国民・住民投票を活かす会NEWS
第44号
2002年5月

大阪・大東市
2万筆の署名で住民投票請求 保育所民営化問題で2件目

 大東市が計画している公立保育所の民営化問題で「民営化の是非を住民投票で問え!」と、まもなく本請求がなされる予定です。保育所民営化問題では昨年5月に住民投票を直接請求をした同じ大阪府下の高石市に続いて2例目。法定必要数の約10倍となる2万350筆もの署名を集めたそうで、これはなんと市民有権者の約5分の1、5人に1人が署名したことになります。すごい数だと思います。
 ベースとなっているのはやはり、子どもにかけるお金を削ろうとする行政への不信感です。利用者である市民の声を聞こうとしない姿勢は、高石市の場合と同様です。説明責任をきちんと果たさない行政に対し業を煮やした市民が、決して余裕があるとは言えない自分たちの時間と労力を割いて直接請求に取り組んでいます。
 なぜ、市民にこんなにしんどい思いをさせるのでしょうか。子ども達のことについて、保護者が心配し、情報を知りたいと思うのは当然です。子ども達のことを話合う場に、保護者も入れてもらいたいというのは決して無茶な要求ではないはずです。
 確かに何事においても民営化を進める風潮が高まっています。保育所に関しても、実際に子育てしている親や子どもたちにとって最善の方法なのかという議論をされるまもなく、全国的に民営化がどんどん進んでいます。その流れに一石を投じる為にも、大東市ではぜひ、保育所の民営化の是非を市民に問うために、住民投票が実現されて欲しいと願っています。
 高石市では、住民投票条例案が昨年5月23日に否決されたあと、6月7日に民営化される保育所が発表されました。あまりにも市民の声を無視した性急なやり方に当該園の保護者が裁判を起こしています。本当は、ここまでしなくても民意を感じ取れる行政が増えることが、一番望ましいのですが。
(「高石市保育所父母の会・保護者会連絡会」前代表・山敷 恵)

愛媛・大洲市
リコール署名惜しくも届かず 市議会議員選挙が次の焦点

 愛媛県大洲市で4月10日より開始された桝田与一大洲市長のリコール請求は有権者の数の3割を超える9248人の署名を収集したものの、規定の有権者数3分の1に届かず、リコールを断念しました。
 そもそもこのリコール運動は、昨年12月、山鳥坂ダム建設問題の是非を問う住民投票条例の直接請求を拒まれたことに対して起きたリコールです。住民投票を求める署名は実に有権者の53.3%にものぼり、市部では日本新記録となる署名率でした。
 圧倒的な民意を踏みにじる市長・議会に対して、いわば「やむをえない」リコール運動でした。リコールは不成立だったものの、保守的かつしがらみの強い地域において3割を超える署名を収集した意味は決して小さくはありません。
 リコール不成立後、大洲市長と愛媛県知事は「山鳥坂ダム建設は大洲市民の理解を得た」と、リコール運動の影響をまったく軽視したコメントを発表し、ダム推進姿勢をますます先鋭にしています。
 昨年の住民投票の直接請求、今回のリコール請求、そして次の私達の目標は9月に実施される大洲市議会選挙において住民投票賛成議員をひとりでも多く増やすことです。
 ふるさとの川を守りたいという素朴な願いからはじまったこの運動ですが、目覚めた市民の力はきっとまちを変えていく原動力になるはずです。
(大洲市の住民投票を実現する会・中野寛之)

徳島県知事選ルポ
山から見えた知事選挙 守るべきものをしっかり見据え

 前知事が収賄容疑で逮捕され辞職したことによる今回の徳島知事選挙。市民らの要請を受けて昨秋に続いて2度目の立候補をし、そして見事その市民パワーで当選したのは元県議の大田正さんだった。メディアはことあるごとに「民主・社民・共産などの推薦」と報道したけれど、その大きな流れを作ったのは県下の市民たちの「勝手連」であり、保守県徳島でまさに「民」の勝利だった。
 「勝手連」という縛りのない、自由意志での選挙への参加―保守県で一見賭け(!?)のような県民の良識を信じた選挙方法は、吉野川可動堰をめぐる住民投票を行った市民たちの考案による。従来の組織選挙ではなく「人から人へ思いを伝える」というのが、勝手連のやり方であり目的でもあった。きっとそれは吉野川可動堰建設計画の是非を問う住民投票(2000年1月実施)での手応えがひとつ大きな自信としてつながっていたように思う。前回の知事選挙でも「知事選の目的は、一人ひとりの力は小さくても自分が少しでも動けば知事も変えることができるということに、多くの人に気づいてもらうことだ」と「吉野川みんなの会」の姫野雅義さんが言われていた。まさに今回も勝手連の一人ひとり、県民の一人ひとりが主役だった。
 そんな徳島市内の動きにとある小さな山村も加勢した。徳島県の端に位置する木頭村は、30年来のダム闘争に打ち勝った村だ。でもダムは中止になったものの、結局県の姿勢はなんら変わっていないことは、村の脱ダムのシンボル「(株)きとうむら」への嫌がらせや、昨年の村長選挙で藤田前村長の対抗勢力を推して当選させたことでも明らかだった。ここにはダム以来延々と、人々の間に深い溝が残されたままでいるのだ。
 村ではダム計画が持ちあがった30年前、村長・行政・議会がダムを推進。その中をリコール運動などで着実に「ダム絶対反対」にひっくり返し、民意を届ける術を模索しながら手中にしてきた。たった人口2000人弱の村が、一度始まったら止まらないとといわれた大型公共事業を中止にまで追い込んだことで「蟻が巨象を倒した」などと形容された。でも、口では簡単に言えるけれど、地縁血縁が複雑に絡み合う小さな村社会である。そのしがらみを振り払っての行動はどれほど苦しい闘いだったろう。大型公共事業を提示され表向きのメリットと裏腹に破壊されるのは、自然だけではない。情に厚く、互いに助け合って暮らしてきた山の民にとって、コミュニティを破壊されることはことさら痛みを伴い、修復が難しいのだ。
 そして、東祖谷山村出身の大田さんもまた山で生まれて育った「山のシ」である。父の炭焼きを手伝いながら片道6キロの山道を歩いて学校に通い、山で「生きる」ために生きてきた経験を持っている。木頭と同じ山のシとして、山の荒廃と過疎化の焦りを痛いほどわかっているはずであり、山の手入れを公共事業で行うことで山の荒廃を防ぎ雇用も生み出すという政策も上っ面だけのものではないことも木頭の人々は感じている。
 木頭は98%が森林だ。戦後復興から高度成長期にかけての木材需要に応え、山々のほとんどの天然林が伐採された。里山を削ってまで国の拡大造林計画に従ったのだ。里山は山の民にとってて暮らしの場そのものであり、ここには今なお薪で風呂を焚き、秋には草を刈って春の畑に鋤きこむ準備をする暮らしがある。そんな中での里山の喪失、そしてすぐあとの木材需要の低迷、荒れる山、過疎化が進む村……。国の「使い捨て」の犠牲になったという思いと、自然の循環を断ってしまったことで自分たちに降りかかる負の結果を痛感した。ダム建設計画をはね返したのは、「もう騙されまい」というそんな経験があったからかもしれない。
 「何としても大田さんに」という思いは木頭シたちを駆り立てた。そのほとんどが60歳以上。みなが必死の思いで選挙資金のカンパ集めに走り回り、県内各地に散らばった旧友へは順番に毎晩電話をかけた。そして自民の組織票を打破するために「投票に行こう!」と書かれたプラカードを持って沿道に立ち呼びかけた。これは勝手連事務所が考案した、かなりステキで効果のある運動のやり方だった。そのために山から下りて下流の町へ遠征。2日とあけず自家用車に乗り合わせ片道2時間もかけて、時には土砂ぶりの橋の上で、時にはお遍路さんが行きかう海辺の町で、通り過ぎるドライバー一人ひとりにプラカードを持って笑顔で手を振りつづけたた。町へ行くほど反応が少なく、「どして町の人は選挙に関心ないんじゃろう。自分たちのことやのに」というのが、木頭シたちには理解しがたい率直な疑問のひとつだった。県南の町で勝手連として少数派ながら頑張っている人たちとも合流し思いをひとつにできたのも、この知事選ならではのことだった。
 こうして自らができるめいっぱいの範囲の選挙運動をしたあとの、大田さんの当確の速報に、いつもは静かな山村で我がことのように喜びあいその晩のうちに集まって祝杯をあげた木頭シたち。ダム以来、守るべきものが何なのかをしっかり見据えてきた強さのようなものが、今回の知事選への思いにもつながったのだと思う。市内だけでなく、保守層が多い各郡部でも必死の運動をしたことは、余り知られていないが取り上げるべき大きな動きだったと思う。
 腹立たしいのは、今回の知事選の結果が市民の大きなパワーにあったことを、なぜメディアがもっと前面に出して報道しないのかということ。度重なる汚職による政治不信、教育の成果(?)による政治への無関心がしらじら〜と国じゅうにはびこる中、人としてこれほど元気づけられる内容はないではないか。市民の力を怖がっていいるのか、取材する力がないのか……。毎度のことではあるけれど、テレビも新聞も「政と官」の伝達機関のようで全く偏っている。多くの人々がそれによって情報を得て自分で判断することなく鵜呑みにしてしまっていることを思うと、本当に怖い。例えば、木頭のババたちが上下合羽姿で雨の中プラカードを持ってずらりと並んでいる中、うっとうしい顔つきで走り去っていったT新聞の記者さん、ちょっと車を止めて取材するくらいの記者根性を持ちあわせていないのでしょうか。それとも、緊急の仕事で超・急いでいたのでしょうか。こうなれば、もうそろそろ既成メディアと対等な市民メディアが必要なんじゃないかと思う。
 ともあれ、首長は変えたものの42議席中34議席が野党という中、本当に新知事を支えていかねばならないのはこれからだ。木頭からも県議会傍聴のためにバスを借りようという話も盛り上がっている。地方は末端地域まで力を付けてきている。長野県をはじめ、徳島からも本当の意味での「民主主義」の動きが、全国に大きなウェーブとなって広がっていってほしい。
(徳島県木頭村・玄番真紀子)

パキスタン国民投票
ムシャラフ大統領任期延長 国民投票で広範な水増し不正

 3月末から4月末までパキスタンを経由してアフガニスタンへ行きました。パキスタンでは3年前にクーデターで政権を奪取したムシャラフ大統領の5年間任期延長の是非を問う国民投票の準備で沸き立って、いませんでした。国民は白けきっていました。
 パキスタン労働党のタリーク書記長とはパキスタンにいる間中、メールで情報のやりとりをし、帰国する前に会おうと話していましたが、その矢先の4月26日、突如として当局に逮捕され、かないませんでした。他の13名の活動家とともに国民投票に反対する記者会見を開き、屋外に出ようとしたところを逮捕されたのです。数日後釈放されましたが、国民投票の様子の詳細なレポートを送ってきてくれたので、そのごく一部をここに掲載します。
 日本のマスコミでは「投票率70%、得票率98%」などと報じられ、パキスタン国民の圧倒的支持がムシャラフ大統領に集まったかのように思われていますが、実態はひどい不正が行われたことが明らかです。文中で投票率は5%以上ではないと述べられていますが、他の主要政党の推計も軒並み5〜7%にとどまっています。過去の総選挙の投票率がせいぜい30〜40%であったことを考えても、文中の投票所の様子から、70%という数字がいかにとんでもないかがわかるかと思います。
 不正への怒りはもちろんですが、投票をボイコットしたパキスタン国民の良識に拍手を送りたいと思います。  全文を読みたい方は事務局までお問い合わせください。
(大阪・新島 洋)

Referendum, a total failure Farooq Tariq(LLP general secretary)

The referendum called by the military ruler of Pakistan proved to be a total failure for him. Not more than 5% of the total voters went to the polls. Government claim over 60% turn out, a real joke and a sheer lie in the face of the whole world. All most all the national and international news papers are crying that they have not seen any queus on the poling station and it lacks any enthusiasm. Daily Dawn Pakistan has gone in detail how the people of Pakistan have boycotted the referendum in all cities. But government ministers are insisting that they have got the historic "mandate".
The Lahore Mayer is been quoted to say that over 70% turn out in Lahore and today the election commission said that 1.9 million voters have gone to polls in Lahore and 2.1 million have remained at home. That is another massive lie. It is total fraud. It is total lie in true meaning of the term.
LPP monitoring teams where ever LPP had basis, reported on the day that working class have given its verdict on the military ruler that is a total boycott. Those government employees who were forced to vote at their institutions, majority of them voted "no" to Musharaf.
We in Lahore visited many poling stations and the poling stations were like deserted places contrary to the past practices. At one poling station, till 3pm, only 3 votes were caste and there were over 1200 on the list. The local counsilors were asked to bring the voters to poling stations. But no one listened to them and they were humiliated by their past voters.
What the military ruler has done for us was the common question asked by the people, who were persuaded to vote for Musharaf. It was total shame for these local counselors who were made to believe that if Musharaf survive, they can remain counsilors otherwise, they had to go as well.
Every union council was given Rupees 25000 ($400) for the free food for the would be voters. They were disappointed that even free food could not bring the people to vote. Most of the public transport was captured by the local administration three days before to bring the voters to the polls. There empty wagons running every where in Lahore.
A massive campaign of color posters of Musharaf brought only anger among the working people. It is estimated that over 12 billion Rupees have been wasted of public funds on this effort of the military ruler to legalize it self. (以下省略)

共同通信記事情報 各地の住民投票(02.02.26〜02.05.26)

 ◎改正自治法施行は9月(02.03.28)

 ◎住民投票の制度化に意欲 長野県の田中康夫知事(02.04.01)

 ◎住民投票条例制定を否決 宮崎県綾町の鉄塔問題で(02.04.12)

 ◎合併の住民投票条例案可決 新潟県巻町、再議権行使も(02.05.09)

 ◎住民投票条例案を否決 新潟県巻町、再審議で(02.05.20)

 ◎住民投票条例案で意見募集 もんじゅ運転再開めぐり(02.05.10)

 ◎府中町住民投票6月9日に(02.05.13)

 ◎長崎で合併問い直接請求へ(02.05.13)

 ◎住民投票条例案を否決 合併で宗像市議会(02.05.24)

 ◎国立療養所秋田病院の存廃 「市民の会」、条例制定へ直接請求(02.05.17読売新聞)



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