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11月10日に開かれた「処分」問題裁判の第四回口頭弁論で、被告の大学側は「江沢民主席の講演会への参加を登録した学生全員の名簿を警視庁警察官に手交したことはある」と書面で明らかにした。このため昨年十一月の江沢民講演会に参加する予定者全員の名前、学生の場合は学籍番号、住所、連絡先電話番号を警察が掌握するにいたっていたことが明らかとなった。また、名簿の提供は予定者にはまったく告知されておらず、同意のないまま、本学当局が勝手に治安当局に個人情報を提供していたことも分かった。さらに、個人のプライバシーに大きく関わる問題であるにもかかわらず、当局内の個人情報保護委員会にもはからずに行っていたことから、責任問題に発展する模様。すでに教員のなかからも「重大な学生に対する背信行為」、「思想・信条の自由がとりわけ守られるべき大学でこうした事態が起こってしまったことを大変遺憾に思う」という声が、次々と起こっている。 他方、12月1日、学生生活課に抗議に行った学生にたいして坂上学生部事務副部長は「学内の委員会でも承認されており何の問題もない」と答えたという。だが、同日開かれた記者会見では「委員会には諮っていない」と同副部長の見解を否定。 講演会を行った事務側の管理職ですら事実を把握していないほど、きわめてズサンな手続きで警察当局に個人情報を提供していたことになる。 さらに、奥島当局と警察の関係については、すでに九六年秋に石川学生部長(当時)が公安警察官と密会していたことが発覚している。また「学校法人早稲田大学・総長奥島孝康」名で今年の一月に「早稲田大学全域」にわたる「警察官の出動」が要請され、私服刑事の学内潜入も要請されていたという疑惑も持たれている。
12月10日10時、菅原祐紀君(社会科学部)ら江沢民講演会に参加した早大生数名が、原告団となって名簿提出問題で本学理事会を相手取り損害賠償などを求めて、東京地方裁判所に提訴した。訴状によれぱ、一人33万円の被害として、総額198万円を奥島理事会に請求するという。 菅原君らの被害を受けた学生が提訴に踏み切ったのは、講演会に参加するために本学当局に提出した名前、住所、学籍番号などの個人情報が、本人の同意のないまま警察当局に提供されたことは、プライバシーの侵害であり、さらには講演会参加という性格を考えると、思想・信条の自由を侵害する行為であり、黙認することはできないと考えたからだという。 菅原君ら原告団は、さらに11時から記者会見も行い、訪れた記者たちに社会的にも看過できない事態であることを訴えた【写真は記者会見】。
■横浜国立大学でも学生の個人情報を警察に提供
12月10日、横浜国立大学の経済学自治会の発表によると、同自治会委員長の個人情報を本人にも、学部当局にも無断で本部当局が勝手に警察の求めに応じて提出していたことが分かった。同学部は自治会役員の抗議に対して遺憾の意を即時に表明、今後このようなことがないように本部当局にたいして要請することをあきらかにした。
一方、本学当局は、警察当局にたいして、名簿を本人に無断で提出したことを正当とする告示を学内に掲示している。こうしたことから、本学当局の対応がいかに異常なものであるかが、あらためて浮彫となった。
12月2日、理事会が警察への名簿提供問題で学生向けに告示を出した。内容は、要人講演会は本学の伝統であり、教育的にも重要だというもので、現在問題にされていることについては、問題がないとしている。そのため要人講演会を行う場合は、今後とも警察に名簿を無断で提供することを表明したものと受け取られており、さらに学内からは問題視する声が起こっている。
昨年11月28日大隈講堂で開催した、「中華人民共和国主席江沢民閣下講演会」にかかわる参加者名簿の件で12月1日、マスコミ報道がありました。この参加者名簿の取り扱いについて大学の見解を示します。 本学では、学祖大隈重信の在世当時から、世界の指導的な役割を果たす人物が来日した際、教育的な見地から大学にお招きし、その人格・識見・抱負等に接する機会を設けるため、学生や教職員に向けて、講演会を開催してきました。これは大学の輝かしい伝統の一部ともいえる行事です。 大学、こうした講演会が学生に対し、はかり知れない刺激を与え、ひいては教育的効果をもたらす機会となるものと考えています。 国賓等外国の要人をお招きして講演を開催する際には、当然ながら外交上の配慮が求められ、大学としても警備に万全を尽くす必要があります。 それゆえ、国賓等の講演会の運営にあたっては、関係機関と協議し、その際求めに応じ参加者名簿を提出することは、やむをえない措置であると認識しています。 大学は、個人情報の保護には十分に配慮しつつ、今後もこのような講演会を開催していきたいと考えています。 1999年12月2日
早稲田大学
■教授の声 今回の奥島当局の警察への名簿提供について、多くの教職員からは個人のプライバシーを踏みにじっているとの批判の声が出ている。 「プライバシーの問題だ。思想や家族の問題など、大学は学生の情報をすべて持っているのだから、外に漏らすのは絶対駄目だね。教授会で釈明を求めろという学生の意見には賛成だね」(文学部S教授)。 「自治会だけの問題じゃないよ。個人の情報が流れているという問題だ。個人情報を大学が守るなんて、常識だよ」(法学部A教授)。 「(毎日新聞掲載の堀部中央大学教授のコメントは)当然だよ。外の人に言われるんじゃみっともない。早稲田は一番遅れてる。総長と理事会の責任問題だ」(文学部A教授)。 「心理学では、被験者の個人情報がすべて。インフォームド・コンセントが常識だ。プライバシー保護が無いと話にならない」(教育学部T教授)。 また、個人情報保護規定がありながら、個人情報保護委員会の審議をへることなく、個人情報を警察に提供したことについては、 「学内討議を踏みにじるとんでもない問題だ。これはいずれにせよ問題にするよ。ほかにも学内にはプライバシー管理の問題があるのに、もう規制できなくなってしまう」(人間科学部H教授)。 「(個人情報保護規定を)自分で作っておきながら、自分で守らないなんてねえ。君たちにコメントする理由はないけれど、やっぱり問題だよ」(政経学部K教授)。 「(個人情報保護)委員間が存在するのに無視するのはよくないね」(法学部I教授)。 「学生部が嘘をついていたんでしょ。個人情報保護委員会にはかったといったらしいじゃない。ひどいよね。(嘘をついて乗り切りを図ることが)この大学の体質になっちゃってるよね」(政経学部G教授)。 大学当局が「要人警護のために名簿提出も必要」としていることに対しては。 「警護ということと(講演会参加予定者)全員の個人情報を警察に流すのは別問題だよ。参加していない人の名簿も流されたんだから、これは言い逃れようが無いよね」(商学部Y教授)。 「向こうが警備の必要を言うのだから、法的に問題にするには、実際に名簿提供が必要だったかどうかが問題になる。過剰警備や過剰捜査の問題を問題にしたらいい」(人間科学部F教授)。 「警護のために必要だというが、だったらあんな権力者をよんだのが問題なんだ。早稲田は権力者のしゃべる大学ではない。(名簿の提供は)本人への告知もないんだというんだから問題外だ」(社会科学部F教授)。 「江沢民なんてよぶべきじゃなかったんだ。天安門で虐殺をやった張本人でしょ」(商学部K教授)。 さらには、いまの大学のあり方そのものへの批判の声も出ている。 「この件は江沢民の講演会で逮捕された三人がおこしている裁判のなかで出てきた問題でしょ。問題にすると革マルだといわれるかもしれない。ひどい大学だよね」(T教授)。 「これは大問題だよ。創立125周年記念事業にも募金とかかなり批判が出ているが、この問題も奥島の失点だよね。学生はどうなの。ぼくらのころだったら全学ストだけどなあ。やっぱり奥島のやっている改革が問題だね」(Y教授)。 「大学自治を考えると問題だね。警察に名簿渡すなんて僕らが学生のころはかんがえられなかった」(法学部D教授)。 (社会科学部自治会などの配布したチラシより転載
本会に送られてきた文書はA4版のワープロ文書で、本学の形式でつくられた事務通信、複数。「部外秘」という印の押されているものもあった。とりわけ、「部外秘」の印のあるもので、宛先が「戸塚警察署長殿」送り手が「早稲田大学学生部長」の文書は「定例の打合会出席者および議題について」と題され、議題と表記された項目の中に、入試に関連する交通整理や警備についてのものとともに、「3.自治会活動について(前回予告済み)、4.自治会新規加入者(追加)…資料有」という項目が記載されていた【資料/現物のGIF画像】。このことから本人の同意はおろか、教育機関として最低限守るべきモラルすら踏み越えて自治会活動を行う学生の個人情報を警察に提供していたとみられる。 本学の学生部は自治会として学生が当局に対して抗議行動を行う際に、頻繁に学生をビデオや写真などに撮影していたことから、警察当局に対してこれら抗議行動をおこなった学生の顔写真付きの個人情報を積極的に提供、取り締まりを要請していたと思われる。 文書の形式は本学が、戸塚署を招くものであるために警察からの要請という形式すらとるものでもない。教育者として学生にたいするのではなく、警察と一体となって大学内で自治活動をもおこなう学生を「犯罪者」として法的に処罰するよう、学生対策をおこなっていたことを意味するだけに、衝撃的な事実が発覚したと見られている。
■学生の声/「来週にも、自分の個人情報を大学から引き上げたい」 11日、夕闇せまるキャンパスでこの事態に対する学生の声をひろってみた。 ある法学部の二年生の男子学生は「ほんとうですか。神奈川県警みたいな大学ですね。はやく検察に手入れをしてもらった方がいいんじゃないですか」とコメント。また、社会科学部一年生の女子学生は「怖いですね。いままで大学は信用していいものと安心していましたが、これからはそう言っていられない。最近変なダイレクトメールが増えているんですが、大学から漏れたんでしょうか。とにかく本人の意思とは無関係に勝手に個人情報を流すんでしょ。『早稲田パディーカード』とかいうのを大学が買えといっていましたが、あれも学生個人情報のクレジット会社への提供ですよね。とにかく学生を食い物にしているとしか思えなくなってきた。本当だったら、来週にでも大学から個人情報を引き上げたいですね」と語った。 このように早大生も一様に驚きを隠さない様子だった。
12月15日、本学当局が定期的に戸塚署の警察官と会合を持ち、「自治会新規加入者」の資料や自治会活動の現状の情報を提供していることを示す本学の内部文書の存在について暴露したビラが配布された件で、本学当局が「告示」を出した【資料/「告示」全文】。「告示」によると、明らかにされているような文書は「あり得ない内容」とされ、こうした暴露を「卑劣な行為」と断定、「断じて許すことはできない」と強く非難の意志を示している。しかし、なぜ、「あり得ない内容」と言えるのかの証明はない。すでに明らかになっているように江沢民講演会のおりには、警察当局の求めに応じて参加予定者の個人情報を学内審議機関にさえ諮ることなく提供していることから、告発されているような行為を本学当局が行っていないと主張するためには証拠の提出がない限り、信憑性がないと見られている。さらに、「告示」では「真偽も確かめもせず」明らかにしたことを問題としているものの、本会の記者をはじめ、この問題について真偽や大学当局の姿勢をただす質問を発する学生に対して、学生部の坂上副学生部長をはじめとした当局者は「君たちとは一切交渉を絶っている」としてほとんど対応しない。こうしたことから、この「告示」は、あらかじめ事実問題については隠ぺいし、内部文書と思われるものを明らかにした者に対して強く威嚇する、という展開となっているといえよう。 さらに、「掲示」のなかの、内部文書と思われる書面を明らかにした者たちににたいして「警告」を発している一文では「学生・『学内関係者』に...強く警告する」と記載されており、この『学内関係者』という表記は「内部文書」を本会に郵送した人物を指していると見られている。こうしたことから、本会に送られてきた「内部文書」の存在の可能性がかなり高いものであることがわかった、と見られている。
「キャンパスをばっこする革マル派」という記事が一面トップの『早稲田ウィークリー』が突如、西早稲田キャンパスと戸山キャンパスから姿を消した。通常、『早稲田ウィークリー』は各校舎や研究棟の配布スタンドに数百部単位でおかれているが、ほとんどすべてのスタンドから一部も無くなった。ある学生の話では、すでに1月13日あたりには無かったという。本紙記者の調べでは何者かが計画的に持ち去ったもよう。さらに18日になって当該の号の『ウィークリー』の内容を掲示したB4の広告が各スタンドに貼り出されたものの、そこには一面の記事の宣伝は一切掲載されておらず、さらに欲しい人は学部事務所に取りに行くように指示するという不可解なfものだった。 大変不可解な事件に多くの大学関係者から疑問の声が上がっている。本紙は、当局が一面の記事に不都合があると判断し、自主的に回収した可能性が高いと推論している。
この号の一面トップは「キャンパスにばっこする...」と「名簿提供問題」についての当局の見解が掲載されていた。
『早稲田ウィークリー』890号と892号に掲載された「学内を跋扈する革マル派」という記事の内容が、警察庁が昨年発行した広報誌『焦点』258号「過激派集団革マル派〜見えてきたその正体」のなかにある記事を引き写したものであることが分かった。『ウィークリー』の記事で革マル派の組織の紹介を行なう展開中、「彼らは...大学における自治会や学園祭・サークルに介入しています」など、全体的に酷似している。公安警察の作成した政治性のきわめて高い雑誌から引き写していることから、大学当局が公安警察の側から学生の活動を見ていることになり、「思想・信条の自由」という建前を見方において公然と否定するものであることは明らか。さらに、現在、裁判で係争中の事態をもって革マル派を犯罪集団と規定しているように読みとれる展開であることから、「推定無罪」という最低限のルールすら度外視してこの記事が書かれていることも問題であろう。
1月20日に配布された『早稲田ウィークリー』(892号)で、同紙890号に掲載された名簿提供問題についての大学当局としての正式見解をなし崩し的に修正する記事が掲載された。この記事では、前回の見解の主旨「警察は講演会の当事者であるから、外部への個人情報の提供に当たらない、今後は参加者にその旨を明らかにして、個人情報を警察に提出する」という展開すべてが書き換えられている。新しく書き換えられた見解は、学生から、自治会役員の名簿を警察に提出した、と裁判で追及されたので、自治会役員の名簿だけでなく、講演会に参加した学生全員分の名簿を警察当局に提出したのだと裁判で反論した、というもの。つまり、すでに社会的に非難されている「警察に本人に無断で名簿提供をした」という事実が明らかとなった経緯を述べているにすぎないものとなっており、警察への名簿提供自体は正当化するものであることには変わりない。
■坂上学生生活課課長(当時)が本学女子学生に公安警察官と会うように教唆 文化団体連合会(文連)などの自治団体が98年5月7日明らかにしたことによると97年秋、学生生活課の坂上課長が当時広告研究会の幹事長だったKさんと面接した際、イベントの警備を依頼するためという理由で、公安警察官に会うように教唆したという。そして課長の指示にしたがいKさんは公安警察官と合い、さらに公安警察官が彼女をカラオケに誘っていたという事態が発覚した。文連常任委員会は、今回の事態は「早稲田祭中止」決定を実質化させるために文連加盟サークルの幹事長を公安警察のヒモつきにして反早稲田祭実行委員会の機運をづくり出させようと画策した大学当局の政治的な意図にもとづくものとみている。学生の人権を保障するべき教育機関が学生を公安警察にひき会わせ、学内の様子を調査させる〃協力者〃に仕立てる機会を公安警察にすすんで与えたのはきわめて異常であり、倫理的にも許されないのは明らかだろう。 文連常任委員会などが行なった調査と学生生活課への学生の質問などから明らかになったことによると、97年秋、坂上課長は当時広告研究会の幹事長だったKさんと同研究会主催のイベント企画「ビバ・ワセダ」を「(革マル派の妨害から守りどう実現するかを相談するために)密かに会い」(五月八日の課長発言)、その時に「公安警察に警備を依頼した方がいい」と使嗾したもようだ。文連常任委員会によると戸塚署の公安警察官がKさんと直接接触したのはイベントが行なわれた直後だという。公安警察官は名刺を渡してKさんと関係をつくり、さらにカラオケに誘うなど、数回接触していたようだというこうしたことから、文連常任委員会では大学当局が「ビバ・ワセダ」を大学当局の思惑通りの学園祭のモデルケースとするために、公安警察までも活用して、主催サークルの幹事長を当局のいいなりの人物へと仕立てあげようとしたとみている。そのために、Kさんは公安警察によってカラオケボックスに誘われるなどの関係をつくられ、学内情報の提供者に仕立て上げられようとさえしたという。常任委員会はKさんが公安警察官からもらったという名刺を公開し物証を示すとともに、現広告研究会幹事長がこのようなことがあってはならないと声明した文書もあわせて発表した。 さらに常任委員会は、大学当局は『早稲田ウィークリー』紙上などで学生自治団体の役員を行なっている学生などを指して、「外部団体に操られている(から学生の利益になる活動を行なっていない)」として学生自治団体の一切の諸権利を剥奪し、これを「自由な学問の府」を復活させるものと正当化してきたものの自身は警察権力の力を直接活用して学生自治活動の破壊を行なっていたということだとして、大学当局の政治性と不当性が明らかになったとした。 《解説》大学当局はKさんを公安警察と接触させるために「革マル派からの警備」ということを持ち出したようだが、実際に公安警察が行なったのはKさんをカラオケなどに誘って関係をつくり、情報提供者に仕立て上げるという行為だ。 大学当局としても、Kさんを公安警察と接触させて公安警察と親密な関係にさせ、これを支えに実行委員会に対抗して当局の意図するような学園祭を実施する人物へとつくり上げようとしたものとみられる。つまり公安警察と一体となって当局派学生を育成しようとしたということだ。 この衝撃的な事件は、奥島総長のすすめる自治破壊の性格を端的に示したものといえよう。
99年1月19日、早大当局が戸塚署にたいして「早稲田大学全域」への警察官の出動要請を正式に行なっていたと告発するチラシが「奥島式『改革』に反対する早大生の会」によって配布された。チラシには奥島総長名で戸塚署署長にたいする要請書のコピーも掲載されており、具体的な要請内容まで詳細に分かるものとなっている。事実とすれば、「大学自治」の理念を自ら破壊し、本学当局が奥島理事会に対する反対の声をあげる学生を、学外の国家権力をもって弾圧しているという最悪の事態が進行していたことが明確となる。さらに、奥島総長名でこうした文書がつくられていることからしても、奥島理事会の大学運営理念自体が厳しく問われるものとなろう。
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