カナダ移民法最新情報

当会発行の1997年版日本語による法律講習会「改定された移民法」が収録されています。その内容にかんする訂正を含めた最新情報が移住コンサルタント、タッド・カウェキ氏から寄せられました。(文責:鹿毛)
ファミリー・クラスビジネス移住自主移民プログラムビザ取得まで


 移住申請手続きのシステムの簡略化が進んでいる。そのために査証発給事務所(ヴィザ・オフィス)の再編成が行われている。原則としてカナダ国外の大使館査証部などのヴィザ・オフィスを通じて申請することになっている点は従来と変わらない。しかし、1996年に取り扱う申請件数が少ないヴィザ・オフィスが閉鎖されたり、あるいは査証発給広域処理センター(APC=Area Processing Centre)とその支所(satellite visa offices) に再編成されたところがある。たとえば、バッファローやマニラにこのAPCがある。APCのオフィスは自主移住の申請を受け付ける。そして、面接が必要かどうかを判定する。(ビジネス移住についてはAPCに申請する必要がない。)そこで申請者はバッファローAPCかあるいはバッファローの支所であ るデトロイト、ニューヨーク、シアトル、ロスアンジェルスのいずれかで面接を受けることが出来る。移住のための面接を東京の大使館査証部で受けることを希望する人は、東京がマニラAPCの支所となったため、申請をマニラのAPCに送る必要がある。ヴィザ・オフィスによる取り扱いの違い、かかる日数の違いがあることは従来通り(現時点ではマニラは日数がかかる)。近い将来にヴィザオフィスの閉鎖がさらに行われる可能性は少ないと予想される。
 国内の移民局の再編成はすでに実施済み。カナダ国内でのヴィザの延長はアルバータ州ヴェルグルヴィルで、家族の呼び寄せはオンタリオ州ミセソガで一括処理される。各地域の移民局に電話して申請書類を取り寄せ、郵送で申請する。ヴィザ延長には約25日、家族呼び寄せには約12ヶ月かかる。
 移住申請手続きも簡略化が進んでいる。マニラ、したがって東京でも齟i階申請書類、処理手続きpされている。この方式では一括して書類を送ることになる。その準備段階で不明な点の問い合わせの必要が起こりがちであるが、「最近の職員削減により、査証担当官に問い合わせて助言を得ることが非常に難しくなっている」とカウェキ氏は言っている。
 この一段階処理について、従来、審査の対象となるか否か、そして面接の必要の有る無しについての返事を「45日以内に」することになっていたが、1997年5月1日の規則改定によりバッファローなどAPCやヴィザ・オフィスは「90日以内」に返事をすると、改められている。


ファミリー・クラス(FAMILY CLASS IMMIGRATION)

 まず家族の呼び寄せのための「ファミリー・クラス」について見てみよう。これの特徴は「改定された移民法」に記してあるように、カナダ市民や既に移住している人が近親家族を呼び寄せる際に適用されるプログラムで、呼び寄せる立場にある人がスポンサーとなり、家族の移住申請の手続きをする。
 改められた点として、ファミリー・クラスの家族を呼び寄せるためのスポンサーとなるための所得額が引き上げられている。「最低所得水準」(low income cut off figures)と呼ばれるものが基準になっている。1997年2月14日から1998年2月28日に適用される現行の数字は、地域と家族の人数によって変わるが、ローワーメインランドの場合は以下の通りである。
家族の人数 所得額
1人$17,132
2人$21,414
3人$26,633
4人$32,238
5人$36,036
6人$39,835
7人$43,634
それ以上一人加える毎に$3,799
この数字は年収(税引き前の総所得)で、T-4スリップや所得税申告書などから自分の所得がこの数字以上かどうかを判断出来る。
 この数字の見方は以下の例を参照して頂きたい。あなたが独身で扶養家族がなく、未亡人となった母を呼び寄せる場合、あなたと母親で2人、母親のスポンサーとなるためには、最低21,414ドルとなる。4人家族が両親を呼び寄せるなら、合計6人の39,835ドルの税込み年収が必要になる。カナダ政府は自分の家族や呼び寄せた人の生活が経済的に保証されない呼び寄せを認めない方針。カナダ移民局は本人や呼び寄せた人が生活保護を受けなければならないケースの増大を憂慮してスポンサーの制度を厳しくしている。
 重要な新しい規則として、スポンサーは過去12ヶ月間、要求される所得があったことを証明しなければならなくなった。従って、移住した直後に高給の仕事に就いた場合でもすぐに両親を呼び寄せることはできない。ただし、この12ヶ月の規則は配偶者や子供の呼び寄せには適用されないので、たとえば移住直後に妻を呼び寄せることは可能である。


ビジネス移住(BUSINESS IMMIGRATION)

 ビジネス移住は、三つのタイプ、投資家、企業家、自営業者に分けられる。
*投資家移住(INVESTOR Class)とは、カナダ政府が指定したプロジェクトの資本金に一定額を投資するという前提で移住が許されるプログラムである。移住を希望する投資家は自己の事業によってあるいは企業に就労の結果取得した実質資産が50万ドル所有している必要があり、しかも、事業を所有し、経営し、ないし管理職として経営に参与した経験が必要である。投資家は政府が認めたカナダの投資ファンドに35万または45万ドルを5年据え置きの投資をしなければならない。言い換えれば、投資家は投資先の企業を経営に参加することを求められていない。
 投資額が最近、25ドルと35万ドルから上記の金額に引上げられている。それに伴い、投資家の実質資産の金額も引上げられるものと予想される。投資家の投資ファンドにかんする法律改定とともにこの金額引き上げが公布される可能性がある。移住者がこの投資プログラムを通じて損をすることが多いので、プログラムそのものの改善を計る必要が感じられている。
*企業家移住(ENTREPRENEUR Class)とは、カナダで事業を始める、ないし買収する、投資する等の前提で移住が許可されるプログラムである。実質資産が50万ドル所有している必要があり、基本的にカナダに移住して2年以内に事業を始め、最低でも一人はカナダ人ないしカナダ永住者(移住者)を雇用しなければならない。企業移住に関するプログラム改定は、依然として検討段階で、実施の見通しは明確でない。例えば、企業移住希望者にも語学能力の規定を導入しようという動きもあるが、中国系ビジネス移住者の大多数が英語、フランス語を話せないという現状から、反発の声が強い。
 日本からの移住希望者でビジネス移住プログラムに興味がある人に助言しているのは、あくまでも自分の経歴・能力を基準にして、投資家プログラムか企業家プログラムかの選択をするということである。たとえば、ある移住希望者が日本で企業の中間管理職クラスの地位にあり、会社の財政、運営に携わった経験を持っているが、語学に自信がないのであれば、投資家プログラムを考慮すべきであろうし、日本で自営業の経験があるなら企業家移住を選択すべきであろう。
*自営業者移住(SELF-EMPLOYED Class)は 本来、芸術家やスポーツ選手などを対象に定められたプログラムである。これは自営業者を対象にしたもので、自営業者ではないがカナダで自営業を営むことを計画している人を対象にしていない。自営業者として移住を申請する人は、事業からの所得金額、どのようにしてその所得を得ているか、カナダで自営業者としてどのように所得を得るか等を立証する必要がある。自営業申請者は実質資産が50万ドルある必要はないが、カナダで生活を始め、ビジネスをカナダに市場に参加して始めるにあたって十分な資金を持っていることを示さなければならない。

自主移民プログラム(Independent Program-Skilled Worker)

 カナダには、ファミリー・クラスやビジネス移民の他に、移住希望者の職業経験や語学能力・教育レベル等を考慮して、カナダの労働市場が必要としている人材に移住を認可するという自主移住プログラムがある。
 1997年5月1日には自主申請者の判定に関係する2つの判定基準に関する移民法施行規則の改定が行われた。
 この改定の理由は職業を確定する資料となっていたCCDO(カナダ職業分類事典) が時代遅れとなったため、これの適用を止め、新しいNOC(National Occupation Classification:全国職業分類、336種 )を適用することにしたためである。今後も職業についてのリストの改定が行われる可能性があるので、図書館でNOCを確認するよう。
 NOCの採用の結果、従来の「特定の職業準備(SVP)」と呼ばれる採点上の要素が「教育と訓練(EFT)」と改められた。採点基準としてのEFTはSVTとは内容が違っている。経験はこのEFTと関連付けて評価される。EFTはカナダで一定の職業に就くのに必要とされる教育のレベルである。以下の表はEFTと経験がどのように採点されるかの例を示している。
教育のレベル EFT 経験 [ ]は経験の最高点
大学院学位18 経験1年につき2点 最高4年 [8点 ]
学士 17 経験1年につき2点 最高4年 [8点 ]
カレッジ 15 経験1年につき2点 最高3年 [6点 ]
ハイスクール卒と専門取得単位取得7 経験1年につき2点 最高2年 [4点]
ハイスクール卒5 経験1年につき2点 最高2年 [4点 ]
ハイスクール中退5 経験1年につき2点 最高1年 [2 点]
学歴・訓練なし1経験1年につき2点 最高1年 [2点 ]
  EFTを理解し計算する際の要点は、 1)申請者の職業がカナダではどの程度の学歴を必要としているか、 2)カナダではその職業に必要とされる最低限のが学歴レベルはどの程度か、の2点である。
なぜかというと、 1)EFT評価基準では、たとえば秘書が大学卒である事が評価されないのである。教育評価基準 (下記、学歴の項を参照)では大学卒業の申請者は15点得られる。 ところがEFT評価基準ではカナダで必要とされる秘書の学歴は「ハイスクール卒と専門単位取得」で7点となる。(以前のSVPの評価基準ではこの秘書は11点得られるはずであった。) この秘書は減点分をたとえばフランス語が堪能のレベルまで勉強して取りもどさなければならなくなった。
 移民局は1997年5月21日付けで職種リストを発表している。 そのリストには、職種EFT、職種点が示されている。特にEFTに関しては労働市場の実状に即さない非現実的なところがあるという専門弁護士やコンサルタントによる批判がある。(たとえば、secretaryと executive secretaryはEFTによって同一の点数が与えられているが仕事の内容が大幅に違っている)
 移住希望者は職種リストを参照し、ETF職種点を知る必要があるが、自分の職種がリストになくてもがっかりする必要はない。自分の技術や技能が他の職種に応用しうるものであれば、その職種で申請が認められる可能性があるからである。そのような別の職種で申請する必要がある場合には経験ある専門家に相談すべきであろう。
職種とETF点、職種点の例
職種 ETF点 職種点
Announcers 15 1
Architects 15 1
Barbers, Hairstylist 2 1
Bookkeepers 7 1
Computer Programmers 15 10
Chefs, Cooks7 10
Copywriters 15 3
Craft Instructors 15 1
Dental Hygienists 15 5
Dental Technicians 15 1
Electrical Electronics Engineers 17 5
Fashion Designers 15 1
Film & Video Camera Operators 15 1
Food Processing Engineers 17 5
Graphic Designers 7 1
Interior Designers 15 1
Interpreters 15 1
Journalists 15 3
Landscape Gardners 7 1
Librarians 18 3
Mechanical Engineers 17 5
Motor Vehicle Mechanics 7 1
Motor Vehicle Body Repairers 2 1
Occupational Therapists 17 10
Photographers 2 1
Secretaries 7 5
Translators 18 1
 日本人の場合、カナダに親戚を持つ人がすくないので、親類援助(assisted relative)の5点の追加が得られない人が多いという点で不利になっている。
自主移民プログラムの採点
 次の10項目について評価し合計70点以上でなければ移住を認められない。
*学歴Education(最高16点):大学院卒=16点、大学卒=15点、短大卒=13点、 高校卒=10点。
*年齢Age(最高10点):18才=4点、19才=6点、20才=8点、21〜44才=10点、 45才=8点、46才=6点、47才=4点、48才=2点、49才以上=0点。
* 英・仏語能力Language acivity(最高15点):英語(又は仏語)の読み・書き・話す能力により夫々Fluent=3点・Well=2点・With diffculty=0点。(英語または仏語の最高点は9点)
* 教育訓練要素Educationa & Training Factor(最高18点):上記のように職種に求められている教育訓練の期間により決まる。
*職種Occupation(最高10点):カナダ国内の需要によって点数が決められている。
*職業経験Work Experience(最高8点):経験1年=2点、経験2年=職種により2〜4点、 経験3年=職種により2〜6点、経験4年=職種により2〜8点。
*雇用の保証Arranged employment(最高10点):エンプロイメントセンタから承認されれば得点できる。
*人口調整Demographic factor(最高10点):現在は一律に8点。
*適応力Personal suitablity(最高10点):面接で移民官により評価され普通5〜7点が与えられる。
* カナダの親戚Relative in Canada(最高5点):ボーナス点として3親等(伯父・姪)までの永住者が居れば与えられる。


ビザ取得まで

*費用
 申請の時に審査費$500(事業移民は$1.000)と入国税$975を払込む。申請が拒否されれば入国税$975は戻される。
*無犯罪歴証明書
 カナダ移民局からの書類を添えて県警本部等に申請して取得する。
*健康診断
 書類審査がパスすると、移民局により指定された医療機関で健康診断を受ける。カナダの医療や社会保障制度に負担になると判断されると拒否されるが、糖尿病の持病程度では不合格とはならない。
 一般的に日本人の申請者は書類も正確で、移民局側の信用も高い。しかし、積極的に自分を売り込むことが上手ではないので損をすることもある。

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