          期待値 5

赤は損になる場合、緑は得になる場合を示しています。以上から、20回のうち、8回以上勝てばプラスです。また、 マイナスになる、勝ち回数0-7の場合の累積確率を見れば(表中の赤字)、損をする確率は約13%です。

 2.訂正前同様、終了時の所持金と期待値を参考までに比較してみました。

  損傷のある人 損傷のない人
賭けに参加した率(rp) 83.70% 57.60%
終了時の所持金(m) $25.70 $22.80
平均賭け回数(t) 16.74 11.52
平均賭け回数に対する期待所持金(e) $24.19 $22.88
平均勝ち回数(w) 8.976 5.728
平均勝ち割合(rw) 53.62% 49.72%

t=20rp、e=20+[1.5×(1/2)-1×(1/2)]t=20+0.25t、1.5×w-1×(t-w)=2.5w-t=m-20を解いてw=(m-20+t)/2.5。rw=w/t。

 平均勝ち回数は、理屈の上からは50%になるはずで、だいたいそのようになっています。

 訂正前では、平均価値割合が50%よりかなり低くなっていたのでそれに基づいて以下の考察をかいていましたが、それは意味がないことになります。(すみません)

この結果(平均勝ち割合が50%よりかなり低くなったこと)はにわかには信じがたいです。しかし、この結果を信じて、まとめてみます。

 情動の部位に損傷があろうとなかろうと、どちらも、

1. 賭けの回数に期待される期待値を、実際の終了時の所持金は(大きく)下回っている。

2. (したがって)本当は50%であるはずの平均勝ち回数が3-4割になってしまっている。つまり負けが込んでいる。

 ただし、

3. 情動の部位に損傷のある人の方が、平均勝ち回数が多く、終了時の所持金が多い結果と整合的である。

 こうしてみると、これは、市場平均に勝つことの難しさにも関連しているようにも思います。賭けに参加すると決めたら、淡々と賭け続ければ、平均としては、期待値の値が出るはずなのですが、負け越してしまっているわけです。プロを含め、市場平均に70-80%の人が負けているといわれています が、今見たような、賭けに対する(系統的な)弱さが表れているように思います。

 #損傷がある人も50%に到達していないところは、損傷があってもある程度の機能が残っているからと解釈すべきなのかどうかはよくわかりません。

 Buffettが「 あなたのIQが上から25%にあれば、投資での成功とIQは相関がない。普通の知性があるとすれば、次に必要なのは、衝動を制御できる気性である。衝動を制御できないと、投資で問題を引き起こすことになる」(たとえば、ここ。意訳しています)と言っています。これは 知性とともに感情の制御の大切さを言っているのだと思います。

 ここで紹介した研究における賭けの期待値(お得度)は誰でもすぐわかるものであり、それでも平均として負け越しているわけですから、市場を相手にする時の感情のコントロールの大切さを再認識しました。(もちろん、退場させられないように、適切な恐怖心も必要でしょうけれど)

 
Value Investing CongressとTilsonの投資信託          (2005/8/7)
 

 一ヶ月弱前ですが、Tilsonから"Value Investing Congress"(「割安株投資会議」でしょうか)投資信託(mutual fund)開始のお知らせのメールが来ました。Value Investing Congress"は11/15-16の2日間にわたってNew Yorkで開催されるそうです。

 

"The Value Investing Congress"の講演者をTilsonの紹介に沿って紹介します。

  • Joel Greenblatt 言うまでもありませんが、「グリーンブラット投資法"You Can Be a Stock Market Genius"の著者です。 20年以上年率40%以上の成績を挙げているGotham Capital の創設者であり、ValueInvestorsClub.comの創設者でもある。


  • James Chanos 最大の空売り専門の投資会社Kynikos Associatesの創設者。Enron株の空売りで成功。

  • Richard S. Pzena 割安投資で100億ドルを運用するPzena Investment Managementの創設者にして、最高投資責任者Chief Investment Officer。John Hancock Classic Value Fundも運用している 。


  • David Einhorn 割安投資指向の投資会社Greenlight Capitalの創設者


  • Eric Rosenfeld 村上ファンドのように、必要とあれば会社に注文を突きつけたりするactivistも指向する割安投資会社Crescendo Partnersの創設者。


  • Charles de Vaulx First Eagle社の Global Fund, Overseas Fund, Gold Fund, U.S. Value Fund, Overseas Variable Fundを運用するファンドマネージャー。前に一緒にファンドを運用していたJean-Marie EveillardとともにMorningstar’s International Managers of the Yearに選ばれている。


  • James B. Rogers ジム・ロジャーズのことです。「商品の時代」"Hot Commodities"「ジムロジャーズの世界大発見」"Adventure Capitalist" 「ジムロジャーズ、世界を行く”Investment Biker"の著者。George SorosとともにQuantum Fundを創設。

  • Herb Greenberg 影響力のある金融ジャーナリスト。Dow JonesのMarketWatchのコラムニスト、 ニュースレター"Herb Greenberg’s RealityCheck"の編集者。TheStreet.comのコラムニストも6年間務めていた。

とのことです。会議のホームページの講演者の紹介(ここ)にさらに詳しい紹介があります。ここの紹介には、Greeenblattが21年以上40%の成績を残している と改訂されています。40%で21年とすると、1.4^21=1171.3倍となりますから、1000倍以上にしているということですね。

 Tilsonは行動ファイナンスについて話すほか、他にも多数の講演者が来て、どんな株がいいか(stock idea)をしゃべるそうです。

 えーと、またまた料金が高いです。2日間の料金といえ、通常料金$2,495(28万くらい)で、早期割引 で$1,595(18万くらい)です。他にも割引があるようですが。

 

 Tilsonたちが始めた投資信託についてのホームページはここです。

 ゲストブックで7/6にやみくろさんが指摘してくださった半期報告書についてはここにあります。Tilson Fucus FundとTilson Dividend Fundがあります。p.6には、Tilson Fucus Fundの持ち株(と持ちオプション?)としてあげられています。

1) 9.6%: Stock and calls of Wal-Mart (WMT)
2) 8.0%: Stock and calls of Costco (COST)
3) 7.0%: Stock of Berkshire Hathaway (B shares) (BRK.B)
4) 6.7%: Stock of Sears Holdings (SHLD)
5) 5.2%: Stock of Freescale Semiconductor (FSL)
6) 4.9%: Stock of CKE Restaurants (CKR)
7) 4.4%: Stock and calls of Wendy’s (WEN)
8) 3.4%: Stock and calls of Whirlpool (WHR)
9) 2.6%: Stock of USA Mobility (USMO)
10) 2.3%: Stock and calls of Anheuser Busch (BUD)

 これを見ると、大型優良株が割安になっているという判断のようです。実際、数年来の割安な水準らしいです。 大型優良株は株価変動の小さいことが嫌われているようです。

 Wal-Mart, Costcoはディスカウント大手ですね。Berkshire HathawayはBuffettの会社、Freescale SemiconductorはMotorolaからスピンオフした半導体会社、USA Mobilityは売り上げ減少中のポケベルの会社、Anheuser Buschはバドワイザー(注)の会社です。

 Wal-Martなどでコールオプションをもっていますが、これはLEAPS(Long-term Equity AnticiPation Security)です。株の他に、優先株、転換社債、転換優先株、オプション、ワラントにも投資することがあるということが目論見書(ここのTilson Funds Prospectus,p.3)に謳われています。普通株に投資する投資信託が多いと思われますので、異色だと思います。 株価の変動が小さいとオプションの価格は安くなりますので、その点も考慮しての投資でしょう。

 私も倣って、(上に挙がっている会社ではありませんが)ある会社のLEAPSを買おうと思ったのですが、上がっていってしまって買いそびれてしまいました。下がってくることを祈っていますが、そううまく行かないかもしれません。

 FAQによると、Tilson Fundは証券会社を通して買うことができます。(アメリカの)EtradeやTD PricewaterではWebで買えるようですが、私の口座のあるAmeritradeはWebから買えず、電話をかけないといけないようです。ただ、AmeritradeはじきにTD Pricewaterと合併しますので、そうすれば買えるようになるのだと思います。

 信託報酬は、FAQにあるとおり、ファンドの成績により変わります。最大報酬率は2.45%ですが、1.95%が基本で、前年12ヶ月の成績がWilshire5000インデックスと 比べてどうかで変わります。買い付け手数料は無料ですが、1年以内に売るときには、解約時手数料が2%とられます。この手数料をきめたときの経緯がWall Street Journalでとりあげられています(ここ)。ヘッジファンドのように、成績によって報酬率を変えようとしたものの、投資信託は解約自由で途中からも資金を受け付けるという性格上、なかなか苦労があったようです。

 *****

 フージャース他、急落がありました。また、年後半は通常下がることが多いので、今年の成績はあまりよくないような気がしています。まあ、一昨年、昨年がよすぎたということだと思います。 インデックスは上回るようにしたいものですが、別にこだわりません。

 アメリカ株では、Gravity(GRVY)がまたも下方修正("Bussiness Update"だそうですが)したので、売り切りました。経営陣に対する信頼回復と成長軌道への回帰がないと再度買うことはないと思います。アメリカ株は、今のところ、インデックスを下回るのが確実な情勢です。Alloy Inc.(ALOY)を買っています。

 ***** 

 (注) 余談ですが、バドワイザーにしてもそうですが、アメリカのビールというと薄い味のビールを連想します。私にはちっともおいしくないのですが、アメリカの名誉のために(私の好みのために)付け加えますと、ドイツ人が移住したらしいWisconsin州 で作られているビールLeinenkugel'sはおいしかったです。ビールを買うときには、毎度(年齢を証明するため)パスポートを酒屋に持参して、これやコロナ(メキシコ産。こちらは日本でも売っていますね)ばかり買って飲んでいました。ただ、これは日本には輸出されていないと思います。

 

臓器移植の値段          (2005/8/4)

 

※今日は投資の話ではありません。ご了承ください。

 7/30の朝日新聞に「脳死移植の8年」と題した連載記事があり、そこに臓器移植学会の資料から引用されたとする「臓器移植費用について」が図で載っていました。それによると、

800-1000万
心臓 400-700万(海外5000-7000万)
肝臓 施設により異なる
腎臓 350-400万

ということです。数百万は無理すれば、用意できますが、5000-7000万となると、家を買うより高額ですから、用意できない人が多いのではないでしょうか。だから、 海外に移植を受けに行くとき(自己決定権がないと考えられている15歳未満の子供からの移植でないとだめな場合、あるいは、日本で待っていると間に合わない場合など)には、寄付を募ったりすることがあるわけですが。

 一体、この海外というのは、外人であるところの日本人が受けるから高いのか、そこの国の国民でも高いのでしょうか。よくアメリカに移植を受けに行く人の話を聞きますが、アメリカ人の平均年収は日本人より低いと思われ、同程度かかるとすれば、普通の人は心臓移植は受けられないことになります。地獄の沙汰も金次第です。アメリカで道で苦しんでいる人を見て、日本人が日本と同じつもりで救急車を呼ぼうとしたら、"Don't call an ambulance"と言われたという話を聞きますので、むべなるかなというところでしょうか。

(アメリカでは、救急車を呼ぶのにお金がかかり、命にかかわるようなときですら、払えないから呼べないということらしいです。たとえば、ここを参照そしてください。保険会社のページなので、少し大げさな例が取り上げられているとおもいますが。逆に、日本はタダなので、タクシー代わりに使う人がいて救急の方が困っているようですが。)

 現在は移植を受けられないというと、提供者が少ないことが原因であることが多いと思いますが、日本でも所得の二極化が起こっており、お金が払えず移植が受けられないということが多く起こってくるかもしれません...。

 なお、新聞には、移植手術を受けた場合に下りる保険のことが紹介されていました。

 *****

 最近は、TOPIXはじり高傾向ですね。何もすることがないので、ブログを読む誘惑に負けないようにして、なるべく勉強したりするようにしています。とは言うものの、結構誘惑に負けて読んでいます。たぶん、一週間に一度なりに限定しないといけませんね。

 --と書いていて置いておいたら早速フージャースなどが下がっているようですね。昨日は仕事が忙しくて、そのうえ、すぐ寝たので、先ほどまでかなり下がったのを知りませんでした。

 ゲストブックで意見を求められましたが、短期的なことはわかりません。もっと下がるかもしれませんし、すぐに切り返すかもしれません。そういうのがわかるといいのですけれど。

 

 
ヘッジファンド(MLFとタワー)          (2005/7/18)
   

 TilsonのNewsletter Value Investor InsightMLF Investmentsというヘッジファンドのこと を知って興味を持ったので連絡を取ってみました。なかなかホームページが見つからなかったので、HedgeFund.Netというサイトに登録してファンド名で検索してみましたが出てきませんでした (注1)。どうにかホームページを見つけ、そこから電子メールで問い合わせました。

 もちろん、問い合わせるからには理由があって、驚異的なリターンをあげているからです。ファンドマネージャはMatthew L. Feshbachという人です。MLF Partner LPというファンドを運用しており、運用開始は2001年11月14日ですが、開始以来、2005年3月までに、手数料・費用差し引き後で255.0%という成績です。 この間、S&P500は9.6%、小型株ベンチマークのRussell 2000が42.0%、Nasdaq総合指数が7.7%の上昇だそうです。Russell 2000をベンチマークにしているようです。ファンドの1年あたりのリターンを計算すると、(255.0/100+1)^(1/(1.5/12+3+3/12))=1.4555となりますので、年率 約45.6%のパフォーマンスになります。

  リターン 年率
MLF Partner LP 255.0% 45.6%
S&P500 9.6% 2.8%
Russell 2000 42.0% 10.9%
Nasdaq 7.7% 2.2%

 また、もう一つ驚異的なのは一度に持つ銘柄は3銘柄から5銘柄ということです。 個人ではそういう方も結構いるかもしれませんが、ファンドとしては、極端とも言える集中投資です。

 残念なのは、投資できるのが$5,000,000つまり約5億5千万円から(!)ということです。ヘッジファンドに投資するには、100万ドル(1億1千万円くらい)以上持っているか、収入が 数十万ドル(数千万円くらい)ないといけないことは知っていたのですが、まだまだ手が届きません。

 利益の分配がまたすごいです。年初の7%のリターンは、ファンド(Limited Partners)がとり、さらに利益が上がったときの25%はファンドがとり、あとの75%を投資家(General Partner)がとる仕組みです。(ヘッジファンドはやめられませんね)

 実は、Value Investor InsightでMatthew L. Feshbachのインタビューを読んで、このファンドの持ち株である、ある株を買いました。結果が出るのは来年のことでしょうか。Greenblatt型の投資になると思いますが、結果を見て今後の投資に生かしていきたいと思っています。

 思うのは、日本にもValue Investor Insightなどのような良質なNewsletterがないかなということです。(ご存じの方は、ゲストブックでお知らせください)

 *****

 タワー投資顧問(現在、ホームページは空です)の100億円部長、清原達郎さんの記事が読みたくて近くの古本屋で週刊ポストの2005年6月3日号を買いました。

 記事によると、タワー投信のタワーK1Jは昨年(2004年)3月までの5年間での累積リターンは399.38%、年率39.83%(注2)だそうです 。ベンチマークについては、記事には(当然?)書いてありませんでしたが、JASDAQと見ていいでしょう。1999年3月と2004年3月の各指数の値からリターンとその年率を計算してみます。

  1999.3 2004.3 リターン 年率
タワーK1J 399.38% 37.94%(注2)
TOPIX 1,267.22 1,179.23 -6.94% -1.43%
JASDAQ 40.82 88.23 116.14% 16.67%

 タワーK1JはJASDAQが年16.7%あがったところ、年37.9%の上昇、一方、MLF Partner LPはRussell 2000が年10.9%あがったところ、年45.6%上昇、ということになります。タワーK1Jもすばらしいですが、MLF Partner LPのほうがすごそうです。やはり、極端にいいリターンを目指すには集中が必要ということのように思います。

 (比較を公平にするために、指摘をしておかないといけないことが現時点で2つ思いつきます。1つには、タワーK1Jには、所有銘柄数の下限や持ち株のポートフォリオ全体に対する比率に制限が何らかの形であるのかもしれません。したがって、数銘柄に絞ることが可能であれば、MLF Partner LPと同様なパフォーマンスを上げられたかもしれません。2つめには、MLF Partner LPの方が歴史が短いので、年率リターンは良くも悪くも極端になりがちで、これからパフォーマンスが落ちるかもしれません。)

 また、どこで見たか忘れましたが、タワー投信は6000万くらいから投資できるらしいので、その点はいいですね。

 記事中で、日本ベンチャーキャピタル協会会長(元大和証券副社長)の堀井愼一氏、フィスコの藤井英敏氏、市場関係者、ファンドが株を所有している企業の経営者の一人のコメントが紹介されていますが、市場関係者氏の「経営者がオーナーであることも選定の重要な基準で、『オーナーでなければ決断はできない。決断ができない経営者では株価は上がらない』が持論」ファンド所有会社の経営者の一人の「私がどんなビジネスモデルを考えているか、どんな将来展望を抱いているかなどを中心に質問をされました」というのが印象に残っています。

 記事によると、ファンドマネージャ(肩書きは部長)の清原達郎さんは、金持ちぶっていないようで、個人的には好感がもてました。

 *****

  注1 Tilsonのヘッジファンド 、T2 Accredited Fund, L.P.は見つかりました。HedgeFund.Netによると、こちらは100万ドルから投資できるようです。

 注2 累積リターンから年率を計算すると、(399.38/100+1)^(1/5)-1=0.37938となり、年率37.94%となってしまいます。計算合わないのですけれど、週刊ポストさん。まあ、タワー投信の資料に書いてあるのを引き写したのでしょうけれど。タワー投信が 計算を間違えるとはあまり思えないので、どこかに誤解があるのでしょう。上では、総リターンの数字と5年間という期間を信じて年率を計算しています。

 

海外送金          (2005/6/12)
 

 (7/18に郵便局送金について追記しました。)

 最近、久しぶりに海外への送金をしました。「今年の成績」にあるようにポートフォリオが昨年末からすると約4割下落したので少してこ入れをしようと思ったわけです。主因はGravity(GRVY)が大きく下落したことです。もちろん、まだてこ入れが成功するか、さらに金を失うことになるかどうかは現時点ではまだわかりません。

 さて、海外送金は今まで何度か行ってきましたが、最初の時を除いてシティバンクを使っていました。理由は、100万以上預けていると以前は送金手数料がタダだったからです。残念ながら現在は100万預けているだけでは送金手数料はタダではありません。ホームページに送金手数料一覧があります(ここ)が、それによると、100万預けている場合は2,000円です。1,000万円預けると無料ですが、 株式投資に少しは覚えがあるなら、それだけのお金を銀行に待機させておく必要も普通はないと思います。一方、窓口で普通に送金すると、4,000円ですから、100万円預けている場合の手数料2,000円はだいぶ安いです。問題は、送金先を事前に登録しておかないといけないことです。そして、経験上、登録に一週間以上かかります。

 今回は、もう一つの主要取引銀行の新生銀行を使いました。証券口座からの送金先が新生銀行だったからです。

 新生銀行は、口座残高にかかわらず月に5回までは振り込み手数料がタダなので家賃の振り込みなどに重宝しています。かつてはシティバンクも100万以上の預金で国内送金がタダでしたが、先ほどの送金手数料一覧にあるように、今は160円になっており、タダにするには2000万円の預金が必要です。

 新生銀行は、預金高にかかわらず郵便局のATMなどでも無料で引き出せるところも気に入っています。しかし、都市銀行は大丈夫ですが、地方銀行では下ろせず、私の住んでいる都市の地銀でも下ろせません。一方、シティバンクは地方銀行 と提携しており、下ろすことができるので、シティバンクから撤退がなかなかできません。

 ここにあるように、新生銀行の海外送金手数料は4,000円です。ホームページを見ると支店の電話番号がありません。しかたなくパワーフレックス口座保持者用の電話をかけるとカードと印鑑(私の場合はサインなので不要)を持って支店に行ってくださいとのことでした。送金先のアメリカの証券会社の送金の手続きの部分を印刷して、勇んで行きました。

 しかし、書類を書き出すと、

  1. 送金手数料の他、経由銀行から十数ドル手数料が引かれる。
  2. 経由銀行を何度か通ればその度に引かれる
  3. 経由銀行は送金のたびに変わり、送るたびに送金手数料が変わることもあり、事前にはわからない

ということを伝えられました。電話ではそんなことを聞いていないので、そんなバカなと頭に来てしまい、その日は送金を取りやめて帰ることにしました。 それから、書類はホームページにおいて家で書いて持っていけるようにしてほしいと思います。

 しかし、バカなのは、私の方で、冷静に考えると時間のほうがもったいないので、その場で送金すべきだったと思います。

 ともかく再度翌々日行って送金することにしました。待っているときにアメックスのカードをしつこく勧められたのですが、年手数料が高いのを知っていたのでそのことを問い質して(グリーンカードは1万円くらい、ゴールドカードは2万円くらい)断りました。アメ リカンエクスプレス(American Express, AXP)は株を買いたい対象であってカードを作る対象ではありません。それに初年度手数料がタダのことしか言わなくてこちらが聞くまで言わないのでちょっといやな気分です。

 送金したお金は、翌日早速アメリカの証券口座に入っていて早くてよかったのですが、15ドル経由銀行に引かれていました。

 今調べてわかったのは、シティバンクにも、先ほどの送金手数料一覧の但し書きに「海外送金の場合、資金が到着する途中の経由銀行が別途手数料を徴収することがあります。」とあることです。ただ、今までの経験では、アメリカへの送金で経由銀行に手数料を取られたことはありません。それは、シティバンクのアメリカ支店を経由していてそこで手数料を取られないからなのではと思っています。

 *****

 今回は銀行でドルに替えましたが、安いのは外貨FX口座で替えてそれを送金銀行の外貨口座に送ってから、それをさらに海外送金することだと思います。

 結論的には、時間があれば、

  1. 外貨FX口座を開く
  2. 外貨FX口座に送金する
  3. ドル転する
  4. 外貨FX口座からシティバンクの外貨口座に送る
  5. シティバンクの外貨口座からアメリカの証券会社の口座に送る

がもっとも安く送れたのでしょうね。特に送金額が増えると為替手数料のほうが(はるかに)大きくなりますので、そちらを節約するのが大切です。今回はその点 にあまり留意しなかったのは反省点です。

 ただ、今回は時間がなかったのでやむを得なかったかなと思います。

 *****

 新生銀行とシティバンク(100万以上の預金の場合)の比較をまとめておきます。(こち らこちらも参照しました)

  新生銀行 シティバンク
インターネット 100万以上 1000万または2000万以上
海外送金 4,000(支店に行かないとできない) 3,500
(事前登録必要)
2,000
(事前登録必要)
無料(1000万以上)
(事前登録必要)
国内送金 無料(5回まで) 260 160 無料(2000万以上)
ATM手数料 無料 シティバンクのATM(全国93台)だけ無料 下ろせる限りどこでも無料(月100回まで)
ATM引き出し 地方銀行不可
(郵便局・IYバンク・都銀・信託銀その他)
地方銀行でも下ろせる
(郵便局・IYバンク・都銀・地銀)

家族カード

作れない 作れる

 こうみると、新生バンクの国内送金手数料無料は魅力ですが、100万円預けないといけないとはいえ、シティバンクともなかなか縁が切れないでいます。

(7/18 追記)

 DAIBOUCHOUさんのご指摘にあるように、郵便局から送金すると、もっと安く送ることができます。銀行口座宛だと通常振替だと400円、電信振替だと1,400円で送れます(ここ)。(ただし、ぱ・る・るからの送金は電信振替のみとなります。)私もかつて送ったことがあったのに頭から抜けおちていました。

 かつて送ったときはこちらの情報が何か抜け落ちて、相手は送られてこないと行っていたので、調査のための申請をしたりして大変でした。結局、送り先が何かで確認してくれたので事なきを得ましたが。郵便局に文句をWebから送っておいたので、たぶん今は改善されていると思います。

 

DAIBOUCHOUさんのセミナー          (2005/6/6)
 

 昨日は、DAIBOUCHOUさんのセミナーに行ってきました。(セミナーは終わりましたが、DVDが発売されるらしいので、興味のある方は¥塾のHPをときどくチェックするといいでしょう。)

 差し障りのなさそうな範囲で感想を簡単に書いておきます。

 私の記憶が間違っていなければ、ラクーアでくつろぎながら会社のビジネスモデルを考える、という話が出てきました。実は私も風呂に入って持ち株の会社の競争優位性がどうかとか、これ以上の下値はないかとか、考えているシナリオの実現可能性はどれくらいかとかをああでもないこうでもないと考えるのが結構好きです。また、本で読んだ文章や発言と照らし合わせながら、Buffettなら買うか、Peter Lynchならどうか、Jim Rogersなら、Greenblattなら(日本にはありませんが)、といろいろシミュレーションみたいなことをしたりすることもよくあります。

 また、成功した投資のほか失敗した投資のことを話されていたのが印象に残りました。今までの成績に自信がないとなかなかできないことだと思います。失敗からいかに学べるかが偉大な投資家になれるかどうかの一つの大きな要因のように思います。

 DAIBOUCHOUさんのオフ会で知り合った方々と再会していろいろ情報交換できたことも有意義でした。ありがとうございます。

 懇親会で結構知らない人から声をかけられましたが、こちらは知らなくて失礼いたしました。ただ、仕事柄あまり露出するのはまずかろうと思うので、今後とも細々とやっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

 *****

 最近(2月頃)、私の私淑しているTilsonがValue Investor InsightというNewsletterを始めました。年間料金なんと約350ドルです。高いので躊躇していたのですが、私の師匠の一人ですので、しばらく前、思い切って購読を決めました。

 このNewsletterは、投資家へのインタビューが中心ですが、実績ある投資家がどうやって考え、どうやって投資しているのかがわかるので結構気に入っています。Greenblattが推薦文を書いている(ここ)のですが、まだGreenblattは登場していません。早く登場してほしいと思っています。最新号は、Third Avenue FundsのMarty Witmann(Martin J. Whitman)ほか2人のインタビューの他、Matthew Feshbachという人のインタビューが載っています。WhitmanはValue Investingという本も書いているようです。ただし、これは、原題が同じで訳書が「バリュー投資入門」となっているGreenwaltらのとは違います。また、Feshbachという人は知らなかったのですが、業績復活株などを手がけていい成績を残しているようです。

 ただ、このNewsletterが始まったせいで、TilsonのBerkshire HathawayとWescoの株主総会のレポートがこのNewsletterに組み込まれてしまって、購読者しか読めなくなってしまいました。以前はThe Motley Foolでタダで読めていたのですが(2000年から昨年2004年までの株主総会のレポートはここにあります)。Berkshireの株主への手紙を補足する資料として重要だと思うのですが、おいそれと引用できなくなってしまいました。(もちろん、いままでも著作権があるわけなので厳密には訳を書くのはまずいのでしょうけれど)

 それから余談ですが、私のサイトからリンクしているvalue investors club.comこのBusinessweekの記事(2001/3/5)によると、Greenblattが噛んでいるそうです。value investors clubを私が初めて知ったのは、Tilsonのコラムだったと思いますが、先ほどのValue Investor Insightの紹介文の件でわかるように、TilsonとGreenblattは友人でしょうから、それでGreenblattの始めたサイトをTilsonがサイトを紹介した、ということだったのだと思います。

 *****

 Gravityですが、まだ持っています。下がったところ、アメリカのYahoo!掲示板でみつけたあるサイト(Cool Head Investor)の分析を見て、やはり安すぎるのでいま投げるのはもったいないと思いました。一株あたりの現金(正確にはこれには、換金可能な証券が入っています)$3.7、現在の株価、あがりましたが$6.5、事業価値(enterprise value,EV)はしたがって$3.2、EPS約$1で、きちんと計算していませんが、EV/EBITDAはおよそ3くらいです。全く成長しなくてもこれなら安いように思います。

 株価暴落により、現在、8件の株主代表訴訟をGravityは起こされています。最初の頃は訴訟を起こされたというニュースで下がっていたのですが、最近は株価が反応しなくなって下がらなくなってきています。

#でも、そもそもGravity(重力)という名前が悪いですかね。いかにも株価が下がりそうな会社名です。Antigravity(反重力)とかに社名を変えると株価も上昇するかもしれません。

 さきほどのNewsletterを読んで買いたい株が出てきたので、いつまで持っているかはわかりませんが、単に現金化というのは現時点ではやめておきたいと思っています。

 

Gravity(GRVY)暴落          (2005/5/14)
 

 Gravityが第二四半期と通年の予測を下方修正(5/12)ののち、5/13に株(GRVY)が暴落しました。楽観的予想に鉄槌が下された形です。 「信頼できない経営者」という判断が市場に下されたのは間違いないと思います。電話会議(conference call)では誰も質問をしていなかったことが印象に残っています。アナリストたちの興味が失われたことを示していると思います。

 私はまだ少し(とはいうものの、アメリカ株分としては大きく)持っていますが、もう少し状況をみて損切りも考えています。

 ゲーム業界という浮沈の激しい業界ということを考えても、業績が変化なければ現在のRER4.58というのはかなり安く思われるのは事実です(現在のところ、2005年は17%の増収を予想しています) が、若い会社でアメリカでは知られていないと思われ、経営者に対する信頼回復には時間がかかると思われます。

 今回の反省としては、新しい分野を開拓しようとして、業績予想の難しいゲーム業界に手を出したことが挙げられると思われます。また、経営陣にさまざまな疑問があったことでしょうか。業績の予測が保守的でないことも問題でした。私の好みは「保守的な予測と上方修正の組み合わせ」です。まだ持ち株があるわけですが、今回のことは今後の投資に生かしていきたいと思います。

 なお、「Gravity 2005/5/8」についても追記をしています。

 *****

 参考のために、下方修正の前日に電話で質問したときのやりとりです。当初メールで問い合わせたのですが、「弁護士の助言により、通常メールではお返事しません」という返事がCFOからあって、5/12の朝7:30に電話をかけてもらったものです。早くから仕事をはじめるあたり、アメリカの経営者層と同じ行動パターンです。

  (※ヒアリングは得意でないので、間違いがあるかもしれませんのでご注意ください。青は私のコメントです)

  1. なぜ韓国の株式市場に上場しないのか。

     もちろん、韓国市場に上場するというのが普通であるが、80%の売り上げが海外からのもので、我が社のメインターゲットはアメリカだからだ。
     
  2. 日本の株式市場に上場する計画はないのか。

     現在さまざまな選択肢を検討中だ。日本の証券会社からも話がある。直接上場するか合弁会社を上場させるかなどの選択肢がある。ひじょうに(上場に)興味を持っている。
     
  3. CEOがたびたび変わっているがどうしてか。

     わが社は若い会社で、人が次々と入れ替わっている。高給が提示されたりすると次々に会社を移る。市場が(経営陣のたびたびの変更を)憂慮している(ことも知っている)。3年前にも大きく入れ替わったことがあるが、立派に成長してきた。

    3年前の 大きな入れ替わりは、DAIBOUCHOUさんも書いておられる「キム・ハッキュ氏が他の開発者を引き連れて独立した」ことを指しているのだと思います。
     
  4. 最近中国での売り上げが落ちているようだが。

     その通りだ。中国での配給会社(ライセンス供与先)があまりよくない。中国に2年前に進出したときは重要な市場ではなかった(ので今の配給会社にしてしまった)。いまは、急成長市場だと認識しているので、対策は考えている。中国では、ソフトウェア開発者が尊重されない(知的財産権のことを言っているようです)。 多くの会社が損失を出している。ただ、北京オリンピックやWTO加盟のこともあり、かわりつつある。慎重にcarefully, ここのところ、声がおおきかったです)すすめるつもりだ。
     
  5. 株主総会に関する電話会議を聞いたが、2005年通年の予測は過大ではないか。

     このことについては今はお話しできない。明日朝(5/12)の(1Qの結果に関する)電話会議を聞いてほしい。

    過大でしたね(涙^3)

 (日本でのライセンス供与先の)ガンホーの売り上げの90%がRagnarokであり、Gravityの10倍の時価総額であることに怒っている(angry)と言っていました。(株価が見直されるための)対策をとっているとのことです。週末はアメリカにroad show(私の理解では、ファンドマネージャーやアナリストに会社のプレゼンをすること。もちろん、株価の上昇を期待して)に行くそうです。 しかし、この分だとなぜ過大な予測をしたのだと、あちこちで責められるのは間違いありません。

 

Gravity          (2005/5/8)
 

 (5/11付けの追記をしています)

 Ragnarok Onlineという、多人数でできるオンライン上のロールプレイングゲーム(Massively Multiplayer Online Role Playing Game, MMORPG)の開発元であるGravity社(ホームページ)をDAIBOUCHOUさんが紹介 されていた(ここここ)ので、少し調べてみました。GravityはNASDAQに上場されており、ティッカーシンボルはGRVYです。GravityはNASDAQに元株の1/4に対応するADR(American Depositary Receipts、アメリカ預託証書)を上場しています。 久しぶりにNASDAQ上場会社の目論見書を読みました。アメリカの会社の目論見書や10-Kは半端でなく長いので読むのがなかなか大変です。 お断りですが、私自身、MMORPGをやったことがないので、大きな間違いがあるかもしれません。そのときはゲストブックでご指摘くださると大変ありがたいです。

 会社のホームページを見ると、Gravity社はどうもNasdaqにしか上場していないようです。韓国のYahoo! Financeで그라비티で検索しても見つかりませんでした。あとで、目論見書のRisk Factorsのところ(p.20)に韓国でも上場していないという記述を見つけました。しかし、韓国でも人気のゲームと想像されるのになぜ韓国でも上場しないのかは理解に苦しみましたが、ここにある調査によると、韓国では、首位のNCsoftという会社のLineage(リネージュ)とLineage 2が圧倒的人気(2つあわせて42%)なので、Gravityは海外進出に活路を見いだしたというところでしょうか。韓国のオンラインゲーム会社の中で 、2003年の売上高で見て第十位だそうです(p.34)。

 このページにあるように、会長はJung Ryool, Kim(金 正律)、CEOはDavid Woong-Jin Yoonとあります。CEOは最高経営責任者で最も権限・責任ともあるはずなのに、会長の下に紹介されていて、違和感を感じます。この5/3付けのプレスリリースにあるように、このCEOは5/3に就任したばかりです。(経営者については懸念事項のところで述べますが、実質的なCEOは会長のJung Ryool, Kimのように思われます)。従業員は2004年9月末現在で368人、労働組合はありません(p.83)。

 目論見書ですが、印刷の仕方を工夫したのですが、それでも197ページもの長さでした。最初のところにまとめ(p.1-3)がありますので、それを少し見てみます。実は全部はとうてい読んでいません(^^;)

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 Gravityは、前述のように、超多人数でできるオンライン上のロールプレイングゲーム(Massively Multiplayer Online Role Playing Game, MMORPG)であるラグナロクオンラインの開発元です。超多人数というのは、本当に多人数で、ピーク同時ユーザー数(各国のゲームサーバに同時にログインした人数)の最大と平均はそれぞれ77万人、40万人 です。Ragnarok Online(ラグナロクオンライン)は19市場で有料で展開しています。さらに、R.O.S.E (Rush On Seven Episodes) Onlineを配信しています。日本では、Ragnarok Onlineについてはガンホーオンラインエンターテインメントが配信しており、R.O.S.E Onlineについてはフェイスとライセンスを交わしています。Myoung-Jin Lee(李 命進)という人がRagnarok Onlineのストーリー展開、キャラクターづくりにかかわっています。Myoung-Jin Leeについては、ガンホーのHPの2003/12/4づけの「ラグナロクオンライン」TVアニメ化正式決定」関するプレスリリースによると「韓国の人気漫画家Lee Myoungjin氏原作の同名ファンタジーコミック「ラグナロク」の世界観をベースに開発されたWindowsR用MMO(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン)RPGです。」とあります。

 主要市場は、日本、台湾/香港、中国、韓国です。他に、携帯電話などのモバイル機器で行えるゲームの制作、テレビアニメの制作、キャラクターグッズ販売のライセンス提供を行っているとあります。今後、 自社開発・他社のオンラインゲームの配信の両方で収入源を増やしていこうとしているそうです。R.O.S.E OnlineはTrigger Softの開発しているソフトをGravityが配信しているものですね。

 今までの経緯とこれからの予定(薄黄色)をまとめておきます。

会社創立 2000/4/4
Ragnarok Online 2次元キャラクター、3次元背景 2002/8
R.O.S.E Online 3次元超多人数オンラインRPG 2005/1
Requiem(ベータテスト) 3次元超多人数オンラインRPG 2005後半までに
Ragnarok Online 2(ベータテスト) 3次元キャラクター版の続編 2006初めまでに

 ソフト開発は遅れるものなので、予定については遅れると思っているのがいいでしょう。

 オンラインゲーム産業についても触れられています。Datamonitor社によると、2003年の利用料収入は19億9500万ドルで、そのうち、アジアが70%の14億ドルを占めているそうです。また、IDCによると、韓国がオンラインゲームの最大の市場であり、そのあと、台湾、中国、日本の順だそうです。

 Gravity社自体の収入としては、Fourth Quarter 2004 Financial Resultによれば、2004年度で、日本、台湾/香港、韓国、タイの順になっています。ただ、韓国は利用料収入、その他は、ロイヤルティ・ライセンス料なので、単純な比較はできませんが。また、収入は2003年にくれば、52%増加していますが、韓国・アメリカでは収入が減少しています。収入の増加はそれ以外の国のロイヤルティ・ライセンス料の増加によることがわかります。 ホームページに貸借対照表(ここ)と損益計算書(ここ)がありますが、キャッシュフロー計算書はありません。

 強みについては、4つあげられています。(さらに詳しくはp.69-70)

  • 複数のオンラインゲーム市場で優位に立っていること
  • 鍵となる複数のオンラインゲーム市場に早期に参入したこと
  • 新しいオンラインゲームを開発・調達する能力、商品を効率的に売り込み・配信する能力があること
  • 高品位の顧客サービス

 4についてはどうなのでしょうか。少なくとも日本では、ガンホーばかりでなく、Gravityに対する不満も聞かれます。(ただ、だからといって必ずしもGravityが伸びないということにはなりません。顧客があまり満足しないのに急成長したものとして、アメリカではAOL、日本では、Yahoo! BBがあげられます。)

 p.70には、経験豊富な経営陣という強みも書いてあります。「会長のJung Ryool Kimの企業家精神、リーダーシップ、ビジョン、ゲーム業界での経験のおかげで、会社の立ち上げから4年もかからずにピークの全同時利用者数で世界で有数のオンラインゲーム会社になった。会長は韓国で25年以上にわたり、ゲーム業界で最も経験豊かな専門家の一人である。CEOのRichard Hyonkook Kimは財務に11年、ゲーム配給業界で4年の経験があり、CFO(最高財務責任者)のKwan Shik Seoは財務・会計に19年の経験がある」なお、CEOはすでにDavid Woong-Jin Yoonに替わっています。

 戦略も4つあげられています。(さらに詳しくはp.70-71)

  1. オンラインゲームにおける優位な地位を維持し、強化する
  2. 海外展開への集中を続ける
  3. 自社独自のゲームの開発力および他社からライセンスを受けたゲームの発信力を高める
  4. 現在の製品を利用して、売り上げの量を増やし、また、売り上げの道を多様化する(携帯ゲーム、アニメ、キャラクターグッズなど)

 2.ですが、韓国で売り上げが落ちているので、海外展開に集中するのは正しいと思われます。

 課題とリスクは5つあげられています。

  1. 現在、Ragnarok Onlineという一つの製品に売り上げの大部分を依存しているので、他のゲームの開発・ライセンス供与がうまくいかないと業績に大きな悪影響が起こるかもしれない。
  2. 多くの市場(韓国・アメリカ・カナダを除いて現在そうです)で海外の企業にライセンス供与しているので、その供与先に何か問題があれば、業績に大きな悪影響が起こるかもしれない。
  3. ヒットするオンラインゲームを開発・獲得・ライセンス供与・発信等ができなければ、業績に大きな悪影響が起こるかもしれない。
  4. いい人材を獲得できない場合業績に大きな悪影響が起こるかもしれない。
  5. ゲームにプログラムエラー・欠陥があった場合、我が社の評判が落ち、ゲームが市場シェアを失い、業績に大きな悪影響が起こるだろう。

 このなかで本質的なのは1と2でしょうか。1についてですが、日本のソフト会社を見ている限りでは、売れるのはファイナルファンタジーとかドラゴンクエストとか、全体のごく少数で、その売れ行きで会社の動向が左右されています。一つの製品が売れればある意味では贅沢は言えないように思います。もちろん、次々にヒット作が出ればいいですけれど。2.は慎重に提携先を探してほしいと思います。

 この5/3のプレスリリースによると、R.O.S.E Onlineを開発しているTrigger Softの75%の株式を取得して支配権を得たそうです。韓国の商法がどうなっているかわかりませんが、実質的に子会社となったと考えていいでしょう。

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 ライバルとして認識している会社ですが、p.9-10にMMORPGに関しての市場シェアの大きい会社としてNCsoftとShandaがあげられています。また、カジュアルオンラインゲーム・ゲームポータルサイトとして、NHN, Nexon, CJ Internetが挙げられていました。また、Microsoft, Electronic Arts, 任天堂、セガといったコンソールゲーム会社からの厳しい競争にもさらされるだろうとありました。

 韓国でのMMORPGの競争相手(p.82)についてですが、主要会社としてNCsoft, Webzent、Gravityが上げられています。この順にシェアが小さくなっていると思われるので、表にそう記しました。

 海外での競争相手については台湾では、Ragnarokが首位だと思われるそうで、主要競争相手は、NCsoftとGrigon Entertainmentであると記されています。タイでもやはり首位で、主要競争相手はWebzenだそうです。中国では、首位がShanda Interactive, 二位がWebzenのMuであると記されています。

 以上を表にまとめました。 直接競合しそうな会社を黄色で示してあります。比較のため、日本のゲーム会社をいくつか入れておきました(緑)。マイクロソフトはいくら何でもゲームソフト会社という位置づけではないでしょうから、除外してありますが、その代わりに、未上場ですが、人気のあるらしいWorld of WarCraftのBlizzard Entertainmentを入れておきました。PERは各国のYahoo! Financeで5/5-5/6に調べましたが、目安程度に考えるのがよいと思います。各国での順位はピーク同時ユーザー数での順位で、目論見書の記述に基づいています。

会社 PER シンボル/コード 上場市場 分野 代表的ゲーム
Gravity 7.5 GRVY(ADR) NASDAQ MMORPG(韓国) Ragnarok(韓国3位、台湾首位、タイ首位)
NCsoft 19.0 036570.KS ソウル証券取引所 MMORPG(韓国) Lineage(韓国首位)
Webzen 10.5 069080.KQ KOSDAQ MMORPG(韓国) Mu(韓国2位、中国2位)
8.1 WZEN(ADS) NASDAQ
Grigon Entertainment 未上場 MMORPG(韓国) SEALONLINE(台湾で主要)
Shanda 31.1 SNDA NASDAQ MMORPG(中国) (中国1位)
Blizzard Entertainment 未上場 ゲーム(たぶんアメリカ) World of WarCraft(人気らしい)
NHN 27.6 035420.KQ KOSDAQ オンラインゲーム(韓国) -
Nexon 未上場 ゲームポータルサイト(韓国) -
CJ Internet 赤字 037150.KQ KOSDAQ エンターティンメントポータル(韓国) -
Electronic Arts 32.0 ERTS NASDAQ ゲーム(アメリカ)  
スクウェア・エニックス 35.2 9684 東証一部 ゲーム(日本) Final Fantasy XI
任天堂 48.7 7974 東証一部 ゲーム(日本)  
セガサミーHD   6460 東証一部 ゲーム(日本)  
ガンホ ー 512 3765 ヘラクレス オンラインゲーム(日本) (Ragnarok配信)

 全体として見るとGravityは割安でしょうか。しかし、WebzenのPERをみると、NASDAQではそもそも韓国のゲームソフト会社は割安に放置されているという印象です。Webzenが安いのは、利益が減少していることが挙げられる (ここ、OCNの翻訳サイトで翻訳しています)と思いますが、NASDAQでさらに安いのは、一般にADRやADS(American Depositary Share、この場合は元株一株がADS一株に対応するようです。ここ参照)は元株より過小評価されやすいという ことによると思います。知られていないところでは株は買い上げてもらえないということだと思います。 また、ガンホーにとんでもない値段がついているらしいことがわかります。

 ところで、ADRやADSと元株の評価が違うのであれば、割安なADRやADSを買い、元株を売ると言った裁定取引をすればいいということになりますが、別の証券のように扱われる ため、同時別市場の裁定取引は不可能のようです。また、過小評価が基本的に永続することにより、ペアトレード的な時間を利用するリスク裁定取引もうまくいかないようです。(このあたりは私の記憶違いがあって、間違っているかもしれませんが)

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 p.8-26にリスク要因があります。リスクを書いておかないと、あとで株主代表訴訟で訴えられたりするので、アメリカ上場の会社はかなり長々と書いてありますが、気になることを挙げておきます。 見出ししか読んでいませんが、北朝鮮のリスクまで書いてありました。

 「韓国や台湾では、オンラインゲームの成長はすでに鈍化している一方で、競争は激しいまま」だそうです(p.10)。Gravityが海外進出をしてNASDAQに上場したのはこのあたりに理由があるのかもしれません。

 p.65とp.66に全市場におけるRagnarok Onlineの同時利用ユーザーの四半期ごとの変化がグラフで示されていますが、ピークユーザ数は頭打ち、平均ユーザ数は2004年の第一四半期をピークとして少し減少しているのが見て取れます。小売りでいう既存店売り上げは鈍化または減少傾向にあるので、新規店を(海外に)開いているところというところでしょうか。また、そのあとに国別のユーザーの伸びがやはりグラフになっているのですが、中国のユーザーが2004年第一四半期をピークとして減少しているのが気になります。

 目論見書のでた段階で「CEOがすでに4回替わっている。他の役員も替わっている」(p.11)とのことです。さらに、IPO後、最近5/3にCEOがまた替わって、Richard Hyonkook Kim(現Chief Strategy Officer、最高戦略責任者?  新たに作った役職のようです)からDavid Woong-Jin Yoonになっています(ここ)。これには説明が必要と思われます。

 会社のCEOを紹介するページで、CEOより上に会長として紹介されているJung Ryool Kimですが、目論見書では、創設以来ずっと共同代表取締役(Joint Representative Director)であると記述されています(p.93)。(注:追記にあるように、現在は形の上では代表権を失っています)また、会社からのメッセージもこの人の名前ででています(ここ)。ガンホーのプレスリリースでは、代表者とされています(たとえば、ここ)。この「会長」のJung Ryool Kimは筆頭株主であり、ここにあるように 、全体の48.88%を保有しています。ちなみに、joint representative directorとは、「会社をまとめるために行動をともにしなければならない。これがco-representative directorsとの違いで、co-representative directorsは独立に行動することがある」とあります(p.93)。

 以上のことから示唆されるのは、実権はJung Ryool Kimが持っていて、気に入ったやつに「CEO」をやらせてみるが、気に入らなくなるとすぐ変えるという構図です。(この点は裏をとっていませんし、内部の人でもないと なかなかわからないような気がします) 「行動をともにできない」ということで、CEOを次々にやめさせているのではないかと心配です。 ともかく、実質的には、会長で筆頭株主のJung Ryool KimがCEOであり、CEOとされている人は、COO(chief operating officer、最高執行責任者)ではないでしょうか。とすると、少なくとも英語のプレスリリースのCEOというところはCOOと読み直さないといけないでしょう。

 (追記)5/11

 ここにある株主総会の電話会議(3/31)を聞くと、Jung Ryool Kimが何かを辞任したと言っているようです(聞き取れませんでした)。なんでも、会社の所有権と経営をわけるのがいいとJung Ryool Kimが考えているとのことでした。

 そこで、SECへの提出書類を漁ると、事情がやっとわかりました(ここ)。3/29の「株主総会後に取締役会があって、そこで、共同代表取締役体制を廃止し、David Woong-Jin Yoonを新CEOかつ代表取締役に選出した。」とあります。つまり、あらわには書いてありませんが、筆頭株主のJung Ryool Kimは代表取締役を辞め、代表権を失ったということです。(会長には留まっています。)Gravityは単独代表取締役体制になり、その単独代表取締役に現CEOを選出したということのようです。

 ともかく少なくとも形の上では、Jung Ryool Kimは代表権を現在は失っています。

 ところで、共同代表取締役制をやめたことが本文ではなく、添付書類(Exhibit)に書いてあるのはどういうわけでしょうか。その上、(筆頭株主で創業者の一人の)共同代表取締役のJung Ryool Kimが代表取締役を辞めたことは、その添付書類にもはっきり書いていないのも少し驚きです。創業者への遠慮でしょうか。

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 p.12-13に「現在は税の優遇措置を受けていて、税率が50%カットされていて14.85%である」旨が書いてあります。「この優遇措置の更新が2005年にあって、 「中小企業であること」、かつ、「特に革新的な技術力があること 」が用件になっている」そうです。中小企業の用件は、現在すでに満たさなくなっているそうですが、合併したり、大会社の系列会社になったりしなければ2007年までは満たしていると見なされるそうです 。もう一つの用件の「特に革新的な技術力があること 」は主観的なものなので、政府が認めなければだめだそうです。認められなければ、税率が約30%になるということでしょうから、税引きご利益の減少要因になります。

 株の需給についてですが、「このIPO後の発行済み株式の64.12%の株主は、引き受け株式会社の書面による同意なしに目論見書の発行(2005.2.7)後180日間は売却しないという合意がある」(p.21)そうです。すると、8月のはじめ頃から、そのロックアップされた株式がさらに売られる可能性があります。

  「本社ビルは創設者で共同代表取締役のJung Ryool Kimから月ごとの契約で借りている」(p.21)そうです。家賃が気になるところですが、p.102にありました。月あたりの家賃は3,300万ウォン、管理費が2,000万ウォン、 敷金が380億ウォンとあります。 この敷金についてですが、「韓国の習慣では、敷金は、一括払いする払い戻し可能な保証金で、実質的には、無利子貸し付けと同じ効果があり、月々の支払いがなかったり、少なかったりしたときの見返りに 、賃借人が賃貸人に貸借の開始時に渡すものである」とあるので、日本の敷金と同じようなものと思われます。ウォンの数をだいたい10で割った数が円ですから、月家賃は330万円、管理費200万円、 保証金38億円ということになります。 この金額が妥当かどうかわかりませんが、差し入れた保証金には利子が付きません。ここによると、「韓国の3年ものの国庫債の金利は最近、年3.7〜3.8%となっている」そうですから、この保証金で、Kimさんが、この国庫債を買えば、年に14億ウォン(1億4千万円)程度の利子が 毎年入ることになります。 Jung Ryool Kimさんをだいぶ個人的に儲けさせている印象です。(それとも韓国では、このようなことは比較的当然のことなのでしょうか。)

 また、業績の概観のかいてあるp.34に「競争が激しいので、我が社もライセンス供与先もRagnarok Onlineの価格を上げてこなかった」とあります。これに関連してですが、「2005年7月までRagnarok Onlineの独占配給権をSunny YNK社が持っている。しかし、マーケティング、営業、料金請求は当社が行っている」とあります。

 まとめると、懸念材料は

1.競争が激しい。大市場であるはずの中国で減少傾向。

2.CEO(実際にはCOO)が頻繁に替わっていて心配。創設者で会長で筆頭株主のJung Ryool Kimがワンマンで、次々にCEOを替えたり、会社の甘い汁を吸っている可能性あり。

3.8月初め頃、ロックアップが切れて、さらに株が売られる心配

というところでしょうか。

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 売り上げの計上についてですが、利用料(韓国、アメリカ、カナダ)については前払いなので、それを各月に案分して売り上げとして計上しています。ライセンス契約料については、ライセンス期間の初めに受け取るが、ライセンス期間にわたって案分して計上します。中国については、Ragnarok Onlineの売り出し・配信に関して最低保障ロイヤルティ40万ドルを受け取りますが、半年ごとに契約期間にわたって受け取ります。これもロイヤルティの受け取りが先になり、ロイヤルティの計上は後になります。毎月のロイヤルティはライセンス供給先の会社が各月の収入の収入を確認した後で、月ごとに計上するとあります(p.35-36)。保守的な売り上げの計上のようです。この計上方法では、貸借対照表のdeferred incomeに注目していくのが会社の将来の収益の動向を予測するのに重要となると思われます。

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 p.58-p.63に、IDCのオンラインゲームに関する利用料売り上げの伸び率予測が載っていました。なぜか日本に関する予測がないのですが、

  成長年率(予測) 期間
韓国 8.1% 2003-2008
台湾 13.8% 2003-2008
中国 38.8% 2003-2008
タイ 22.8% 2003-2008
アメリカ 33.0% 2003-2007

 まあこういうところに載せるのは都合のいい数字なので、割り引いて考えておくのがいいと思われます。驚くのはアメリカで この中では中国に次いで伸びることになっています。予測が妥当なものだとすれば、アメリカでは、ADSLなどの高速インターネットの普及率が実は低いということが関係しているのではと私は思います。これからADSLなどが普及してオンラインゲームができる環境になっていくだろうということなのだろうと思います。

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 一つ疑問に思ったのは、このプレスリリースによると、「(2003年)7月25日に開催されたOnline Game Fantasistaで、ガンホー・オンライン・エンターテインメントはあらたな事業展開について発表を行った。発表の目玉の一つが、ラグナロクオンラインの開発元である韓国グラビティ社との包括永続提携だ。これにより、グラビティが開発中の新タイトルも含め、すべてのグラビティの製品(ゲームだけでなく、映像作品や音楽も含む)は、今後ガンホーを通じて日本に提供されることになる。」とある。永続という以上、未来永劫というようにとれます。とすると、何かと評判の悪いらしいガンホーと永久に契約を結ばないといけないことになります。

 ところが、目論見書のp.76にGuan-Hoのライセンスは2006年の8月に切れるように書いてあります。


            Date of    
        Date of license   commercial    
Country   Licensee   agreement   launch   Date of expiry

 
 
 
 
Japan   GungHo Online
Entertainment Inc.
  July 2002   December 2002   August 2006 (1)

Notes:

   
(1)  Renewed in September 2004.

 また、ガンホーの2005年3月期の有価証券報告書のp.14によると、「ラグナロクオンラインの日本国内独占配信・販売権」は平成14年(2002年)7月24日付けでガンホーに付与」されているが、「ラグナロクオンラインの契約は有期契約」であり、期限は平成18年(2006年)8月31日である旨が記されています。つまり、Gravityの目論見書の2006年8月の契約切れという記述と合致しています。

 さらにガンホーの目論見書をGravityで検索すると、重要な契約の変更として「当社及びGravity Corp.は、両社の今後の成長戦略等を十分に協議し、今後もビジネスパートナーとしての良好な関係を維持・継続させることを前提として平成15年(2003年)7月24日付「基本合意書」(以下、旧基本合意書)における両社間の永久包括契約に関する見直しを行い、平成16年(2004年)9月18日付 『基本合意書』にて旧基本合意書を含む全ての契約を白紙化し、新たに事業に関連する諸契約を締結いたしました。」(p.90)とありました。

 結局、上のプレスリリースの契約は解除されているようです。

 とすると、将来的には(2006年8月以降)、ガンホーとの契約を解除して、他社(たとえば、ローズオンラインで契約を交わしているフェイス)との契約もあり得るということです。たぶん、これは歓迎すべきことでしょう。

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 Ragnarokの人気に比べて安いように感じられるのでまずは少し買ってみましたが、リスク要因のところで見たように、競争の激しさ、会長のワンマンさ、それに伴うと思われる経営者の相次ぐ交代はとくに注視しないといけないと感じました。 また、私の考えているリスクはなんと言っても、製品の売れ行きが人気に大きく左右されて、業績が簡単に予測できないことです。先ほどいったように、日本のゲームソフト会社もジェットコースターのような株価の変遷をしてきました。MMORPGをつくるGravityでも、同じことが予想されます。したがって、成長するとしてもかなりのジェットコースターを覚悟する必要があるでしょう。

 ただ、幸いなことに、ジェットコースターがかなり下りてきたところで乗ったということで安全余裕率はあると思っています。DAIBOUCHOUさんも指摘していますが、なんと言っても、アメリカであまり(すくなくとも今のところ)浸透していなかったのが、このお値打ちの価格を実現したと思われます。日本で上場したら、ガンホー同様、めちゃくちゃな高値になっていたと思われます。会社としては、 知名度のないアメリカでNASDAQに上場したことは間違いだったようにも思いますが、投資家としてはありがたいことです。

 (追記)5/11

 株主総会の電話会議では、CSOの創設について、Gravityが24カ国に展開し、500人以上を擁する世界規模の会社になるため、その戦略のためであると言っていました。質問では、(1)自社株買いはしないのか、(2)1Qに比べて通年の会社予測が過大では、という質問がでていました。どちらも回答はNoでした。詳しくはDAIBOUCHOUさんのところで長野代表さんがかいておられます(ここここ)。

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 DAIBOUCHOUさんに感謝します。また、HPの翻訳には、OCNの翻訳サイトが役に立ちました。Webzenの株価が下がっており、なぜかと思ったとき、昨年(2004年)の結果はアメリカのYahoo! Financeではわかりませんでしたが、韓国のYahoo! Financeにはきちんと記されていて、利益の減少が関係ありそうだとわかりました。韓国語の翻訳ができなければこのことがわからなかったと思います。

 

東京製鐵とNucor          (2005/4/17)
 

  最近、東京製鐵株がバリュー株投資の対象として脚光を浴びているようですね。電炉の会社ですね。高炉と電炉があるのはNucorという会社のことを本で読んで知ったときに一緒に知りました。

 いくつかレポートを読ませていただきましたが、よく調べておられるので、読んで勉強になりました。


 EDINETで調べたら、赤字を出している2001年、2002年もフリーキャッシュフロー(FCF=(営業キャッシュフロー)−(固定資産取得費)で計算しました)は正でした。 (下にEDINETの有価証券報告書のデータに基づいて作った表を示します。)

回次 第84期 第85期 第86期 第87期 第88期 第89期 第90期
決算年月 1998.3 1999.3 2000.3 2001.3 2002.3 2003.3 2004.3
売上高 (百万円) 166,919 124,362 106,814 117,196 91,509 130,095 152,072
経常利益(損失) (百万円) -8,391 -8,255 -6,986 -2,391 -4,683 2,624 13,238
当期純利益(損失) (百万円) -10,151 -11,733 -12,607 -3,394 -5,580 1,527 12,534
発行済株式総数 (株) 156,064,249 156,064,249 155,171,449 155,064,249 155,064,249 155,064,249 155,064,249
純資産額 (百万円) 148,318 135,805 122,643 118,285 114,060 114,249 127,579
総資産額 (百万円) 236,190 172,818 163,214 157,490 149,926 158,248 175,495
1株当たり純資産額 (円) 950.36 870.19 790.37 762.81 735.57 736.82 822.8
1株当たり配当額 (円) 6 4 4 4 4 4 6
1株当たり当期純利益(損失) (円) -65.04 -75.18 -80.82 -21.89 -35.99 9.85 80.84
自己資本比率 (%) 62.8 78.6 75.1 75.1 76.1 72.2 72.7
自己資本利益率 (%) 1.3 10.4
株価収益率 (倍) 32.7 16.7
配当性向 (%) 40.6 7.4
営業CF (百万円) 8,535 11,739 4,361 12,949 15,799
投資CF (百万円) -4,924 -12,480 -5,420 7,596 -2,066
財務CF (百万円) -555 -956 -617 -620 -775
有形固定資産取得による支出 (百万円)       -4,464 -3,353 -2,979 -3,199
FCF (百万円)       7,275 1,008 9,970 12,600
現金及び現金同等物 (百万円) 26,913 30,006 28,396 26,775 46,918 60,160
従業員数 (人) 1,283 1,249 1,202 1,139 1,063 1,024 968

 会社四季報によると、有利子負債がゼロ ということなのですが、 これには、電炉の場合、設備投資額が高炉に比べてはるかに小さくすむということが関係しているのかなと想像します。新日鐵の子会社の大阪製鐵も有利子負債ゼロですね。

 過去を振り返ると、一番よかったのは、赤字で黒字転換しそうなうちに買うことだったのでしょうが、EDINETで調べられる一番古い1998.3から2002.3まで少なくとも5年間赤字ですし、2002年にはFCFもマイナスに転落しそうな勢いでした。こういう状況ではおいそれと買えなかったでしょう。黒字になってからはどうかというと、下のBigChartの対数チャートを示されるように、株価は2003年7月から上昇するまで低迷していますから、黒字になってから買ってもよかったということかもしれません。 たぶん、赤字が何期もつづいたので、業績回復を懐疑的に見られて株価の上昇が遅れたのだと思います。

 この会社を買うには、Jim Rogersの"cheap and change"的なアプローチが有効のような気がします。「多くの会社が赤字を垂れ流し、次々と会社が撤退し、設備投資も行われない状態であれば、突然需要が出てきてそれに対応するための新しく工場を建てたりするのに何年かかかるようになる。鉄は依然として必要なので、鉄鋼業がなくなることは考えにくい。突然需要がでてきたときには、残った会社は大きく儲けることができる」といったような 考えです。これできっかけ(この場合、鉄鋼市況の回復)がわかれば投資(投機?)は大きなリターンをもたらすものとなるはずです。こう考えて、2002年-2003年前半に買えた人はいいリターンを得たに違いありません。



  ただ、今から買うのはどうもちょっとという気がします。 というのは、製鉄業は景気循環株で、私には鉄の需給が全くわからないからです。今期予想PERは5を切っていますが、 景気循環株はピークの時がPERが最低になるというのはよく言われることです。今から買っても上値は限られているように思います。 (景気循環株については、稲虎さんが詳しく論じています(ここ)。)それに、たとえば、北京オリンピック後に需要が急落して2001,2002年のように赤字を出す可能性があります。

いずれにしろ、鉄鋼市況をよく知っていないと安値では買えなかったですし、これからさらに業績が伸びるかどうかも判断がなかなか難しいです。私の場合はその能力がないのでやめておこうかということになります。 もちろん、鉄の需給に詳しい鉄鋼業界の人の場合は、分析の結果買う判断が当然あると思います。

結論:循環株の低PERであること、今後の鉄の需給がわからないことから私には買えない


 ところで、電炉会社を知るきっかけとなったのは、"The Motley Fools Rule Breakers Rule Makers"という本で、Nucor(シンボルNUE)という電炉会社が"Rule Breaker"として紹介されていたからです。Rule Breakerとは既存の枠組みを破壊するが故に、大きく成長する会社くらいの意味でしょうか。Rule Breakerはリスクの高い会社が多く、一般には勧められないのですが、Nucorの成功の歴史を本に沿って見てみることにします。

 その前に、まずチャートを見てみましょう。1970年からのチャートしかないですが、現在までに900倍になっています。900^(1/35.25)-1=21.3%ですから、年平均21.3%の上昇です。1994年まででしたら、400倍なので、400^(1/24)-1=28.3%で年率28.3%くらいでしょうか。 ちなみに+0%のところでまっすぐ寝ている茶色い線が、アメリカでよく市場全体を表す指標として用いられるS&P500です ので、市場平均を大きく上回るリターンを株主にもたらしたことがわかります。

 "Rule Breakers Rule Makers"には、この会社の経営者のKen Iversonが登場します。Iversonは"Plain Talk"という、会社経営に関する普通とはちょっと違ったアドバイスがたくさん載っている本を書いているそうです。私は読んでいませんが、この本もおもしろそうです。"Rule Breakers Rule Makers"から内容を簡単に紹介します。

 Iversonが経営を任された1966年当時、Nucorは経営困難に陥った、ごく小さな"Nuclear Corporeation of America"という名前の会社 であった。Iversonはまず業績を回復させるために、鉄製品を製造するだけでなく、鉄鋼を自らつくらないといけないと考える。 実は、IversonがNucorのCEOになる前にVulcraftという子会社の経営を任されていた。この子会社は市場シェアはたったの20%ではあった ものの、建設業への鋼鉄梁販売量がトップのため、一番経営が安定していていた。しかし、Vulcraftは業界でいい位置にいたのにもかかわらず、市況の影響を受けやすかった 。なぜなら、鍵となるコストである鉄鋼の値段が、自分たちではどうにもならず、第三者に決められ、固定化されていたからである。この問題を解決するため、Iversonは自社で鉄鋼をつくることを決めた のである 。

 しかし、この計画の実行は困難であった。なぜなら、この事業に参入するには、会社が賄い切れなほどの巨額の投資が必要だったからである。

 当時は高炉しかありませんでした。高炉には巨額の設備投資が必要です。

 さらに、Nucorが製鉄業に参入したとすれば、当然ながら、外国の業者より安く作らねばならな かった。もしそれがうまくいかなければ、低コストの外国製品の浸入に屈して、アメリカの他の製鉄業者とともに長期凋落の道を歩んでしまう。解決策は新しい技術で あった。

 1968年に、Iversonは従来からの高コストの巨大工場で、高賃金の労働力を使って鉄鋼を製造するのでなく、全く新しい方法を考えつく。電気炉を利用したミニミル(小製鉄所、minimill)で ある。ミニミルは、今までの高炉の製鉄所を作るよりはるかに安くすむ。電気炉では、新しく鉄鉱石から鉄を作るのではなく、鉄スクラップを溶かして鉄を作る。溶融した鉄は、連続鋳造機に連続的に導入され、冷却されて成型され る。従前の製造法である、Bessemer過程では、溶融した鋼鉄を巨大な型に流し込み7トンもの鉄地金を作っていた。この地金を型から取りだしてから、また莫大なエネルギーを使って再加熱して、分塊圧延機を通して、ビレット(billet)と呼ばれる状態に する。(新日鐵のHPのここも参照)これをさらに棒や線材にします。一方、電気炉では、溶融した鋼鉄を直接ビレットにする。電気炉を使う方法がいかに安価でいかに効率的かわかるだろう。

 1969年にIversonはSouth Carolina州のDarlingtonに最初のミニミルを建設する。当時会社の総資産が1150万ドルのときに600万ドルを借り入れる。

 大きな賭だったと思いますが、上のチャートが示すようにIversonは成功します。

 一つの炉で今までの何過程もの工程をすますことができ、Nucorは、過去のように工賃の高い熟練工を雇う必要がなくなった。また、非熟練工を使っているのも関わらず、事故 による死亡者は5名程度で、業界平均より少ない。また、従来の高炉では、鉄の生産地の近くに建設する必要があったが、電炉工場は、スクラップのあるところならどこでも建設でき る。その結果、工業地帯の郊外に工場を建設できるので、労賃を低く抑えることができる。にもかかわらず、(少なくとも本の書かれた1999年まで)Nucorには労働組合が ない。

 製鉄業といえば、航空業とならんでアメリカで労働組合が強いことで有名です。残念ながら、この労働組合が両業界の生産性を著しく損なっているように思います。(といいつつ、製鉄業の会社にも航空業の会社にも私は投資していますが)直近の10K(2004年12月期)を見ても労働組合はないとあります。(p.5)

 労働組合のない理由は、従業員に大部分の労働組合員よりもずっといい選択肢を与えたからである。Nucorは最低賃金の労働者にも出来高制の報酬を与えた。実際に、従業員の生産目標を達成すると基本給の2倍以上稼ぐことできるようにしてい る。また、従業員の子供たちが大学へ行けるような奨学金を保証しています。さらに、誰もレイオフ(一時帰休)されたことが ない。(こんなことを労働組合が未だかつて実現できただろうか)閑散期にはみんなが「痛みを分かち合い」労働時間を減らす。

 「痛みを分かち合う("share the pain")」は日本で ワークシェアリング(この言葉の発祥はヨーロッパだったと思いますが)がと言っているものに近いでしょうか。

 1972年に業績は大きく回復し、黒字転換した。Iversionは会社名をNuclear Corporeation of Americaから現在のNucorに改めた。電炉のミニミルは業界の大手も脅かすようになった。1970年代にわたり、Nucorの低コストの製品に敗北した企業が業界を去ってい った。1970年代末には、Nucorの売り上げは1968年の9倍になり、一株あたり利益も数セントから55セントになった。

 この本の書かれた1999年時点では、Nucorは米国で第二位の製鉄会社になり、一位のU.S. Steelに追いつく、追い越すことも非現実なことではなくなっている。

 2005年現在での状況を確認するために、Yahoo! Financeでライバルとの比較(ここ)をすると、U. S. Steel(シンボルはXです)で売り上げでは負けているものの、すでに時価総額では上回っていますね。 たまたま、「スタバで読み解く世界経済入門」という特集があったのでニューズウィークの2005年4月13日号を買ったのですが、いくつかの業界の企業シェアが載っていて、そこに2003年の粗鋼の生産量が載っていました。それによると、アルセロールが4.4%で一位、その後、LMN(3.7%), 新日鐵(3.2%)、JFE(3.1%)、ボスコ(3.0%)、上海宝鋼集団(2.1%)、コーラス(2.0%)、そして、アメリカ一位のUSスチール(1.9%)、ティッセンクルップ(1.7%)、そして、ニューコア(1.6%)となっていました。

 最近の好調な株価を見るとNucorも中国での鉄需要の高まりで現在の景気がいいようです。

 Nucorの戦略をまとめると、

1.電炉を使用して、低コストで製鉄できるようにしたこと

2.従業員にやる気を与えたこと(このおかげで、アメリカの製鉄業と航空業で業績の足かせとなっている労働組合と無縁になった)

でしょうか。できれば、こういう会社に投資したいものですね。ですが、総資産の1/2以上の借金をして新しいことを始める会社はやはりなかなか買えないでしょうね。黒字転換した1972年に買っても十分いいと思いますけれど。 (今はもちろん優良大企業になってしまっているので、問題があって株価が大きく下がったときに買うべき株でしょう。)

 書いていて思っていたのは、NucorはDellと似ているなということです。Dellも赤字にあえぎ、直販のみに転換し成功しました。戦略とは、人と違うことをすること、あるいは、同じことを違うやり方ですることだ、といったMichael Porterの言ったことを思い出します。Nucorの場合は、鉄をつくるという他の製鉄業者と同じことを、「電炉を使ったミニミルで行う」という違う方法で行い、従業員を他の製鉄業者とは違う方法で遇したということでしょうか。たぶん、NucorもDell同様、Porterに褒められていることと想像します。

 東京製鐵の話に戻りますと、どうもNucorのような会社ではなさそうですね。Nucorの電炉を利用するという戦略が正しければ、コストが少なくてすむはずの電炉で赤字を長年出すということは何か問題がありそうです。社長が筆頭株主なこと、(わかる限りでは)赤字の時でもFCFが黒字なのは気に入りましたが、できれば私が買いたいのは、他の会社が赤字で低迷するときでも儲けを出し、他社を淘汰していく会社です。(もちろん、これはBuffett型投資をするときの理想で、他の投資法では違いますが)

 追記 4/19に、稲虎さんの日記を引用したほか、一部加筆しました。


 

Berkshireの株主への手紙          (2005/4/3)
 

  皆様ご存知のように、Berkshire HathawayはWarren Buffettが会長を務める会社です。2004年のBerkshire Hathawayの株主への手紙の一部を紹介したいと思います。 直訳すると意味がとりにくいところがあるので、意訳ですが、間違いがあればゲストブックでお知らせくださると幸いです。

 例によって、p.2に簿価の成長が記されています。

  Berkshireの一株あたり簿価 S&P500(配当込み)
2004年 10.5% 28.7%
1965-2004年の上昇の年率 21.9% 10.4%
1964年から2004年までの全上昇率 286,865% 5,318%

 「自己資本が83億ドル増えた結果、簿価が10.5%増えた。われわれが経営権を握って以来の40年間で簿価は19ドルから55,824ドルへと年率21.9%で増加した。」

 「しかし、重要なのは一株あたりの本源的価値であり、簿価ではない。1964年から2004年の間に、Berkshireは、 アメリカ北部の苦闘する織物業から、さまざまな事業をもつ企業連合体に変化してきた。その結果、簿価より低かった本源的価値は簿価よりはるかに高くなるに至った。したがって、本源的価値の40年間の成長は簿価の 成長年率21.9%より高い。」

 「簿価は本源的価値よりわずかに小さいが、都合がいいので、簿価を本源的価値の長期の増加率の尺度としてBerkshireでは使っている。しかし、計算された簿価は、ある年のS&P 500インデックスに対する成績と比較する意味合いはかつてほどではない。自己資本の中での(転換社債を含めた)株式保有の割合が、1980年代の平均114%から、最近の50%未満に大きく減ったからだ。したがって、株式市場の毎年の動きは、かつてよりもわれわれの自己資本のずっと小さい部分にしか影響していない。その結果、株式市場が大きく上がったときには簿価の増加は負けることになるし、株式市場が下がれば、簿価が勝つことになる。」

 あいかわらず、株の持分は資産の半分程度で、株式市場が全体として高いという判断なのでしょう。

 「にもかかわらず、S&P(500)に対するBerkshireの長期の成績はきわめて重要である。なぜなら、我々の株主は(Berkshireの株を買う代わりに)S&Pのインデックスファンドをひじょうに低コストで買うことができるからである。もし将来的にS&Pの成績を超える割合で一株あたりの本源的価値を増やすことができなければ、Charlie(チャーリー・マンガーのこと)と私は、あなた方が自分で達成できることに何も付け加えないことになってしまう」

 ここも昨年と同じことを言っていますね。

 「昨年、Berkshireの簿価の増加は10.5%であり、インデックスの増加の10.9%に及ばなかった。われわれのぱっとしない成績は、子会社のCEOがへまをしたからではない。いつもどおり、CEOたちはやるべき以上のことをやった。CEOたちへの私のメッセージは簡単である。『自分たちの会社を自分の家族がこれからの100年間所有している唯一の資産であるかのように経営してください。 』CEOたちは今までとほとんど変わらず経営をし、事業に必要な資金を手当てし、それで残った現金をオマハに送ってくれるので、その分については私が資産配分を決める。」

 「私は昨年、それほど上手に資産配分の仕事ができなかった。 私の望みは、何10億ドル規模の企業買収をいくつか行い、既存の収益源に新しい収益源を加えることであった。 しかし、私は機会を逃した。 さらに、私は、買いたい証券を見つけることがほとんどできなかった。 したがって、バークシャーは430億ドルの現預金を保有したまま1年を終えたが、このキャッシュポジションはありがたくないものだ。 チャーリーと私は2005年の間に、この資金の幾分かを、現金より魅力的な資産に変えたいと思っているが、うまくいくことを約束することはできない。」

 「ある意味で2004年は株式市場にとって注目すべき年であった。1960年代が終えた後の35年を調べると、配当を含むS&Pの成績が年11.2%だったことがわかる。(この成績は将来の期待リターンよりかなり高いが 。) 11.2%に近いリターンの年--たとえば、8%と14%の間のリターンであった年--を探すとすると、2004年 以前には1年しかありません。言い換えれば、昨年の『正常な』リターンは正常とは決していえないものである。」

 将来の期待リターンより過去のリターンのほうが高いと述べていますが、Buffettは1999年時点(Fortune 1999年11月23日号)で6%くらいの将来リターンを予測し、そんなはずはないと、その時点から過去数年の絶好調の株式市場を体感している人々の物議を醸しました。(私の2002年8月4日の日記にこのことについて書いています。)あとで、バックミラーとフロントガラスの譬えが出てきますが、人は過去の、それも直近の過去の状況から、将来を予測しがちです。将来がどうなるか、少なくとも、過去と同じなのかどうかはよく考えないといけないと思います。

 また、たまたま昨年のリターン10.9%が平均リターン11.2%に近かったわけですが、このように平均リターンに近いリターンを示した個別の年はほとんどないということであり、ブレ(分散や標準偏差)が大きいことを示しているのだと思います。

 「35年間、アメリカのビジネスはすばらしい結果を生んできました。 したがって、投資家がうまみのある収益を得るのは、簡単であるはずであった。投資家がしなければならなかったのは、分散された、低コストな方法でアメリカ株式会社の肩に乗ることであった投資家はインデックス・ファンドに決して近寄らなかったが、もしインデックスファンドを利用していれば、ひじょうにいい成績を残した。しかし、多くの投資家はそうせずに、よくて平凡、悪ければ、悲惨な経験をしてきた。」

 回りくどいですが、「分散された、低コストな方法でアメリカ株式会社の肩に乗ること」とは、言うまでもなく、インデックスファンドを買うことです。つまり、インデックスファンドを買いなさい、と言っています。1996年のLetter to Shareholderでも同様なことを言っています。引用すると、「機関投資家にしろ個人投資家にしろ、大部分の投資家は手数料がごくわずかなインデックスファンドを通じて普通株を所有するのが一番です。こうすれば確実に大部分の投資のプロの(手数料や費用を除いた)正味の結果を打ち負かすことができます。」以下では、投資家がいい成績を残せなかった原因について3つ述べています。

 「一つめは、費用が高いことである。これは、通常、投資家が売買しすぎて手数料を多く払うか、投資の管理に費用をかけ過ぎるからである。二つめは、ポートフォリオに関する意思決定の際に、事業の評価を定量的によく考えて行うのではなく、その時々の市場の流行や耳打ち情報に基づいて行なってきたことである。三つめは、タイミング悪く売買をしたことである。すなわち、市場が長期間上がったあとに買い、市場が低迷したときに売ることである。投資家は、興奮と費用が 自分たちの敵であることを覚えておいたほうがいい。 そして、株式市場に参加するタイミングを図ることにこだわるのだとしたら、他人が貪欲なときには自分は恐怖を感じ、他人が恐怖を感じているときには自分が貪欲であろうとすべき である。」

 ここのところは、言い尽くされていることですが、もう一度再確認すべきでしょう。まず、個別銘柄を売買するなら、売買手数料を低く抑える。いい積積を挙げている投資家は、 一般的に売買回数が少ないことが知られています。また、高い手数料をとる投資信託は買わない。買い付け手数料にすぐ目が行きますが、実は、長期的に効くのは、毎年とられる信託報酬です。次に、事業の価値を見積もり、それより安い株価がついているときに買う。三番目に、 売買するのであれば、安いときに買い、高いときに売る。できなければ、淡々とドルコスト平均法を用いるべきでしょう。

 このあと、主要な四つの事業分野、1.公共事業、2.保険、3.金融、4.製造業・サービス・小売、それぞれの貸借対照表と収益を示しています。

 さて、投資です。2004年末で市場価格6億ドル以上の証券が表に示されています。(p.16)

 表はアルファベット順になっていますが、市場価格順に並べると、American Express, Coca-Cola, Gillette, Wells Fargo, Moody's, Washington Post, PetroChina(H株), White Mountains Insurance, M&T Bank, H&R Blockとなっています。

 「この表を見て、チャート・パターンや証券会社の意見や短期の収益見通しに基づいて売買すべき株のリストだと思う人もいるかもしれない。チャーリーと私は、雑音を無視して、私たちの持ち株を 部分的な所有権であるとみなしている。ここは重要な点である。実際、私が19歳の時から、この考えは私の投資の礎になっていることである。 当時私は、ベン・グラハムのIntelligent Investorを読み、目から鱗が落ちた。 (以前から株式市場によって魅了されていたが、どう投資するかに関して手がかりを持っていなかった。)」

 「4大投資」の事業--アメリカン・エキスプレス、コカコーラ、ジレット、ウェルズファーゴ--が、株の購入以来どうであったかを見てみよう。表にあるように、この4社に38.3億ドルを投じた。これは、1988年5月から2003年10月の間の複数回の取引によるものである。買い付け資金で平均してみると、購入したのは1992年7月ということになる。したがって、2004年末の時点で、この4社を12年半保有していることになる。」

 「2004年に、4社の収益に関するバークシャーの持分(ルックスルー利益)は12億ドルになりました。 これらの収益は正規には『正常である(normal)』とは考えられるかもしれません。 もちろん、ジレットとウェルズファーゴは、収益を計算するときにストックオプション費用を考慮していないので、実際の利益よりかさ上げされている。しかし、他方では、コカコーラには一度限りの損金処理があったので、実際 の利益より計上利益は小さくなっている。」

 「この4社の収益に対する私たちの持分は、ほとんど毎年成長して、現在、私たちの取得価格のおよそ31.3%に達している。 また、配当も一貫して増加し、2004年に4億3400万ドル、すなわち、取得価格のおよそ11.3%に達している。 結局、4社は(素晴らしいというのには程遠いが)満足できる事業成績をわれわれにもたらしている。」

 「この4社は市場でも満足できる成績を残している。私たちが初めて買いを入れて以来、株価収益率が増加したので、株価の上昇は、収益の増加分をいくらか超えている。なぜなら、PERが増加したからである。年毎にみると、事業の成長と株価の成長は異なることがよくあり、それもときには 大きく異なることもある。大バブル(the Great Bubble)の間、株価は事業の成長よりはるかに大きく上昇した。大バブル後は、その逆になった。」

 大バブルとは、2003年3月にNasdaqが最高値をつけた株価の上昇時を指していると思われます(こちら参照)。大恐慌(the Great Depression)をもじったのでしょう。

 「あきらかに、私がこの(バブルが生じ、はじける)株式市場の変動をとらえた売買したなら、バークシャーの結果ははるかに良かったであろう。 常によく見えるバックミラーを通してみれば、株式市場の変動をとらえるのは簡単に思えるかもしれない。しかし、残念ながら、投資家がじっと見なければならないのはフロントガラスであり、そのガラスはいつも 曇っている。さらに、私たちの持ち株は大量なので、株価が大きく変動したときにすばやく売り買いするのが難しい。」

 よく分かっているからといって、過去の結果を(不透明な)未来に外挿するのがいかに危険なことかは、日本・アメリカのバブル時に投資していたの多くが身をもって感じたことでしょう。(私もそうです。)しかし、喉元を過ぎれば熱さを忘れがちなところですから、過去のリターンが将来もずっと続くと思うのが誤りだということは、よく肝に銘じたいところです。

 「それにもかかわらず、大バブルの間、株価が高すぎると言うばかりで、自分のその見方に従って行動しなかったことについて批判されるのはしかたないと思っている。大バブルのとき、所有している株 が過大評価されていると確かに言ったが、その過大評価がどれだけひどいものかを過小評価していた。行動をとるべきときに、口先だけであった。」

 「チャーリーと私は、現在、少し行動を起こしたいと思っている。私たちは、微々たるリターンしかあげていない430億ドルの現預金を保有しているが、面白くないと思っている。現在所有しているものと同様な部分所有権(株式)を買うか、(こちらのほうがもっといいの だが)もっと大きな事業を丸ごと買いたいと思っている。しかし、株を買うにしろ、会社を買うにしろ、合理的なリターンの見通しが私たちに提供される価格で買えるときだけ、買うつもりである。」

 *****

 「毎四半期または毎年報告する『実現』益は、企業分析には意味がないことを私たちは繰り返し強調してきた。帳簿には膨大な非実現益があり、その非実現益を 実現するかしないか、また、いつ実現するかは、私たちの自由にはならない。さらに面倒なことには、 一般会計原則(GAAP)によれば、外国為替予約は市場価格で評価しなくてはならない。このため、こちらは実際に売却したかのように、損益に計上しなくてはならない。」

 「以上に挙げた問題はあるが、2003年と2004年に報告した収益の内訳に興味を持つかもしれない。 通貨以外については、実際の売却益を反映している。(外貨に関しては、売却益と含み益をあわせたものが示されている。)」

 「ジャンクボンドからの収益は外国為替の変動による損益を含んでいる。2001年と2002年にジャンクボンドを買ったとき、私たちはもちろんまず、発行人の信用の質を集中して調べた。発行者はすべてアメリカの会社であったが、外貨建てで発行しているところもあった。ドルに関するわれわれの見通しに基づいて、外貨建て債が買える場合はそれを買うようにした。」

 ジャンクボンドは、私の理解だと、信用度が低く、そのために、(発行条件が悪くてか、発行後、価格が下落して)利回りが高くなっている債券のことです。利点である高い利息に注目してハイイールドボンドともいいますが、Buffettは有体な言い方を好むので、ジャンクボンドと書いているのでしょう。

 「例えば、(2008年償還の利率10.75%の)Level 3社の債券を2億5400万ユーロで購入し、額面の51.7%で買い、2004年12月に額面の85%で売却した。この債券はユーロ建てで、購入時には88セント、売却時には1.29ドルであった。この結果、私たちは全体として1億6300万ドルの収益をあげた。このうち、8500万ドルは、Level 3の信用の質に関する市場の見方が改善されたことから、残りの7800万ドルはユーロが上昇したことから得られた。(さらに、毎年受け取った利子は、ドル建ての取得費用のおよそ25%に達した。)

 Level 3の債券と株式を買ったことは知っていましたが、外国建てで(も?)買っていたのですね。

 *****
 

 「メディアは『バフェットはこの株を買った、あの株を買った』と報道しつづけている。このような報道は、いつでもほぼ、バークシャーがSECに提出する書類に基づいているが、その結果、 誤報になっている。私が以前言ったことがあるように、『バークシャーが買った』と報道されるべきである。」

 「バークシャーが買った時でさえ、購入の決定をしているのは通常私ではない。ルウ・シンプソンはGEICOの保有しているおよそ25億ドルの株式を管理している。通常、バークシャーが報告するのは、彼の取引である。通常、彼の買いは、2億から3億ドルの範囲にあって、私が焦点を合わせる 会社より小さいものが対象である。」

 ルウ・シンプソンのリターンが1980年から2004年まで年率20.3%であり、S&P 500のリターン13.5%を6.8%上回る成績であることを示す表が示されています(表は略しました)。

 「ルウが何をしているかについて、逐一私に知らせないということを聞いて読者は驚くかもしれない。チャーリーと私が子会社の経営者に仕事を任せるときには、本当に指揮棒を渡してしまう のである。ルウにもそうしている。したがって、毎月末の約10日後に、私はルウの売買を通常知ることになる。付け加えておくと、黙っているが私はルウと意見が違っていることもある。しかし、通常、彼は正しい。

  こうしてみると、Buffettが買っただの売っただのと言っていたのは、ルウ・シンプソンの売買のことが多いということですね。なお、「しかし、通常、彼は正しい」の部分はフォントが小さくなっていましたので、そのようにしました。Buffett自身が間違っているので、小声で言っているということでしょう。Buffettのユーモアが感じられます。

 (このあと、外貨のこと、具体的には、2004年度末で外国為替予約を12カ国の通貨に対して延べ214億ドルしていることが述べられたのち、アメリカの貿易赤字に対する懸念について述べられていますが、疲れたので、本日はここまでとします。続きがないかもしれませんが、そのときはご了承ください。)

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 成績はこちら

 日本株は、ファースト住建を信用で買建てています。将来的には現引きしたいと思っています。

 最近、買収先の会社の資産を目的としたM&Aが囃されていますね。実際に買収が起こると、被買収会社の株が上がりますが、M&A自体は投資家にとって必ずしもいいことではありません。この点は、堀古さんのコラムに紹介されています。うまく行くのは、大型案件の2割以下だそうです(ここ)。一方、会社が分割されるスピンオフはおいしい機会を提供することが多いようです。ご存知の通り、「グリーンブラット投資法」にもありますし、堀古さんのコラムにもあります(ここ)。ただ、日本ではスピンオフの恩恵はあまりないのですが。

 アメリカ株が大きく下落しました。Universal Stainless and Alloy(USAP)の在庫の増加を見て売るべきだったかもしれません。原油の高騰で、航空会社の株が軒並み下落するのにつられてJet Blue(JBLU)が下がっていますので、買おうかどうか考えています。


長期投資と短期投資、とくに、ナンピンか損切か          (2005/2/27)

 

 最近は、優れた投資家の方々のブログも増え、ブログですから、更新頻度も私のホームページよりもはるかに高く、私の出る幕はあまりないのですが、細々と続けていきたいと思います。

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 さて、今日は、短期投資と長期投資の違い、とくに、損切かナンピンかということを考えたいと思います。ご存知のように、買値に比べ株価が下がった時の対処として、(損失の少ないうちに)損失を確定するのを損切り、買い増しするのをナンピンといいます。結論を先に言うと、長期投資では、会社の状況に変化がなく株価が下がったらナンピン買い下がりすべき、ということです。

 長期投資の特徴を際立たせるためにも、まずはチャート分析による短期投資を考えます。とはいうものの、現在、チャートで売買していないですし、株式投資を始めたときはしていたのですが、うまくいかなかったので、書いていることが間違っているかもしれませんが (おかしいと思われた方はゲストブックでお知らせください)。

  かつてはチャート分析で勝つことはできないと思っていた時期があったのですが、現に成功している事例を本やネットで見るにつけ、現在では、チャート分析でも勝てる人がいるのだと認識を変えています。しかし、そうは言っても、ディトレードで成功している人たちの割合は小さいと言われています。たぶん、長期投資で成功するより難しいと思われます。(注1)それに、反射神経が必要な手法もあるようで、 こうなってくると、若いうちでないとできないでしょう。シューティングゲームなどのゲーマーが若い人にしかいないことを思い起こします。

 さて、短期投資の基本になっている考えは、100円を賭けて、期待値が100円を上回る金の返って来るある賭けを何度も繰り返す、ということだと思われます。これができれば、途中資産が凹むことがあっても、長期に見ればどんどん資産は増えていきます。

 期待値というのには重要な意味が2つ含まれています。

 一つ目は、勝つ確率が低くても(たとえ、50%を切っていても)、勝ったときのリターンが大きければいいのです。J Coffeeさんのサイトに、タートルズの方法の一つが紹介されています(ここ)が、なんと勝率は36%しかないのですが、 勝ったときのリターンが大きいので、成功する投資法になっているわけです。

 もう一つは、期待値が100円を大きく上回らなくても、何度も投資機会があるなら、資産の上昇スピードには問題がないと思われることです。投資機会を増やすことにより1回の期待値がたとえ小さくても、1年という長い(!)期間には、大数の法則が働いて、平均して(バックテストなどで求めた)期待値に近づいていくと考えられます。期待値がたとえ、1.001(1000円賭けて、平均して1円儲かる)だとしても、投資機会が1年に1000回あれば、1.001^1000=2.72倍です(注2)。基本的に、長期投資でこのような高いリターンを毎年出せる人は少ないでしょう。少なくとも、資産の少ないうちは、成功する長期投資法でも、成功する短期投資法(これがなかなかないことも事実のようですが)にはなかなかかなわないでしょう。 こうして、チャートで勝つのが難しいと言われていても、一握りの成功者のリターンは著しく高いことになり、かくして、成功した長期投資家よりも成功したデイトレーダーのメディアへの露出が大きくなるということにもつながると思います。

 もちろん、100円賭けたときの期待値が100円を大きく上回るとか、勝てる確率が90%というチャートパターンがあればあったほうがいいですが、市場はそこそこ効率的ですから、そういうパターンがたとえあったとしても長期的には消えてい って、稀にしか現れなくなるか、期待値と勝率が下がってしまい、実際に利用できるのは、期待値も勝率も低いものだけになっていくように思います。

 ともかく期待値が1を超える、頻出するパターン(過去の株価・出来高の情報)を見つければ(あるいは感覚的にわかっていれば)短期投資としては成功だと思われます。

 長期チャートに基づく方法が書いてある本があるようですが、私は未だにこれについては疑問を持っています。過去の情報の結果が将来の株価に与える影響(相関)は長期的にはなくなっていくと思われるので、その点でチャートに基づく長期 的な戦略はあり得ない 、あるいは、稀のような気がしています。このあたりは別の意見、証拠をお持ちの方もおられるかもしれません。

 さて、短期投資では、分散投資と損切りを強調しているように思います。

 分散投資は、1回の賭けの勝率が8-9割になっていないとすれば、当然です。勝率100%のチャートパターンはありません(100%儲かる長期投資もないですが(^^;)から、1回1回についての勝ち負けはわからないので、賭けの回数を増やして、全体としてのリターンを期待される(1を超える)期待値にもっていこうとするのは合理的だと思われます。回数を増やせば、大数の法則が効いて、全体のリターンの平均は期待値に近づいていくことを利用するわけです。

 損切りは、分散投資同様、1回の賭けで壊滅的な損失を被らないという点で重要だと思います。損切により損失幅を限定して、資金の減少を防ぎ、すぐに次の投資にまわせるようにするということだと思います。 したがって、短期投資という性質上、塩漬けということはあり得ないと思います。あとで論じますが、ここはファンダメンタルに基づく長期投資の特徴と異なっているように思います。長期投資でも損切の重要性を強調している人もいるようですが、私は現時点では違うのではと思っています。これについてはあとでまた考えます。

 それでは、ファンダメンタルに基づく長期投資の話に移ります。 統計的な割安株を買うグレアム型投資、成長株を割安または合理的な価格で買うバフェット型投資、スピンオフ、倒産がらみの特殊状況で投資するグリーンブラット型投資を考えたいと思います。

 グレアム型の投資でも、バフェット型の投資でも、基本的には会社のことをよく調べて割安な株を買って長期保有するというのが基本だと思います。 グリーンブラットの特殊状況に対する投資法は投資期間は短めですが、それでもチャート分析によるアプローチより投資期間よりは長いと思います。

 分散投資か集中投資かについては、前にも書いたように、グレアム型投資法では分散、バフェット型投資、グリーンブラット型投資では集中ということで異なっていますが、機械的な損切をしないという点では多くの投資家が一致していると思います。

 それでは、損切に関連して、長期投資家がどのようなときに売りを考えるかを見てみます。売りは買いより難しいと言われていて、その通りだと思います。ビル・ミラーの同僚の メアリー・クリス・ゲイへのインタビューを以前に引用しましたが、 ビル・ミラーの投資信託レッグ・メイソン・バリュー・トラストでの売りの原則(ここ参照)が3つあるそうです。この3つは多くのバリュー投資家が同意すると思いますし、明確に意識していなかったですが、私もこの3つに従っています。

 1.判断を間違えたとき

この場合は、短期に売る場合もあると思います。短期投資の損切りと同様だと思います。ジム・ロジャーズはそのことを「ファーストロスはベストロス」と表現しています。ところで、判断の間違いによる資産の壊滅的損失を防ぐためにも安全余裕率という考えは重要です。同じくジム・ロジャーズの言葉を借りれば、「お金が道端に落ちるのを待つ」ということですし、「安ければ、間違えても損はしないだろう」ということです。

 2.他によい投資案件が見つかったとき

普通には、他の株が何かの原因で大きく割安になったときです。私が売るときの理由の半分くらいこれだと思います。

 3.会社の本源的価値が株価に反映されたときか、ある意味で同様ですが、市場平均を上回る長期的な上昇が期待できないとき

グレアム型の投資やグリーンブラット型の投資法も本源的価値が株価に反映されたときが売り時と捉えているようです。バフェットは会社の本源的価値が上昇していく会社の株を買うことを基本にして おり、永久保有が理想ですが、そのバフェットでさえ、コカコーラやジレットの売却を考えたところを見ると、会社の本源的な価値を大幅に上回るとき(バブルのとき)には売りを考えるようです。 私もいずれはアーネストワンやフージャーズを売る日が来ると思います。バブルのときに売れればベストですが、たぶんそううまくいかず、成長性や競争優位性などに比べて割安でなくなったときになると思います。

 結論として、損切はしないのかと聞かれたら、機械的な損切はしません、というのが私の答になります。「機械的な」とつけたのは、1.の「判断を間違えたとき」は、損切をするからです。

 ではどうすべきなのか。 「バリュー投資入門」の共著者の一人、グリーンウォルドのインタビューを見てみましょう。

 昨年8月に、The Motley Foolにグリーンウォルドのインタビューが5回にわたり掲載されています(第一回目はここです。 ここで紹介する部分は第一回目の部分ですが、ほか4回のインタビューへのリンクも張られています)。そこで、グリーンウォルドはバリュー投資は3つの部分からなると言っています。

 1.どの程度市場が効率的か理解し、株のよい探索法を見つけること

 2.株を評価する技量をもつこと

 3.自制と忍耐をする力をもつこと

この3つめを語る時にポール・ソンキンとウォルター・シュロスのことを引き合いに出して、この優れた投資家たちのリターンの主要な源泉がナンピンがであるとしています。 「バリュー投資入門」によれば、ウォルター・シュロスは、1956年から2000年まで年率15.3%の成績です。(S&P工業株価指数は年率11.5%、この指数の成績は、S&P500よりは少しよいそうです。)

「ソンキンの4年半の間の(手数料を引いたあとの)成績は、年率約25%で、市場平均の約3%を大きく上回っている。この25%のリターンのうち、22%がナンピンにより最初に買った株価よりも安く買ったことにより生まれている。ウォルター・シュロスのリターンの大部分も、値下がりした時に 、恐れて損切することなく、買い続けたことによる。」

 ただし、注意することして、グリーンウォルドは、株の評価に確信がなくてはいけないとしています。また、その会社がいい会社で、会社の価値に変化がなければ、その株を持ち続ける自制が必要だとしています。人は、株価が8ドルから4ドルに下がれば、「あー、私にはわからないけれど、何かが起こったに違いない」と思ってしまうが、「8ドルでよい株ならば、4ドルならもっとよい株だ」と思うようにならないといけない 、ということだそうです。

 さらに、ビル・ミラーも同じ戦略をとっています(上と同様、ここ)。先程登場した、ビル・ミラーの同僚のメアリー・クリス・ゲイ はインタビューで買った株が下がった場合について答えています。

 株を買って下がったとして、投資判断が正しかったら、通常、買い増しをします。ビルの好きな言い方では、『平均の買いコストが低ければ低いほど勝てる(Lowest average cost wins)』ということです。もし、株を買ったあと下がっても、その会社がお買い得であると信じられる場合は、安い値段なら、もっとお買い得なわけです。こう言うとちょっとひねくれているようにとられるかもしれませんが、買い始めた会社の株がすぐに上がってほしくないのです。私たちは、ある程度の買いポジションを作る必要があり、他の市場参加者が売りたい時に買ってあげる立場(liquidity providers)になることが多いです。株式の評価は常に重要です。私たちは、私たちの評価額に比べて、可能な限り安い値段で買いたいと思っています。ある株を買い始めて、すぐ上がってしまったら、私たちの将来のリターンが減ってしまうことになります。買い増すときには、間違いがないかいく ぶん注意して行いますが。」

 ヘッジファンドを運用しているティルソンも同じ考えのようです。いますぐに出てこないのですが、「株を買い始めたら、上がるのでなく、たくさん買えるようにもっと下がることを祈る」と言っていました。

 このように、優れた長期投資家の卓越したリターンの源泉がナンピンにあることがわかります。このことは十分覚えておくべきでしょう。つまり、「株価が下がったら、もう一度会社のことを調べろ。 会社の状況が変わっていなければ、損切でなく、ナンピンを考えろ」ということです。

 *****

 みなさんもうご存知かと思いますが、リンクさせていただいているDAIBOUCHOUさんDAIBOUCHOUのブロードバンド投資家クラブ がMoney Japan今月号(2005年4月号)に登場しています。個人投資家が5人紹介されています(表紙には8人とありますが、途中で断られたのでしょうか)が、2ページが割り当てられ、一番大きい扱いになっています。各投資家の資産の増加が紹介されていますが、DAIBOUCHOUさんの場合、当初資産200万円を1億9000万(うち現物資産3000万)にしています。(久しぶりにMoney Japanを買いました。)

 それから、マネーマスターのしんさんが「謎のトレーダー「しん」の株バリュー投資法」を出版されました。評判は上々のようです。

 アーバンコーポレイションの分割による子株の分を昨年11,12月分に考慮していなかったので、その点を直しました(ここ)。その結果、日本株の昨年の成績は123.08%から145.00%となりました。また、 もう2月も終わりですが、大変遅ればせながら、1月の成績もアップしました(ここ)。


 注1 ウィークフォームの市場効率性(テクニカル分析では、市場平均を上回れないという仮説)のほうが、セミストロングフォームの市場効率性(ファンダメンタル分析では、市場平均を上回れないという仮説)よりもよく成り立っているということです。

 注2 気づいた方もおられると思いますが、pが小さいとき、

  (1+p)^(1/p) ≒ e = 2.718281828...(eは自然対数の底)

なので、上で見たように1.001^1000=2.717になります。1.01^100の場合でも、2.705ですから、この近似はだいたい成立しています。10,000円賭けて100円儲かる賭けがあれば、100回繰り返せば、27,000円くらいに増えることになるということですし、10,000円賭けて10円儲かる賭けがあれば、1000回繰り返せばやはり27,000円程度に増えるということです。


信用取引の怖さ          (2005/2/5)
 

 「ジャパニーズインベスター」という無料で発行されている雑誌を講読しています。ホームページでも読めますが、せっかく雑誌を無料で送ってくれるので、送ってもらっています。会社のIR部門から資金を集めてそれで無料で発行しているのだと思われます。以前には、竹田和平さんのインタビュー(このpdfファイルのp.6)が載ったことがあり、参考になりましたが、読むところは正直言ってあまりないことが多いです。ただ、私は雑誌というのは全体で2ページでも参考になるところがあればいいと割り切っていますし、何しろ無料ですからよしとしています。

 ですが、今回はうーん、と唸ることがありました。「株式投資で勝つ人負ける人」という特集をしているのですが、そこで、「30代で100万円からはじめる株入門」という本を書いている野田恭さんが次のことを書いていました。

 「私と同じように割安株を堅実にコツコツと投資していくスタイルで、当初15万円(最終的には合計で500万円ほど資金を投入)から株式投資を始めて、20年後のバブル期には評価額で80億円を超えた方がいました。その方はバブル後の株価下落で評価額が30億円まで減ったそうですが、そこで減った分をそれまで禁じ手にしていた信用取引で取り戻そうとしたそうです。結果的にはぎりぎりのところで踏みとどまって2億円ほど残ったそうですが、ひょっとしたら無一文どころか大きな借金を背負うところまで行っていたかも知れないと私への手紙には書いてありました。」

ここで登場している人は「株でゼロから30億円稼いだ私の投資法―大株主への道こそ株式投資の本道」の遠藤四郎さんのことではないかと思って、本を調べてみると、「当初15万円」「バブル期には80億円」「バブル後に30億円」が本の内容と符合していますので、ほぼ間違いないと思われます。(別の人だという情報をお持ちの方がおられたらゲストブックでお知らせくださると幸いです。)とすると、あれほど割安株に徹して資産を増やした遠藤さんも過ちを犯して資産を急減させてしまったことがあったということになります。少し救いなのは、「いまは本来のスタイルに戻って7〜8億円まで戻したようです」ということですが、

「20年以上に渡って割安株投資をしていた方でも、過信からついつい手を出してしまう。そんな誘惑がいつ、どこにでもあるのが株式投資なんです。この事実はリスク管理の大切さと自分のスタイルを守ることの大切さを、私に改めて強く印象づけましたね。」

 これはまったくその通りだと思います。最近私も信用取引を始めました。このことを聞いて信用取引を今すぐやめようとは思いませんが、これを教訓に「負けない」ことを念頭に置いた慎重な運用を心掛けたいと思います。 信用取引で誤りを犯せば、資産半減などすぐですから。


Buffettの貿易赤字解決策          (2005/1/23)
 

 今日は直接投資と関係ない話で申し訳ありません。

 Buffettが1月19日にCNBCに出てきてドルの下落が続くと言ったらしいです(ただ、この記事は見つけられませんでした)が、以前、アメリカの貿易赤字を解消する私案を公表した、Fortuneの2003年11/10号 の記事"America's Growing Trade Deficit Is Selling the Nation Out From Under US. Here's a Way to Fix the Problem - And We Need to Do It Now."を読みました。

 最初に、2つの仮想的な国の間の貿易の話を出して、貿易赤字の巨大なアメリカが子孫から借金をしているようなものだと論じています。

 第二次世界大戦後1970年初頭まで、外国から買うよりも売るほうが多かったそうです。1970年後半に貿易赤字に転じることになります。この記事の書かれた時点で、年間の貿易赤字はGDPの4%を超えているそうです。

 それで、Buffettがこの問題をどう解決するかというと、ある種の関税をかければいいというのです。Import Certificates (IC、輸入許可証でしょうか)というものを、輸出物のドル建てに等しい量だけ発行する、というものです。輸入するためのオプションのような感じでしょうか。

 輸出業者は、誰かにICを他の輸出業者や輸入業者などに売ることができます。100万ドルの商品を輸入するには、100万ドル分のICが必要です。したがって、輸入と輸出は一致して、貿易赤字は解消というわけです。

 アメリカの一月あたりの輸出は約800億ドル(約8兆円)なので、ICも一月あたり約800億ドル分発行されるので、ひじょうに流動性の高い、競争で価格が決まるIC市場ができるとしています。ICはたとえば、6ヶ月くらいの短い期間で無効になれば、投機家が買い集めたりすることを防げるとしています。

 どんな状況になるかの例が挙げられています。たとえば、ICが輸入1ドルあたり10セントで売られていると、アメリカの製造業は、ICを売ることにより、実質的に輸出市場で10%高く物が売れることになります。Buffettの見解によると、多くの製造業者は、ICによりコストを下げることができ、国際市場での価格を下げられるようになるだろうということです。アルミニウムのような商品では、とくにこのような性格が強く、国内で1ポンド当たり66セントで売れているとして、ICが10セントであれば、国内のアルミニウム業者はポンドあたり60セント(+輸送費)で外国市場で売れ、マージンは国内と変わらないというわけです。この結果、アメリカは外国との競争に強くなり、輸出は拡大し、それに伴って、雇用も拡大するだろう、としています。

 外国はもちろん、経済的に困りますが、どんな解決法を採用しても外国は困る、としています。ある意味では、ICを採用すれば、輸出国に対していろいろな方策をとれるようにしてやることができるとしています。なぜなら、IC発行では、特定の産業、製品に対して関税をかけたり、輸入量を制限したりするわけではないからです。ICは売られる製品などの全体のドル建ての量を決めるだけなので、自由市場がアメリカで売れるもの、売れる人を決めるだろう、というわけです。

 一方、輸入はどうなるかというと、たとえば、アメリカの輸入される車が2万ドルだったとすると、IC導入により、コストは2000ドル増加して、輸入業者のコストは2万2千ドルになります。その車の需要がひじょうに大きければ、輸入業者はそのコストを消費者に転嫁できますが、通常は、競争の力が働き、外国の製造業が2000ドルの一部を負担することになるだろう、としています。

 IC導入にも欠点がないわけではありません。「アメリカ市民にある重大な負の結果をもたらすだろう。」大部分の輸入製品の価格は上昇し、国内で製造される、国際競争力のある製品の一部も値上がりするだろう、としています。ICのコストは、一部か全部かはわからないが、消費者に対する税のような効果を持つだろう、としています。ただし、Buffettはドルが継続的にきり下がっていくことやある特定の製品に高関税をかけたり、輸入量を制限したりすることにだって問題はあるし、それで問題が解決する確率は小さいと考えています。

 輸出国が真似しないかというと、輸出国では、ICには価値がないので真似しないだろう、ということです。新たなSmoot-Hawley関税戦争かというとそんなことはない、と言っています。「Smoot-Hawleyのときは、過剰な貿易黒字をわれわれが維持しようとした。今回は、ひどい貿易赤字をわれわれが抱えており、それを何とかしなければならないことを世界中が知っているからだ。」

 私はマクロ経済、国際経済のことはよくわからないので、Buffettの提案するICがうまくいくのかどうかわかりませんが、Fortuneのこの記事が、当時も今も話題にならなかったところをみると取るに足らない案だとみなされたのでしょう。

 


PER, PBR, ROE          (2005/1/14)
 

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 最近、あちこちでPBRとPERとROEのことが話題になっています。Partial Ownerの角山智さんが最近、バリュー投資の入門書「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末 投資術−たった週1時間の分析で年利15%を目指す!」を出版されましたが、そこでもこのことが取り上げられているからかもしれません。(角山さんの本はわかりやすく書かれていて、バリュー投資をこれから始める人に お勧めです。)稲虎さんのブログ(ROEについてスクリーニングの幾何学でもROEがとりあげられています。

 この三つの間には、

 PBR=PER×ROE                                 

という関係があります。ですから、この3つのうちの2つを指定すると、残りが決まります。 したがって、同一のPERで比較すると、ROEの高いものがPBRで見ると割高ということになります。角山さんの本にあるとおりです。

 ただ、スクリーニングをするときには不等号で考えるので、話はさらにもうちょっと複雑になります。ですから、たとえば、「PER15倍以下、PBR2倍以下、ROE15%以上 」というスクリーニングの条件を決めるとすると、一見矛盾しているようにも見えますが、PER=12倍、PBR=1.8倍、ROE15%という銘柄があるとすれば、この銘柄は条件を満たし、かつ、 PBR=PER×ROEという式にも矛盾 しません。で考察していますが、PBRの上限を決め、ROEの下限を決めてやると、PERの上限の条件を一つ付け加えることになるので、それ以下のPERの株を探してやればいいことになります。この例で言うと、PBRとROEの制限から、PERについて は13.3倍以下という条件が出てきますが、このような銘柄はすでにPER15倍という条件も満たしていますから、3つの条件を満たすことになります。(もちろん、そのような 3条件をみたす銘柄が実際にあるかどうかは株式相場の状況によるので、別のことですが。)

 さて、話を本筋に戻し、割安さという観点からすると、低PBR、低PERが好ましく、成長性からすると、高ROEが好ましいと いうことになります。それぞれの(単一)指標の投資リターンを調べてみると、以下のように、アメリカにおいても日本においても低PBR、低PERの成績 に比べて、高ROEの成績はよくありません。

 アメリカ市場については、"What works on Wall Street"(ウォール街で勝つ法則」)の14章でROEが投資成績にどう関係するかが調べられています(期間1951-1996)が、ROE上位1/10のポートフォリオは市場(年率13.23%)よりわずかに年率で0.11%リターンがいいだけです。大型株に限るとROE上位1/10は市場平均より年率で0.6%悪くなります。もっとも、上位1/10-3/10は市場平均よりいいことは公平のため、述べておかないといけません。しかし、低PERの上位1/10が1.66%、低PBRの上位1/10が2.99%市場平均を上回っているのに比べると、成長性の指標である高ROE株の成績は全体としては振るいません。

 日本市場については、「株式投資のための定量分析入門」に東証一部銘柄の実績、今期、来期のROEのファクターリターンがあげられています(期間1993.7-2003.6)が、-0.5〜1.2%です。一方、益回り(PERの逆数)は、-0.7〜5.1%、PBRの逆数が6.1%と、やはり、低PERと低PBRの株の成績が高ROEの株の成績を全体として上回る結果となっています。

 ということで、個別に見る限りは、低いROEがいいときもあるくらいで、それほど投資リターンには関係なさそうです。したがって、ROEは見ずに、低PERや低PBRのものをさがすのがよさそうで、とくに、低PBRのものがよさそうということになります。低PBR銘柄のリターンのよさは、角山智さんのサイトPartial OwnerのPERの呪縛でのグラフからも読み取れます。

 さて、単一指標としては、高ROEはあまり使えそうになさそうなわけですが、バリュー指標と組み合わせたらどうなるかも知りたいところです。実際 に買いたいのは、できれば、割安で成長性のある株であったりするからです。実際に、私は低PERで高ROEの株を探してその中から 有望な銘柄を見つけようとすることが多かったですし、今でもできればそうしたいと考えています。

 探した結果、低PERかつ高ROEの両条件を用いた結果は見つからなかったのですが、Investment Fablesに、アメリカの例ですが、低PBRと高ROEの両方を使ったらどうなるのかが載っていました。(この間、けなしたばかりですが、いいことも書いてありました。)低PBR上位25%で高ROE25%のポートフォリオとS&P500の比較です(表4.9)。

1982-1991 低PBR、高ROE S&P500
リターン(年率) 25.60% 17.49%
リターン(全期間) 9.77倍 5.01倍

見てのとおり、低PBRかつ高ROEのポートフォリオは、8%以上インデックスを上回っています。また、数字は引用しませんが、調査された10年間で、このポートフォリオがS&P500に負けたのは3年(だけ?)です。

 同じ期間での低PBRのみのポートフォリオとの比較があればなおいいのですが、それはありませんでした。(こういうところがこの本はやはり不満です。)ですが、上でみたように低PBR株は3%程度市場平均よりいい と考えられますから、高ROEの条件をつけると、5%程度上積みされたと推測できます。

 高ROEはそれだけ使うとダメだが、割安指標と組み合わせられれば、リターンを上げるのに重要な指標になりそうといえます。このあたりが、割安成長株のリターンのよさの根拠のひとつになるのではないかと思います。ただ し、最近、割安成長株に注目が集まってきているようなので、これからは儲けは小さくなっていくかもしれません。 また、以下で引用するように、Buffettが成長でなく、持続する競争優位性を強調していることには注意すべきでしょう(ここ参照)。

投資の鍵は、ある産業がどれほど社会に影響を与えるかとかどれほど成長するとかを評価することではない。むしろ、ある会社の競争優位性がどれほどか、とりわけ、その優位性が維持できるかどうかを決定することが鍵である。永続的に他社を寄せ付けない製品やサービスが、投資家に報いてくれるのである。


PER、PBR、ROE間の考察

 ※せっかく考察したので、メモを残しておきます。以下の考察では、下の式(4)が成り立つ前提で話を進めていますが、PER,PBR,ROEを 整合的にとっていないと式(4)は成立しなくなりますので、その点はご注意ください。(まだ他に注意することがあれば、お知らせください)

 

 さて、PER, PBR, ROEのすべてに条件を付けます。

PERはe以下

PBRはb以下

ROEはr以上

とします。 (また、投資適格性を考えて、PER,PBR、ROEとも正の範囲で考えます。)式で書くと、

  PER <= e            (1)

  PBR <= b            (2)

  ROE >= r            (3)

また、PBRとPERとROEの間には

 PBR = PER × ROE         (4)

が成立します。

 PER = PBR / ROE          (4)'

です。式(4)の関係式があるので、PER,PBR,ROEのうち独立なのは、2つということになりますから、平面図で表してみましょう。割安性の指標である、PERとPBRを軸にとりましょう。横軸(x軸)にPERをとり、縦軸(y軸)にPBRをとって、点をとると、その点と原点を結ぶ直線の傾きがROEとなります(図1)。

      図1

この直線の傾きが大きい時がROEが大きい場合に対応し、小さい時がROEが小さい場合に対応します。

 さて、(3)からROEを消去すると、

 PBR >= r × PER           (3)'

(1)-(3)の条件を図示すると、以下の図2−4のようになります。

          

        図2                      図3                 図4

また、

(2), (3), (4)から

  PER = PBR / ROE <= b / ROE <= b/r     (5)

ですから、(1)とあわせて

  PER <= b/r ( b <= erのとき)        (6a)

  PER <= e   ( b >  erのとき)                (6b)

すなわち、

  PER <= min (e, b/r)                         (7)

となる。つまり、PBRの上限とROEの下限を決めてやることは、PERの上限を限定する条件を一つ加えることになります。上で考えたPER15倍以下、PBR2倍以下、ROE15%以上という条件では、e=15, b/r=2/0.15=13.33...ですから、PBR,ROEの条件を満たし、PER13.3倍以下という条件の銘柄は3つの条件を満たすことになります。(もちろん、相場状況によって、そのような条件を満たす銘柄が実際には一つもないといった状況もあり得ることには注意しないといけませんが)

 以上では、PERの上限も制限していましたが、もし、PERの条件(1)がなくても、PBRの上限とROEの下限 から、もちろん、PERの上限が(一つ)決まってしまいます。

 さて、PER,PBR,ROEに関する制約条件について、PERとPBRの関係で見て、図示してみます。

 それでは、(1)'(2),(3)を満たすような領域をもとめてみます。(6a), (6b)で場合分けが出てくるのと同様に場合分けがあるが、b <= er と b > er2つの場合に分かれて、下の図5と図6のようにな ります。黄色に塗った部分が、(1)-(4)の条件を満たす領域です。

 

          

         図5                           図6

 この図からも、PERの上限、PBRの上限、ROEの下限をどのように決めても一般的には、(矛盾なく)該当する銘柄はありうるということ がわかります。上の「PER15倍以下、PBR2倍以下、ROE15%以上」という条件では、er  = 15×0.15 = 2.25 で、b = 2 より大きいので、図5の場合に対応しています。(先ほどと同様、相場状況によって、黄色に塗られた部分に入る銘柄が実際には一つもないといった状況もあり得ることには注意しないといけ ませんが。)

 最後に、条件が2つだけの場合を考えましょう。3つの条件から2つを選びますから、3通りあります。

 (PERとPBRの限定) まず、最も簡単なPERとPBRの上限があり、ROEの制限がない場合を考えますと図7のように 長方形の領域になります。

 (PBRとROEの限定) 次に、PBRの上限とROEの下限だけを定め、PERの制限がない場合には、図5のe = ∞に対応するので、図8のようになります。これが、低PBR,高ROEのスクリーニングに対応します。この場合、図5同様、PERが限定されます(PER <= b/r)が、PERとPBRの上限を決めた場合(図7)と比較 すると、低ROEの銘柄が除外された、上側の三角形になることがわかります。この条件でアメリカ市場で市場平均を大きく上回っていたのはで見たとおりです。PBRとROEを限定したことが、PBRとPERを低く限定したためにリターンがよくなったのか、低ROE銘柄(三角形の下側)を除外したためにリターンがよくなったかは現在のところ不明です。ただ、割安成長株のリターンのよさを考えると、事業として優れていない低ROE銘柄を除外したことにあるような気が私はしています。

 (PERとROEの限定) 最後に、PERの上限とROEの下限だけの条件で、PBRの制限のない場合が図9です。私はあまりPBRを重視しないので、よく第一歩のスクリーニングに使うものです。図6でPBR =< bの条件がない ことに対応して、図9のようになります。ROEの下限のほかにPBRの下限を決めた場合には、PERの上限が限定されます(図5)が、ROEの下限とPERの上限を限定したときには、PBRの上限が制限されないことが図 9から見て取れます。また、b < erが成立するときには、PBRとROEを限定した時に比べ、必ず該当銘柄の範囲が広くなります。

          

         図7                   図8                     図9

 追記(2005/1/16) 2つの条件で限定した場合について、書き加えました。