
ThinkPad 235(以下235)を乗り物の中で実際に使用していて感じたこと,使用上の注意などを,僕の使い方を交えて記そう。必ずしも(総論)で述べた短所長所に触れていないのは,僕が実際に使っているなかで便利・不便利を感じていない事も多いからだ。一つの使い方の例,使用レポートとして読んでいただければよい。
★ 乗り物の中で使ってみる
電車に乗って,膝の上で235を開き,スイッチを入れてPCを立ち上げる。
Windows 98が起動して入力可能な状態になるまで,およそ1分半である。この時間は,それほど長いとは思われない。僕は座席に座って235を使う。場合によっては駅のベンチで打ちかけたものの続きを車内に持ち込むこともある。だが,立ったままでは危なっかしいことこの上ないので,まず使わない。
通勤電車の乗車時間はせいぜい30分程度なので,あまり大きな仕事はしないが,電車の中にもPCが使える環境があるのは便利だ。主な用途は文章の作成や修正,それにデータの確認など。根気の要る作業は一切やらないことにしており,スケジュール機能も立ち上げに掛かる時間を考えると,メリットが薄いのでこれも行わない。よく電車の中でPHSや携帯電話を用いて通信を行い,メールを落としたり返事を書いたりしている人を見かけるが,僕の場合,そこまで緊急に通信を行うわねばならないようなケースはほとんどない。ただ,携帯電話による通信は国内では常時出来る体勢をつくってある。
乗車時間が長い場合には,いろいろなことが出来る。急ぐ仕事があればするし,旅行だったら,読み物を読むこともあれば,旅行記を書くこともできる。また,パソコン通信のホストにアクセスして情報を落とすことも,家から持ってきたログを開いて読むことも出来るであろう。
バスで235を使用する事はほとんどない。それはバスに乗っている時間が普通は極端に短いからだ。しかし例えば長距離バスに乗る場合,列車や電車に準じて235を活用することは出来る。
飛行機に乗る場合,PCを手荷物として持ち込むのは勿論だ。離陸を待っているとPCを開きたくなることがあるが,離着陸の際には飛行機の電子機器の誤作動を招くので,絶対に使ってはいけない。飛行条件が特に悪くなったときも,操縦士が特別の操作を行ったり,機体が揺れて万一の損傷があることも考えられるから,PCの使用はなるべく控えた方がよかろう。しかし通常のフライトでは,長時間椅子に座っている状態が確保されるのだから,PCを使わない手はない。飛行機では新幹線や在来特急,長距離バスと同じようにこれを活用することが出来る。機内電話はまだ実用段階にない。飛行機によっては通信が出来る端子を備えたものも登場し,アメリカでは順次実戦に投入されているが,コストはまだまだ高い。必要な通信は飛行場の電話機で搭乗前に済ませておくべきだ。
235を乗り物で使う場合には次の点が長所であろうと思う。
1)駆動音やキーを打つ音が小さいので周囲に迷惑を掛けることが少ない。
機種にもよるが,駆動音がうるさかったり,キーを叩くとカチャカチャ音がする場合,周囲の人には迷惑だ。ウォークマンやCDウォークマンを大音量で使うのと同様,マナーに反する事だから気をつけたい。だが235に関する限り,その心配は余りない。神経質な人はどこにでもいるだろうが,235は基本的に場所を選ばず使える機種である。
2)サスペンドに入るまでの時間が短い
サスペンドするには,フタを閉じればよい。235では,フタを閉じてからHDが回転を止めるまでに掛かる時間が,ほんの数秒程度,10秒に満たないのがよい。HDが回転しているのにPCを揺らしたり縦にすることは非常に危険である。HDは非常に高速で,しかもごく僅かな隙間をつくってデータを読み書きする作業を間断なく行っているのだから,最悪の場合,ディスクを傷つけて交換を余儀なくされる。もちろん235ユーザーも,なるべくFDが停止したことを確認して鞄に入れる癖はつけておいた方がよい。
3)膝に乗せやすい
235の筐体は,車内でも膝の上に乗せるのに丁度よい大きさだと思う。データによっては読みづらい事があるが,この場合,本体を持ち運ぶ鞄をPCの下に敷く。僕の場合は車内で読むことを念頭に置いているので,フォントを大きくしてあるソフトもある。フォントを大きくすれば,当然表示される行数は少なくなり,それが困る場合はある。何をするかによってフォントの大きさは工夫しなければならない。
膝の上で使っているとき,床に落下させる事が何より怖い。通勤中に自分が車内で飲み食いをすることはまず無いが,雨の日,周囲の乗客の持ち込む水滴がPCの上に落ちることはあるから,水滴への注意は必要だ。長距離移動の場合は僕も飲食をするケースがある。乗物は揺れるから,油断してはならない。油や塩のついた手でキーボードを触るのは最も悪い。飲食とPCとはなかなか両立しないと思った方がよい。
4)画面が程良くみやすい
235の画面は9.2インチTFT液晶(800×600ドット,262,144色)である。画面の輝度は適宜落として使うが,見づらいと感じたことは余りない。9.2インチという大きさは,このサイズのPCでは最大だ。またTFTの画面は,隣の人に見られても気になるような鮮明度がないから,たまにちらりとのぞき込む人があっても,あまり気にせず作業を継続できる。
画面が非常に見づらくなるのは直射日光が直接画面に当たる場合で,日中ロングシートの在来線の座席,日中のタクシーがよくない。電車の場合はシェードをおろすが,タクシーの場合は諦めるよりない。
5)バッテリーの残量がよく分かる
235には,基本OSにWindows 98を入れて駆動している。バッテリーインジケータは右下に画像で表示されるので,これを見ていれば,突然警告音が鳴って驚いたり,シャットダウンしてしまうというトラブルは無くて済む。バッテリー残量の表示は比較的正確で,1の位まで%表示されるので,これを目安に駆動していれば,まず裏切られる心配はない。
なお,長時間の駆動が考えられるなら,予備バッテリーを必要に応じて持つことになるが,PCを駆動しながらバッテリーを交換できるのは,大いなるメリットである。予備バッテリーは1個当たり90グラムと軽量だから,大容量バッテリーのように嵩張ることはまずもってないだろう。
気をつけたいことは,サスペンド時の電源使用量が,駆動時の35Wの1/10,約3.5Wあるということだ。サスペンドしたから安心していると,電気は確実に消費されてゆく。一旦鞄に入れたときなど,うっかりするとサスペンドしたことに気づかないおそれがあるから,要注意である。
注意すべき点
幾つかの注意はこれまでに記してきたが,この他に注意すべき事を加えておこう。
1)落とし物に注意
235は拡張性の高いPCである。従って,ケーブル類,PCカード,フロッピードライブ,FDなどの周辺機器を随時随所で接続し利用することになるから,席を立つときにはよく気をつけて自分の座席とその周辺を見てから降りる必要がある。
差しっぱなしにしていたはずのPCカードがない,携帯電話のケーブルがないと,あとで泣いてもこれはきっと泣ききれない。
2)カバー脱落も要注意
235の後部中央には,パラレルポートのカバーがある。右側側面にはシリアルポートのカバーがある。そして底部から側面後方にかけて,バッテリーカバーがかかっている。ところがこれらのカバーは比較的薄手で貧弱だ。現実問題として,移動中の脱落の危険も大きいから注意が必要だ。
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