平成10年9月4日 緊急市民集会「どうする情報公開法」報告


日  時: 平成10年9月4日 13時〜15時30分
場  所: 衆議院第1議員会館第1会議室
参加者数: 市 民   104名
      議 員     9名、  代 理  3名

(1)情報公開法案の現況と見通しについて
  先の通常国会に提出されたが、継続審議となった。開会中の臨時国会(10月6日まで)でも、未だ委員会審議すら行われていない。衆議院は内閣委員会、参議院は総務委員会に付託されているが、いま国会は、金融関連一色の状況にある。市民集会が開かれていた時間に、衆議院本会議で菅民主党党首による野党案の主旨説明が行われている最中であった。金融問題のあおりを受けて、とても審議に入れない状況にある。

  市民集会では、各発言者から情報公開法の重要性と早期成立を求める意見が相次いだ。これに応えて各関係議員から、今国会での成立に努力するとのあいさつが行われたれたが、とても成立は困難ではないかとの印象を受けた。なかには、政局の成りゆきによっては、“解散総選挙”もあるかも知れないし、その場合さらに先送りになることを心配する声もあった。

(2)基調報告と問題点について
                三 宅 弁護士(情報公開を求める市民運動)
  法案審議は遅れているが、参議院の構成からみて、政府案を修正するチャンスである。
 そのために関係議員に働きかけて、今国会での成立を目指したい。

 ・知る権利の明記
  政府案にはないが、最近の判例からして明記は可能である。
  東京都審議会は、政府案作成メンバーと同じだが、合意が得られず、「都民が知ろうとすることに云々」となった。

 ・特殊法人の扱い
  国会答弁で小里長官が「2年以内に法律を提出する」と約束し、橋本総理も確約した。

 ・対象とする文書
  個人メモは除くが、組織として使用したもので検討中のものを含む。

 ・手数料
  実費のすべてを含む。その範囲が問題であり、動燃の黒塗り書類で1枚千円の事例がある。
  東京都では、公益目的での手数料減免を検討し、商業目的との区分を明確にしようとしている。

 ・住所地裁判(管轄裁判所)
  本庁所在地である東京地裁になっている。
  先の政府答弁では、「特例では対応できないのかどうかは、国会の判断」としており、修正に含みがある。

 ・不開示とする文書
  個人識別以外は公開の方向である。
  公務員の氏名は、課長級以上を公開する地方条例が、山梨、千葉など10県ある。

 ・法人情報(特約)の扱い
  客観的な条件を入れることになっているが、範囲は狭められそうである。

 ・不開示対象の情報
  防衛、外交、犯罪捜査など行政長の判断によるとなっている。
  政府案は「…の恐れがある」、野党案は「…が明らかである」の違いがある。

 ・文書の不存在
  規定を設けるかどうかで意見が分かれる。

  全体として、情報公開法の扱いについては、早期成立を計るのか、それとも修正にこだわるのか、意見がわかれる。地方の条例をみていると、情報公開に関しては、「早く作って、育て行く」ことが賢明なのではないか。

(3)その他の主な発言
 ・清 水 弁護士(東京市民オンブズマン)
  地方ではかなり進んだが、中央で遅れている。最近の出来事(金融問題、防衛庁など)は、すべて情報の未公開から起きている。情報公開法は不十分だが、国民主権を確立する手立てとしてどうしても必要である。

 ・江 菅 氏(安威川ダム反対市民の会)
  大阪は、「知る権利」が明記されているが、府の対応は不十分であり、運用が大切だ。
  罰則規定を設ける必要がある。裁判に勝ってもむなしさが残る。

 ・秋 田 弁護士(大阪市民オンブズマン)
  太田長官は「微妙なバランスは崩せない」と言っている。早期成立には妥協点を絞って提示するのがよい。
  国は裁判を避けたがっており、東京地裁に専門部を設けて、処理しようとしている。

 ・岡 本 氏(知る権利ネットワーク関西)
  特養建設での岡光事件はいまも行われている。大阪市帝塚山福祉会の例では、国と市の補助金が未登記の法人に交付された。しかも選考委員会の事前に決まっていた。
  国の情報が取れないのが問題だ。早期成立を求めて要望書を出す。

 ・野 村 氏(知る権利ネットワーク関西)
  地方の実情をみていると、条例も大事だが、どれだけ情報が実際に使えるかが問題だ。
  公務員の氏名公開も裁判などの積み重ねが大きかった。
  大阪府の改定も国にらみになっている。早期成立を。

 ・中 村 弁護士(東京市民オンブズマン)
  民事訴訟法の改正が行われる。行政文書の提出命令に関し、公務文書は行政長の判断で保留できる。国会では、一度も審議されず、情報公開法にらみで継続審議になっている。
  問題点は2点ある。刑事事件・少年事件の文書を提出対象としない。情報公開関係法の整備法改正で、第7条 刑事訴訟法は情報公開の対象外とする。


緊急市民集会「どうする情報公開法」 内容

1998年9月4日13:OO〜15:30 衆議院第1議員会館第1会議室

13:OO−13:10 開会あいさつ
            清水英夫さん(弁護士、情報公開法を求める市民運動世話人)


13:10−13: 20 基調報告
            三宅弘さん(弁謹士、情報公開法を求める市民運動運営委員)

13:20−14:00 市民からのメッセージ(50音順)
江菅洋一さん(安威川ダム反対市民の会)
岡本隆吉さん(知る権利ネットワーク関西事務局長)
清水勉さん(弁護士、東京市民オンブズマン)
中村雅人さん(弁謹士)
野村あつ子さん(知る権利ネットワーク関西)  他
※このほかに、会場からも発言を募ります

14:00−14:55 国会議員からのメッセージ(50音順) (○本人、△代理人)
○江田 五月さん(参議院議員・民主党)
○倉田 栄喜さん(衆議院議員・新党平和)
○瀬古 由起子さん(衆議院議員・日本共産党)
○千葉 景子さん(参議院議員・民主党)
○堂本 暁子さん(参議院議貝・新党さきがけ)
△中村 敦夫さん(参議院議員・無所属)/メッセージ
△深田 肇さん(衆議院議員・社会民主党/メッセージ
○福島 瑞穂さん(参議院議員・社会民主党)
△武藤 嘉文さん(衆議院議員・自由民主党)
○北村 哲男さん(衆議院議員・民主党)
○小宮山 洋子さん(参議院議員・民主党)
○瀬古 由起子さん(衆議院議員・共産党)

14:55-15:30 閉会あいさつ
          日和佐 信子さん(情報公開法制定を求める市民ネットワーク・事務局長)

【司会】奥津 茂樹(情報公開法を求める市民運動・事務局長)

【呼びかけ団体】情報公開法を求める市民運動
          情報公開法制定を求める市民ネットワーク
          知る権利ネットワーク関西



[集会アピール] 情報公開法案は修正の上で早期成立を

 現在開会中の臨時国会では我が国の経済再建がもっとも重要な課題といわれています。確かに経済再建は待ったなレの緊急課題ではありますが、それと同じように重要な課題・法案が国会に滞留していることも忘れてはなりません。そうしたものの一つが惰報公開怯案です。

 そもそも今目のような経済状態に陥ったのは、官僚が金融機関の不良債権の実態を明らかにせず、その処理を先送りにしてきたからでもあります。もし、徹底した情報公開が行われていたならばこうした事態を防げたかもしれません。また、今後、政府は経済再建のためにさまざまな政策を打ち出すものと思われますが、長銀への公的資金導入のように巨額の税金を投入したいのであれば、政府は何よりも徹底した情報公開を行い、まずは国民と国会に議論の素材を提供すべきです。このように情報公開がいよいよ重要になっているのですから、現在国会で継続審議になっている憎報公開法案の審議と成立をこれ以上先送りすべきではありません。国会は優先的に惰報公開法案の審議を勧め、今国会中の成立をはかって経済再建の前提条件を早急に整傭すべきです。

 もちろん情報公開法を早期制定するといっても、どんな内容でも良いというわけではありません。政府が提出した法案にはいくつかの致命的な間題点があります。野党各党が対案として提出している法案を参考にしながら、各党が話し合ってその修正を実現してほしいものです。
 以上のことから、情報公開法案を修正の上で臨時国会で可決・成立させることを各党に強く要望し、これを集会アピールとします。

1998年9月4日

緊急市民集会「どうする情報公開法」参加者一同


各地からのメッセージ

 緊急市民集会「どうする情報公開法」を開催するにあたって、各地の市民や団体からメッセージが寄せられました。ここでは、メッセージ全文を原文どおりに掲載しました。

【個人】

○伊東 晴美(市民オンブズマン福井)
 先に閉幕した通常国会で情報公開法案が先送りになつた。その法案の焦点の一つに特殊法人を対象に含めるかどうかがあった。特殊法人には国からの委託事務などを通じて実質行政の一部を担っているものが少なくない。当然その事業内容が国民生活に与える影響は大きく、また国が資本の二分の一以上を出資している法人の会計は会計検査院の対象になる。こうした団体を情報公開制度の対象外にすることはおよそ合理的とは思われないが、現在の地方自治体の条例でも特殊法人に相当するものを対象としているものは北海道と高知県だけである。

 ところで最近、労働省所管の特殊法人である労働福祉事業団が傘下の医療機関で、職員とその身内に対して自己負担分を請求せず診察を続けていたことがわかった。会計検査院の度重なる指導で九七年末に廃止されたらしいが、免除総額については記録がないという。事業団の理事のコメントは「職員の福利厚生の一つだったが、時代の流れに合わなくなった」と言う理解し難いものだった。労働福祉事業団の労災病院などの施設建設や設備費は国の特別会計から支出され、職員はみなし公務員である。特殊法人を対象に含めた国の情報公開制度の早急な成立を望みたい。(98年7月23日 福井新聞読者投稿欄掲載)

○中野 恵子(神奈川県平塚市)
 日本は列国から劣国になってしまうのでしょうか。明らかにされることを恐れない政治、行政の仕組み。情報報公開法を作れば普通の健全な国として生き残っていけるでしょう。もちろん私たち一人ひとりがその“法”を活用していかなけれぱなりませんが。

○西川 進(板橋区、税理士)
 主権者が納めた税金を使い集めた行政が持っている情報は、主権者のものです。病名・氏名のような個人のブライバシーに関する事項を除き、国民から情報開示請求があった場合は、すべて答えなくてはいけないと思います。

○前田功(東京都町田市)
 情報公開法が施行されるということは、行政内細こある膨大な情報がお役人たちのものから市民のものになるということです、官僚にとっては、今まで自分の物として思いどおりにできていたものが、他人からの預かりものになるという180度の大転換なのです。オリの内と外ほどの違いがあるはずです。それだけに抵抗も多いと思いますが、ここまできたんですから、一気に成立に持ち込まなけれぱと思います。

○悉地 藤也(東京都中野区)
 日本国憲法の前文で主権在民が明確にされているにもかかわらず、現実には主権(法律を作ること)は、官僚が握っております。なぜならぱ、官僚は国民に何も説明しなくても罰せられません。もし、憲法の前文どおり主権が国民にあるならぱ、官僚は国民に説明する義務が発生することになります。つまり、これまで情報公開法が法律になかったことこそが異常であって、この法律を成立させることこそ、国民から選ぱれた皆さんの責務であることを肝に銘じて行動していただきたい。

○佐村木 末彦(市民オンブマン福井)
 ここ1、2年の中央省庁の官僚による汚職等の事件は、わが国の国家機構そのものが機能不全状態になりつつあることを露呈したことに他なりません。なぜこのような事態に至ったかは、すべての情報を官僚がコントロールし、機構維持のため、差し障りのない情報のみを国民に知らせ、不都合な情報は包み隠しつづけたため、政策形成過程に反映されず、今目の金融機関不良債権間題の低迷を引き起こす主因となった。
 問題解決のためには、「情報公開法」の早期成立を図ることが将来の再発防止をも含め不可欠であります。この法律は現在進行中の事件に直接的に係るものではありませんが、例えぱ、生命の根幹である「空気や水」のような存在でなけれぱならないと思います。ぜひぜひ成立に全力を尽くすことを期待します。

○美濃 幸雄(池田 市政・議会を守る会)
 平成10年5月21目に開催された内閣委員会に大阪府より委員会の傍聴のため上京いたしました。政府案につきましては、種々間題点があり(問題点が数多くあり、一つ一つ列挙いたしませんが)基本的には日弁連案が良いと思います。今後とも、国民のための情報公開法を制定すべく国民全体が頑張ることが必要と思っております。

○真鍋 てるみ(開かれた議会をつくる会・愛媛在住)
 国民の知る権利と、政府行政への信頼を取り戻す方法として、一目も早い「情報公開法案」の制定を希望しています。この国の議員(政治家)は本当に国民の方に顔を向け、私たちをしあわせにしてくれることを考えているのだろうかとかと不安がつのります。
 時代の変化と、国民の二一ズを考えると「情報公開」は避けて通れない問題だと思います。21世紀にならないうちに早期の実現を切にお願いいたします。

○山本 道治(市民オンブズマン兵庫)
 情報公開法制定は民主主義政治を国民(市民)にとりもどす不可欠の法案であり、早期成立がもっとも望まれるものです。他の法案にかまけて先送りにすることは許されません。加えて、議会並びに特殊法人等、関係機関を実施対象機関に入れることは必須であります。さらに、訴訟が当該訴訟人の最寄りの司法機関で実行できることが不可欠であり、現在の政府案では、この点不十分で是非でもこの点を修正・加筆の上、早急に議決の上成立するようご努力くださるよう要請いたします。国民(市民)の一人一人が強く待ち望んでおります。

○鶴間 さつき(情報公開法を求める市民運動・山梨県大月市在住)
 主権を国民の側に取り戻すため、日本を真にひらかれた国にしていくために、「情報公開法」の早期成立を求めます。

【団体】
○市民オンブズマン小さな風からの会(事務局:山口県下関市)
 早期成立を目指してください。

○市民オンブズマン(大阪) 
 来る国会での情報公開法の制定は必要の課題です。欧米から4半世紀も送れている立法は内客的には勝れたものであることが必要です。情報公開は住民とともに歩みます。住民がその実現にアクセスしやすいものにして下さい。

○都・市民・オンブズパースン委員会
 第5回市民オンブズマン全国大会へ参加しました。そこでも議論されましたが、コピー代・裁判地の問題はぜひ良い方向で解決してほしいと思います。

○オンブズマン鹿児島
 政府案が要綱案よりはるかに後退した内容になったことは残念ですが、それでも長年の情報閉塞状況を大きく変革させるでしょう。世界の尺度でみるなら、特に目新しくもない法案づくりに19年間もかかっている訳ですから、政治の怠慢と言えるでしょう。世界中から袋だたきにされている目本の評価の高めるためにも、情報公開法の制定を急いでください。

・不開示条項をもっと絞り込んでください。
・閲覧手数料を徴収しないようにしてください。
・不開示処分の取消し訴訟を原告住所地で起こせるようにしてください。

○情報公開をすすめる新潟の会
 愛媛県でも条例が可決されました。全都道府県で情報公開制度ができたにもかかわらず、法律案が可決されないのは怠慢です。一日も早い情報公開法の制定と、国民主権を実現する修正を求めます。

○市民オンブズマン河南(大阪府)
 すべてが振り出しに戻ることのないよう、このチャンスを十分活かして、今国会において情報公開法案の成立することを期待します。

○情報公開を考える長野市民の会
  皆さまとともに参加できなくて残念です。ご苦労様です。情報公開法を今の臨時国会で制定してください。折角ここまできたのですから廃案になることは絶対に避けてください。「知る権利」が保護されてこそ、私たち市民は真実をみきわめることができ、それに対応して安全に生きることが可能になります。幸福追求権の基本になる大切な法律です。政府案は間題がありますが、情報公開法を成立させ、使いながら成熟したものにしていけぱ良いと考えています。

(政府案に対する要望)
1.法の目的に「知る権利の保障」「行政の監視・参加」を明記すること
2.閲覧・視聴については、手数料を無料にすること
3.請求者住所地で裁判を起こせるようにすること世界にほこれる理想的な情報公開法が一目も早く制定され、平和憲法を生かすことができることを、希望しています。

○神戸空港を考える会(中田 作成)
来年6月から環境アセスメント法が施行されます。アセスメントが十分に機能するためには、情報公開が不可欠であり、情報公開を欠いたアセスメントの無力さを私たちは痛感させられてきました。こうした意味からも、情報公開法の早期成立を切望します。「情報公開なくしてアセスなし!」

○よこはまオンブズマン
 21世紀を迎えるというのに、このような公開しない状況は、税金で給料を払われている人として恥かしくないか、おかしいと思いませんか。情報公開制度の早期成立を求めます。

○かわさき市民オンブズマン(代表幹事奥田 久仁夫) 
 情報公開実施対象に特殊法人等もぜひ加えて国民の直接の監視下に置くようにすべきである。道路公団、石油開発公団等は巨額の補助金を受けながらその使途は不透明で、しかも巨額の赤字を続けて不健全な経営を行っている。その原因と責任が明確にされなけれぱ、税の垂れ流しが永遠に続くこととなる。

○暮らしの中から政治を変える女たちの会(大阪府高槻市)
 情報公開法の早期制定を!政府案の修正を!もどかしい思いで国会情勢に注目して います。一日も早く法が制定されることを心から願っています。政府が提出した法案 には、いくつかの大きな問題点があります。とりわけ私たちは手数料についての条文 に危機感を持っています。制度は利用するうちに前進することは全国各地の自治体の制度で証明ずみです。

1)まず、誰もが利用できるように公開にかかる一切の手数料を無料とすること。
2)そして前進を可能にするのは、救済制度です。不服申立て、裁判は、請求者の居住地でできるようにすること。以上2点はぜひとも政府案の修正を求めたく思います。


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