(そのまま転載)
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   気候ネットワーク E-mailニュース  98年11月4日

      COP4通信 Kiko(きこ) 第1号
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<私たちはめざします>

(1)「抜け穴」をふさぎ、京都議定書の早期発効を!

(2)日本政府はまず6%削減できる国内対策を!

(3)政策決定プロセスに市民の参加と情報公開を!

(4)地球規模の公正のため、南北のNGOの連帯を!

(5)みんなで協力して温暖化防止を!

 気候ネットワークは、地球温暖化対策に取り組む市民のためのネットワークです。
「Kiko」は、温暖化問題の国際交渉の状況を伝えるための会期内、会場からの通信です。今回はCOP4が開催されているブエノスアイレスより、状況紹介を主にお伝えすることになるでしょう。

 地球温暖化防止京都会議(COP3)では、95年からの国際合意日程に基づいて、京都議定書が採択された。COP4では、京都会議の落とし物である、抜け穴(柔軟性措置)について議論するとともに、今後の新しい国際交渉の枠組みを作ることが求められている。
気候ネットワークではCOP3でも発行された「Kiko」通信を発行し、ブエノスアイレスの会議場を取りまく空気を紹介したい。

●解説:COP4のみどころ
 この一年間は、前回の議長国として、日本政府は交渉の進展にリーダーシップを発揮すべき立場であった。日本政府の態度はどうであり、他国からどう評価されたのか。

・ブエノスアイレス行動計画(イニシアティブ)を作るかどうか、その中にどんな議題を含めるか。
・途上国の参加問題。アルゼンチン提案についてどう途上国は対応するのか。
・Flex-Mex(柔軟性措置)とよばれる国際的な排出件取引と共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM)の制度の評価
・森林吸収源の問題について…6月の交渉で、IPCCに2年間をかけて特別レポートを作らせることが決まり後回しになった。但し、CDMやJIの対象に含むかどうかの議論は残る。

●国際交渉に対し、NGOは疑惑のまなこ
 NGOとしては本来は、国際交渉に勢力を注ぐよりも、各国政府が京都の削減約束を実施することを求めて、各国で活動すべき。

 しかし、京都会議で積み残した柔軟性措置とは、数値目標を楽に達成できるようにするための抜け穴や、抜け穴を拡大するための仕組みが大半である。監視の目を緩めれば京都議定書の公約した目標値は見掛け倒しになり、大量生産/大量消費社会を変える対策を何年も先送りしてしまう。また、詳細が決まらないことを口実に自国の対策を遅らせられる恐れもある。
 むしろ昨年から各国の異常気象被害などを受けて、条約や議定書の強化を図る議論へとつなげたい。

●オープニング
 途上国の参加問題は1日かかって決着
 議論が初日から止まってしまうかと思われるほど、途上国の反対の声が高かったが、午後まで各国の意見を聴取した後に、議長が妥協を提案して乗り切った。

 自国のマリア・アルソガライ「天然資源/持続可能な開発」大臣が議長に任命された直後、アルゼンチン代表団は、「途上国の自主的な削減約束への参加」問題を議題に入れることを追加提案した。
 韓国をのぞくほとんどの途上国は一致して、時期尚早であること、差異のある責任原則と途上国の連帯を突き崩す動きであるとして、議題に載せることに反対した。一方、アルゼンチンにこの問題を提案するよう焚き付けた米国を始めとして、オーストラリア、ロシア、日本の非EUの先進国は、途上国が新たな一歩を踏み出すことを求める姿勢を取った。

 アルソガライ議長は、公式の議題からは削除すること、しかし、議長が透明性を確保した上で、非公式のコンサルテーション会合を行うことを妥協として提案/採択し、途上国と米国の両者の反対が続く中を押し切った。議題の採択が解決したことで、会議自体は進行することになった。
 
 以下、気候行動ネットワーク(CAN)のニュースレター「eco」11/2号より抜粋

●主催国の役割
 アルゼンチンはG77途上国グループの加盟国であるにもかかわらず、COP4の議題案に「途上国の自主的な約束(voluntary commitments)」を入れたことが大きな議論を巻き起こした。気候変動条約と京都議定書における削減目標の設定に至るいかなるものにも、途上国は強く反発している。

 アルゼンチン国内では、大統領の拒否にもかかわらず、風力と水力発電の利用を拡大する法律の制定を議会は進めている。天然ガス自動車の保有台数は40万台で、世界一多い。これらの取組みは、法的拘束力のある削減義務こそ負っていないが、気候変動条約の最終的な目標の達成に貢献するものである。

 途上国の自主的な約束を含めるこの議題案は賢明な主張ではなく、アルゼンチンを途上国グループから孤立させるかもしれない。

 むしろ附属書1国(先進国)が、技術や資金を移転し、気候変動によって最も被害を被る最貧国を守る約束を取付けるようにCOP4の主催国としての影響力を使う方が賢明であろう。最も重要なことは、先進国が温室効果ガス削減を確実に行っていることを示させるよう働き掛けることであり、COP4が成功と言えるかどうかの指標でもある。また、COP4主催国としてのアルゼンチンの役割を果たしたことになる。


◇ COP4終了、具体的な事項決定はCOP5以降へ(H10.11.16)

 11月2日からアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催されていた温暖化防止会議が終了した。
 前回の京都会議(COP3)で積み残された課題としては・発展途上国の参加・排出権取引のルール作りについて・罰則規定・ 森林吸収分の算定方法等があったが、今回は、会議の初日に「途上国参加」についての話し合いを行うか否かがまず議題にあげられたが、発展途上諸国の激しい反対により削除された。

 主要議題については
○排出権取引   
   ・ 日米→排出枠を無制限とする
   ・ 欧州→上限を設けるべきである
○途上国問題
   ・ 先進国→途上国の排出量はいずれ膨大なものになるので議論に参加すべき
   ・ 途上国→現在の地球温暖化は先進諸国の発展によるもので、われわれの発展を妨げる議論には反対等
の対立が見られた。

 このような対立の構図が鮮明化したために、COP3で残された課題については具体的な細部の取り決めを行うまでにはいたらず、最後に今後の会議のタイムスケジュールを盛り込むにとどまった「ブエノスアイレス行動計画」をようやく採択しただけだった。唯一収穫といえるのは、これまで一枚岩と見られていた発展途上諸国にも、強硬に反対する中東諸国・インド・中国などと、先進国の考えに理解を示す南米諸国などの間に分裂の兆しが見えたことや、また、アメリカがようやく温暖化防止条約に署名したことぐらいであった。


環境庁 98.11.16 国連気候変動枠組条約第4回締約国会議(COP4)について/概要と評価