イスラムと欧米の関係の歴史

イスラム文明の高さ
 イスラムに対する偏見に一般的にはみんな満ちみちているようですが、ここで歴史の確認。イスラムはギリシャローマ文明衰退の後トルコ帝国もあり、アラブ圏に巨大な都市文明を築き上げました。ギリシャローマ文明の多くの書籍も翻訳。末期にはバクダッドに世界最大の図書館を作りました。ところでイスラム興隆の時はヨーロッパはまだまだ辺境の地だったのです。コロンブスがスペインから西へ向かったのも地中海とアラブアフリカ北部とその周辺がイスラムの海だったことにあります。やがてアメリカ大陸を発見しネイティブアメリカンを1千万人といわれるほど使い殺し銀鉱山採掘中心に巨大な利益を生み出しスペイン中心に「発展」を始めます。その第一は暴力的手段ですね。

 そこからイスラムはヨーロッパ白人層の激しい圧迫を加えられるようになります。そして文化的には12世紀頃から現在のスペインとなっているトレドがバクダッドが占領されたとき前記した世界最大の図書館の本が持ち出されその翻訳によりギリシャローマ文明により大きく触れることになります。
 ソクラテス、プラトン、アルキメデスも実はアラブ語書籍からの翻訳文化だったのです。この翻訳がやがてはルネッサンスの大きな原動力になります。それ以来対立が続くのです。テロリストという形で見るのではなく高度な文明の先駆者でありギリシャローマ文明の仲介者という視点が必要です。
 私たちは123456789のような数字を何と呼びます。そうアラビア数字ですね。これもまたアラブイスラム文化の財産をいただいてるのです。

十字軍の意味
十字軍の意味
 イスラムの怒りは、ブッシュ大統領が今度の作戦を十字軍だと発言したようにイスラムを圧迫してやろうというのが欧米社会の側に本音のところであることです。実に十字軍こそイスラムにとって侵略の象徴です。これはキリスト教の聖地であるエルサレムをイスラムが占領しているから解放するとして11世紀末から13世紀にかけて8回にわたり東欧、中近東各地に大軍を送ったのです。これは15世紀からの大航海時代以前の侵略前哨戦というべきものでした。
 イスラムにとってはエルサレムは占領したというよりは、ローマ帝国崩壊後長年の内にイスラム勢力の手に入った土地です。ヨーロッパがキリスト教化する前からの話でヨーロッパ側がキリスト教化したからと行って突然占領呼ばわりされるいわれは無いというのがイスラム側の論理です。それにエルサレムは古代からの名高い聖地で歴史的に70近い宗教や宗派にとって聖地であり、イスラムにとっても創設者ムハンマドを預言者として覚醒させた天使ガブリエルによって死も導かれメッカからエルサレムの岩のドームモスクに魂が来て昇天したのです。イスラムにとっても重大な聖地なのです。
 またイスラムは非常に高い文明を誇っていました。そしてエルサレム解放は口実でまさに十字軍こそイスラムにとっては突然の侵略軍でした。また十字軍はすさまじい蛮行を繰り返します。

十字軍西欧の海外侵略
 11世紀中頃に、地中海をとりまく地中海世界を構成していた西欧、ビザンティン帝国、イスラム圏の三大政治勢力間にバランスの変化が起こりました。それまで閉塞状態にあった西欧が自然条件の緩やかな好転により生産流通の向上と人口増加が起こりました。そしてキリスト教の普及により修道院文化が栄え精神面でも、神学、哲学、法学、文芸の深化が起こりました。そしてロマネスク様式による教会芸術の完成がされました。ここでイスラムに挑戦する体勢が生じたのです。またビザンティン帝国がイスラムの圧迫に単独で対抗できず西欧に救援を要請したのです。これをきっかけに宗教的使命感と共に、政治的、経済的、軍事的野心を満たす好機として、聖地解放を大義名分とする武装巡礼団を対イスラム遠征軍として派遣することになったのです。
 西欧では海外進出の気運が全階層に高まり関わることになります。未知なる東方世界へのあこがれと生活水準や社会身分の向上を望む欲求が結びつき、持続的で大規模な海外侵攻が起こったのです。
 これは戦前の日本の中国侵略の時とまさしく同じ状態ですね。

十字軍を考える
 まだ民主主義が登場したわけではなく世界政治が始まった時代ではありませんので絶対にいけないとはいえないですが、西欧にとってほめられるような行為ではありません。まさに侵略そのものなのです。


○参考資料 小学館『日本大百科全書』「十字軍」


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