アムネスティ・インターナショナル国際事務局の声明です。
 グリーンピースの活動家に対する不当な逮捕拘禁、安田好弘弁護士に対する拘禁について、平和的な活動を押さえつけるために拘禁が使われているという懸念を表明しています。

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アムネスティ発表国際ニュース
(1999年3月23日)

アムネスティ日本支部 <webmaster@amnesty.or.jp
<http://www.amnesty.or.jp/>
AI Index: ASA 22/04/99

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活動家をおさえつけるための拘禁手続の悪用を危惧
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裁判所および当局に、グリーンピースの活動家たちと、安田好弘弁護士に対する拘禁の適用について正当な理由を示すよう求める。
日本政府に、拘禁手続を国際人権基準に則ったものにするよう要請する。

安田好弘弁護士、ならびにグリーンピースの活動家3名などの平和的な活動家に対する、拘禁が長引いている。国際的な人権擁護団体、アムネスティ・インターナショナル(国際事務局:ロンドン)は、これら二つの事件につき、日本において平和的な活動家をおさえつけるために、拘禁手続が悪用されている恐れがあると危惧している。アムネスティは、裁判所および当局に対し、グリーンピースの活動家たちと、安田好弘弁護士に対する拘禁について正当な理由を示すよう求める。また、日本政府に対し、拘禁手続を国際人権基準にのっとったものにするよう、継続して要請する。

●グリーンピースの活動家に対する拘禁
環境保護団体、グリーンピースの3名の活動家が、警察留置場に拘禁され続けている。国際的な人権擁護団体、アムネスティは、日本において、人権活動家を閉じ込め、黙らせるために拘禁手続が悪用されている恐れがあると考える。

グリーンピースの活動家たちは、3月18日「東京おもちゃショー」でおもちゃに塩化ビニールを使用しないよう反対する垂れ幕をビルの壁面にかけ、そこにぶら下がるというアピール行動をおこなった。彼らは、その直後に逮捕された。

グリーンピースの抗議行動は平和的なものだった。そして公の場所でおこなわれたものである。たしかに彼らがおこなった行動は建造物侵入罪に触れたり、不法行為となる可能性はある。しかし彼ら3人を拘禁し続ける理由はほとんどないといえるだろう。また、本日グリーンピース・ジャパン事務所に100人を超える大量の警察官がつめかけたことなどを考えると、当局は平和的な活動家たちを妨害するためキャンペーンを開始したのではないかという危惧を抱かせる。
 長期の拘禁はしばしば、被疑者に対する深刻な人権侵害を引き起こしている。1997年にアムネスティは、外国人被疑者に対して自白を強要するために、警察が殴打した数々の事例を取り上げた報告書を発表した。また、1998年11月、自由権規約委員会は(第4回日本政府報告書審査に基づく最終所見において)、刑事裁判における多くの有罪判決が自白に基づくものであるという事実から、日本の未決拘禁制度を直ちに改善するよう勧告している。しかし、政府は、これらの勧告に応える姿勢を何も見せていない。

●長期にわたる安田弁護士に対する恣意的な拘禁
〜彼が弁護する被疑者の公正な裁判を受ける権利の侵害も〜また一方で3月23日には、東京地方裁判所が、著名な人権活動家である安田好弘弁護士を重大な死刑事件の国選弁護人から解任するという事件が起こった。安田弁護士が現在拘禁中であるというのがその理由である。

 人権活動家であり、弁護士でもあり、また死刑廃止運動の中心人物として知られる安田好弘弁護士は、1998年12月6日に強制執行妨害罪で逮捕されてから1ヶ月間を警察留置場で過ごした。その後正式に起訴され、東京拘置所に移されてからは、独居拘禁の自殺防止房に入れられている。この間、再三の保釈請求にも関わらず、拘禁は続いている。

 逮捕前、安田弁護士はオウム真理教の指導者であり、1995年に12人の死者を出した地下鉄サリン事件の容疑者として死刑になる可能性がある麻原彰光の主任弁護人として活動していた。麻原彰光の弁護活動をしていることで、安田弁護士はメディアから大いに批判された。 彼に対する身柄拘束を理由として、本日彼は国選弁護人から解任されたが、この事態は、彼が弁護している被疑者の公正な裁判を受ける権利を侵害していると言えるだろう。

 東京地方裁判所は、安田弁護士の長期にわたる拘禁を合法であると判断した。しかしこの判断は、安田弁護士の保釈請求を却下すべきという検察官の主張をうのみにしただけである。

 安田弁護士は、国内法的にもまた国際法的にも、具体的かつ正当な理由がないまま拘禁され続けている。安田弁護士に対する拘禁は恣意的なものである。人権活動家としての、また弁護人としての彼の正当な活動を妨害しようとして、拘禁手続が悪用されたと言わざるを得ない。

●二つの事件に共通する現象 〜拘禁手続の悪用〜
これら二つの事件は、反対の意見を持つ人をおさえ込むために、拘禁制度を悪用しているという点において共通している。アムネスティは、活動家をちょっとした罪を理由に拘禁するために ――平和的なやり方で意見を表明した人だとしても――、日本における拘禁手続が悪用されているのではないかとの疑念を抱いている。

●裁判所および当局は、拘禁についての正当な理由を示すべき
あらゆる国において十分に人権が擁護されるためには、市民社会を確立されることが必要不可欠である。ゆえにアムネスティは、裁判所および当局に対し、グリーンピースの活動家たちと、安田好弘弁護士に対する拘禁について正当な理由を示すよう求める。また、日本政府に対し、拘禁手続を国際人権基準に則ったものにするよう、継続して要請する。

以上

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