平成10年10月26日
奈良新聞社
代表取締役 甘利 治夫

 8か月前の去る2月に明らかになりました震災義援金問題で、奈良新聞社は新聞に対する読者の信頼と信用を著しく損ねてしまいました。県民・読者および世論の厳しい批判を受けますとともに、日本新聞協会からの除名という厳しい処分となりました。この問題の重大さを直視するとともに深く反省してまいりました。

 改めて県民・読者の皆様におわび申し上げます。この間、社内的な処分を行いながら、二度とこのような問題が起きないよう、遅々としておりますが報道・言論機関としての抜本的改革、読者への信頼回復への努力を続けてまいりました。

 こうしたなかで、去る7日の日本新聞協会理事会におきまして、奈良新聞社の同協会への再加盟を認めていただきました。復帰できましたことを、心から感謝申し上げますとともに、改めて倫理団体の一員として自覚し、新聞倫理網領の精神を確認し、高い倫理水準を求めてまいることをお誓いするものです。このことで、今回の震災義援金問題が許されだわけではけっしてありません。県民の皆様にお約束しました諸改革を、誠実に進めてまいります。

 また除名期間中は、組織的にも未成熟な小さな新聞社でありますが故に、皆様(報道機関)方に対しましても対応のまずさが多々ございました。しかしながら深いご理解をいただきましたことを心から感謝申し上げます。とくに各記者クラプにおかれましては、弊社の取材活動に特別の便宜を図っていただきました。これにより地方紙としての報道の使命を果たすことができました。異例中の異例の配慮でありましたことを、ここに感謝申し上げます。

 奈良新聞社は昭和21年の創刊以来、本日(26日)52周年という節目の日を迎えました。こうした状況下で「創刊記念日」を迎えることになりましたが、ささやかな社内式典を行い、改めて創刊の精神に立ち帰り、奈良県の地方紙として再出発することを決意いたしました。

 この節自の日に、この場をお借りいたしまして、改めて県民・読者の皆様におわぴ申し上げます。そして再生へのお約束をさせていただきます。

 ここで改めまして、これまでに実施してまいりました処分・改革内容およぴ現在進めております改革についてご報告申し上げます。これは日本新聞協会および協会理事社・監事社の皆様にご報告した内容です。

 @2月6日付で西島謹二・取締役会長が辞任し退社、渡辺忠夫・代表取締役社長が代表取締役を辞任し取締役に、甘利治夫・専務取締役が常務取締役、井忠義・常務取締役、矢ケ井敏美・常務取締役がそれぞれ取締役に降格、同日付で甘利が代表取締役に。

 A3月10日に、今回の問題を第三者の弁護士(中村悟弁護士)を委員長とする調査委員会を設置して事実関係をまとめ、その結果を公表、翌11日付本紙で調査内容全文と今後の対応につきまして発表いたしました。

 B6月25日付で前代表取締役の渡辺忠夫・取締役が辞任し退社。

 C6月26日の株主総会で、社外から元電通大阪支社経理局次長の鈴木幹夫氏、社内から林貞行・編集局長、上田達雄・企画局長、武智功・総合企画室次長、高濃正嗣・中南和支社長の4人が新たに取締役に就任し、経営陣の刷新を図りました。

 D甘利、井、矢ケ井の3取締役は、新聞業界を取り巻く経営環境の厳しいなかで、経営の安定を図った上で進退を決めることを発表しております。

 E取締役報酬を10%カットいたしました。

 F代表取締役の諮問機関となる「倫理委員会」を設置し、西川彰・奈良文化女子短大学長(元奈良県教育長)を委員長として、菊池攻・奈良トヨタ自動車社長、金岡蓉子・元「雑記帳の集い」会長(元小学校教諭)と、社内から井忠義・取締役総合企画室長(元編集局長)、武智功・総合企画室次長、北岡和之・編集局社会部長、加藤まや・編集局社会部課長(労組委員長)の4人をメンバーとして、すでに5回の会合を開きました。近く答申が出る予定です。この答申内容を誠実に履行してまいります。

 G新聞社としての報道・言論の公正さをより高めるために、これまで休眠状態であった「記事審議委員会」(会長、田中誠二・元奈良交通社長=本年4月死去)復活のための検討会を開いており、まもなく人選を終え再開いたします。新たなメンバーで紙面審査機能の充実を図ってまいります。

 H読者の声を聞くための「読者モニター制度」を発足させるため去る21日に公募の社告を発表いたしました。

 I倫理意識の向上を図ることと、能力開発を目指し、「社内研修制度」を早期に作り上げてまいります。すでに検討を始めました。

 このほかの報告事項は次の通りです。

 J西島氏(元会長)が所有する株式のすべての株(1246株)は、去る6月に本人から会社へ譲渡したい旨の意思表示があり、これを受理し株主総会後の取締役会で協議して新取締役らに譲渡承認いたしました。

 K西島氏が行ってきた債務保証につきましては、取引金融機関と交渉の上で解消し、6月末をもって、甘利をはじめとした他の取締役らの債務保証に切り替えました。

 L先の報告書で明らかになりました船場センイ卸売センターが得た利益分につきましては、原資が義援金という性格から、購入先に対して適切なアドバイスを行ってまいります。もし理解が得られない場合は、県民に約束した私・甘利個人が年度内に責任をもって対応いたします。

以上、簡単ではありますが、ご報告させていただきました。

 真に「県民とともに歩む」地方紙として、そして奈良県を代表する報道・言論機関として再生していくことこそが、信頼回復の道と信じております。改めて52年前に創刊いたしました「大和タイムス」(現・奈良新聞)の精神に帰り、二度とこのような事態が起きないよう、さらなる改革を図りながら、全社挙げて信頼回復に努めてまいることをお誓い申し上げます。

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