99年5月15日ドイツに学ぼう脱原発への歩み
 ドイツ緑の党カトリン・グリューバーさんを迎えて

◆主催:脱原発政策実現全国ネットワーク

文責 木月 透: 私のメモにより構成したものであり文責は全て私にあります。

カトリン・グリューバー講演中

◆講師:カトリン・グリューバーさん
 (ノルトライン・ヴェストファーレン州州議会副議長、州議会緑の党科学部門担当。女性、41歳)

◎連立政権以前
 多くの反対の中カルカー高速増殖炉は完成した。
 ナトリウムも入り核燃料も作られた。それでも運転前に廃止された。核燃料は現在保管されている。

 それでこれを売ることになった。誰が買うのか、運転しなかった高速増殖炉など。
 それでも2ヶ月たったらオランダの事業家が買った。それでカルカーはどうなったか。核と水のおとぎの国、ワンダーランドと名付けた遊園地になってしまった。今炉心はレストランになっている。そしてパイプのあるところでみんなが散歩している。しかしこれはまだ燃料が入らず運転もしていなかったからできることなのです。カルカー旅行記

 しかし緑の党は博物館にしたかった。核の技術開発とその破綻の歴史博物館に。しかし予算的に無理だった。でも遊園地でも核施設のなかみがわかるのでけっこうです。

 カルカーに710億マルク、350億ドル使われた。
 ほかにも同様に停止されたバッカースドルフ再処理工場に320億マルク、120億ドル投資した。いかにドイツが連立政権前にたくさんの計画に高額な投資をしたか。それが止まったのです。しかしそれを自然エネルギー開発に使っていたら、と残念に思います。
 ところが今ドイツでは外国に持ち出して同じことを行っている。
MOX燃料はフランスで加工。
再処理は英セラフィールド、フランス ラアーグ。

 実はチェルノブイリ事故の後で与党でもカルカー反対デモを1回だが組織した。せざるを得なかった。

1997年ドイツ原子力産業会議発行のブックレットにこうある。
・今の現状を維持する。
・進歩には努力が必要だ。成長は遅い。
・着々と努力することが必要である。

 連立政権が組まれる以前にコール政権下でも原子力産業界は状況が厳しいと認識していた。今のつまり以前からの原子力法は規制よりは推進との明記がある。それなのに厳しいとわかっていたのです。
 最後の原発建設は1986年。
そして1989年以来原子力発電の新規運転はない。
 現在原子力開発は行われていない。実は当時も研究所は「原子力」の名前を取っていた。
原発と自分たちの研究所をつなげたくなかったのです。今も研究してはいるがしかし研究施設は13箇所しかない。
 若い研究者は行かなくなった。これは私としては残念だ。ぜひ原子力廃棄物の研究をしてもらいたい。その専門家が育たない。
 これは連立政権以前の話です。コール政権下でも原子力発電は既に展望はありませんでした。

◎連立政権の登場
 さてこのような中で連立政権が登場した。反原発運動は大きな期待をした。産業界は悲観的だった。
 この連立政権で原子力について合意がなされた。これは結局どうなっているのか。
 この合意は三段階で物事を進めるようになっていた。そして原発を段階的に閉鎖する計画だった。
(1)既存原子力法を100日以内に原子力推進をやめるように改正する。今後は既存炉の安全規制のみ行う。

(2)さらに既存原発の安全点検をする。今の規制に従っているかどうか。今の原発の安全性を原子力産業界に証明を求める。前保守政権では政府が証明していた。動かしている側に安全性を証明させる。

(3)再処理を廃止させる。
 原発使用済み燃料は直接最終処分する。以前は再処理をしてプルトニウムを取り出してから残りを最終処分していた。

○実態
 私たちは脱原発政策を法制化して不可逆的にしたい。つまり今後政権が代わっても元に戻れないようにしたい。しかし、
(1) 今の原子力法改正は実現していない。百日以内に改正されなかった。今もそのままだ。
(2) 円卓会議の設置
 市民運動、住民、政府、産業界みんなが入って会議する。
 3つのテーマ
 @原発段階廃止 をいつどのように行うか。
 Aこれからのエネルギー政策
 B原発のゴミの問題をどうするか
(3)廃棄物政策について合意
  @ゴーレーベン処分地
  不適切で凍結すべき。もっと適切な処分地を探す。
  (日本ではこれはサイト内貯蔵が原則となっているがドイツでは意見が違う。)
 A今までの廃棄物政策 誤っていると確認。質問に答えるカトリン・グリューバー
 実は東ドイツ貯蔵政策も受け継いている。それは誤りだった。

・ゴーレーベン処分地
 不適切で凍結すべきである。

・一時貯蔵は輸送されるべきではない。
サイト内貯蔵が原則。

・補償
 原発事故保険が不十分、増額する。
 
 原子力裁判で補償が無い
 原発建設が安い それは補助金が出ているからだ

 再処理積立金から補助金が大きく出ている。これは産業界からの積立金だ。しかし少なくなってきている。

◎この数ヶ月間に起こったこと。
 再処理停止に業界の大反対が起こる
 実は以前から金がかかるから再処理をやりたくないと言ってたにもかかわらず。なのに猛反対した。
 それでジャーナリストも再処理をやめるのは大変だと書くようになった。
 誰も再処理に対する健康被害、非能率的、プルトニウムの害を書かない。
 これらについての法律を変えるのは難しい雰囲気つくりがされた。
 産業界は円卓会議に出席しないと脅かした。そのためになかなか話が進まない。でも再処理を止めるのは進まざるを得ない。ヨーロッパでの9割の放射能汚染はセラフィールド、ラアーグから出ている。原子力安全問題、健康被害から再処理に進む。

 ユーラ・トリエッティン環境大臣(緑の党)は2つの権限を弱くした。今までは専門家だけの意見だった。再編成した。専門家だけでない幅広い委員を任命した。前委員会は原子力推進派の専門家ばかりだった。それに対し様々な意見を反映させるようにした。
ウーターハン委員長(市民エコ研究所所長)の新聞発表。
 これはイデオロギーの問題ではない。科学的に安全性を点検する委員会をつくった。もちろんこれらの専門家の役割はある。しかし様々な市民の意見も反映させる。これらの専門家はしばしば安全性を点検しなかった。エコ研究所はこれらの専門家に抵抗してきた。今度からは中にいる。きっちりとやりたい。
 再編成は一見小さいものだ。
 トリエッティン環境大臣「産業界は出ないと言っていたがでも第1回からちゃんと始まっている。そして今も進められている。産業界は政府が段階廃止政策持っていることを受け入れている。これは非常に重要だ。」

 しかし政府が中止と掲げていてもその状況は複雑だ。早さの問題がある。5年か10年か20年か。どのようにするのか。
シュレーダー首相が2週間前発言。「原発廃止は20年から20年以上かかる。早期は望まない。」
 これは緑の党の意見ではない。20年となるとこれは段階廃止ではなく推進ということを意味している。
 原発廃止とはのどかな散歩ではない。積極的に進める必要がある。
 困難な事が起こった。反脱原発デモ−会社員が職場から休み付きで参加した。
 緑の党は対策としてキャンペーンを始めた。
 ・積極的に廃止をすすめる
 ・再生可能エネルギーの振興
 ・省エネ計画

政府が政策を受け入れたことを実質化。廃棄物問題について輸送情報の透明性確保のため質問書を出した。
 それでどこからどこへ行くのか輸送路が書いてある文書が輸送後に出るようになった。われわれの周りでどれくらい頻繁に行われているか知ることができる。

◎原発とCO2、省エネ、雇用
 温暖化防止のため原発を進めようとする動きに信憑性があるか。原発は二酸化炭素と無縁ではない。核燃料サイクル全体を考慮するべきだ。
・ウラン鉱山発掘
・輸送
・濃縮
・燃料にする
・原発使用済み燃料貯蔵
全体を考慮すればCO2と無関係とは言えない。

  もう一つ原子力とは集中なのだということ。分散とは反対のもの。将来を見通し分散型にしていく事が必要だ。。
 民家に断熱材、人家に太陽エネルギー、南の窓を大きくする。いずれも分散型である。このような建築はソーラーアーキテクチャーと呼ぶ。冬に暖めることになる。考慮してない家よりは10分の1のエネルギーでいける。これは部屋の温度が同じとしてだ。
 将来コージェネがエネルギーとして能率が高く有望である。つまり今の発電所は原発、火力、水力全て効率が悪い。エネルギーの3割を使わない。コージェネは8割まで使う。
電力以外の熱を使用できる。暑いところなら人家を冷やすのにも使用できる。
こういうことが分散だ。これらは雇用を生み出す。

 日本と違いドイツでは、太陽発電の役割りは小さい。
それは太陽の照射量が少ないからだ。
それよりもドイツでは風力発電が重要である。この可能性は大きい。4年前風力発電は原発1基分だったが今や3基分の発電量となっている。これらは環境に優しく雇用にいい。今の風力発電で2万人の雇用を生み出している。

 再生可能なエネルギー、省エネ効率アップ、これらを進める。そして50万の雇用を生み出す。その雇用とは、
 断熱材を人家に普及させる。
 あるいはコージェネ施設とその熱供給設備をたくさん作る。そして維持修理もある。
 また、エネルギー節約のため普及広報者がたくさん活動する。

 私の州ノルトライン・ヴェストファーレンは、4年間州連立政府を社民党と緑の党でつくっている。
省の大臣は、州の中に断熱材建築を広めている。まず州の公共建築や団地など。
公共施設を中心地の近くにつくる。車を減らす。温暖化投資する。エネルギー浪費は車の部分が大きい。1Km行くのに7から8mlのガソリンを消費している。自動車産業はすでに100kmで3リットルの省エネガソリン車の設計をしている。しかし今の市場では売れないから開発が進んでいない。エコタックス環境税導入が必要ではとなった。
 緑の党は省エネ車の開発を促進したい。そして環境税導入に成功した。シュレーダー首相は税金をOKしたが、非常に少ない税額だった。1リットル当たり4円しか取らない。効力発揮には税額をアップしなければならない。ドイツではこれは非常に困難だ。ドイツでは車の評価が高い。車はステータスシンボルとなっている。都会は自動車利用を前提とした形につくられる。

 ドイツでの省エネの一例、待機電力需要にドイツでは原発2基分を使う。だからエネルギーは足りないのではない。十分にある。脱原発化のためにエネルギー計画を変える。ドイツでのエネルギー施設−エネルギー消費を調査した。
その結果、エネルギー供給は足りる。原発無しでいける。省エネルギーに可能性があるとわかった。今まで社会は右上がりでエネルギー拡大すると言っていた。だがそれは選択の問題なのだ。ドイツで確かに選択の変更は用意ではない。しかしエネルギー政策は選べるということが重要だ。自然法則ではないのだ。

◎今の原子力のテーマ
 原発廃棄物輸送問題が大きく取り上げられている。
ドイツでは、海外イギリスのラアーグやフランスセラフィールドなどそれほど問題になってない。盛り上がったのは国内での問題なのだ。レーベンに核燃料輸送の時、コール政権での環境大臣は、アーハウス中間貯蔵施設への輸送の時に通る街では大した反対もデモもないと発表した。さらに電力会社が意見広告を出した。アーハウスへの輸送直前、「安全性については一切妥協しない。」と。

 これらに答えるようにデモが活性化した。大きなデモが起き若い人たちが参加した。輸送鉄道を塞いで止めてしまった。デモの2週間後フランスジャーナリストがスクープして容器汚染を暴露した。その時だけでなく実は何年も前から汚染していた。英国、フランスからドイツへの輸送で汚染していた。 原子力産業は知っていたが対応しなかった。当局にも秘密にしていた。ドイツ国民は情報隠しに怒った。

 状況は実にずさんで汚染対策の資料も作られていない。ファックスの読むこともできないようなものが数枚だった。
ドイツでの牛の輸送の方がきっちりしている。
 今ドイツ国内では一切の使用済み燃料の高レベル廃棄物の輸送は行われていない。
対策として、この問題の報告書が出た。それで一部輸送容器は使用されない方向となる。しかしこれは政治的な側面が強い。

私はシュレーダー首相は産業界の方の顔を向いていると思う。住民国民に顔を向けるべきだ。
 今何年何ヶ月後に原発を廃止するというのはかなり困難だ。次回日本に来れたらその時までにどういうことを実現できたか報告したい。

[質問]
1.地域振興に原発が有効と言われているがどう反論していくか。

 省エネと再生可能エネルギーが重要だ。
 この間日本で原発に反対している多くの人と出会った。
三重県津では大人人口の半分以上が三重県に原発はいらないと署名している。今三重県では原発新規立地に冷却期間モラトリアム中。このモラトリアムが12日に外れる。署名組織は反論していくだろう。

2.国会勉強会へ参加されての感想は。
これに関して述べるほどのことはない。(会場笑)
 代替エネルギー方法について1例。
 私のトライムセーリア州での学校での方法
エネルギー節約を教育に入れる。いろんな省エネ、電球の選び方までエネルギー計画を変えていく。雇用のため、経済のため。環境と経済は反面のものではない。

3.フランスの推進について
 以前ほど推進していない、原子力無しでいけると考える人が出てきている。

4.ドイツはロシア、フランスから電力を買っているがどう判断しているか。
回答
 現在確かに買っている。欧州全体での動き、6月13日選挙あるがドイツの緑の党はこれ以上増えないが、しかし欧州全体の緑の党が増えることが重要だ。

5.輸送反対になぜ若い人が参加したのか。
 ゴアレーベン周辺は反対意識が高い。最終処分地となるという深い懸念がある。大きく幅広く宣伝。ラジオでも訴えた。若い人は離れた所の人もそれで知ってきた。なぜ若い人が来たのか答えにくい。アーハウス周辺の人のみでなくみんな憂慮したというしかない。なぜかは説明できない。若い人が参加したことを喜んでいる。

6.原発ができる前にもっと早く反対運動が盛り上がらなかったのか。
 今までも投資される前に止められたか。今回投資される前に止められた計画もたくさんある。計画はみんな優遇受けている。得する人がいた。

◎推進側の遺産と運動の継承
 反対してきて尻拭いの解決を私たちがする。特に廃棄物はこれは取り組まないと消える問題ではない。問題を最小限に押さえる意外ない。最終処分地は一ヶ所と考えるが、見つけられる自信はない。輸出という手もある。しかしドイツ国内で生産したもの。国内で処理したい。ドイツ新デモクラシーにとって大変な宿題である。どう民主的にどう対策をとるか。
 
 ゴーレーベンよりいい処分地の地層を見つけられるか。政治的にどう解決していくか。
 段階的に原発を廃止した後に行う。原発を廃止して最後に幕が下りた後でもそこが最終処分地になることはなかなか受け入れられない。
その幕が閉じる前に受け入れは不可能だ。だから2030年までに最終処分地の解決を見いだしたい。
 中間処理の容器はそこまで持つと言われている。容器は40年持つという設計。持つ保証はないが。
アーハウス、ゴーレーベンは中間貯蔵と約束している。

 今日の話は怒りと希望だ。
 深い怒りがある。作り出した原子力産業への怒り。
 希望というのは、これからの年月どうやって実現工夫するか。どう解決していくか希望を持って話を終わらしたい。

司会
 1週間で8ヶ所という強行軍。大変お疲れです。これで終わりたいと思います。

対話へ


戻るボタン