98年11月15日津川 敬講演

 津川 敬 略歴 1937年東京浅草生まれ。1958年早稲田大学第二文学部卒業。廃棄物処分場問題結成に参画、事務局活動に従事。著書 『ドキュメントゴミ工場』、『ゴミ処分-「処分場紛争の本質」』


検証ゴミ問題(要旨) ●まとめ・文責 木月 透

 井手敏彦 元沼津市長に出会って話を聞いたときに私のごみ問題への認識はまるで変わった。
処理場を見ないとゴミ問題はわからない。

☆ごみ問題の経過

 実は前はごみ取り締まりは警察の仕事だった。高度成長前期に量が多くなり、企業がアウトローらに金を渡してどこかに捨ててこいとやった。それで大きな問題となり、企業への監督権限を持つ通産省が70年6〜8月頃工場の外に出さないとした法律を制定しようとした。「廃棄物対策は究極の産業政策」と当時通産若手官僚がぶちあげたそうだ。それに対して厚生省が対抗して「廃棄物と清掃に関する法律」を提案して70年12月25日に成立する。しかし厚生省は企業の現場は規制できずごみの後始末官庁となる。

 この法律は何も問題を解決せず、企業とアウトローという図式をそのまま構造化したものだ。
@業者の登録制によりアウトローに法的裏付けを与える。
    厚生省が支配監督する。省益につながる。
A委託を認める。何ら規制を加えない。
    安いコストで放り出す。金をやって捨ててこいという図式を裏では温存することになる。
B「最終処分場構造基準」を制定。問題の構造化。
C安定型5品目 建設廃材を入れる。
 
 外部委託するとその廃棄物の中身や危険性を知っている技術者の手を離れ総務課の事務屋の値段たたきしか考えないものの手に任される。そもそも中身は知らないのだから。
安くうまく片づけ後でトラブルを起こさない業者をどう選ぶかが総務などの担当者の腕となる。

 現在国の許可を取って営業する産廃処理業者は全国で9万。その9割はトラック1台の収集運搬業者だ。「叩けば何とかなる」世界なのだ。

→一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係わる技術上の基準を定める命令 通称 「共同命令」 昭和52年

○98年10月これについて一般廃棄物処分場の初の全国調査

○処置するもの

囲い、立て札  (これさえわざわざ言わねばならないほど何もしていない。)
地滑り防止、擁壁は重みや土圧に耐えうる構造。
腐食防止、遮水工、集水工、侵出水工、雨水流入工、ガス抜き

これで初の全国調査、欠陥処分全国592箇所に上る。いかに何もしていないのかがよくわかる。

☆全国に発生した大規模不法投棄

◎福島県いわき市

 ドラム缶5万5千本が廃坑跡に埋められているのが判明。

 業者が東京の企業から受ける。武田薬品、日本電化など。
 「我が社は法律に基づいて委託契約しており、当方には責任はない」と突っぱねる。なおこれは今も廃棄物事件では企業側はこういう姿勢を必ず取る。 

○汚染 環境基準(かなり緩い)の 水銀340倍、鉛190倍。

(木月注: その後H10.11.16県は23億8千万円の費用をかけ撤去作業を実施する。

◎佐賀県唐津

 ドラム缶1万本の産業廃棄物を野積み、埼玉県戸田の企業から唐津市西部のクリーン開発が受ける。

◎豊島
これが今までにない事例なのは、正規に許可された処分場の違法だった。
やったのは松浦庄助たった1人のならず者がこんな大事件を起こしたと報道されているがそれは違う。単なるならず者ではなく、処分場の裏表を知り尽くした知能犯だ。
○経緯
70年 有害物処分場申請   住民は反対
77年 無害物処分場申請   同じく反対、どういう人かわかっていたため。

77年数ヶ月後ミミズの養殖で許可申請。餌として食品汚泥、廃棄物を運び込むとした。香川県庁の担当課長がネクタイを捕まれて引きずり回されるという事件が起きすぐ許可が下りた。
実際は鉱滓、廃油、シュレッダーダスト(車の六割の部分を粉砕したもの)60万トン (香川県は11万トンと主張。)
燃やして金属を取り出す作業をやっていた。県はどんどん追認して許可していく。
有価物、松浦は1トンあたり300円で買う。企業は運搬費として3000円出す。これで合法と県はした。香川県は116回も調査したが罰金は数回。しかも1回50万。何十倍も儲かる。

○90年県警が捜査。

○93年 中坊公平弁護士 調停へとはいる。

○国の対策 本当は島外に持ち出してほしいというのが願い。
○島内で国の費用で処理。ロータリーキルンが無条件で設置されてしまう。やむを得ず選ぶ。
●ロータリーキルン 円筒状の回転炉 
設置場所
・千葉県外房 県工業団地
・熊本県菊地市

(機能説明)
焼却ではなく溶融炉、1,200〜1,300度で1時間、溶かしてしまう。
ゴミを入れ、酸素を注入。円筒を回転させ攪拌する。
製鉄の時と同じように真っ赤になる。
そのまま水に入れる。雲母のようにガラス状になる。
すさまじいのはドラム缶入りならそのまま溶かしてしまうということ。
一般廃棄物は450度と蒸し焼き。自己熱で溶融。

(コメント)
 有害物質は大気に行く。バグフィルター(煙突に付けるフィルター)で取ると言っているが、どうなるかわからない。
この炉の開発はロンドン条約で廃棄物の海洋投棄が禁止された対策から出てきた。

◎厚生省 91年豊島事件を受けて91年廃棄物処理法改正着手。
 厚生省課長 荻島課長、改正担当チーフ。良心のある官僚。
 現場を見て回る。紛争現場を見て歩く。「官僚は情に流されるから現場に行かない」という鉄則を破る。何が問題か調べる。
 一番の問題は産出事業責任が免罪になぜされているのかを痛感する。
 この責任を取らせる方向での改正案に津島厚生大臣が驚いて止めようとした。

○改正法律案の青写真を出す。次の重要な2点を法律に盛り込もうとした。
・流通段階で処理困難な特定廃棄物はメーカーに回収義務。
 ・排出企業は運搬と処理コストより安く委託してはならない。

○経団連 百項目の質問書を提出。「直接問題を起こしている業者でない者に責任追及はおかしいという趣旨。」

○原案作成 全省庁と産業界から集中砲火。 

○荻島 健康不安…やがてガン発見。担当を下ろされる。闘病生活へ。

○91年廃棄物処理法改正案成立。

○荻島は92年にガンで死亡。まさに憤死である。

○改正法内容。
 ・処理業者規制。尻抜け。
 ・広域処理施設 第三セクター
   こういう施設ができたとしてもトラック1台の業者が9割。それが最終処分場まで手続きする。結局は実効性がない。
・特別管理廃棄物 新設。
 ・一般廃棄物 メーカー協力義務
・50万 罰金300万に値上げ。
 周辺を少しいじっただけでほとんど何の効果もない。

☆タブーと人権感覚のなさ
 水源地への立地をし始める。もしそういうものがあったらそこで止まるはず。
厚生省 産業廃棄物処分場立地室 三木本課長 「水源地立地をやめるよう」にと言うと「日本中水源地だ」と言い放つ。

○フェイルセーフ あまりにひどい。
・ドイツ  断層、水源地は禁止。
・アメリカ 空港より1.5km離れていること。(鳥被害防止) 
洪水発生100年間無いこと。
      湿地帯でないこと。
      断層、地震、軟弱地盤への立地禁止。
      
・それに比べ日本はあまりにひどい。機能面しかない。
 収集・運搬効率
 地元
 災害対策
 跡地利用
 都市発展
 関連施設の配置

☆状況とまとめ
◎瀬戸内などの島へ移動
 瀬戸内海 広島県呉市の沖約5km 上黒島、下黒島。内の下カリガリ島 首都近郊に本社を置く廃棄物処理会社 大新産業が95%買収。島は採石の採取で大きく削られその跡に産廃が埋められる。
(木月補足 1989年開始。その後一般廃棄物を燃やした後の焼却灰も自治体から受け入れ始める。98年神奈川県茅ヶ崎市、大和市、小田原市、秦野市、伊勢原市や埼玉県栗橋町、山口県宇部町から委託。)
  下カミガリ町 2億円使途不明の噂。

8月29日 この島に調査に行く。岩場、桟橋 岩ガキが死滅している。
(木月補足 上黒島での採石採取がこの秋終了と届けが出る。第2の上黒島となる恐れあり。)
ゴミが都市から無人島へ移動していく。

◎山梨県丸森 水源地への処分場立地、人格権判決業者に立証責任。
   甲府地裁 業者に安全性立証義務。これまで住民が立証義務を負わされてきた。

◎第2回目改正 97年度廃掃法
 ・ゴミ減量化
 ・基金も業界が金出すのかハッキリしない。

○廃棄物処理場全国ネットワークの申し入れ。
 ・素堀に近い安定型処分場の廃止。
 ・住民同意の法制化。
 ・広域処分の禁止。
一顧だにしなかった。

◎ドイツ
中流市民社会 法律を守る意識がある。ゴミを出さないことが基本。ドイツの産業廃棄物処理の指針。
 ・ゴミを出さない。
 ・量を決める。
 ・リサイクル。
日本でトップのリサイクルは三番目である。


◎今企業自治体はISO14000を取ろうとしている。
ヨーロッパはEUで決めたイーマスという基準が基本である。情報公開義務がありしなければならない。

☆RDF ごみ固形燃料化事業
 有価物にするか無価物か決まっていない。有価物だとごみではない。有価物だと広域移動ができる。

○ 小野田セメントで使用。セメントは灰が出ない。灰もセメントに使う。しかし酸化してしまうのでいやがっている。

○ 発電 発電しか使用方法が残っていない。
しかし栃木県が東京電力の買電入札で応札したが2倍以上の値段となり落選した。相手にされていない。

◎焼却埋め立ての問題点
欧米では焼却埋め立ては主流ではない。出さないことにある。

○四国龍川 RDF焼却でダイオキシン発見。
RDFは焼却埋め立てから一歩も出ていない。

○運動体は廃止へネットワークを組んでいくようにしてほしい。


トップページへ-ボタン ごみ問題リストへ戻るボタン ページ冒頭へ-ボタン E-メールボタン