原発と原爆の関係

原子の火
 通常の火が燃えるときに酸素と結合して化学変化が起こり激しい熱を出す。物質が燃えて消えたようになったと思ってもそれは煙や燃えカスに形状や色が変わっただけで別に物の原子そのものが変化したわけではない。でも原発はそれとは違う変化が起こるのだ。原理が違うことが起きる。

 物質というのは元々は全てエネルギーだ。これはアインシュタインが発見したことだ。少しのものでも膨大なエネルギーからできている。だから化学変化でなく直接物質をエネルギーにして取り出せないかという考えが浮かぶ。でも我々は神ではない。何かの仕組みの中で取り出すしかないのだ。

 そこでウラニウムなどの核物質が注目を浴びた。これは物質そのものが変化していたからだ。それは核が大きく不安定で陽子や中性子、電子などの原子核の中の素粒子を放出して別の構成に変わっていく途中の物なのだ。やがては何万年もたてば鉛へと変化していく。地球の表面にある鉛はそうして変化してきた最終物質なのだといえる。では今地球にある放射性物質はなぜ鉛へと変化してないのか。それは大地の奥深くにあって安定していたのだ。大地から出したとたんに不安定になり急激に変化し始めるのだ。

 この素粒子を放出してというのは重要で、これが放射能と呼ばれるものの正体なのだ。これらは大きなエネルギーで私たちの体に当たると傷つける。何しろ原子一つ一つから出るから微細なものになってもとても危険なことになる。これらの物質が飛び散って環境にばらまかれるととてもやっかいで、体が取り込んでしまい、そこから放射線が出てまた私たちの体を内面からとてもこわしてしまう。だから放射能というのはとてもやっかいなのだ。骨の一部になったり喉にある甲状腺の中に集中したり放射性物質は私たちの体の中に組み込まれてしまう。そして遺伝子を傷つけガンにする。

連鎖反応の発見と原爆
 ではこの核の変化が何かエネルギーと関係してないのか。それは核が極めて強い力で結びつけられていて、原子核の構成が急激に変化して不要になった場合このエネルギーが放出することがわかった。これに必要なのは中性子という素粒子だ。これをウラニウムの原子核に当てて取り込ますと原子核はすごく不安定になり分裂する。そのとき巨大なエネルギーが放出される。これが核分裂というものだ。でも1個だけの核分裂はそう大したエネルギーではない。次から次へと連鎖反応が起きなければ。

 この核分裂の時実は中性子が2個出ることがわかった。これを次の核分裂に利用できれば連鎖反応で巨大なエネルギーが出る。でも爆発で凄まじい放射線と放射性物質が出る。

 これは何人かの科学者がいろいろの過程で見つけたものだ。でもその連鎖反応を爆弾として構想したのはレオ・シラードという学者。シラードの示唆でそれを提示して爆弾として作るようにアメリカ政府に連名で提言したのは、有名なアインシュタインだ。両者ともナチスのユダヤ迫害でアメリカへの亡命者だった。ナチスが原爆を持ったらという意識に突き動かされていた。1939年のことだ。それがマンハッタン計画へと動いていった。

 核爆発で予想を超えた爆発力の巨大さと放射能のひどさに学者たちは驚嘆した。アインシュタインたちは再びアメリカ政府に原爆の不使用、敵国政府代表に無人島で実験を行いそれを見せて降伏を促すように提言したが既に国家権力の動きの前には学者たちは利用が終わっていたのでありまったく省みられなかった。このことでどうなるか学者たちは何も見通せなかったのだ。社会的な視点を持っていないとしかいいようがない。原爆が完成していたとき既にナチスは降伏していた。ところが実験中に日本に原爆を使用するとの計画変更は決まっていた。なぜドイツではなく日本に使用するのか理由は謎で人種差別とも言われていた。しかしこれは’99年8月の朝日新聞に載ったが、原爆使用からドイツは学ぶからという恐れから日本に使用すると決まったとのことだった。 

 アインシュタインは第二次世界大戦後に核兵器禁止運動に協力したが、このアメリカ政府へ原爆開発を提言したこと自体は何ら反省していない。実はシラードとこの時の再現フィルムに戦後何年も経ってから出演している。

 そして原爆は広島、長崎で実戦使用され何万もの人々が死に傷つき現在も放射能による後遺症に苦しんでいる。

核の平和利用
 その中で第二次世界戦後に核の平和利用が提案された。これが原子力発電である。しかしこれは商業利用により核産業をいっそう広めるためにそして世論的には核兵器より受けが良く、やりやすいということから来ている。
 原子炉の仕組みは、まず水で中性子のスピードを遅くさせる。こういう役割を減速材という。そして水の中に中性子を吸収するホウ酸という薬品を適量混ぜて核分裂の結果飛び出してくる中性子2個の内1個を吸収する。
 これで急激な連鎖反応は無くなり1個だけだと比較的に緩やかな反応になる。制御棒をおろすと核分裂が止まるのは燃料の間にこの金属の棒を下ろすとすべての中性子を吸収することから起きる。

核反応の激しさと事故
 しかし原発はゆっくりと遅い反応だというが100万キロワットは一般に作られている原発だが、1日で広島型原発6発分(90年以前は1日5発分)の死の灰が生み出される。遅い反応というが実際は実に激しい反応なのだ。1990年代までは1年に200日運転していたので約1000発分、現在は300日近いので1800発分が溜まる。この使用済み燃料による熱も実に大きくて作られる熱の4割を占める。原発は運転停止してもなおその使用済み燃料などの生成物の熱は出続ける。だから事故で制御棒をおろしたりして運転停止してもなお水を注ぎ循環を続けないと、まず水素爆発を起こす。これは燃料棒の金属ジルコニウム(大変固い金属です)が高熱で水と反応して水素が生じそれが溜まっていき爆発する。

 その爆発で格納容器が壊れると多くの放射能が飛び散る。そして次には燃料棒が高熱のため曲がって溶けだしくっつきあって、炉芯が溶融して溶け原発の壁を突き抜け流れ出していくメルトダウンと呼ばれる現象が起きるのだ。この時もいっそう多くの放射能が飛び散る。

 チェルノブイリは水素爆発でなく一気に炉心の核反応が制御できなくなり暴走して核爆発が起きた。そして当然格納容器ごと吹き飛んだ。炉心溶融が起きたのだが、ここまでだった。これがなおも地下へと溶かしながら入っていくと地下水とぶつかり最終的な最も激しい大爆発を引き起こす。そして周辺の1号炉、2号炉とも破壊しより大規模な事態が生じるところだった。実はチェルノブイリ事故は100倍大きな事故でもおかしくなかった。チェルノブイリでは何万人の兵士を動員してこの最終爆発を地下トンネルを炉心下まで掘りコンクリート防護層を造るという危険きわまりない工事をさせ防いだ。しかし何千人もの人が死に携わった何万人が全て被爆し生き残った人も放射能障害で苦しみ抜いている。

 放射能はもしも外部に漏れ出ても飛び散っても普通の火と違い消すことが難しい。体の中で放射能を出し続ける。私たちはただの燃える火から消すことができない火である核反応を使用することになった。その問題点をもっと知るべきである。

 核兵器と原発は同様のものが形を変えて表れただけでその持つ人間には合わないということは同じなのだ。


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