ラグビー部不祥事事件3名の処分で幕引き

「大声を出さなかった」等の理由で

レイプとは認めずに

 本紙で既報の本学ラグビー部の不祥事事件について、大学当局は九月二十四日に記者会見を開き、調査委員会の「報告書の概要」とともに石塚前ラグビー部監督ら三名の処分を発表した。しかし、この「報告書」は、被害者側からの「事情聴取」もないままに「〃レイプ事件〃と呼べるものが存在したとは思えない」という結論を出したもの。また、処分も当時のラグビー部の責任者である佐藤英善部長(前法学部長)や学生担当理事には及ばないというものであり、大学当局の事件のもみ消しと責任回避の姿勢に学内のみならず社会的にも非難の声があがっている。

(写真は本学の本部棟)


 「報告書の概要」は、B4版一ページのもので、「1.調査委員会の設置と活動」、「2.事件当日の概況」、「3.調査委員会の結論」の三節からなっている。「結論」においては、「A子さんに関する情報は得られなかった」ことから「調査結果に対して、一方に偏りすぎるとの批判が出ることもある程度予想される」というように、調査の限界点について触れられ、これは「調査委員会に内在化する限界でもある」とされている。そして、加害者とされている「P」などのラグビー部員と地元の人間二名からの事情聴取にもとづいて「上述した関係者からの供述内容を総合的に判断すると、調査委員会は、週刊ポスト誌がいう〃ラグビー部員によるレイプ事件〃と呼べるものが存在したとは思えない、と結論するに至った」といわれている。その「理由」としては、A子さんが過程で大声で叫んではいないこと、隣室には従業員がいるかもわからない状態でレイプに及ぶとは考え難いこと、などが挙げられている。その上で、「ただし、A子さんからの前監督宛の手紙が一九九六年八月三十一日に投函されていることを考えると…PとA子さんとの間に、A子さんにそのような行動(投書)を起こさせるような何かがあったと推察することもできる。私どもは、いろいろ憶測することもできるが、いずれにせよ最後まで疑問として残った点である」ということがつけ加えられている。 

 大学当局は、事件を告発した週刊誌の発売の前日(八月三十日)に記者会見を開き「レイプという事実はない」としていた。被害者から状況をきくこともないままに「事実無し」を結論づけた今回の調査結果は、それを再確認するものであり、「はじめに結論ありの調査」ではないかという批判の声が出ている。しかも、〃大声をあげなかったからレイプではない〃というように強姦魔が居直りの時に使うような論理をもちだしたり、翌日にA子さんが監督に手紙を出したことについて、「疑問として残った点」としてごまかしたりと大学の、品性を疑わしむものとなった。

また、処分については、当該の部員と日比野監督の十月末までの謹慎、石塚前監督の二年間のOB会員権の停止が発表された。これについて「報告書」では、「部員としてふさわしくない行動・行為」「また、手紙を受け取った前監督がA子さんに対して不誠実と思われても仕方のないような対処しかしなかったことも、この問題をここまで発展させた可能性が高いといえる。少なくとも、手紙を受け取った段階で部長に報告し、その判断を仰ぐなどして、即座に適切に対処することが必要であった筈である」としている。この処分については、石塚前監督がレイプ事件があつたことを認めたことへの処罰とみる向きもある。

 一方、佐藤前部長や学生担当理事などの責任はなんら問われないこととなった。とりわけ佐藤前部長が直接の責任者であるにもかかわらず処分されていないことについては、「監督が報告しなかった」として前監督をスケープ・ゴートにしていると批判されてもしかたないといえよう。佐藤前部長が奥島総長その人からラグビー部長を受け継いだというだけでなく、海外キャンパス調査検討委員長、総長選挙管理委員長、法学部長という要職を歴任しており、奥島総長の主導する「早大改革」の主要な担い手であることからして、その責任を回避する意図が背後ではたらいているとみることができるだろう。

 今回の調査委員会「報告書」と処分の発表については、マスコミからも「灰色決着」「一方的な結論」などの批判の声が上がっている。「創立百二十五周年記念事業」などを通じての「早大改革」に突き進む大学当局は、大学のなかで生み出された不祥事事件に対してその原因を究明しその解決に真摯に臨むのではなく、「改革」をおしとどめる「失点」と感覚するがゆえに、あくまでフタをしてもみ消そうとしている。この強引な姿勢に奥島総長式の「改革」の腐敗が深刻化していることがまたしても浮き彫りになったといえよう。


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