奈良市「その他プラスチックごみ」は
埋め立てられていた 1999年12月

文 奈良ごみの会 NSさん

 奈良市は1999年3月から9種分別を始めた。99年12月17日「その他プラスチック」の行方が知りたくて緊急処分場を見学に行った。
 すると驚いたことに奈良市「その他プラスチックごみ」は処分場で土に埋められていた。

○処分場の立地

 奈良市の緊急処分場はドリームランドの北側に続く丘陵地帯にあり、ならやま大通りを挟んで北に佐保台ニュータウンなどの住宅地が続いている。 関係者以外立ち入り禁止、と書かれた看板のある鉄の門扉は大きく開かれている。しかし収集日である水曜日以外ほとんど車の出入りはない。入口から100メートル程行くと球技場(過去の埋立地で2ヶ所の球技場がある)の向こうに埋立て場所が ありプレハブの小屋と、ダンプトラック、シャベルカーが見える。

○緊急処分場で目にしたもの

 この場所は平成元年から環境清美第二事務所の扱うごみ(町内清掃、不法投棄な ど、その量は7000〜8000立方メートル/年)を埋め立てている所で 古タイヤが転がっているのも合点がいく。
 分別収集の始まった平成11年春から埋めている「その他プラスチックごみ」の量は4000立法メートル/月と2ヶ月で今までの1年分の量になる。埋立地の西側に中 ノ川の道路工事で出た真砂土が積んであったが覆土用の土を節約するために埋立地を掘り返した土を覆土に使っている。
 既に埋立地は満杯状態で、その表面にポ リ袋、マヨネーズのチューブ、発泡スチロール等プラスチックが多数散乱してい る。

●白いのはプラスチック、黒いのは残滓です。左側は土をかぶせたところです。

 この緊急処分場は谷にビニールの遮水シートを敷いて埋めている。埋立地から出てくる水は集めて 高分子凝集剤と過塩化鉄を加えて浮遊物を凝集させ埋立地に戻し、次に酸素を吹 き込んだ後、燐酸または苛性ソーダで中和してから出合川に流している。その先 は、鹿川、木津川へと流れる。水処理の方法は決して十分だと思えないし遮水 シートは継ぎ目もあるし穴もあく、隣接して畑もあるし住宅地もある。「ごみの 減量とダイオキシンの削減という目的で分別収集をスタートした」が、大量のプ ラスチックを一ヶ所に埋める結果になった。この土地に将来どんな事が起こるか 想像もできない。

○分別収集の本当の目的は?「市」は実情を正しく知らすべきだ!

 分別収集を始めたときは、炉の還元剤などの燃料としてリサイクルする予定で、 受け入れ先を捜しているときいていた。だからまじめな市民は少しでもプラス チック以外のものが混ざらないように、汚れをとって分別して出してきた。最初 に「市の出したごみの分け方と出し方のパンフレット」にはマヨネーズの空の チューブを水道水で洗う絵がついていた。5月15日発行のしみんだよりには「そ の他プラスチック」は少し汚れた状態でもリサイクルできますが、衛生的な保管 という点から、ゆすぐことができるものはきれいにするように心がけましょう、 と書いてある。

 受入先のメドがたたないまま市民に分別を要請して、事実を知ら せず受入先がないから埋めているのだろうけれどあまりにもバカにしている。正 しく分別すればプラスチックごみはリサイクルされると市民は理解しているのに ・・・。 市はリサイクルの計画が行き詰まった段階で、その実情を市民に知ら せなければならない。 所長さんは「この春からは圧縮して燃料としてリサイクルする予定だが引き取る ところは決まっていない」と話していた。

 市民は現実を知らないといけないし、 奈良市は悩まないで、できないことはできないとはっきりと言う決断をしてほし い。

 環境問題に少しでも関心のある人は「その他プラスチックごみ」はどうなってい るか気になっていた。市から受身で得られる情報からは何もわからない。「ド リームランドの近くに集めてあるらしい、でもそこは見学させてもらえないと思 う」という人もいた。見学を申し込んだとき「休憩していただく場所もなく何も おもてなしできませんが」と恐縮しておられた所長さんは、ここに来られたのは 皆さんが初めてですといわれた。このことがゴミ問題のすべてを語っているよう に思う。 実際は誰も知ろうとしなかっただけだとは・・・・・・。
  2000年4月から容器リサイクル法がプラスチックに適用される。集めても受け入れ先が ないのでどうにもできませんと奈良市は宣言するしかないだろう。


文 木月 透

 奈良市の「その他プラスチックごみ」を埋め立てている非常用緊急処分場を見てきました。ゴミ・環境監視奈良県民の会と奈良市民数名でした。ここは実は大変話題になっています。というのは再生処理されるものと信じて99年3月26日から、かなり強引な細分別の開始から住民は「その他プラスチック」ごみをせっせと洗って出しているからなのです。再生するという説明を信じてです。ところが奈良市は土に埋めている。それでどうもちゃんと再生されそうもない。それなのに奈良市は埋めてもまた掘り起こして再生するんだとか言ってます。そんなことができるのか多くの人が疑っています。その現場なのにまだ見学は私たちしか行ったことがないそうなので驚きました。

 近鉄奈良駅からバスに乗り佐保山ニュータウンの中の佐保台東口バス停で下車する。そして南側を外環状線ならやま大通りに出て横断する。少し東側に進入路がありそれが緊急処分場の入り口だった。風景はアカ松もある古くからの懐かしい雑木林そのもので絶好の環境だった。そこを行くととても広い所に出た。手前には奈良市の貸しグラウンドもある。これも元は谷でゴミで埋められたようだ。その南側に今埋め立てられている処分場がある。カラスが40羽くらいいる。少ない方かな。

 「よそなら土地がないから大変だが奈良市は場所があるからよけい対策が遅れるのかな」と声が出た。確かに広い。でもかなり土砂が積み上げられている。今もクレーンで何か掘ってトラックに積んでいる。

 もう埋められているところを見ると白いプラスチックごみと黒い物を一緒に埋めている。別の場所の既に埋められた中からもちらほらとゴミが見え中には金属製の物も混じり完全に赤くさびている。あれっこれは何で金属製の物が混じるのだと思った。案内してくれた係の方に「近寄っていいか」と訪ねると危なくない所ならいいですとのことで近寄る。少し臭いがする。そんなに激しくはない。マヨネーズや食べ物のついたものがあるので臭いがするのでゴミが来る度に土をかぶせているとのこと。土は奈良市中の川の道路建設現場の工事で出てるものをこれまで使ってきたということ。。

 クレーンで何を掘っているのか聞くと、より効率的にするために昔の土を掘り返して再利用して新しいごみにかぶせているとのこと。

 見ていると現在のベースとなっている地盤より一段高いところが3割くらいある。これが最終の積み上げられる高さでありそれで終わりのようだ。どうやら急速にこの処分場が終わりつつあるようだ。

 実は99年度の地図で見てみると今のベースになっている所より3段ほど下にある。おおよその目算で後6年から10年くらい使えたはずの処分場が8ヶ月ちょっとでほとんど埋まろうとしているのだ。

 プラスチック以外に黒いものと一緒に埋めてあるのは何かと聞く。
「あれはごみ焼却炉でゴミを燃やした後の灰以外の缶や瓶などの残りかすで残滓と言ってるものです。黒いのは付いている灰の色です。灰は奈良市米谷(奈良市の灰専用の処分場)に行ってます。残滓は焼却炉から出してここで一緒に埋め立てている。そのほか公園のゴミや自治会清掃、不法投棄のゴミもここに埋めています。」残滓や焼却困難なものだけを埋めていたのがこの非常時緊急処分場の本来の役割だったのだ。

 この処分場は後どれくらい使えるかと案内してくれた方に聞くと、
「まだ必要だったらもう一段できるのでは」と言う。しかしこれは苦し紛れに出た言葉のようだ。もう一段積んだらかなり周りから高くなる。強い雨が降れば周辺に流れ出す。それはどう見ても無理だろう。

 そして一番問題が多い「なぜプレスせずに埋めているんでしょう。これではすごく早く処分場のスペースが無くなると思いますが。」と聞く。そうすると減量化の後先がどうするか決めてないからしてないと答える。プレスすれば15分の1から25分の1になるだろうと認める。現在はあくまで仮置きであるとのこと。

 みんなが怪訝な顔をしていると、「実はプレス機が無いんです。今予算要求しています。移動式のプレス機のいいのがあるのでそれをと思っています。」とのこと。ええっと驚いてしまった。なんということ。プレス機が無いからしていなかったんだ。思わず言う言葉を失った。確か3月26日に細分別を始めた。これは本当に突然だったということになる。それでこんな状態。仮置きだというが、焼却炉の残滓と混ぜて土をかけて何層にも埋めている。これを取り出して処理することなどおよそ現実的ではない。しかもそのために莫大な税金が使われた虎の子のだいじな緊急処分場があっという間に埋め尽くされようとしている。ここは非常用緊急処分場でそもそもこんな形で簡単に使うものではない。あくまでも非常用なのだ。次は行く場所はない。実は私たち市民にとって大きな損害なのだ。

 下で水処理をしているというので降りていく。東端に行くと落差が10メートル以上ある。転びかけ滑りつつ降りる。下はなるほどこれはここから続く地面と高さが同じで地山だった。この処分場は丘の間の谷を埋めていたのだ。

 水処理施設は、意外にたくさんの水を処理していた。こんなにどこからくるんだろうと思ったら、緊急処分場は集水暗渠をしておりそこから集まってくるのだ。上半部が網目状になった塩ビのパイプでこれを埋める前の処理場全体に敷設しておくと水が集められてここへ出てくるわけだ。

 ばっ気して沈殿という二次処理までしている。過酸化二鉄液でPH7まで中性化するそうだ。これで出合川という幅2m50cmの水路に放流し鹿川から一級河川の大きい木津川へと流れていく。しかしこれは実は京都府の方へ流れていくのだ。しかも出合川の排水口を見るとそこから下流は200mほどがみごとなオレンジ色の川底になっている。しかも上流はきれいな川ではないが藻はあるのにそこからまるで藻一本生えていない。水は透明なのにだ。ぶきみでなんなのだこれは。

「酸化二鉄のせいかな」と言うと、
別所さん曰く「酸化二鉄は凝縮剤だし沈殿してしまうから違う。残滓やプラスチックに含まれている金属のせいでは。あの小さな沈殿層では取れずにここで沈殿しているんだろう」とのこと。つまりは川200mあまりが沈殿層と化しているわけだ。

 それにしてもやはりゴミ処理場は県境に作られ悪いものは県外に流れていく。京都府へ流すここも変わらないと思った。

 後で、出た話だが、「奈良市からみんなプラスチックごみはきれいに洗うように指導されている。それで自治会や生協でもみんなで確認され言われている。それなのになんなのだあれは。もういやになった。あんな風に埋めるのならそんな事する必要ないじゃないの。」

 本当に何とかしなければと思ってしまう。


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