
本学の大隈講堂で十一月二十八日に行なわれた江沢民・中国国家主席の来日記念講演会で「核実験反対」と江主席に抗議した本学の学生三名が、会場内に配置されていた私服警官によって逮捕されるという異例の事態が発生した。学生たちの発言の主旨は、日本・アメリカ政府の核軍事力の強化に反対するとともに、中国・江沢民政権の核軍備の増強や天安門事件などでの中国人民への弾圧にも抗議するというもの。この抗議の様子は、海外でも紹介された。また、この講演会をめぐっては、講演会への参加を申し込んだ学生のリストを大学当局者が警察に横流ししていたと言う事実も発覚している。
【写真=抗議するために横断幕を広げた学生。妨害しているのは私服警官】
江沢民・中国国家主席が講演を行なっている九時四十五分頃、学生席にあてられていた講堂内の二階席後方で、参加していた学生が立ち上がり、「中国の核軍拡反対」「中国の資本主義化反対」などと中国語でかかれた幕をひろげた。続けて、江主席に対して、「核実験反対」、「核軍拡反対」、「資本主義化反対」と言って抗議した。その数分後に別の学生が、「軍備増強をやっているのはだれなんだ」、「中国の人民を抑圧しているのは一体だれなんだ」などと江主席に抗議。いずれも抗議の声を上げた直後に会場内にいた私服警官数名に取り押さえられ、会場から強制的に排除された。
抗議を行なったのは商学部自治会委員長や一文自治会書記長ら三名。かれらは、それぞれの学部で日米政府による安保の強化や核軍事力の強化に反対するとともに、これに対抗しての中国政府の核軍備の強化や武器輸出などを「アジアの戦争的危機を高めるもの」と訴え反対する運動をつくりだしてきている。江主席への抗議は、この意志を直接江主席に示すために行なったもの。なお、この抗議があった直後、壇上にいた小渕首相は顔を下に向けうつむいていた。その後、この三名はしばらく「身体拘束」を受けていたが、午前十一時前には「建造物侵入」「威力業務妨害」の容疑で逮捕された。
この日の記念講演会は、大学関係者や大学の招待者のほかに、学部学生・院生約六百人が参加。学生・院生は、各学部・研究科の事務所に学生証持参で講演参加を申し込み、先着順で交付された「参加証」を学生証とともに持参し受付で照合したうえで講演会場に入る仕組みとなっていた。抗議した学生たちもこうした手続きを経て入場していた。また、講演会に参加を申し込んだ学生のリストを、大学が警察に横流ししたという事態も発覚している。 この抗議の様子は、直後のテレビニュースで画像とともに紹介されたほか、ロイター通信などのメディアをつうじて海外にも紹介された。
この日の午後八時から記者会見を行なった一文ならびに二文自治会委員長は、この場で、「早大生三名の不当逮捕に抗議する!」との声明を発表。「この逮捕は、早大の学生自治会がすすめてきた反戦・平和の運動に対する政治的弾圧にほかならない。また、この三名の学生は、正規の手続きを行なったうえで会場に入場しているのであって、『建造物侵入』などという罪状は全くのデッチあげ。これは、大学当局が警察権力と一体となって、この学生三名の罪状をデッチ上げた、ということであり、大学当局と警察権力との結託ぶりをしめしてあまりある事態だ。こうした大学当局の姿勢にも私たちは断固抗議する」と述べた。
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