家庭暴力犯罪の処罰等に関する特例法

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制定97.12.13法律第5436号

一部改正99.1.21法律第5676号

1章 総則

2章 家庭保護事件

1節 通則

 2節 調査・審理

 3節 保護処分

 4節 抗告及び再抗告

3章 民事処理に関する特例

4章 罰則

附則

1章 総則

 

1条(目的)この法律は、家庭暴力犯罪の刑事処罰手続に関する特例を定めて家庭暴力犯罪を犯した者に対して環境の調整及び性行の矯正のための保護処分を行うことにより家庭暴力犯罪により破壊された家庭の平和及び安定を回復し、健康な家庭を育成することを目的とする。[[施行日98・7・1]]

 

2条(定義)この法律で使用する用語の定義は、次の通りである。<改正99・1・21>

 1."家庭暴力"とは、家庭構成員間の身体的、精神的又は財産上被害を伴う行為をいう。

 2."家庭構成員"とは、次の各目の1に該当する者をいう。

イ 配偶者(事実上婚姻関係にある者を含む。以下同じである。)又は配偶者関係にあった者

ロ 自己又は配偶者と直系尊卑属関係(事実上の養親子関係を含む。以下同じである。)にあり、又はあった者

ハ 継父母と子の関係又は嫡母と庶子の関係にあり、又はあった者

ニ 同居する親族関係にある者

3."家庭暴力犯罪"とは、家庭暴力であって、次の各目の1に該当する罪をいう。

イ 刑法第2編第25章傷害及び暴行の罪中第257条(傷害、尊属傷害)、第258条(重傷害、尊属重傷害)、第260条(暴行、尊属暴行)第1項・第2項、第261条(特殊暴行)及び第264条(常習犯)の罪

ロ 刑法第2編第28章遺棄及び虐待の罪中第271条(遺棄、尊属遺棄)第1項・第2項、第272条(嬰児遺棄)、第273条(虐待、尊属虐待)及び第274条(児童酷使)の罪

ハ 刑法第2編第29章逮捕及び監禁の罪中第276条(逮捕、監禁、尊属逮捕、尊属監禁)、第277条(重逮捕、重監禁、尊属重逮捕、尊属重監禁)、第278条(特殊逮捕、特殊監禁)、第279条(常習犯)(第276条、第277条の罪に限る。)及び第280条(未遂犯)(第276条から第279条までの罪に限る。)の罪

ニ 刑法第2編第30章脅迫の罪中第283条(脅迫、尊属脅迫)第1項・第2項、第284条(特殊脅迫)、第285条(常習犯)(第283条の罪に限る。)及び第286条(未遂犯)の罪

ホ 刑法第2編第33章名誉に関する罪中第307条(名誉毀損)、第308条(死者の名誉毀損)、第309条(出版物等による名誉毀損)及び第311条(侮辱)の罪

ヘ 刑法第2編第36章住居侵入の罪中第321条(住居・身体捜索)の罪

ト 刑法第2編第37章権利行使を妨害する罪中第324条(強要)及び第324条の5(未遂犯)(第324条の罪に限る。)の罪

チ 刑法第2編第39章詐欺及び恐喝の罪中第350条(恐喝)及び第352条(未遂犯)(第350条の罪に限る。)の罪

リ 刑法第2編第42章損壊の罪中第366条(財物損壊等)の罪

ヌ 児童福祉法第18条第2号に違反した罪

ル イ目からヌ目の罪であって他の法律により加重処罰される罪

4."家庭暴力行為者"とは、家庭暴力犯罪を犯した者及び家庭構成員の共犯(以下"行為者"という。)をいう。

5."被害者"とは、家庭暴力犯罪により直接的に被害を受けた者をいう。

6."家庭保護事件"とは、家庭暴力犯罪によりこの法律による保護処分の対象となる事件をいう。

7."保護処分"とは、裁判所が家庭保護事件に対して審理を経て行為者に課する第40条の規定による処分をいう。

8."児童"とは、児童福祉法第2条第1号に規定された者をいう。

 

3条(他の法律との関係)家庭暴力犯罪に対しては、この法律をまず適用する。[[施行日98・7・1]]

 

2章 家庭保護事件

 

1節 通則

 

4条(申告義務等)@何人も家庭暴力犯罪を知り得たときは、これを捜査機関に申告することができる。

A次の各号の1に該当する者が職務を遂行しながら家庭暴力犯罪を知り得た場合には、正当な事由がない限りこれを直ちに捜査機関に申告しなければならない。

 1.児童の教育及び保護を担当する機関の従事者及びその長

 2.児童、60歳以上の老人その他正常な判断能力が欠如された者の治療等を担当する医療人及び医療機関の長

 3.老人福祉法に伴う老人福祉施設、児童福祉法による児童福祉施設、障碍人福祉法による障碍人福祉施設の従事者及びその長

B児童福祉法に伴う児童相談所、家庭暴力防止及び被害者保護等に関する法律に伴う家庭暴力関連相談所及び保護施設、性暴力犯罪の処罰及び被害者保護等に関する法律に伴う性暴力被害相談所及び保護施設(以下"相談所等"という。)に勤務する相談員及びその長は、被害者又は被害者の法定代理人等との相談を通じて家庭暴力犯罪を知り得た場合には、これを直ちに申告しなければならない。

C何人も第1項から第3項までの規定により家庭暴力犯罪を申告した者(以下"申告者"という。)に対してその申告行為を理由として不利益を与えてはならない。[[施行日98・7・1]]

 

5条(家庭暴力犯罪に対する応急措置)進行中の家庭暴力犯罪に対して申告を受けた司法警察官吏は、直ちに現場に臨み、次の各号の措置を行わなければならない。

 1.暴力行為の制止及び犯罪捜査

 2.被害者の家庭暴力関連相談所又は保護施設引渡(被害者の同意がある場合に限る。)

 3.緊急治療が必要な被害者の医療機関引渡

 4.暴力行為の再発時第8条の規定により臨時措置を申請することができることを通報[[施行日98・7・1]]

 

6条(告訴に関する特例)@被害者又はその法定代理人は、行為者を告訴することができる。被害者の法定代理人が行為者の場合又は行為者と共同して家庭暴力犯罪を犯した場合には、被害者の親族が告訴することができる。

A被害者は、刑事訴訟法第224条の規定にかかわらず行為者が自己又は配偶者の直系尊属の場合にも告訴することができる。法定代理人が告訴する場合にもまた同じである。

B被害者に告訴する法定代理人又は親族がない場合に利害関係人の申請があれば検事は、10日以内に告訴することができる者を指定しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

7条(司法警察官の事件送致)司法警察官は、家庭暴力犯罪を迅速に捜査して事件を検事に送致しなければならない。この場合、司法警察官は、当該事件が家庭保護事件として処理することが相当であるか否かに関する意見を提示することができる。[[施行日98・7・1]]

 

8条(臨時措置の請求)検事は、第5条の規定による応急措置にもかかわらず家庭暴力犯罪が再発するおそれがあると認めるときは、職権又は司法警察官の申請により第29条第1項第1号又は第2号の臨時措置を裁判所に請求することができる。[[施行日98・7・1]]

 

9条(家庭保護事件の処理)検事は、家庭暴力犯罪であって事件の性質・動機及び結果、行為者の性行等を考慮してこの法律による保護処分に処することが相当であると認めるときは、家庭保護事件として処理することができる。この場合、検事は、被害者の意思を尊重しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

10条(管轄)@家庭保護事件の管轄は、行為者の行為地・居住地又は現在地を管轄する家庭裁判所とする。ただし、家庭裁判所が設置されない地域においては、該当地域の地方裁判所(支院を含む。以下同じである。)とする。

A家庭保護事件の審理及び決定は、単独判事(以下"判事"という。)が行う。[[施行日98・7・1]]

 

11条(検事の送致)@検事は、第9条の規定により家庭保護事件として処理する場合には、その事件を管轄家庭裁判所又は地方裁判所(以下"裁判所"という。)に送致しなければならない。

A検事は、家庭暴力犯罪とその他の犯罪が競合するときは、家庭暴力犯罪に対する事件のみを分離して管轄裁判所に送致することができる。[[施行日98・7・1]]

 

12条(裁判所の送致)裁判所は、行為者に対する被告事件を審理した結果この法律による保護処分に処することが相当であると認めるときは、決定で事件を家庭保護事件の管轄裁判所に送致することができる。この場合、裁判所は、被害者の意思を尊重しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

13条(送致時の身柄処理)@第11条第1項又は第12条の規定による送致決定がある場合行為者を拘禁している施設の長は、検事の移送指揮を受けたときから第10条の規定による管轄裁判所がある市(特別市及び広域市を含む。以下同じである。)・郡では、24時間以内に、その他市・郡では、48時間以内に行為者を管轄裁判所に引き渡さなければならない。この場合、裁判所は、行為者に対して第29条の規定による臨時措置の可否を決定しなければならない。

A第1項の規定による引渡及び決定は、刑事訴訟法第92条、第203条又は第205条の拘束期間内になされなければならない。

B拘束令状の効力は、第1項後段の規定により臨時措置の可否を決定したときに喪失したものとみなす。[[施行日98・7・1]]

 

14条(送致書)@第11条及び第12条の規定により事件を家庭保護事件で送致する場合には、送致書を送付しなければならない。

A第1項の送致書には、行為者の氏名・住所・生年月日・職業・被害者との関係及び行為の概要及び家庭状況を記載してその他参考資料を添附しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

15条(移送)@家庭保護事件の送致を受けた裁判所は、事件がその管轄に属さず、又は適正な調査・審理のために必要であると認めたときは、決定で当該事件を即時他の管轄裁判所に移送しなければならない。

A裁判所は、第1項規定による移送決定をしたときは、遅滞なくその理由を添附して行為者と被害者及び検事に通知しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

16条(保護処分の効力)第40条の規定による保護処分が確定されたときは、その行為者に対して同一の犯罪事実により更に公訴を提起できない。ただし、第46条の規定により送致された場合には、この限りでない。[[施行日98・7・1]]

 

17条(公訴時効の停止及び効力)@家庭暴力犯罪に対する公訴時効は、当該家庭保護事件が法院に送致されたときから時効進行が停止し、その事件に対する第37条第1項の不処分の決定(第1号及び第2号の事由による決定に限る。)が確定されたとき又は第27条第2項・第37条第2項及び第46条の規定により送致されたときから進行する。

A共犯の1人に対する第1項の時効停止は、他の共犯者に対して効力を及ぶ。[[施行日98・7・1]]

 

18条(秘密厳守等の義務)@家庭暴力犯罪の捜査又は家庭保護事件の調査・審理及びその執行を担当し、又はこれに関与する公務員、補助人又は相談所等に勤務する相談員及びその長(その職にあった者を含む。)は、その職務上知り得た秘密を漏泄してはならない。

18条(秘密厳守等の義務)@家庭暴力犯罪の捜査又は家庭保護事件の調査・審理及びその執行を担当し、又はこれに関与する公務員、補助人又は相談所等に勤める相談員及びその長並びに第4条第2項第1号に規定された者(その職にあった者を含む。)は、その職務上知り得た秘密を漏泄してならない。<改正99・1・21>

Aこの法律による家庭保護事件に対しては、行為者、被害者、告訴人・告発人又は申告人の住所・氏名・年齢・職業・容貌その他これらを特定して把握することができる人的事項又は写真等を新聞等出版物に掲載し、又は放送媒体を通じて放送することができない。[[施行日98・7・1]]

 

2節 調査・審理

 

19条(調査・審理の方向)裁判所が家庭保護事件を調査・審理する場合においては、医学・心理学・社会学・社会福祉学その他専門的知識を活用し、行為者・被害者その他家庭構成員の性行・経歴・家庭状況と家庭暴力犯罪の動機・原因及び実態等を明らかにしてこの法律の目的を達成することができる適正な処分がなされるように努力しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

20条(家庭保護事件調査官)@家庭保護事件の調査・審理のために裁判所に家庭保護事件調査官(以下"調査官"という。)を置く。

A調査官の資格・任免その他必要な事項は、大法院規則で定める。[[施行日98・7・1]]

 

21条(調査命令)判事は、調査官に行為者・被害者及び家庭構成員の審問又は家庭暴力犯罪の動機・原因及び実態等の調査を命ずることができる。[[施行日98・7・1]]

 

22条(専門家の意見照会)@裁判所は、精神科医師・心理学者・社会学者・社会福祉学者その他関連専門家に行為者・被害者又は家庭構成員の精神・心理状態に対する診断所見及び家庭暴力犯罪の原因に関する意見を照会することができる。

A裁判所は、家庭保護事件を調査・審理する場合において第1項の規定による意見照会の結果を参酌しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

23条(陳述拒否権の告知)判事又は調査官は、家庭保護事件を調査するときにあらかじめ行為者に対して不利な陳述を拒否することができることを知らせなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

24条(召喚及び同行令状)@判事は、調査・審理に必要であると認めたときは、期日を指定して行為者・被害者・家庭構成員その他参考人を召喚することができる。

A判事は、行為者が正当な理由なく第1項の規定による召喚に応じないときは、同行令状を発行することができる。[[施行日98・7・1]]

 

25条(緊急同行令状)判事は、行為者が召喚に応じないおそれがあり、又は被害者の保護のために緊急に必要であると認める場合には、第24条第1項の規定による召喚なく同行令状を発行することができる。[[施行日98・7・1]]

 

26条(同行令状の方式)同行令状には、行為者の氏名・生年月日・住居、行為の概要、引致又は収容する場所、有効期間及びその期間経過後には、執行に着手することができず令状を返還しなければならない旨及び発付年月日を記載し、判事が署名・捺印しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

27条(同行令状の執行等)@同行令状は、調査官又は裁判所の裁判所書記官・裁判所事務官・裁判所主事・裁判所主事補(以下"裁判所公務員"という。)又は司法警察官吏をしてこれを執行させることができる。

A裁判所は、行為者の所在不明により1年以上同行令状を執行することができない場合事件を管轄裁判所に対応する検察庁検事に送致することができる。

B裁判所は、同行令状を執行したときは、その事実を直ちに行為者の法定代理人又は補助人に通知しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

28条(補助人)@行為者は、自身の家庭保護事件に対して補助人を選任することができる。

A弁護士、行為者の法定代理人・配偶者・直系親族・兄弟姉妹及び戸主、相談所等の相談員及びその長は、補助人となることができる。ただし、弁護士でない者を補助人に選任しようとするときは、裁判所の許可を得なければならない。

B第2項の規定により選任された弁護士でない補助人は、金品・饗応その他利益を受け、又は受けることを約束し、又は第三者にこれを供与させ、又は供与させることを約束してはならない。

C裁判所は、行為者が刑事訴訟法第33条各号の1に該当するときは、職権で弁護士を行為者の補助人に選任することができる。

D第4項の規定により選任された補助人に支払う費用に対しては、刑事訴訟費用法を準用する。[[施行日98・7・1]]

 

29条(臨時措置)@判事は、家庭保護事件の円滑な調査・審理又は被害者の保護のために必要であると認めたときは、決定で行為者に次の各号の1に該当する臨時措置をすることができる。

 1.被害者又は家庭構成員の住居又は占有する房室からの退去等隔離

 2.被害者の住居、職場等から100メートル以内の接近禁止

 3.医療機関その他療養所への委託

 4.警察官暑留置場又は拘置所への留置

A同行令状により同行された行為者又は第13条の規定により引き渡された行為者に対しては、行為者が法院に引致されたときから24時間以内に第1項の措置の可否を決定しなければならない。

B裁判所は、第1項の規定による措置を決定したときは、これを被害者に通知しなければならない。

C裁判所は、第1項第3号又は第4号の措置をしたときは、その事実を行為者の補助人がある場合には、補助人に、補助人がない場合には、法定代理人又は行為者が指定した者に通知しなければならない。この場合、第1項第4号の措置をしたときは、行為者に弁護士等補助人を選任することができ、第49条第1項の抗告を提起することができることを告知しなければならない。

D第1項第1号・第2号の隔離及び接近禁止期間は、2月、同項第3号・第4号の委託及び留置期間は、1月を超過することができない。ただし、被害者の保護のためにその期間の延長が必要であると認める場合には、決定で1回に限り各期間の範囲内においてこれを延長することができる。

E第1項第3号の委託をする場合には、医療機関等の長に行為者を保護するのに必要な事項を賦課することができる。

F民間が運営する医療機関等に対し委託しようとするときは、第6項の規定により賦課する事項をその医療機関等の長にあらかじめ告知し、同意を得なければならない。

G判事は、第1項各号に規定された臨時措置の決定をしたときは、調査官、裁判所公務員、司法警察官吏又は拘置所所属矯正職公務員をしてこれを執行させることができる。

H行為者、その法定代理人又は補助人は、第1項の規定による臨時措置決定の取消又はその種類の変更を申請することができる。

I判事は、職権又は第9項の規定による申請に相当する理由があると認定するときは、決定で当該臨時措置を取り消し、又はその種類を変更することができる。

J第1項第3号の委託の対象となる医療機関及び療養所の基準その他必要な事項は、大法院規則で定める。[[施行日98・7・1]]

 

30条(審理期日の指定)@判事は、審理期日を指定し、行為者を召喚しなければならない。この場合、判事は、家庭保護事件の要旨及び補助人を選任することができる旨をあらかじめ告知しなければならない。

A第1項の審理期日は、補助人及び被害者に通知しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

31条(審理期日の変更)判事は、職権又は行為者又は補助人の請求により審理期日を変更することができる。この場合、変更された期日を行為者・被害者及び補助人に通知しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

32条(審理の非公開)@判事は、家庭保護事件を審理する場合において私生活保護又は家庭の平和及び安定のために必要とし、又は善良な風俗を害するおそれがあると認めるときは、決定でこれを公開しないことができる。

A証人として召喚された被害者又は家庭構成員は、私生活保護又は家庭の平和及び安定の回復を理由として判事に対して証人訊問の非公開を申請することができる。この場合、判事は、その許可の可否及び公開法廷以外の場所における訊問等証人訊問の方式及び場所に関して決定をすることができる。[[施行日98・7・1]]

 

33条(被害者の陳述権等)@裁判所は、被害者の申請がある場合には、その被害者を証人として訊問しなければならない。ただし、次の各号の1に該当する場合には、この限りでない。

 1.申請人が既に審理手続で十分に陳述して更に陳述する必要がないと認められる場合

2.申請人の陳述により審理手続が顕著に遅れるおそれがある場合

A裁判所は、第1項の規定により被害者を訊問する場合には、当該家庭保護事件に関する意見を陳述する機会を与える。

B裁判所は、審理において必要であると認めたときは、被害者又は調査官に意見を陳述し、又は資料の提出を要求することができる。この場合、判事は、公正な意見陳述等のために必要であると認めたときは、行為者の退場を命ずることができる。

C第1項から第3項までの場合、被害者は、弁護士、法定代理人・配偶者・直系親族・兄弟姉妹・戸主、相談所等の相談員又はその長をして代理して意見を陳述させることができる。

D第1項の規定による申請人が召喚を受けても正当な理由なく出席しないときは、その申請を撤回したものとみなす。[[施行日98・7・1]]

 

34条(証人訊問・鑑定・通訳・翻訳)@裁判所は、証人を訊問し、鑑定を命じ、通訳又は翻訳をさせることができる。

A刑事訴訟法中裁判所の証人訊問及び鑑定・通訳及び翻訳に関する規定は、家庭保護事件の性質に違反しない範囲内において第1項の場合にこれを準用する。

B証人・鑑定人・通訳人・翻訳人に支給する費用・宿泊料その他費用に対しては、刑事訴訟法中費用に関する規定及び刑事訴訟費用法を準用する。[[施行日98・7・1]]

 

35条(検証・押収・捜索)@裁判所は、検証・押収及び捜索をすることができる。

A刑事訴訟法中裁判所の検証・押収及び捜索に関する規定は、家庭保護事件の性質に違反しない範囲内において第1項の場合にこれを準用する。[[施行日98・7・1]]

 

36条(協調・援助)@裁判所は、家庭保護事件の調査・審理に必要な場合、関係行政機関、相談所等又は医療機関その他団体に対して協調及び援助を要請することができる。

A第1項の要請を受けた関係行政機関、相談所等又は医療機関その他団体がその要請を拒否するときは、正当な理由を提示しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

37条(不処分の決定)@判事は、家庭保護事件を審理した結果次の各号の1に該当するときは、処分をしないという決定をしなければならない。

 1.被害者の告訴がなければ公訴を提起することができず、又は被害者の明示した意思に反して公訴を提起することができない家庭暴力犯罪のみを対象とする家庭保護事件に対して告訴が取り消され、又は被害者が処罰を希望しない明示上の意思表示をしたとき

 2.保護処分をすることができず、又はする必要がないと認めたとき

 3.事件の性質・動機及び結果、行為者の性行・習癖等に照らして家庭保護事件として処理することが適当でないと認めたとき

A裁判所は、第1項第3号の事由により不処分の決定をしたときは、事件を管轄裁判所に対応する検察庁検事に送致しなければならない。

B第1項の規定による決定をしたときは、これを行為者、被害者及び検事に通知しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

38条(処分の期間等)家庭保護事件に対しては、他の争訟に優先して迅速に処理しなければならない。この場合、処分の決定は、特別な事由がない限り送致を受けた日から3月以内に、移送を受けた場合には、移送を受けた日から3月以内にしなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

39条(委任規定)家庭保護事件の調査・審理に関して必要な事項は、大法院規則で定める。[[施行日98・7・1]]

 

3節 保護処分

 

40条(保護処分の決定等)@判事は、審理の結果保護処分が必要であると認めたときは、決定で次の各号の1に該当する処分をすることができる。

 1.行為者が被害者に接近する行為の制限

 2.親権者の行為者の被害者に対する親権行使の制限

 3.保護観察等に関する法律による社会奉仕・受講命令

 4.保護観察等に関する法律による保護観察

 5.家庭暴力防止及び被害者保護等に関する法律が定める保護施設への監護委託

 6.医療機関への治療委託

 7.相談所等への相談委託

A第1項各号の処分は、これを併科することができる。

B第1項第2号の処分をする場合には、被害者を他の親権者又は親族又は適当な施設に引き渡すことができる。

C裁判所は、保護処分の決定をしたときは、遅滞なくその事実を検事、行為者、被害者、保護観察官及び保護処分の委託を受けて行う保護施設、医療機関又は相談所等(以下"受託機関"という。)の長に通知しなければならない。ただし、受託機関が民間により運営される機関の場合には、その機関の長から受託に対する同意を得なければならない。

D第1項第3号から第7号までの処分をしたときは、行為者の矯正に必要な参考資料を保護観察官又は受託機関の長に送付しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

41条(保護処分の期間)第40条第1項第1号・第2号及び第4号から第7号までの保護処分の期間は、6月を超過することがでず、同項第3号の社会奉仕・受講命令は、100時間をそれぞれ超過できない。[[施行日98・7・1]]

 

42条(没収)判事は、保護処分をする場合に決定で家庭暴力犯罪に提供し、又は提供しようとした物件であって行為者以外の者の所有に属しない物件を没収することができる。[[施行日98・7・1]]

 

43条(保護処分決定の執行)@裁判所は、調査官、裁判所公務員、司法警察官吏、保護観察官又は受託機関所属職員をして保護処分の決定を執行させることができる。

A保護処分の執行にあってこの法律において定めない事項に対しては、家庭保護事件の性質に違反しない範囲内において刑事訴訟法、保護観察等に関する法律及び精神保健法を準用する。[[施行日98・7・1]]

 

44条(報告及び意見提出等)裁判所は、第40条第1項第3号から第7号までの保護処分を決定したときは、保護観察官又は受託機関の長に対して行為者に関する報告書又は意見書の提出を要求することができ、その執行に対して必要な指示をすることができる。[[施行日98・7・1]]

 

45条(保護処分の変更)@裁判所は、保護処分が進行する間必要であると認定するときは、職権、保護観察官又は受託機関の長の請求により決定で1回に限り保護処分の種類及び期間を変更することができる。

A第1項の規定により保護処分の種類及び期間を変更する場合従前の処分期間を合算して第40条第1項第1号・第2号及び第4号から第7号までの保護処分期間は、1年を、同項第3号の社会奉仕・受講命令期間は、200時間をそれぞれ超過できない。

B第1項の処分変更の決定があるときは、遅滞なくその事実を行為者、法定代理人、補助人、被害者、保護観察官及び受託機関に通知しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

46条(保護処分の取消)裁判所は、保護処分を受けた行為者が第40条第1項第3号から第7号までの保護処分の決定を履行せず、又はその執行に応じないときは、職権、被害者の請求、保護観察官又は受託機関の長の申請により決定でその保護処分を取り消し、事件を対応する検察庁検査に送致しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

47条(保護処分の終了)裁判所は、行為者の性行が矯正され、正常な家庭生活が維持され得ると判断され、又はその他保護処分を継続する必要がないと認めたときは、職権、被害者の請求、保護観察官又は受託機関の長の申請により決定で保護処分の全部又は一部を終了することができる。[[施行日98・7・1]]

 

48条(費用の負担)@第29条第1項第3号の規定による委託決定又は第40条第1項第6号及び第7号の保護処分を受けた行為者は、委託又は保護処分に必要な費用を負担する。ただし、行為者が支給する能力がないときは、国家がこれを負担することができる。

A判事は、行為者に対して第1項本文の規定による費用の予納を命じることができる。

B第1項の規定により行為者が負担する費用の計算、請求及び支給手続その他必要な事項は、大法院規則で定める。[[施行日98・7・1]]

 

4節 抗告及び再抗告

 

49条(抗告)@第8条又は第29条の規定による臨時措置(延長又は変更の決定を含む。以下同じである。)、第40条の保護処分、第45条の保護処分の変更及び第46条の保護処分の取消においてその決定に影響を及ぼす法令違反があり、又は重大な事実誤認があるとき又はその決定が顕著に不当なときは、行為者、法定代理人又は補助人は、家庭裁判所本院合議部に抗告することができる。ただし、家庭裁判所が設置されない地域では、地方裁判所本院合議部にしなければならない。

A裁判所が第37条の規定により不処分の決定をした場合、その決定が顕著に不当なときは、被害者又はその法定代理人は、抗告することができる。この場合、抗告裁判所に関しては、第1項の規定を準用する。

B抗告の提起期間は、その決定の告知を受けた日から7日とする。[[施行日98・7・1]]

 

50条(抗告状の提出)@抗告をする場合においては、抗告状を原審裁判所に提出しなければならない。

A抗告状の提出を受けた裁判所は、3日以内に意見書を添付して記録を抗告裁判所に送付しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

51条(抗告の裁判)@抗告裁判所は、抗告の手続が法律に違反し、又は抗告が理由のないと認めたときは、決定で抗告を棄却しなければならない。

A抗告裁判所は、抗告が理由あると認めたときは、原決定を取り消し、事件を原審裁判所に還送し、又は他の管轄裁判所に移送しなければならない。この場合、還送又は移送が急迫しており、又はその他必要であると認めたときは、原決定を破棄し、自らが相当な臨時措置、不処分又は保護処分の決定をすることができる。[[施行日98・7・1]]

 

52条(再抗告)@抗告の棄却決定に対しては、その決定が法令に違反したときに限り大法院に再抗告をすることができる。

A第49条第3項の規定は、第1項の再抗告にこれを準用する。[[施行日98・7・1]]

 

53条(執行の不停止)抗告及び再抗告は、決定の執行を停止する効力がない。[[施行日98・7・1]]

 

54条(終決された事件記録等の送付)裁判所は、家庭保護事件が終結したときは、遅滞なく事件記録及び決定書を対応する検察庁検事に送付しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

55条(刑事訴訟法の準用)この章において別に定めない事項に対しては、家庭保護事件の性質に違反しない範囲内において刑事訴訟法の規定を準用する。[[施行日98・7・1]]

 

3章 民事処理に関する特例

 

56条(賠償申請)@被害者は、家庭保護事件が繋属した第1審裁判所に第57条の賠償命令を申請することができる。この場合、印紙の添付は、要しない。

A訴訟促進等に関する特例法第26条第2項から第8項までは、第1項の場合これを準用する。[[施行日98・7・1]]

 

57条(賠償命令)@裁判所は、第1審の家庭保護事件審理手続で保護処分を宣告する場合職権又は被害者の申請により次の各号の金銭支給又は賠償(以下"賠償"という。)を命じることができる。

 1.被害者又は家庭構成員の扶養に必要な金銭の支給

 2.家庭保護事件により発生した直接的な物的被害及び治療費損害の賠償

A裁判所は、家庭保護事件において行為者と被害者間に合意された賠償額に関しても第1項の規定により賠償を命じることができる。

B訴訟促進等に関する特例法第25条第3項(第2号の場合を除く。)は、第1項の場合これを準用する。[[施行日98・7・1]]

 

58条(賠償命令の宣告)@賠償命令は、保護処分の決定と同時にしなければならない。

A賠償命令は、一定額の金銭支給を命じる場合、賠償の対象及び金額を保護処分決定書の主文に表示しなければならない。この場合、賠償命令の理由は、特に必要であると認められる場合でなければこれを記載しないことができる。

B賠償命令は、仮執行することができることを宣告することができる。

C民事訴訟法第199条第3項・第201条・第473条及び第474条の規定は、第3項の場合にこれを準用する。

D賠償命令をしたときは、保護処分決定書の正本を行為者及び被害者に遅滞なく送達しなければならない。[[施行日98・7・1]]

 

59条(申請の却下)@賠償申請が不適法であるとき又はその申請に理由がなく、又は賠償命令をすることが相当でないと認められるときは、決定でこれを却下しなければならない。

A保護処分の決定と同時に第1項の裁判をするときは、これを保護処分決定書の主文に表示することができる。

B申請を却下し、又はその一部を認容した裁判に対して申請人は、不服を申請することができず再度同じ賠償申請をすることができない。[[施行日98・7・1]]

 

60条(不服)@保護処分に対する抗告提起があるときは、賠償命令は、家庭保護事件と共に抗告審に移審する。保護処分に対する再抗告がある場合にもまた同じである。

A抗告審で第1審決定を維持する場合にも賠償命令に対しては、これを取消・変更することができる。

B行為者は、保護処分決定に対して抗告を提起することがなく賠償命令に対してのみ抗告することができる。この場合、抗告は、7日以内に提起しなければならない。

C第3項の規定による抗告の棄却決定に対しては、その決定が法令に違反したときに限り大法院に7日以内に再抗告することができる。第1項前段の規定による抗告審決定に対して賠償命令に対してのみ再抗告する場合にもまた同じである。

D第1項、第3項及び第4項による抗告及び再抗告は、賠償命令の執行を停止する効力がない。[[施行日98・7・1]]

 

61条(賠償命令の効力と強制執行)@確定した賠償命令又は仮執行宣告ある賠償命令が記載された保護処分決定書の正本は、民事訴訟法による強制執行に関しては、執行力ある民事判決正本と同じ効力がある。

Aこの法律による賠償命令が確定したときは、その認容金額の範囲内において被害者は、他の手続による損害賠償を請求することができない。[[施行日98・7・1]]

 

62条(他の法律の準用)この章において定めない事項に対しては、訴訟促進等に関する特例法及び民事訴訟法の関連規定を準用する。[[施行日98・7・1]]

 

4章 罰則

 

63条(保護処分の不履行罪)第40条第1項第1号及び第2号の規定による保護処分が確定した後にこれを履行しない行為者は、2年以下の懲役又は2千万ウォン以下の罰金又は拘留に処する。[[施行日98・7・1]]

 

64条(秘密厳守等義務の違反罪)@第18条第1項の規定による秘密厳守義務に違反した補助人(弁護士を除く。)、相談所等の相談員又はその長(その職にあった者を含む。)は、1年以下懲役又は2年以下資格停止又は1千万ウォン以下の罰金に処する。

A第18条第2項の報道禁止義務に違反した新聞の編輯人、発行人又はその従事者、放送社の編輯責任者、その長又は従事者その他出版物の著作者及び発行人は、500万ウォン以下の罰金に処する。[[施行日98・7・1]]

 

65条(過怠料)正当な事由なく第24条第1項の規定による召喚を拒絶し、又は第44条の規定による報告書又は意見書の提出要求に応じない者は、100万ウォン以下の過怠料に処する。[[施行日98・7・1]]


附則

この法律は、1998年7月1日から施行する。

 

附則<99・1・21>

この法律は、公布後1月が経過した日から施行する。


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