魚雷

魚雷技術
1 目標捜索技術の向上
 マルチビーム
 マイクロプロセッサによるソフトウェア化
2 静粛化
 電動機の静粛化、シュラウドペラの使用
3 高速化
 クローズドサイクルエンジン
4 深深度化
5 炸薬の増加
 成型炸薬弾頭の使用で威力向上
6 アンチ対魚雷能力の向上
7 軽量化
 複合材の使用

歴史

 火薬を詰めた缶を相手にぶっつけるよう工夫 torpedo と呼ばれた。

 第2次大戦で航空機用が出現 末期にはホーミング魚雷が使用される。

 戦後の潜水艦の高性能化が魚雷の高性能化を進めた。

 戦後、実戦で魚雷が使用されたのは、朝鮮戦争のダム攻撃、ベトナム戦争のトンキン湾事件、フォークランド紛争のみである。

 しかも、フォークランド紛争で使用されたのは、英原潜コンカラーがアルゼンチン巡洋艦ベルグラードに対して、第2次大戦型のMK8直進魚雷である。

 第2次大戦後に発展した武器で実戦に使用されたことがない特徴的な例である。ミサイルのように良く使用された例と対照的である。

概要

 潜水艦から発射される大型の魚雷は長魚雷 対水上艦、対潜水艦の両用が主流。米国、西側諸国においては直径533mmが標準で同径の発射管から射出される。

 潜水艦用としては直径483mmもある。この級の魚雷は大きさが小さい分、威力は533mmには及ばないが、自力航走して発進する(スイムアウト)ため発射音が低いこと、1本の発射管に2本の魚雷を装てんすることも可能になるなどの利点がある。

 ロシアには直径650mmの長魚雷が存在する。直径が大であれば内容積に対する表面積が減るので抵抗を低減し、航走性能は大幅に向上する。

 航空機から投下され、または水上艦のアスロック、水上発射管により発射される対潜水艦用の小型の魚雷または短魚雷と呼ばれている。西側諸国では直径324mmが標準である。

 一方、超小型のミニ魚雷、または自走爆雷というべきものも近来出現している。これは航空機のソノブイ投下筒から投下することもでき、正規の魚雷に比して多数搭載できる。価格も低いことから浅深度、低速の潜水艦に対する武器として注目されている。搭載量も少ないため目標に重大な損傷を与えることはできないが、多少とも損傷を与え、能力を低下させた上で正規の魚雷を使用しようというものである。

 現在の魚雷はほとんど全てホーミング魚雷である。ホーミングには音響がほとんど唯一の手段で、アクティブ、パッシブの両方式が用いられる。音響は海底、海面、及び海水中の懸濁物質からも反射され、温度などによる音速変化によっても屈折、反射が生じる。また海中は風雨、波浪、遠距離の船舶、海中生物などからの雑音に満たされている。このような雑音中から目標からの微弱な信号(反射音または航走音)を識別することが最も重要な技術課題である。特に魚雷の場合、ホーミング性能はほとんど公表されていない。

 ホーミング距離は目標のターゲットストレングスや使用周波数により大きく変わる。近来の潜水艦は音波吸収材のコーティングにより音波の反射率を極度に小さくしている。海の深さ、海中の雑音によっても妨害を受け、高速においては自己のエンジン、推進器の雑音、また水流雑音が増大しホーミング性能は低下する。

 長魚雷はホーミングセンサーが大きいので短魚雷より低い周波数が使用可能であり、また年代と共に使用周波数は下がる傾向にあると推定される。非音響のホーミング手段としては水上艦船の航跡を検知して追尾するウェーキホーミングが実用化されている。

 しかし、命中までの時間があるので、カウンターメジャーを受ける確率が高い。魚雷側ではそれに対抗できる性能が最も重要である。

 長魚雷には大量の炸薬が搭載でき、水上艦船及び大型潜水艦に対しても十分な威力を持つが、短魚雷では炸薬量が限られ、大型の2重殻潜水艦では命中しても耐圧殻を貫通できない確率が高い。従って、最新の短魚雷では成型炸薬弾頭を装備しているものが多い。成型炸薬弾頭では目標にほぼ直角に命中することが必要で最終段階での誘導に高い技術が要求される。成型炸薬により生じる貫通口は小さいが、耐圧殻に破口が生じれば小さくても潜水艦にとり重大な損傷となる。

 魚雷の推進力は電池と電動機・エンジンに分類される。魚雷用の電池は大出力、大容量であることが極度に要求され、特殊な電池が開発されてきた。魚雷用の電池は通常乾燥状態に保管され、電解液が注入されて活性化される。塩化銀電池などは海水を電解液として利用するので海水電池と呼ばれる。電解液を別に持って発射直前に電池内に注入する方式もあり、酸化銀電池などが使用される。これらの電池は構造が簡単、静粛で深度圧の影響を受けないなどの利点があるが、容量、出力の点で限界があり、限界があり、さらに高性能の電池が研究されている。このうち酸化銀−アルミ電池などが実用化され、静粛性、深度圧不感性を保ちながら性能を向上している。しかし構造は複雑にならざるを得ない。

 エンジンは容量、出力などの航走性能において勝るが航走雑音が大きい。排気ガスを出すため発見されやすい他、音響でホーミングを行う上に問題を発生する。また深深度では高い外圧のため効率が大幅に低下する。

 一液燃料(オットーフューエル:液体のニトロ化合物を基礎とし、安定剤を加えて常温では安定であるが、高温、高圧下では瞬時に燃焼してガスを発生する)を使用する方式は多くの魚雷に用いられてきたが、これらの問題を有する。しかし構造が簡単で実用性が高いため、他の方法で対処しつつ将来も使用されると考えられる。 クローズド方式は密閉されているため外水圧の影響を受けないため深深度でも性能が低下しない。  また、排気の炭酸ガスは圧縮して排出するセミクローズド方式でもそれほど効率は低下せず、炭酸ガスは水に溶けるため気泡を発生しない。

 長魚雷は遠距離から発射されるため、目標近辺に達するまで母艦から有線で誘導を行うものが多い。魚雷は体内に電線のコイルを持ち、繰り出しながら航走する。現在は細い電線だが光ファイバーを用い、大容量のデータ伝送を可能となるだろう。全ての情報を判断材料に使用でき、特にTCCM性能の画期的向上につながるだろう。

 短魚雷は、着水位置で旋回し目標を捜索するので着水点を中心としホーミング距離を半径とした円内が捜索域である。捜索に時間がかかれば捜索域内にある目標でも逃げてしまう確率があり、またホーミング距離のみが長くても、目標との速度差が小さければ目標に追いつく前に動力が無くなってしまう。従って捜索速度、ホーミング距離、航走速度及び航走距離のバランスが大切である。

 戦術の変化、高価な魚雷に対する反省から新規の開発は各国とも当面計画がない。ミニ魚雷に方向が移っている。

 2重反転式のプロペラは内外軸間の水密が大きな技術課題であったが、1軸はこの問題を軽減できる。

要目

type 2000
製造国 スウェーデン 開発中
種別  長魚雷
直径 533mm
全長 5,750mm
重量 1,314kg
炸薬
航続力 40km
目標探知距離 0m
速力 50kt以下
ホーミング周波数
エンジン
 過酸化水素(HTP)とパラフィン
を動力源
 排気の炭酸ガスは圧縮して排出
 セミクローズド方式
 300kwから25kwまで大きな
出力範囲
 機関部は1回の整備で30回の発射
が行える


type 40
製造国 ロシア
種別  短魚雷
直径 450mm
全長 3,800mm
炸薬  60kg
航続力 15km
速度 45kt
潜水艦、水上艦から発射可



type 43x2
製造国 スウェーデン
種別  短魚雷
直径 400mm
全長 2,800mm
重量 310kg
炸薬
航続力 20km
潜水艦、水上艦、ヘリから発射可
有線誘導可
性能向上計画
 TP45に

type 45
製造国 ロシア
種別  短魚雷
直径 450mm
全長 3,900mm
炸薬  100kg
航続力 15km
速度 30kt
ヘリから発射可
SSN-16の弾頭


type 617
製造国 スウェーデン
種別  長魚雷
直径 534mm
全長 6,980mm
重量 1,860kg
炸薬  240kg
航続力
有線誘導可
性能向上計画
 2000魚雷の技術で向上

type 65
製造国 ロシア
種別  長魚雷
 1981年 運用開始
 対水上艦用
直径 650mm
全長 11,000mm
炸薬 900kg
速度 50kt
航続距離
        50km
 30kt-100km
  ウェーキホーミング
エンジン 
 クローズドサイクル
 または電磁推進
 有線誘導

type 96
製造国 ロシア
種別  長魚雷
直径 533mm
全長 7,800mm
炸薬 300kg
航続力  26km
速度 50kt
エンジン タービン
  ウェーキホーミング
 対潜水艦用には音響ホーミングヘッドを装備
 対水上艦用は電気推進
  炸薬 400kg
  航続力 40kt-15,000m

A184
製造国 イタリア
種別  長魚雷
直径 533mm
全長 6,000m
重量 1,265kg
炸薬 250kg
航続力 25km
速度 24kt
深度 1,000m
銀亜鉛電池
有線誘導

A200
製造国 イタリア
種別  ミニ魚雷
直径 124mm
全長 883m
重量 12kg
炸薬 2.5kg
航続力 
速度 12kt
深度 
電池
着水点から500m以内の目標を
攻撃
銀亜鉛電池

A244
性能向上計画
 国際共同

APR−2E
製造国 ロシア
種別  短魚雷
直径 354mm
全長 3,700m
重量 575kg
炸薬 100kg
航続力 15km
推進 固体推薬のロケット
速力 62kt
深度 1,000m
航続力 最大15km(驚異的)
 ヘリから投下される対潜水艦用
 着水後、無動力状態で探索
 低速で動力装置が作動していな
いため低雑音で、1500mまでの目標
を方位精度2度以内で探知
 ロケット点火後もホーミング
可能か不明

DM2A1
製造国 ドイツ
種別  長魚雷
性能向上計画
 電子装置の換装でA3相当まで向上

DM2A3  seehecht
製造国 ドイツ
種別  長魚雷
直径 533mm
全長 6,080m
重量 1,370kg
炸薬 260kg
航続力  35km 
速度 20kt
深度 300m
電池
性能向上計画 A4型
 MU90のホーミングシステム、電池
を応用


F17
製造国 フランス
種別  長魚雷
直径 533mm
全長  5,406mm
重量 1,406kg
炸薬 250kg
航続力  20km 
速度 40kt
深度 600m以上
目標探知距離 2000m
 Mod2 1989年から使用
  電池動力
  航走能力 40kt20km
  ウェーキホーミング
  有線誘導

LCAW
製造国 ノルウェー、イタリアの共同
種別  ミニ魚雷 
速力 40kt
弾頭 成型炸薬
 魚雷部分にA2000を使用
 米国のULWTより斬新
 着水後、垂直の姿勢で回転しながら
沈降し、サイドのソナーで全周捜索
航走はロケット


MK37
製造国 米国
種別  長魚雷 
性能向上計画
 seahunter:原型を留めない改造
      一液燃料推進

MK44
製造国 米国
 日本でもライセンス生産 
種別  短魚雷 
直径 324mm
全長  2,560mm
重量 233kg
炸薬 34kg
航続力   
速度 30kt
深度 300m
 固定翼、回転翼航空機用、
 アスロック弾頭用
 水上艦発射管用
1953年生産開始
目標探知距離 0m
ホーミング周波数
海水電池を動力源とし電動機を動力
性能向上計画
 国際共同
 南ア:A44 成型炸薬
       電子装置更新

MK46
製造国 米国
 日本でもライセンス生産 
種別  短魚雷
MK44の後継 性能は大幅に向上
Mod5
直径 324mm
全長  2,590mm
重量 231kg
炸薬 44kg
航続力 11km  
速度 45kt
深度 
 固定翼、回転翼航空機用、
 アスロック弾頭用
 水上艦発射管用
1960年代初頭に開発
 65年以降2万本以上生産
目標探知距離 0m
ホーミング周波数
2重反転形式の推進器
エンジン
 外燃式のピストンエンジン
 Mod1以降は一液燃料
      (オットーフューエル)
性能向上計画
 SLEP:浅海面運用能力向上、海底接触防止
 Mod5 性能向上型
 Mod7 対ウェーキホーミング
       魚雷魚雷
 LHT:MK50の誘導制御装置と組み合わせ

MK48  ADCAP
製造国 米国
種別  長魚雷
直径 533mm
全長  5,800mm
重量 1,636kg
炸薬 300kg
航続力 46km  
速度 60kt以下
深度 914m
 原潜の唯一の対潜用武器
1972年 量産開始
目標探知距離 0m
ホーミング周波数
  有線誘導
エンジン
 オットーフュエルUを燃料
とする外燃式(一液燃料)
 ポンプジェット型推進器
 1986年から性能向上型
を量産

Mk50
製造国 アメリカ
種別  短魚雷
直径 324mm
全長  2,896mm
重量 363kg
炸薬 
航続力 12km  
速度 50kt以下
深度 
 MK46の後継
 1970年代後半から開発開始
 1992年 艦隊配備
 重量が大幅に増加
目標探知距離 2700m
ホーミング周波数 25khz
エンジン ボイラで水を熱して
水蒸気を発生し、タービンを回す。
排出された水蒸気は海水で冷却し
て液体に戻し、高圧ポンプでボイ
ラに戻すクローズドサイクル
推進動力源(金属燃料)
 金属リチウムと6フッ化硫黄
の化学反応を採用
 ポンプジェット式推進器
 シュラウド付き1軸
成型弾頭装備

ULWT
製造国 アメリカ
種別  ミニ魚雷
直径 124mm
全長  883mm
重量 12kg
炸薬 5kg
航続力   
速度 40kt
深度 
 ロケット推進


インパクト(MU90)
製造国 国際共同
     (フィンランドとイタリア)
種別  短魚雷
直径 324mm
全長 2,960mm
重量 295kg
炸薬 59kg
速力 50kt以下
深度 1,000m
航続力 14km
 酸化銀ーアルミ電池
 ポンプジェット式推進器
 シュラウド付き1軸

スティングレイ
製造国 英国
種別  短魚雷
直径 324mm
全長 2,590mm
重量 265kg
炸薬 40kg
速力 45kt
深度 1,000m
 電池
性能向上計画
 浅海面運用能力向上

スピアフィッシュ
製造国 英国
種別  長魚雷
 配備中
直径 533mm
全長 6,000mm
重量 1,850kg
速力 70kt以下
深度 900m以下
目標探知距離 
ホーミング周波数
 有線誘導
エンジン
 一液燃料と酸化剤(HAP)の組み合わせ
出力  900HP
速力 70kt 浅深度では81ktを記録
   攻撃時の速度は55kt

タイガーフィッシュ
製造国 英国
種別  長魚雷
直径 533mm
全長 6,460mm
重量 1,550kg
炸薬 
速力 50kt
深度 
航続力 21km
目標探知距離 0m
ホーミング周波数
エンジン 電池
有線誘導

製造国 
種別  魚雷
目標探知距離 0m
ホーミング周波数
エンジン

 対魚雷防御

 現在の魚雷はホーミング魚雷であるが、目標にロックオンしてから発射されるのではなく目標の近辺まで誘導され、または近辺に投下された後は自力で目標を探索しなければならない。魚雷の存在は着水音、航走音、また探信音などでしることができ、ロックオンされる前に回避できる可能性はあるが、いったんロックオンされれば回避運動だけでは命中を防ぐことはできない。従って、対魚雷防御としては魚雷にロックオンされることを防ぐ(母艦からの誘導への妨害も含む)、ロックオンした魚雷を混乱させる、魚雷に物理的な損傷を与え、機能を失わせるなどの手段がある。

対魚雷魚雷、対魚雷爆雷

 対魚雷の防御システムとしては魚雷を探知、測的するソナーや指揮管制装置を含むが、防御手段としては、大勢力、広帯域の雑音を発生して魚雷のホーミング性能を相対的に低下させるジャマー、目標を音響的に模擬して(パッシブホーミングに対しては疑似航走音を発生し、アクティブホーミングに対し目標からの反射音に似せた信号を返信)魚雷を異なる方向に誘引するデコイなどのソフトキルなどがある。これらの手段は平行して、または縦深的に組み合わせて使用される。

 魚雷が探知目標の真偽を識別する手段としては目標の速度によるドップラー効果、ドップラー効果から推定される目標速度と距離の変化との対応、横方向の目標の移動、音波源の大きさなどがあり、これに対しデコイは魚雷探信音をそのまま送り返すものから周波数を変えてドップラー効果を模擬する、返信時間を変え目標の移動を模擬する、自走式とし実際に移動する、曳航式の発射器アレイにより音源に長さをもたせるなどと進歩してきている。

 従来から個々の対魚雷防御手段は存在したが、近来ウェーキホーミングを含み全ての魚雷に対する防御を考えた総合的な魚雷防御システムが米英共同、またフランスで計画されており、各国とも魚雷防御を重要視していることが示されている。

防御システム
要目

ATAAC
製造国 英
水上艦用
投棄型
音響ジャマー

C303
製造国 イタリア
使い捨て
音響を使用

G738
製造国 英
水上艦用
曳航式
音響デコイ
ジャマー

MK4 ADC
製造国 米
潜水艦用
自走式


MK5 ADC
製造国 米
潜水艦用
自走式


SLQ-25  Nixie
製造国 米
水上艦用
曳航式
音響デコイ
ジャマー


SSTD
製造国 国際共同 米英
水上艦用に開発中
Nixieの後継と
MK46 MOD7対魚雷魚雷を含む

UNP  ( underwater noise projector )
製造国 英
潜水艦、水上艦用
固定、曳航式
低周波音源
ジャマーとして使用可


シーシレン sea siren
製造国 英
潜水艦、水上艦用
曳航式
音響デコイ
ジャマー

スパルタカス
製造国 仏
水上艦用に開発中



バンドフィッシュ
製造国 英
潜水艦、水上艦用
投棄型
音響ジャマー



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