筒井竹雄の後任幕僚長としては、
岸本重一北部方面総監、松谷誠西部方面総監が候補であった。

岸本元大佐は入隊した旧陸軍の最古参(34)
山下奉文麾下の三羽烏の一人で、山下大将とともに東條首相の竹槍戦術に反対、
さらに空軍第一主義を唱えて東條の逆鱗に触れ、台湾に飛ばされたという逸話を持つ。
また初代航空幕僚長人選にも、航空総監部に在籍した経験から候補者として
名前の挙がった逸材である。

松谷元大佐(35)は軍政系の人物で杉山陸相や鈴木首相の秘書官を経験し、
終戦直前の対ソ和平交渉陸軍随行員の候補者としても名前があがり、 また戦後は、材木屋を営み世間の荒波にもまれたという、こちらも幕僚長としては十分であった。

しかし陸幕長となったのは、2段飛び越しで36期の杉山元大佐であった。

辻政信と同期だが、対照的に温厚誠実。
ニューギニアでの第18方面軍参謀として辛酸をなめ、
陸上自衛隊の中では井本熊男とともに作戦の双璧と言われた。
家庭には恵まれず、戦後服部卓四郎らのすすめで東條英機の娘と再婚したがガンで死別した。

なお、杉山は3年間陸幕長を努めたが、この間防衛庁長官は5人も代わった。